32話 巨大ロボ(上半身)と目標
完次の部屋には、完次とケイトの二人っきりだった。完次は散らかっている机の上を作業スペースだけを確保をし物をはじっこに寄せただけであった。そして、限られたスペースで作業をしようとすると、ケイトが「私がやります」と少し強めの口調で言うとあっという間に綺麗に整頓された。机の上に置いてあったものは机の中に綺麗に分別されどこに何がしまってあるのかは、引き出しの取っ手の部分にテープで中に入ってる物が記入されていて非常にわかりやすかった。
そして、机の上にはこれから必要となる物になるカッターナイフ、接着剤、スチレンペーパー、プラ板、定規、ヒートナイフそして昨日仕上げた設計図が置かれた。完次は巨大ロボット作りする時には、イメージしたロボットをスレンチペーパーを使い小型の模型を作る事を作業工程を一番最初ににしていた。
完次はその設計図通りにプラ板を削り接着剤で組み立てると三時間ほどで30cmほどの模型が完成がした。その間、ケイトは完次の隣で模型作りの手伝いをしてくれていて、それは執刀医と看護師みたいに阿吽の呼吸で必要な物を完次に渡していた。
模型作りは細かい作業が多く始めた頃は、カッターナイフで指を少し切ったりすること多く。完次の指には多くの切り傷の跡が残っている。しかし、模型作りを10年間もやっていたため今となると、苦戦しそうなところもスムーズに行えていた。
完次が模型を作る理由は、作ってみると今まで問題にならなかった箇所がわかるように・・・・なると思っている。エイト達や【小機械部隊】も、模型を作ってみてから実際に作っていた。だから、今までは大きなミスが一度もなかったが、今回はいつも以上に慎重に巨大ロボットの建設手順を踏んでいる。大きなミスは許されない、あの化け物の骨をあってこその巨大ロボット万が一骨が壊れた場は・・・・巨大モンスターに再び出会うまでは無理であろう。いや、巨大モンスターに出会うことはあるのだろうか?巨大モンスターに出会ったとしても倒せるか?考えれば考えるほど不安要素が浮き彫りになり、一人でやろうとなると、時間がかかってしまうが・・・・
あの時とは違って今の俺には頼もしい仲間がいる。
『一人で確認していて気づかないポイントも仲間が気づいてくれる』これも異世界でできた完次の嬉しい事の一つであった。
「ケイトはどう思う。俺は問題がないと思うが・・・」
ケイトはしばらく完次が作った模型をいろいろな角度から見ては難しい顔をしていた。
「完次さん ちょっと大きすぎるきがするのですが・・・・それにこの眼が光るというのは必要なんでしょうか?この機能より別のアイディアをだした方が・・・」
「ケイト何を言ってるだ。ロボットが出撃する時、敵を倒した時光らせるのがかっこいいじゃないか。これは、絶対に必要な物ものだ。大きさは・・・・本当はもっと大きくしたいけど・・・」
「わかりました。完次さんが必要と思うならいいのです。もっと大きい物ですか・・・ならば、この世界の事をもっと知る必要がありますね」
「そうだね サルフィがこっちの世界の本が読めるのは大きなことだよ 明日にでも<オリン>に行ってもらおうかな 重さを減らす方法とかあったら助かるのだが…」
「わかりました。エイトさんが帰ってきた伝えておきます。 あともう一つ疑問になることが見つかりました。 この模型のままだと100tあると思えないのですが・・・何か秘密でもあるんですか?」
よくぞ聞いてくれた。完次はエイトに心の中で感謝をすると友にガッツポーズをしていた。
ロボットを作る人は外見ではわからない部分にこだわりを持つ者が多い。完次ものその一人で巨大ロボットには多くの秘密兵器を仕掛けていた。
「まず脚部に3つのエンジンを積む予定だ。だからこそ、脚部の方が大きくなってしまってる。そして、上半身には様々の武器。そして、全身覆うような二枚の盾は実は8枚なんだよ。この特に8枚の盾には他にも秘密を加える予定だ」
完次は二枚の盾を広げてみると中から八枚になった。再び見つめているとケイトはやはり険しい顔で見ていたが、何度もコクコクと頷いて納得してくれたようだった。
「完次さん素晴らしいです。 それと一つ疑問なんですが・・・この巨大ロボットに武器を取り付けるとなるとどなたかと戦うつもりなんですか?」
「戦うつもりだよ あの魔法使いと」
ギュッと自然に力が入り力こぶを作っていた。完次はあの事件を忘れる事は出来なかった。あの時、自分の誇りと自慢のロボットが壊されたのが悔しかったのだ。
「ルーネを馬鹿にされ 傷つけたのだ あれは許されない」
彼女たちは、間違いなくベストを尽くそうとしただろう、だが反応はできたとしても体がついてこない感覚になっているのは間違いない。異世界に来てから明らかに完次が作った時より性能が数段上がっているのは完次が一番よくわかっていたからこそ、悔しかったのだ。彼女を全力で戦わせてあげたかった。
「それに俺はロボットが魔法に負けないってことも証明したい」
あの強大な力・・・魔法に勝ちたい・・・という気持ちもいつのまにか目標になっていた。
「それは完次さん素晴らしいお考えです。私共も全力で完次さんのお手伝いをしたいと思います」
ケイトは完次に向かいお辞儀をした。
コンコン
「完次 入るよ」
扉の向こうからルーネの声が聞こえると、ルーネを先頭に、ウキ、スー、マーニャが入り、その後ろ【小機械部隊】が入ってきた。
「100体 作った 次 何をする」
ほんの一時間ちょいで100体の【小機械部隊】が完成。ルーネ達の生産能力を驚きを隠せなかったが、少々疲れているように見えた。ウキとスーは欠伸を数回していた。おそらくだが、エネルギーを大量に使用したことにより、疲労状態になっているのだろう。だが・・・完次が命令をすればルーネ達は作業するだろう。
「とりあえず、ルーネ達は休憩だ。ケイトはルーネ達を連れて一階に向かってくれ、そろそろエイト達が帰ってくる頃だろう 俺はセラとチュームを迎えに行ってから一階に行く そこでちょっと遅め昼食をとってから 脚部の作業に入ろう」
「わかりました。私たちは先に一回に向かいます。 行きましょうルーネちゃん、ウキちゃん、スーちゃん」
ルーネは返事をせず、ケイトの後に素直に追っていた。ルーネの表情はフードを深くかぶっていてよくわからなかったが、ウキとスーと同じく疲れ切っていているだろう。ウキとスーはいつもより元気がない返事をしてからケイトの後に追っていた。
完次はケイト達を見送った後、セラとチュームを迎えに行くために、地下三階降りた。地下三階には鉱山に続く道があるのとチュームがよくみかけるのを、ケイトに聞いたことがある。完次はその記憶をもとに地下三階に行く様々な機械がおいてあり、いつも見ても夢のような場所であった。その機械たちに囲まれた部屋で一人でくつろいでいるチュームの姿があった。
「セラを迎えに来たのかい? そしたらもうちょっと奥に通路とトロッコがあるからそこから行くといいよ」
チュームは部屋の奥を方を指を指していた。
「ありがとう。チュームも昼食をとるから一階に戻ってくれるか?それと遅くなって悪い。」
「りょうかーい」
チュームは敬礼のポーズをして、くるっと180度回転をして一階に向かっていた。
チュームに言われたところを目指すといくつもの鉄の塊の壁があった。その壁の裏側に回るとトンネルがあり、ちょっと古びたトロッコと錆びついた線路が奥へと続いているのが見えていた。
ゴロゴロと音を鳴らしながら鉄を山盛り積んだトロッコを電車のように何列も運んでいるセラが現れた。セラは完次に気が付いたのかペースを上げようとして少し踏ん張って進み始めていた。完次はそのセラの姿を見て、力になるかわからないが完次の方からセラの方に近づきトロッコを押すことにした。壁を押しているような感覚であったが無事にトンネルの出口に物を運び終えた。
「完次 サンキューな おかげで助かったわ」
セラはおそらくゴブリンの戦闘の時に使ったの力を少し使って、この大量の鉄を運んできたのだろう。その影響で肌には水蒸気が大量に付着して汗をかいているように見えていた。セラはその汗みたいなものを上着の袖で拭く姿は男の感じから見てもカッコよかった。
「すまないな こんな力仕事任せて」
「なーに これが私の仕事だからね むしろやりがいだと思っているよ。完次の役割がロボット作りだとすると私の役割はこういうのが多いだけさ むしろ仕事をくれてうれしく思ってるから 謝らないでくれよ」
ちょっと照れくさいそうに笑っていた。
「これからご昼食をとるから一回に集合と 作っていたロボットが完成をしたからセラの仕事にも【小機械部隊】を入れようと思う そしてここからはできる限りセラには俺の側にいてもらいただがいいかな?」
セラは少し驚いた顔をした後、物凄く顔を赤くしてそわそわしながらも数度頷いた。
おそらく先ほどの汗の副作用で顔が赤くなったのだろう、前回もオーバーヒート気味になって肌が赤くなっていた。今度も同じと完次は考えていた。
「よし 俺は先に行ってるから セラは一人行けるよな?」
「うん 大丈夫」
ちょっと女の子ぽく感じたがセラは数度頭を横に振り、「おうよ すぐに向かうから待ってろよ」といつも見たいに男の子ぽいしゃべり方に戻っていた。
セラには巨大ロボット作成時には溶接を含まれるようになるため、セラは鉱山にこもるよりも完次の側にいて溶接等をお願いしたいと思っていた。鉱山の方は【小機械部隊】に任せるとして・・・
役割を決めるのも忙しいな・・・
大丈夫だよな・・・・
完次はミスをしていないか確認をしながら一階に向かっていた。