29.5話 村の子供VSスライム (サブストーリー)
*サブストーリーは村の子供達をメインサイドのお話です。村の子供達が裏で何をやっていた。どんな経験したかを今後書いていくつもりです。
*サブストーリーで紹介された登場人物はメインストーリーでも再び紹介されます
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<ドン>
ネマンは誰かに蹴られて起きた。まだ日が昇っていない。ネマンはいつもこの時間帯に起きてるから別に問題なかった・・・もちろん起こした人もわかっていた。
「朝だぞ 早くしろ」
ネマンを起こしたのは、クマロ=プレデミー。ネマンとは歳が近くよく遊びよく一緒に遊び、<アサゲ村>に秘密基地などを作るほどの仲である。
ネマンは蹴られた部分をさすりながら起きるとクマロ以外にも見えていた。フンメールとバルメンの姿も見えていた。この二人ともよく遊んでいたが、家が農家で夕方の時間帯しか遊べなかったが毎日遊んでいた。
「ネマン君 おはよう」
フンメールは完次さんと買い物しに行った時に買ってもらった服を大切に着ていた。ネマン達にも服を渡されたがおしゃれに興味がないネマンにとってはあんまり喜ばしいものではなかった。
「ネマン 昨日早く寝るって言って全然朝起きれないじゃないですか」
バルメンは眼鏡をクイクイと上げながら怒っていた。バルメンもフンメールと同じように動きやすいそうな恰好であったがデザインがちょっと大人っぽい服をきていた。
「まぁまぁ いつものことだからしょうがなよねー」
「ウイミハイナも今さっき起こされたばっかりでしょうが!!」
バルメンに怒られながらしっかりと準備を終え糸目が特徴のこの男。ウイミハイナ=ヒヒロロは、父親が釣人で朝早くから<アサゲ村>付近の湖に釣りをしに行ってたので朝の準備等は早かった。けど起きるのが弱点である。ネマンとウイミハイナは釣りとかで遊んだりしていたが、たまに忘たり、寝てたりして遊びにならなかった日がよくあった。
「そうだよー ちゃんと起きないとだめだよー」
ちょっとのんびり口調でちょっと太っているこの男。<アサゲ村>唯一の宿屋兼食事処の息子である。ニミール=カスグは、のんびり口調とぽっちゃりだがネマン達の中で一番速く走れるが、体力が絶望的になかった。
「ネマンは一人でそろそろ起きろよ」
うちらの男の中で力持ちで負けず嫌いのジーン=クルル。お父さんの仕事が林業と果樹園の二つの仕事を抱え込んでいた。ジーンは、他の人より忙しかったので、なかなか遊べなかったが、ジーンと遊んでいる時はなぜか必死になって遊んでいて楽しかった。
ネマンとこの6人はこの山の麓に来て、仕事も食事も一緒で、過ごす時間が多くなったからネマン達は仲がかなり良くなっていた。
ネマンは急いで準備でして小屋の外に出ると、綺麗な黒髪のお姉さんと自分が父親になると言っていた長身で髭は伸びていて、髪もボサボサの男。隣にいる美女とは釣り合ってはいなかったが、その美女はネマンの眼から見ても美女がその男に惚れているのがわかっていた。
「エイトさん おやじ おはよう」
ネマンに挨拶されたエイトは清々しい挨拶を返してくれたが、完次はまだ眠いのかとても眠そうな挨拶をした。昨日までとは違い体調は良さそうだったが、相変わらずいつも眠そうにみえた。
「エイト あれをこいつらに渡してやってくれ」
「ハイ わかりました」
エイトは、ネマン達の前に7本の大小異なるダガ―ナイフをネマン達の前に広げていた。
「どれでも好きなもの取ってくれ それで気に入ったのがあったら教えて」
ネマン達がそれぞれ気になったもの手に取ると、完次はその場でナイフに名前を彫くれていた。
フルネームで・・・。
誰にも聞くことなく相手の顔を見て名前を彫っていた。普段あまり話さない完次の事を考えると、名前を覚えてくれてる事がネマンもクマロ達も嬉しかった。
「んじゃ みんな気を付けて行くんだよ エイトすまないが 後は頼むよ」
「はい 任せて下さい それではみんな行きましょう。私に付いてきてください。」
エイトさんが先頭で森に入っていき、完次が見送っているのをネマンは見ていた。エイトが先頭でネマンが最後尾と言う形で森に入ってきた。
森の中では特にモンスターに襲われたり、遭遇したりはしなかった。エイトがキョロキョロと周りを確認をしているからか、モンスターに遭遇しないように危険を回避しながら進んでいたのだろうとネマンはエイトの凄さに気が付いていた。
(ふむふむ 警戒することにより事前に危険を回避すること・・・ふむふむ勉強になる・・・気づけるのは俺くらいかな)
ネマンは自身を褒め、得意げの顔で歩いていた。
森を抜けると、そこは平野だった。エイトもネマン達もよく風景だった。エイトは完次と出かけた時、ネマン達は村から見えていた風景によく似ていた。
「この辺で休憩を取りつつ朝食を食べましょう その後にスライムを倒しましょう」
エイトからネマン達に銀色の包み紙に包まれたものを渡された。ネマンは包み紙を開けると中からイリーブ[サンドイッチみたいなもの]だった。今回は新鮮な野菜と鶏肉だった。ネマンはそれをパクパクと食べながらもこの後スライムと戦う覚悟をしていた。
平野には様々なモンスターがいたがその中で一番多いモンスターがスライムだった。スライム以外のモンスターがネマン達に襲い掛かったらネマン達は勝てないだろう・・・ウルフやカエルモドキというモンスターがいた。それらは冒険者にとっては強くないが、今の子供達には強い相手で、怪我をするモンスターであった。ネマンは平気だったが、フンメールとニミールの顔色は少し良くないように見えた。
「あなた達はスライムだけを倒すことだけを考えてください そのほかの事は考えなくていいです 私があなた達を守ります」
自信がありふれているその言葉は、ニミールとフンメールから不安を取り除いていた。エイトの服装は、食事する前とは変わっていて、森に入る前はいつもの白いドレスであったが、今の服装は黒い服装に変わっていた。ネマンはいつもエイトから穏やな人思っていたが、今目の前にいるエイトからは、鬼神のような物を感じ取れていた。
「エイトさんが言うなら・・・僕 頑張るよ」
フンメールは、臆病な性格だが一度決意したらクヨクヨはしない奴だ。それにフンメールは、エイトが戦っている姿を見ていた。それは本当に恐ろしく強かったと話していた。自分より何倍もの大きいモンスターに立ち向かい、多くの狩人を倒した姿は鬼のようだったと聞いていた事をネマンは思い出した。
「フンメールが頑張るって言ってるよ これはちょっと危ないかもしれない」
「確かに・・・もっと こう脅えててほしかったよね フンメールには」
「にゃは たしかにそうだね フンメールは僕は・・・無理とか言っててほしかったよね」
「だって 強いだよ・・エイトさん・・・だから 僕は信じてみようって思う」
「まぁフンメールがそこまで言うからにはうちらもやるしかないよ」
少し場が和んだ。先ほどまでみんなが緊張がしていたためか空気が少し重く感じていたが今はそれがない。フンメールとエイトさんのおかげで先ほどまであった緊張はなかった。
「んじゃ行きますか ちゃちゃっと終わらせて帰ろうぜ」
ネマンはそういいスライムに向かっていくと、あとからみんなも付いてくるのが伝わってきた。
スライムはどんなに近づいてもただ跳ねているだけで、警戒心がなくネマンが近づいてもただ跳ねているだけであった。
ネマンは一つ息を吐き・・・覚悟決め・・・完次からもらったナイフを握り・・・振り下ろした。
感触は外側は柔らかく中は少し硬く子供であるネマンにとっては片手では厳しかった。
両手なら・・・・ネマンはナイフで両手で握り、体重をかけるとナイフが進んでいき。そして、スライムを真っ二つにすることに成功をした。
(スライム弱い 全然余裕じゃん)
素直にネマンは思った。もうちょっと抵抗されるかと思っていたが、抵抗もなくあっけなくスライムを倒していたが、少しの疲れを感じ額には汗が垂れていた。
(戦闘って・・・意外に体力使うだな・・・ニミールとかすぐにばててそうだけど 大丈夫か?)
ネマンは、次のスライムを見つけると共に仲間の状況を見渡すことにした。クマロはスライムを一体倒して二体目にかかろうとしていた。フンメールはスライムにナイフを突き立てるが、途中で抜いてしまったのかスライムからの反撃を受けていた。反撃といっても、スライムの柔らかい体で体当たりをされるだけで、傷などをお負わずただただ押されるだけだった。そこに、ジーンが助けに来て、片手でネマンよりも大きなナイフを持ち、振り下ろすとスライムは切断された。
「大丈夫か?」
「うん。ごめん」
「いや、大丈夫ならいいだ。スライムは途中で止めたり中途半端な状態にすると反撃されるから、両手で一気に押し込んで終わらせたほうがいい。 そしたら、反撃を食らわないで済む。」
「そうなんだ・・・うん。 頑張ってみる」
「よし なら、俺はニミールの所に行くわ」
ジーンはフンメールにアドバイスを言ってから、スライムに攻撃しようとはせずその場でビクビクと縮こまっているニミールの所に駆け寄っていた。
ジーンは、よく周りを見ていてピンチになっている仲間の元にすぐ駆け寄っていた。フンメールはジーンのアドバイスが利いたのかそのすぐ後に、スライムを倒していた。
ウイミハイナも、苦戦をしていたが自分なりの答えを見つたのか変な戦い方であったけどスライムを倒していた。そして、クマロが、三体目を倒し四体目と向かっていた。
(クマロのやつ 徐々にだが狩るスピードがあがってるな・・・負けていられないな。だったら・・・俺は、同時に二体を相手にする。それなら、クマロに追いつく)
ネマンがキョロキョロとあたりを見渡すと、ネマンのためにいるようなスライムが2体いた。
(クマロ達に勝ちたい。)
ネマンは二体が並んでいるスライム元へと走った。
まずは片方のスライムに・・・ナイフで切りかかった。
ズブリ・・とした感触の後はスラスラとナイフが進んでいく
そして、少し固くなった所で再び両手で押し込もうとした。
ポヨン
ネマンは押し切る前にもう片方のスライムの体当たりで転げてしまった。
(クソ油断したのか? でもさっきスライムは攻撃してこなかったぞ なんでだ?)
ネマンは体当たりをしてきたスライムに襲い掛かろうとしたがナイフが手もになかった。ナイフを探すと攻撃をしたスライムの所に転がっていた。
(やばい・・・)
ここで〔スライムの特性〕瀕死状態ならば分裂をする。
これにより攻撃を受けたスライムは二体に分裂し合計でスライムは三体となった。ナイフや剣といった物がないとスライムは弱いモンスターからややこしいモンスターとなる。それも、まだ子供で冒険者でもないネマンにとっては強敵となった。
三体のスライムは、ネマンにピョンピョンと跳ながらじりじりと距離を詰めた。ネマンは、どうしようか考えていたが、最善方法が思い浮かばなかった。しゃがみ、砂を握りスライム達がいる方へと投げつけた。当然だが、そんな攻撃にスライムは微動だにせず、スライムはネマンに近寄り三体で体当たりをした。
地面に転がり立ち上がろうとするたびにスライムはネマンに体当たりをする。何でも立ち上がろうと、努力をするがスライムたちが妨害をしていた。ネマンはスライムの体当たりで何でも転んでいた。
ネマン体は何度も倒された結果、服は泥だけになり、手の甲や頬にかすり傷や切り傷ができ始めていた。
(悔しい)
ネマンはそう思っていた。自分が見栄を張っていたことに今気づいたのだ。
なぜ今回スライム退治を志願したかというと・・・完次が見してくれたアニメというものに魅せられたからだ。その物語の主人公が、ただカッコイイ良かった。あんな男になりたい。単純な考えで何が悪い、でもあんな男になりたかったのだ。
あの主人公は、最期の最期まであきらめなかった。いつも途中であきらめていたが、今回だけは最後まであきらめないで立ちあがろう。そう決意してから、何度目かわからなかったが、ネマンはボロボロになりがらも立ち上がっていた。
ネマンはスライムの方に視線を送ると、スライム三体の内二体をジーンとクマロが倒していた。
「大丈夫?」
ちょっと心配そうな声でフンメールが肩をしてくれたのだ。ちょっと、口に砂が入り違和感がしたが「大丈夫」と答えた。
「ネマンはいつも無理して怪我をする そこがダメだっていつも言ってるだろ」
眼鏡をクイクイとあげながら、ネチネチとうるさい事はいつもと変わりなかった。なのに、ネマンとスライムの間に立っていた。
「やっぱり ネマン君はいつも無理をするから退屈しないよ 見てて面白いし」
ウイミハイナは、面白いか面白くないかでいつも判断してる。ネマンがボオロボロになっていて面白いのか近くによって見てきたのだ。
みんなから少し離れたところで、息をはぁはぁと吐きながら休憩していニミールの姿も見れていた。
「ほら 受け取れよ」
クマロがネマンにナイフを手渡してくれた。ネマンは、そのナイフを受け取り取っ手の部分を確認すると、完次が自分のために彫ってくれた文字があった。
ネマンはそのナイフを強く握り、全速力で残り一体のスライムの元へ駆け寄り
油断せず 全力でスライムに切りかかった。
ナイフがスライムに触れ、柔らかい感触を感じた時に両手でしっかりと押し込んだ。中心部の固さを感じることなくサックとスライムを両断した。
スライムは切断されたことによって、跳ねたり体当たりをすることなく。その場にプニプニとした柔らかい感触持った物質となっていた。
〔スライムのドロップアイテム〕ミグミグ(特徴:プニプニとした物質)
ネマン達はそのミグミグを集めると、20個ほど集まり2mくらいの小さな山みたいだった。
みんなはその小さな山を見て二ニヤニヤと笑いながら自分の戦果を報告しあっていた。「俺は3体だ」「4体」だと張り合っていたのはクマロとジーンで、他のメンバーは疲れて座っていた。ニミールは疲れたとお腹が空いたとしたしか言えないようになっていた。
「みなさん お疲れ様でした」
綺麗で癒されるような声の主の方に視線をやると、家でも包んでいるのではないかと思うくらいにパンパンに膨れ上がっている風呂敷を持っていた。
その姿に、ネマン達は口が半開きで目をパチパチさせていた。
エイトは、ネマン達の目の前で風呂敷を開くと、大量のミグミグが現れた。その大きな山のような大量のミグミグの中にネマンたちの小さな山が入ると、どれがネマン達の物だったのかわからなくなってしまった。
エイトは、風呂敷を包み直すと先ほどと大して変わらなかった。
ネマンはその光景を見ると、少しだけ力拳を握った。悔しいかったのだ。同じ時間なのに、どうしてこんなに差が開いたのか?大人の子供の差で終わりたくなかったのだ。
「それでは、みなさん 帰りましょうか」
エイトは満面の笑みであった。