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3話 旅支度とケイト 

異世界に来て七日過ぎた頃。ウキが地下水を見つけ村の広場に穴を掘った初日は、掘った穴を囲うように石を積んでいき、子供が落ちない高さまで積み上げる。そこに蓋をして、ロープの先端にバケツを括り付けて井戸の完成。これが完次の異世界生活一日目である。


そこから、村人や村長の所に訪ねに行き、勝手に井戸を作った事を謝ったり回ったが、逆に感謝をされた。翌日、完次の工場にはたくさんの村人が来るようになった。どこから来たのかと何をしているのかとかいろいろと質問をされて困りはしたけど、親切な方が多いようにも感じた。


感謝の気持ちだといい男性農民から【異世界の野菜】をもらった。申し訳ない気持ちで断っていたが、半ば強引に渡された。なぜ農家が【異世界の野菜】をくれたのかというと、農作業する時大量に必要だった水が近場から供給できるよになり、作業時間短縮と体力消費の減少が嬉しかったのだという。


〔完次は【人参みたいなもの】【キャベツみたいなもの】などの【異世界の野菜】を手に入れた。〕


完次は、この農民の人から大量の野菜を受け取ったが、完次は少し申し訳ない気持ちになり、その人の農家を訪ね農具を手入れをすることにした。クワやスコップといった農具が農家の倉庫に置いてあり、それらすべてを研磨機にかけていると、農民の方々は不思議そうに研磨機を見ていた。完次は研磨機についてすべて説明した。


これは機械である事、電気で動いている事と丁寧に説明したつもりだが、機械が異世界で珍しいモノだったらしくあまり理解をしてくれなかった。


異世界では、農具の手入れとしてここから一番近い街<オリン>にいって鍛冶屋で打ち直ししてもらうか、新品を買い新しいものにするしか選択肢がないらしい。それに、一番近い街<オリン>といってもここから歩いて半日かかる距離。こっちの世界には車などはもちろんなく、完次も持っていない。異世界の人は歩くか月に一度来る馬車に乗っていく事らしいが、完次は街<オリン>がどんなところか興味が沸いたが、遠いと聞くと興味が薄れていった。



村人との交流ができるようになり、この村の事と異世界の事を聞くのなら村長が一番詳しいと聞いたので村長の家に訪ねる事にした。まず、ドア数度のノックをすると中から優しい女性の声と渋い声が聞こえた。

「完次です。」


ドアがギィと少し鈍い音をしながら開いていく、ドアが開くとこの世界で一番最初にお世話になった。老婦人が立っている。そう、この老婦人は村長の奥さんだ。


「どうぞ どうぞ 完次さん中に入って 」


完次の手を握り中に招かれていく。村長宅に入ると綺麗に整頓された部屋に、少し大きめのテーブルに村長が座っている。


「よく来たね まぁ座って」


テーブルに座ると奥さんが親切にお茶などを出してくれた。そして、村長に変な人と思われないようにこの村の事と異世界について聞いてみることにした。


昔この村は鉱山地区で鉱山で収入獲ていたが、金や銀など多くのものが取れていたがそれはに一時で、それらが徐々に取れなくなるにつれてこの村や鉱山に近寄る人もいなくなってきた。そして、その鉱山は人が近づかなくなったことにより今となってはモンスターの住処となっているらしい。


(モンスターがいるとか 怖いよな  〈モンスター〉というフレーズを聞くと本当 異世界に来たんだなって思うよ)


だが、鉱山には金と銀等が取れるという他にも聞いたことがない鉱石の名前を聞いた。もしかして、異世界の鉱石なのかもしれない期待で胸を膨らませる。〔超合金Z〕とか〔○○合金〕とかアニメ出てくる鉱石と似たようなモノだったら巨大ロボットできるかもしれない。


巨大ロボットを作ることを目標にしている完次にとっては異世界の鉱石は喉から手でるほどほしい代物になった。長年叶いそうもなかった夢が今少し叶いそうになる。こういう時は自然と心は踊り、行動に移したいとことだが、完次には、現状いくつか問題がある。


一つは、完次の戦闘力。おそらくここにいる村人とさほど変わりがないかそれ以下可能性すらもある。仕事中に鍛えられた筋肉と1キロ以上走れないお粗末な体力。これが完次の身体能力。ちなみに村人はここの周辺のモンスターなら倒せると聞いたのだが、運動を一切をしてこなかった完次がモンスター退治ができるかと聞かれる疑問になる。


鉱山に行きたいが、何か方法がないか村長に聞いてみると、王国の傭兵達か<オリン>にいるハンター達に要請するのが一般的と言われた。


二つ目、完次達は一文無しである。一応お金はある。通帳印鑑それに数枚の紙幣と硬貨。これがで雇えるのなら雇いたいのだが、異世界でこの紙幣と硬貨は一切価値がない。異世界での貨幣は金貨、銀貨、銅貨の三種類から成り立っている事を説明を受けた後村長にお礼を言い、<アサゲ村>をぶらぶらと歩きまわることにした。

 

まず、貨幣を手に入れようとすると農作物、鉱石、モンスターのドロップ品、モンスターの討伐等でもらえるらしいが、どれも出来ないと思う。農作物、農業をしたこともないからできない。モンスターのドロップ及びモンスター討伐、これは傭兵やハンター達がいないと絶対に無理。鉱石も鉱山に行かないとないと言われているから無理。そして、商売しようにも電気がない。



これが最大の問題で電気がないことだ。農具を研いだ時に使った。研磨機は充電式の物で助かったが、電気が使えなのに気が付いたときは正直焦ったが、今は災害時の時のために買っておいた自家発電機これによってある程度の生活確保をされている。しかし、これから商売するようになるとしたらもっと多くの電力が必要となるし、巨大ロボットを作るとなると発電所を作ることを考えないといけない。


異世界に来ても、お金がない事と自分が無能であることに凹む完次はいつの間にか自分の工場の前へと帰って来ると、向うから走ってくるウキの姿が見えた。


「パパ お帰り 今日もねウキちゃん いっぱいおばあちゃんのお手伝いしてきたの偉い?」

ウキは井戸の件から村の人気者になっている。ウキの笑顔を見ているとなずか元気が出てくる。そんな笑顔に村人たちも惹かれたのだろうウキは様々の所に行き様々なことを手伝っている。


「ウキちゃんは偉いなー」

完次はそう言いながらウキの頭を撫でると、ウキは満面の笑みを浮かべ工場に帰っていく。もしかしたら、ウキの方が村人に好かれ、仕事をしているのかもしない。完次は、村人に異世界の常識や知識を聞き回っていた。誰もが愛想よく受け答えしてくれたのはウキのおかげかもしれない。


ウキが工場に入っていく後を追うように、ウキと大変良く似た少女『スー』がちょこちょこと走っていく。

スーはウキの双子の妹。顔は双子で瓜二つだが、服装が違う。ウキがTシャツ短パンに対して、スーはオーバーオール。村人のほとんどの人が、この服装で判断をする。だが、完次は、スーの右目にある泣きぼくろで判断しているのだが、村人は気付いていないのだ。


スーは、ウキとずっと一緒にいる。ウキが農家の所に行くとスーはその後ちょこちょことついていく。完次の勝手の判断だがスーはウキの事が好きで、お姉ちゃんがいないと何もできないタイプだと思っている。


完次が、スーの事を考えているのに気が付いたのかわからないが、スーと目線が合うと、スーはキョロキョロを視線を動かした後、頭を90度に下げて挨拶したあと、再びウキの後を追っていく。


「完次さん 今日もお疲れまです 」


白のワンピースを着て可憐で美しい大人の女性『エイト』が、農家からもらったのだろうたくさんの野菜を手にしている。エイトは常にウキ達の面倒を見てくれていて、お母さん的存在の人だ。安心してウキ達を任せられるのだが、あまりのも綺麗なので目を合わすのだけで完次は精一杯なのだ。


「ぉぅ おちゅかれちゃま」

若くて綺麗な女性に対応力がない完次は、噛んだり何を言ったのかわからないような小声で答える。普通なら何か言ったか?とか少し嫌な顔をされるが、エイトは嫌な顔を一切せず、ニコッと微笑んでくれる女神みたいな女性だ。


今回もエイトは完次に向かって笑みを浮かべた後、工場に戻っていく。工場に戻っていった三人を見送った後、完次は閃いた。


(戦闘用…ロボット いないかな)


エイトはどう見えても戦闘用には見えない。帰りを心配そうに待つ優しいお母さんにしか見えない。ウキとスーは却下見た目は子供だし、危険なことを平気でしそうで怖い。


お姫様の服装している少女『マーニャ』は、おそらく俺の事が嫌いだ。視線が合うとすぐに視線をそらしたり、マーニャの事を知ろうと勇気を振り絞り近寄ったら逃たりする。これが嫌われてると思うしかない。それにウキやスーよりか少し年上だと思うが、どう良く見ても小学生の高学年にしか見えないので却下。


フードかぶっている少女『ルーネ』はずっと本を読んでいるし、マーニャと年齢がほとんど変わらなくみえるので却下。半分ショートカット半分ロングといった変わった左右非対称の髪型をしている少女『チューム』に限っては、ほとんど姿を見ない。寝る時、食事する時は姿を見せるが、それ以外の時はほとんど姿を見せない。何をしているのかさっぱりなうえに、これも年齢が若干だが若く見えるから却下。


メイド服の魅惑的な女性『ケイト』は、常に側にいてくれる。村長の所に行く時も農家を訪ねた時も一歩下がった所にいつもいる。今は一人だが、おそらく気を使って一人にしてくれているのだろうと思う。年齢は問題はないが、少し…魅力的すぎるのだ。一個一個の仕草がなにかエロく見えるのだ。これは、完次自身が女性に免疫がないとなると、もしも付いて来るとなると道中ケイトを気にしてしまうという問題が出てくる。


セラが、完次の中で一番期待ができると考えている。勇気も度胸もある。それに腕がドリルになるこれだけで強いと完次は思う。腕がドリルならもしかしたら、腕が飛んでロケットパンチとかもできるかもしれない。完次は目を瞑るとセラが【ロケットパンチ】と言いながら腕を飛ばす姿を容易に想像できる。セラの容姿もケイトやエイトに負けてない。特に胸とか、それに小麦色の肌の色とか非常魅力的だが、しっかりと隠している事、男の子らしい性格をしていて話はしやすい方だからだ。


今から鉱山行くなら、セラは連れていく。そして、完次自身が強い覚悟持ったならケイトも連れて行こう思う。もし鉱山に行けて鉱石が取れるようになればお金の問題が解決され且つ、巨大ロボットを作れる夢に近づける。ダメ元で一応二人に提案して見ることにする、断られたら行くのを大人しく辞めて、別の方法を考えるして、行けるのなら万々歳だ。


工場に入ると、入口付近に四組の旅支度してあるリュックがあった。


「鉱山に行く準備をしておきました。 後は完次さんが持って行きたいものがありましたら出発できます」

 

メイド姿のケイトが頭を下げて待っててくれていた。


「えっなんで行きたいのが分かったんだ?」

村長と鉱山の話をしていた時ケイトはいなかった。そして、行きたいと思っていただけで完次は一言もくんちにはしてない。


「完次さんのお気持ちを理解するのもメイドのお仕事です それで完次さんのリュックがこちらになります」


ケイトは少し首を傾けてニコッと笑った後、床に置いてある4つのリュックの中で一番小さいのがリュックが完次のだと教えてくれた。


なぜ一番小さいのが自分のものなのかをケイトに問おうとして、ケイトに視線をやると、前かがみになっているケイト姿がった。首元の隙間からかすかに見える谷間。やはりケイトはエロイ仕草が多いのとここでこの先こういうことが起きても動揺しないように覚悟を決めた。


「あ、ありがとう」


完次はケイトにお礼を言ったあと、極力ケイトを見ないように一番小さなリュックを手にした。入っていたものは下着、着替え用と上下の作業着とお弁当だ。いつも食事を作ってくれるのが、ケイトとエイトなのだが、今さっき帰ったエイトがこのお弁当を作れることはないので今日のはケイトが一人で作ったお弁当だろう。


「準備できましたか?」

振り返るとセラ、ケイト、ルーネがいた。

おそらく、この四人で鉱山に行くのだろう。ルーネが共に来るのに少し疑問に思ったが、ここまで現状できる最高の準備を整えているケイトの人選に文句はなかった。おそらく何かの思惑があると思い、ルーネがついて来るのを認めた


「準備ってケイトがた全部準備してくれたんだろ なら大丈夫さ」


完次はケイトの雰囲気が少し変わったが気がするのだ何が変わったのか全くわからない。でも、これ以上目で観察しようとすると、ケイトの仕草で心をまたやられそうになるので視線を工場内の端に向けるとウキの姿が見えた。


ウキが大人しいことに気が付くといろいろと思うことがある。こういう時にウキが行きたいって言って駄々をこねてくるのがウキらしいと思うが、大人しくしている。いつも騒がしい娘が静かにしていると自然と興味が沸く。ウキに近づこうとするとそこにケイトが立ち塞がった。


「完次さん、これをお持ちになってください。これはチュームが制作した簡易式生物探知機になっています。このレーダーに反応がある時は私たちの後ろに下がってください。」


男なのに、女の子の後ろに隠れるのって・・・どうなってるだろう。まぁ弱いからしょうがないけどさ。それに、この生物探知機って凄くないかどうやって作ったんだろう・・・帰ったら聞いてみるか


完次はチュームが生物探知機を作れることに興味をもった。普段何をしているかわからないうえに探知機まで作れるとなると、今度チュームの後を追って何をしているのか今度見てみることにした。


「おぅありがとうな ところで、ケイトは鉱山とかに行くとモンスターいるけど平気なの?」


ケイトは、スカートの両端を持ち少し上げると中から銃や手榴弾やらがたくさんの物騒な代物が出てきた。


「まずは、これらが相手にダメージを与えられるか試します。まぁ他にもいろいろとありますが・・・」


ケイトは、さらにスカートを持ち上げようと再びスカートの両端に手を伸ばす。


「もぅいいよ わかった」


これ以上持ち上げたらおそらく膝上まで持ち上げる。そうしたら、何かが見えそうになる。それを考えるだけでも顔や体が熱くるなるので辞めてもらうことにした。もし見えたら、完次はおそらく鼻血を流すと思う。そんな姿を見たらケイト達はどう思うか…


変態って言われるだろうなとか考えていると、ケイトは少し屈みスカートで先ほど出した物騒な物を覆い隠した後、立ち上がるとマジックのように物騒な物はなくなった。


スカートの中はどうなってるだろうって思わず口にしそうになったのを、手で口を抑えたのでぎりぎり助かった。こんなことを口にしたら勘違いされて、軽蔑された眼をされながらこの先の旅をすることになっていただろう。


今から鉱山に行きモンスターと戦うかもしれないのに、完次の心は一人の女性にノックアウト寸前まで削られていた。


 

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