26話 恐怖と肩紐
化け物は白目を向き倒れていた。化け物が倒れると店主と盗賊の頭はその場から逃げようとしたとき、店主達の前には黒い門が現れたのだ。その門が開くとメイド服の美女と見慣れない服装をした美女たちが続々と出てきたのだ。
「エイト姉 このでかぶつを運べばいいの?」
「えぇ 完次さんが傷つけないようにとおっしゃっていたから 慎重に運んでください」
店主は門から出てきた美女達とエイトの仲間だと会話から理解をし、囲まれる前にこそっりと逃げようとしたがケイトに取り押さえられてしまった。
「んで こいつらが例の?」
ケイトは店主の頭を掴み軽々と持ち上げた。店主は苦しそうに足をバタバタを振っていた。
「てめぇが完次の事・・・ 許さねえからな」
セラが持っているチェンソーから凄い音が鳴ると、刃が回りバタバタを振っていた店主の足を物凄い血しぶきと共に切り落としたのだ。店主は絶叫していた。
「うるさい 唾液とかで私のドレスよごれちゃうじゃない」
マーニャの扇を店主に近づけると声が上げられなくなりさらに苦しそう顔をしていた。
「そうでしたね 完次さんに早く会いたいですね 8時間12分42秒会ってません」
ケイトは何事もなかったように店主の頭を簡単に握りつぶした。店主が動かなくなるとケイト達は盗賊の頭の方へと視線を動かした。盗賊の頭は逃げようとした時、『ガチャ』という音と共に足に激痛が走った。見てみるとトラバサミに捕まっていた。急いで手で外そうとしたら、手に痛みが走り手も動かなくなった。両手には釘が打ちつけられていて、盗賊の頭は完全に捕らわれてしまった。
「もぅ 動けない」
頭は声がしたほうに向くとルーネを見つけた。頭は痛みをこらえてもがいてみたが罠は全く外れなかった。
「さて さて こいつの実験台になってもらおう」
チュームはニヤニヤとした顔で頭の体に何かを取り付けて離れた。頭に向けて手を振り、右手に持っていたスイッチを押すと、ギシギシと音を立てながら腕や足、体、頭が回転していった。そして、頭の体のパーツは向いてはいけない方向にすべて向けられていた。
ケイト達は、服が汚れていないか乱れてないかお互い確認していた。ウキはスーを、スーはウキを見ていて、マーニャは念入りチックをしていた。それに比べ、セラやチュームは全く気にしていなく、少しケイトは怒っていたが、ケイトは二人の衣装を直していた。
「それではみなさん 私は先に行ってきます」
エイトは一人で支度を済ませ、他のメンバーとより早く完次のところに向かっていった。
(完次さんはドレスの方が綺麗って褒めてくれたし こっちの服装にしたけど喜んでもらえるかな)
エイトは黒のドレスに服装を戻し、髪もお団子に戻していた。そして、完次の元へ少し笑みを浮かべながら向かっていったが遠くで完次が少し悲しい顔をしてるのに気が付いた。
(また・・・あの顔をしている・・・どうして?・・・私・・・何かミスを・・私が出来損ないだから?)
エイトは涙目になっていたが、ばれないように手で拭ったのだ。
(怒られるのかな・・・私・・・完次さんが満足いくような結果ではなかったの?・・・)
完次の所に着いたエイトは、完次に嫌われないように笑顔を作っていた。
「エイト 怪我ないか? 大丈夫か?」
「はい 大丈夫です」
完次はエイトの笑顔見て、どことなく元気がないのに気が付いたのだ。
「エイトすまないがちょっと調べさせてもらうぞ もしかしたらエイトが気が付いてないだけかもしれないから」
セラもそうだったがエイト達は痛覚がない、だから自分で損傷しているかわからない事がある。だから、セラの件があってから完次はちょっとでも疑問に感じたら隅々まで調べるようにしていた。
エイトの腕、肩、足などを調べたが、どこも痛めてないかった。
(良かった)
完次はホッとした。エイトに損傷がないことを伝えようとした時に、エイトがかなり赤面しているの気が付いた。完次は先ほどまで必死だったから気付かなかったが、エイトが着けているドレスの結び目がほどけていて、ドレスがずれ落ちそうになっているのをエイトが胸辺りで受け止めていた。
(また やってしまった)
完次はセラがケガをした時も、セラを恥ずかしい恰好にさせた事がある。そして、エイトを脱がしそうになっていた。さすがにまずいと思い、完次はすぐさま後ろ向いた。
「すまん エイトの体が心配で 脱がすつもりなんてなかったんだ」
「は・・・はい 大丈夫です 安心してください」
「すまん 俺にできるごとがあったら言ってくれ」
エイトは少し考えていた。完次さんにできる事・・・・聞きたい・・・どうしてもあの時のことを聞きたい・・
なぜ私が完成をした時に悲しい顔になっていたのか聞きたい。もし、私が完次さんにとって出来損ないだったらなら、私ができる事をしたい。家事に文句ないのなら家事をしたい。家事がダメならマッサージをする。マッサージがダメなら・・・とにかくエイトは完次の側にいられるならなんだってやる。
だからこそ知りたい・・・悲しい顔をした理由を・・・・何が不満だったのか・・・不満があるなら言ってほしい・・・すぐさま直します・・・嫌われてたらどうしよう・・・・疎ましく思われていたらどうしよう・・・
だけど、今回のチャンスを逃したらないかもしれない
勇気を振り絞るのだ・・・・でも、泣いてしまったらどうしよう・・・そうだ・・・泣いてもいいように・・・泣いた顔を見せないように・・・・私の背中綺麗でありますように・・・・・
「そしたら・・・・完次さん 肩紐をお願いしてもいいですか?」