21話 街と嘘
鉱山の麓に来てから一週間くらい経とうしていた時。いろいろと問題が出てきた。子供たちの服の予備がないので洗えない。食事も調味料がないので料理方法変えても味がほとんど変わらないので飽きが来てしまった。
そこで、完次が街に行き買い物をすることを決めた。
街の存在を教えてくれくれたのは、村長の娘であるエリー=カノヘンと丸刈りの男の子であるフンメール=ザックであった。二人は村があった南東に少し大きな街<オリン>があり、そこには衣類や食糧、武器、防具などがあり、ササンドラ王国の配下にある一つの街であった。
異世界をもっと知るにはいい場所であり、完次は街に行くことを決心した。完次は一銭も持っていなかったが、こっちの世界ではモンスターの骨や皮、牙等と薬草、鉱石を硬貨と交換できる。そこで、自然石を少しばかり売ることにした。
そして一緒に行くメンバーを完次は考えていた。エリーとフンメールが案内役として一緒になっていた。完次が考えている最中に、ウキが連れて行ってと駄々をこねていたので連れていくことを決定するとスーも行くと言われたのでこの最年少組を連れていくことを決定した。あと一人誰を連れていくか悩んでいる時にケイトが案を提案してきた。
「高貴な家族という設定で行くのどうですか?普通の家族よりも街で丁寧に扱ってもらえると思います。そして、完次さんが旦那様でそれで奥様にふさわしい人を選ぶ。どうですか?」
ケイトが提案した時、いつもよりニコニコというよりもにやにやと笑っていたが、完次は気が付かなかった。
「それだったら・・・・」
完次は意外にも即決で決めたのであった。
<オリン>はどこかヨーロッパの街並みに似ていた。レンガ造りの街並みが綺麗で目を奪われるほど美しかった。魔法で空を飛んでいる人がたくさんいて、多くの魔法使いや鎧を着た戦士など多くの冒険者がいた。魔法使いを見ると吐き気や恐怖がでてきたがどこか村に来た魔法使い達とは違い、笑顔がそこにはあった。村に来た魔法使いはおそらく王国専属の魔法使いで、<オリン>にいるのは冒険者の魔法使いだあった。
商人達は冒険者に商品を見てもらために多くの出店が出されていて、まるで祭りのようだがオリンではこれが日常なのが凄いところだった。
(作業服だったらもっと浮いてたかもしれないな)
完次は普段来ている作業着ではなく、スーツ姿であった。髪はしっかりとセットをしてあった。髪型などのセットをしたのはケイトであった。完次達の姿は、他の冒険者達中では浮いてる存在で、注目を集めていた。
(やっぱり スーツは苦手だな 早く脱ぎたい)
完次は自分の服を見ていた。
「パパ いつもよりカッコイイ」
「スーは作業服のほうが好きだな」
ウキとスーは作業服ではなく、少しおしゃれな格好していた。エリーとフンメールも同じような格好をしていて少し照れていた。この服を準備をしていたのはケイトだった。ケイトは前から準備はしていたらしいがどの服もサイズがぴったりだった。
「完次さ・・あなた 目的の場所は三軒目を左です」
そこには普段は白いドレスを着ていも美しいエイトが黒のドレスを着ていた。背中の部分は腰の位置まで見えていて、エイトの美しい体のラインが浮き出ていた。
(エイトって本当スタイルいいよなぁ あんな大胆な服を着ていても似合ってるし モデルみたいだな)
「あのー完次さん 完次さん 完次さんに見られると恥ずかしいです」
完次はエイトの姿に見惚れていたのだ。
「あーえーっと すまない エイトの服装があまりにも綺麗で見惚れてた」
完次は思わず本音が出てしまった。だが、男なら見惚れてしまう者は多いだろう。
「嬉しいです」
そして、少し照れていた姿もかわいかった。完次がエイトが選んだ理由は単純であった。一番大人に近いからであった。
「ウキちゃんたちにも綺麗とかかわいいとか言ってよ」
ウキとスーが見てほしいのか胸を張って自分たちの服装を見せつけていた。完次がかわいいよというと嬉しに笑っていた。
今回の目的の一つである街の標換金所の場所を見つけ出す。これは今エイトに案内されている。第二目標は
自然石を売り、リストに載っているものを買う。リストには、牛や羊、食料、衣類等それを運ぶための馬車等も買うことになっていた。行きは早朝に出発してこの街に来たのだ。村の子供達は普段から早く起きていたので平気だったが、ウキやスーは起きてはくれず完次がおんぶと抱っこして行くことになった。
完次達は換金所に着くなり中に入ると、キラキラと輝く宝石、不思議な力が宿っていそうな杖や刀が大事そうに展示されてあった。そして、いかにも店主らしき人物が完次に近づいてきた。
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
営業スマイルで近づいてきた。この店主のスマイルは何か嫌な感じがしていた。
「こちらを売りたいのですが」
店主も街の人たちと同じくエイトに心を奪われ、店主の目はものすごく下心丸出しの目でエイトを見ていた。エイトはそんな店主との会話をできるだけ減らそうとしていた。
「これは自然石ですね こんなに大きいのは珍しいですね どこで手に入れられたのですか?」
店主は先ほどまでとは違い何かを探るような目で完次をじろじろ見ていた。
(やばい)
完次は少々戸惑った。ここで鉱山で見つけたなどどいえば、鉱山にはたくさんの人が来てしまう。
(何かいい嘘を考えなきゃ・・・何か・・・)
「これは、私のおじが私にプレゼントしてくれたので場所は良く知りません」
(ナイスだ エイト)
すぐさま答えて店主をニコニコと笑いながら答えていたが、心からは笑ってはいなかった。
「そうですか これは大変失礼しました 商売していると盗人が盗んだ物を売りつけくることがありまして 店としてはそういうことがないようにしたっかたので ご無礼をお許しをください」
店主は頭を深々と下げて謝ていた。その様子を見てエイトが完次のほう見てニコッと笑っていた。
「主人も許しているようなので ここは目をつぶります 換金したいので早急にお願いします」
店の主人は23インチほど自然石を従業員と共に店の奥に運んでいった。
店内にある魅力的な品をウキや村の子供達は眺めていた。その瞳はどれもキラキラしていて、ウキなんかはすぐに買ってと駄々をこねそうだった。
「お待たせしました 査定の結果が出たのでこちらへどうぞ」
店主に呼ばれ奥に行くと自然石の横には大量の金貨が置いてあった。
「査定の結果 金貨300枚となりました」
「金貨300枚!!」
村の子供達がものすごく驚いていた。子供たちに聞いたところ平民が10年間働いた金額(高級車一台分)らしい。その金額を聞いたとき完次も納得していた。村の子供達にリストに載っている物を買えることも確認した。
完次は納得をして店主から書類を受け取ろうとした時
「ねぇ おじさんなんで嘘ついてるの?」
ウキが店主の腕をつかみクリクリとした大きな瞳を店主に向けていた。
「何を言ってるんだい?お嬢ちゃん 失礼だな」
「本当だもん ウキ 嘘つかないもん」
ウキは完次の方に目を向けていた。この目は一度見たことがある。井戸の時と同じ瞳をしている。
(この眼は・・・嘘ついてないときの眼だな)
完次はウキの頭ポンと触り
「うちの娘が嘘をつかない 何か隠してますね?」
「値段 ごまかしていますね」
エイトが店主に問いかけた。答えは聞くまでもなく顔もに出ていた。顔から滝のような汗が出ていた。
「いくらなんですか?」
いつも優しい声の主エイトが恐ろしい声で店主に問い詰めていた。
「10...00...きん...」
店主が答えなようとしたが、ウキが前のめりで店主を見ていた。ウキの眼はじーっと店主を真っすぐな瞳で見ていた。店主はその眼に脅え、そして諦めた。
「3000金貨です」
店主が答えると、ウキは完次に向かって頷き、エイトも笑っていた。その横で、金額を聞いて倒れそうなエリー達がいた。3000金貨(マンションを買えるの値段)は、十分すぎる金額であった。
完次は訂正された書類にサインをした。そして、店主は奥にある大きな金庫から大きめの袋を3つ取り、完次達の前に並べ、中に入っている金貨をエイトがものすごいスピードで3000枚あることを確認をし、金貨3000枚を持ち買い物に向かったのだ。