11話 魔法VSロボット 開戦
<アサゲ村>は多くの大きな帽子をかぶる者達が村の当たり一面に存在する。
大きな帽子と黒いローブによりはっきりと顔が見えないがおそらく人間だと思う。だが、ウキやス―が言っていた。【これは人なの?】。スーが疑問に思っているという事は、あの大きな帽子の下には何があるのだ…。
だが、一つだけわかることがある。外見だけで判断するとあいつ等は魔法使いだ。魔法使い、つまり【魔法】が使える者達。主人公などが使っているアニメを見ていたことがあったが、その破壊力は凄まじい。アニメを見る限りは勝ち目ない、それにエイト達は力強いが【魔法】がない。勝てる要素が少ない…それでもか彼女達なら勝てると思っている。
「あの男 女に守られてるよ」
「男としての誇りとかないのか」
騎士達は手錠をされ足首にロープを縛られ地面に這いつくばっていても、完次に対して罵声を浴びせている。無様だが騎士達が言っていたことが正しいと思っている。
だが…もっとひどいことをいろいろ言われた事がある。
「でくのぼう」「やる気ないなら目しやがってこっちもやる気なくなるからこっち見るな」「才能なし」「男らしくない」影口は学生時代散々言われた。。毎日だ。そう毎日だ…それに授業中。トイレ。帰り道。様々な所でいびられ、屈辱を味わった事もある。
そんな経験を受けた完次にとって這いつくばっている騎士の言葉なんぞはどこ吹く風だ。
自分が無脳だとはいう事を一番よく知っているのは自分自身だ。だからといって何もしないのはもっとおこがましい。
無能だと知ってもぅ16年経つそろそろ自分が出来ることぐらいわかる歳だ。
・・・ まずはここでは戦闘はできない…村に迷惑かかるからな 戦闘するならできるだけこの村から離れたところで戦闘したい その為には俺達がこの場所が離れるしかないよな… ・・・
良い村だった。最初がこの村でよかった。村人もいい人だった。だからこそ、この村には迷惑か掛けられない。エイト達と少し離れた移動するように指示を出そうとした時だった。
井戸の作成した時からお世話になっている老婦人と若い騎士達がこちらに向かってくる。
「隊長 副隊長 大丈夫ですか」
若い騎士がエイト達に手錠で縛られている騎士の元に近づく。這いつくばっている騎士達は隊長と副隊長だった。体格がいいのも頷ける。若い騎士は、隊長副隊長のロープを切りると、ロングソードで起用に手錠切り落とす。
隊長達が立ち上がるとこちらに対して敵対心むき出しで睨んでいる。そんな隊長達に恐る恐る老婦人が騎士達の方に近寄かよる。
「あのーすいません 前回で言われた金貨払い終わったのですが 息子達が帰ってこないのですが」
隊長達は心を落ち着かせるため少し息を吐いた。老婦人の顔と名前を確認した後、手に持っている資料を照らし合わせる。
「お疲れ様です しかし息子さん達の分の金貨が足りていません なので息子さん達はもうしばらく王国で働いてもらいます」
「なんでですか 今まで言われた金貨をやっと払い終わって 息子達と一緒に暮らせると思っていたのに… なぜで・・・す・・・か・・・」
常に笑顔で明るい老婦人だったが、騎士達の言葉を聞くなりその場に泣き崩れた。働いて…働いて…働いて…我慢して…我慢して…我慢してここまできたのだろう。
その泣き声は悲痛な声は村中に響き渡り、老婦人は騎士達に泣きすがるが、騎士達の大木のような腕で老婦人を吹き飛ばす。だが、吹き飛ばされても老婦人は再び騎士たちの足元に鳴きすった。
その騒ぎに気づいた村人たちが続々と民家から続々と出てくる。村長の奥さんが老婦人の元に駆け寄り比較的に若い衆は【魔法使い】や騎士たちの元に駆け寄っていく。よそ者の完次はいつの間にか出る幕がなくなった。
「また あんた達か 問題を起こしたのか」
「私達は問題を起こしていない 御前達が問題なのだ 何度徴収に来ても雀の涙程度 このままではいつになっても返せないぞ」
「―― 返しても意味ない だって…息子達は帰ってこない」
「それは本当か」
「それも何も先私も知った所なんだから…」
それを聞いた一人の大柄な村民がドシドシと音を発てるかのように騎士の方に歩み寄る。
「おい 騎士様 本当にそうなのか」
「勘違いしてもらっては困る 今徴収しているのはこの村に居る者 此処に居ない者の分は含まれていない 」
「嘘をつくな この金額を払い終われば娘や息子を返してくれる そういう約束のはずだ」
「そういう書面があるのか?」
「御前らぁあああああ」
同情はする。だが、騎士達の言う通り書面を残さなかったのは悪い。日本では約束する際には書面に残す。それが裁判を起こした時の証拠となったりするからだ。これでは、どんな裁判でも村民たちが勝利する確率は低く、娘や息子は帰ってこない…。
そんな村人達がこれからとる行動なんか一つしかない。
暴動だ。
息子達を返してもらえない事を知った村人の不満が爆発する。隊長の近くにいた大柄な村人が、隊長に対して頭突きを与えた後は流れるように、周りにいた村人達が隊長に殴りかかり、鍬や農具といった武器になりそうなモノを持っている者は躊躇なく隊長に振り下ろす。
隊長を助けようとする副隊長や若い騎士もすぐに村人に波に飲まれボコボコに殴らて行く。強そうな騎士三人居ても30人近くの村人を押さえつけるのは難しい。多勢に無勢だ。
そして、一人の村人が騎士からロングソードを奪い取り騎士を殺害しようとした時、再び笛の音色が聞こえる。
笛の音色と共に【魔法使い】達は一斉に何かの呪文を唱えると、火の玉が魔法使いと同数現れた。その火の玉が出現すると村人達に飛んでいくとあっという間に村人を炎に包みこむ。
それからは詠唱をし火の玉が現れそれが飛んでいき村人を包み込むそれの繰り返しであった。火の玉は雨のように村人達を襲う。
完次の目の前で、バチバチと燃えていく人がたくさんにいる。そして、村人に巻き込まれた若い騎士も燃え上がっている。
たくさんの悲鳴や叫び声などが聞こえる。「苦しい」「助けて」「熱い」などの声が聞こえ、燃えてもなお歩き回っている者、地面に転がって自分に付いた炎を消そうしているものいれば、焼死してしまったのだろうか動かなくなった者もいる。そして、あの老婦人も村長勇敢に騎士に立ち向かった村人も皆完次の目前で炎に包まれていった。
完次と魔法の出会いは想像した華やかなモノではなく。【残虐】【無慈悲】【凶悪】なモノだった。
地獄を目の当たりにしてしまった完次は怖気づいてしまい、一歩行動を取るのが遅くなってしまった。
「そっそうだ…助けないとっ・・・」
その言葉を発したのは悲鳴と叫び声が少なくなった頃だった。動かなくなった者が多くみられる、そして丈夫そうな鎧を着ていた若い騎士も鎧を残しほとんどが黒く燃えてしまっている。
「セラとマーニャあの大きな帽子かぶっている奴等 違う場所に引き寄せてくれないか」
「おぅよ 任せろ 後あいつ等と戦ってもいいかな?」
「勝てるのか?」
「自信はある」
「――― わかった。でも無理はするなよ。無理だと判断したらすぐに退却だ。約束できるか?」
多少フラグのようなものを言った気がするが…まっいいか。
セラが自信があると言ったのなら恐らく【魔法使い】を倒す事は可能だろう。しかし、セラの一番怖い所は無理をすることだ。自分がいないところで無茶をしてほしくないが、目の前で親指を立たせ満面の笑みを浮かべるセラを信じる事にした。
「マーニャ…返事がないけど 大丈夫か? 無理なら 別の娘に頼むが…」
「――― まっ任せなさい 少しぼーっとしていただけだから心配しないで頂戴」
「本当か? 無理をしてないか?」
「いい 私に同じこと言わせないで 大丈夫たら大丈夫 セラお姉ちゃんより早く 可憐で優雅に帰ってくるわよ」
返事がなくて最初脅えているのかと思っていたがそんなことはなく。自信に溢れている。
「おっ 言ったな んじゃどっちが早く帰ってくるか 競争な」
「いいわよ お姉ちゃんに負けない所完次様に証明する絶好の機会だわ」
その後二人は風のように【魔法使い】の元に向かっていく。彼女達は目の前の地獄のような見ても何も思わないのか。完次は目の前の状況を飲み込むの時間がかかったというのに…
・・・ 彼女達は何とも思わないだろうか? ・・・
だが、今は些細な事を考えることではない。もしかしたら彼女達がただ表に出さないだけで実は心の中では泣いてるかもしれない。こんなことを考えるより次の指示を考えなくてはいけない。
セラ、ケイト、ルーネの戦闘は見ていた事があるが、残りの娘達は知らないが騎士の一人をマーニャとエイトが取り押さえていたことを見ると少なくとも騎士より強い事を知る。エイトにはやってもらい事があるためマーニャを選び、冒険を共にした中で一番戦闘に関して信用しているセラを行かせることにした。これは、万が一マーニャが負けそうになったら駆けつけたセラが守ってくれるという考えである。
「ケイト あの炎の中で助かりそうな人を探して できるなら治療もしてくれ」
「わかりました」
ケイトは、丁寧にお辞儀すると迅速に村人の元に向かっていく。ケイトの背中を見ながら完次は自分がした酷い事に心が痛む。この状況で助かる人など限りなく零に近い。それなのに、ケイトを地獄のような場所に向かわせる。さらに選んだ方法も消去法だからだ。
地獄に行かせるなら当然年長組しかない。エイト、セラ、ケイトの中から選ぶのは決めていた。セラは【魔法使い】を相手にしもらうこ決定していて、エイトもこの後やってもらいたい事があり却下、少女組やウキやスーに頼む事なんてもってのほかだ。だから、ケイトを選んだのだ。それに後付けだが、ケイトなら医療に詳しく治療もできそうだからだ。
・・・ ケイトすまない ・・・
「エイト ウキ スー にも頼みたいことがある」
「何なりとお申し付けください 完次さん」
「パパのお願いはウキちゃんが叶えるのだ」
「はい パパ 何でも言って」
あの地獄を逃れている者がいる。それは…少女組やウキとスーの年が変わらない子供達だ。一度…元気に外で遊んでいる姿を見たことがある。そして、あの争い時、子供達を家に戻している母親の姿を確認している。
だから、この三人に任せるのだ。ウキやスーは年が近いし話しやすいだろう。そして、この母性の塊のエイトなら脅えてる子供達やハプニングが起きても対処ができるし、家の中で【魔法使い】に遭遇してもウキとスーそれから子供達を守ってくれるだろう。
「エイト達は家を一軒一軒当たって取り残されている人がいないか確認してほしい そして生存者を工場の中に入れて守っていてくれ」
エイトはペコリと頷き、ウキとスーは声を揃えて返事をしていたが少し納得いかないような顔をしていた。「ウキちゃんも戦いたかった」とか言ってほっぺを膨らませてるウキを宥めるながらエイトとスーは工場から近い民家へと向かっていく。
「ルーネ お前には笛の主を探してほしい。大丈夫か?」
この戦場で忘れてはいけないのは笛の主だ。おそらく何処かで状況を見ていて、笛で【魔法使い】を呼び
そして指示を出している。だが、何処にいるかどのような者かわからない。この不安要素を消し去りたいのだ。知らない者にこちらの様子を監視されるのは気分が良くない、チュームとルーネだったら。ルーネの強さを知っている。あの数のモンスターを一瞬で倒せる力を持っていて、どんな時も冷静に判断でき小柄なルーネならで敵に見つからずやり遂げるきると信じている。
「任せて」
「危なくなっら なんかあったらすぐに帰ってくるだぞ」
ルーネは小さく頷き村のはずれの方へと向かっていく。残りのチュームは、この場に残ってもらい完次共に居てもらい、恥ずかしながら守ってもらおうと思っている。それに、チュームは自分に似ている気がしてどこか惹かれるモノがある。
完次はチュームがどんな少女なのか気になるのだが…
「そして、チュームは・・・」
さっきまでいた近くに居たチュームがいなくなっている。
・・・ えええええええええええええええええええ 何処に行ったの? まさか俺の指示に従えなくいタイプ? なんで? ・・・
状況を確認できるまで時間がかかた。ルーネに指示するときまでいた。間違いなくここにいたのだ。何かに巻き込まれたりはしていない。自分から動き出したのに違いない。他の娘達は完次の指示を待っていた。あの落ち着きがないウキでさえその場で名前が呼ばれるまで待っていたのに、チュームはいなくなった。
・・・ チュームは俺の事嫌いなのか… ・・・
他の娘達はうまく関係を作れていた分完次は、相当なショックを受けながらもチュームの事が益々気になる存在となった。




