9話 純白と帰る場所
完次達は空洞に入るとそこには様々な鉱石たちが色鮮に眠っている。空洞内にライトの光が入り照らされた箇所が星のように煌く。完次が欲していた鉄鉱石などが視界に入るが完次はある鉱石に一目惚れをして歩みを止めることなく惚れた鉱石の場所に近づく。
純白の鉱石
純白の鉱石は雪のように空洞の一か所を白く染めていて、小さなものは小石程度だが一面にゴロゴロとお転がっていていて大量に散らばっている。そして、小石に守られるように奥に大きな塊がずっしりと完次を訪れるのを待っているかのようであった。
完次は、美術館に展示されている絵画を見るように巨大な塊を黙って見つめている。そして、何か力強鋳物を感じた完次は、小さな純白の鉱石を大きなリュックの相手るスペースに入るだけ入れて持っていくことにした。純白の鉱石を手にすると、雪の様に冷たいと思っていたがひんやりと雪のように冷たいと思っていたが、最初はひんやりとしたが体温で少しずつ暖かくなっていく、今のところはただ石ころと同じであったが手にとってさらに確信した力強い力をこの石ころから伝わってくる。
純白の鉱石をリュックサックないで割れないよう一つ一つ丁寧にタオルに入れ、作業を終え辺りを見渡すとルーネが休憩所に置いてあった本と睨めっこしながら鉱石を観察している。野球やサッカーなどが行えるほど広い空洞をぐるっと一周探索し終えてきたのだろうセラが完次達の元に戻ってきた。ケイトはリュックサックが倍くらいの大きさに膨れ上がるほど鉄鉱石など完次が欲しがっていた鉱石を手に入れていた。
「完次さん ご満足しましたでしょうか」
「そうだな この純白の鉱石に魅かれたけど まだ他の鉱石見てみたけど」
「…完次さん 申し訳ございません 時間の方が押してまして 今すぐ出立しないと約束の時間になってしまいます。」
約束の時刻とは、今回の旅は今日中に帰宅することをウキ達に約束をし帰らなかった場合は翌日救助しに来るように話になっている。つまり、夜の12時までには帰らないといけない。幸いの事に、こちらの世界に来ても完次が唯一持っている腕時計は無事で時刻は21時と表記されていた。来るのにかかった時間は約三時間今から出立しないと12時には帰れない事が完次でもわかった。
しかし、目の前は宝の山。祖父母しかもらったことない誕生日プレゼントを我慢できずにいつもすぐ開けてしまう完次は、目の前の宝の山を我慢できず。セラ達の中で一人だけ帰らせて、帰りを待っているエイト達に無事だと報告してもらうような事を一瞬考えていた。
だが、その自己満足でここまで体を張って自分を守ってくれていたセラ達の事を一切考えてない最悪な提案を消して己の欲を消した。こちらの世界に来る前ならの一人ならここに籠っていたし、ここまではこれてはい。こちらの世界で〔大切な仲間〕がいる、だから〔大切な仲間〕を二度と失うことはしたくはない。
「そうだな 急いで皆で帰ろう んでエイト達にも良い報告しよう ここは宝の山であること」
「はい」
ケイトは嬉笑をした後、自然の流れで完次の横に入ろうとしたが、横入りしていた者がいる。
「完次 鉱石 調べた」
ルーネだ。ルーネは休憩所にあった本を取り出し完次に渡した。鉱石の絵は理解できたが横に書いてある文字が一切読めなかった。
「ルーネ これって…」
「文字 誰も 読めない 帰ったら 解析 頑張る」
ロボットでもあるルーネ達でも読めないとなると完次はお手上げだ。だが、それは文字の話であって、鉱石がどんなものか解析をすれば文字が読めずとも完次にとっては御の字である。文字を読めずとも完次は困らないでいる。むしろ、好都合でもあった。完次は、知識はないが一度解析という作業をしてみたかったのだ。完次は、やりたかった事がやれる事に変わると自然に笑みを浮かべる。
「完次 その笑い方はその… 」
完次の不気味な笑顔をすることすることを知っていった。時代劇に出てくる悪代官のように笑うと言われた事が一度ある。その癖が出ていただろうケイトやルーネは視線を合わせない。
やはり、笑顔は嫌いだ。いや、自分の笑顔全てが嫌いになっているのだ。だから、完次は笑顔をしない。スッと高鳴っていた心を引き締め直した。
「すまない それじゃ帰るとするか」
夢が詰め込まれたリュックサック持ち帰宅することにする。鉱山から出る時も行きと同じく完次は守られる陣形で<アサゲ村>に帰ることになった。鉱山内はケイトが記憶していたルートのおかげで安全且つ速やかに鉱山から出る事ができた。
息苦しい環境だった為か気持ちに変化があった為か何がそうさせているのかわからないが、いつもよりも空気がおいしく感じた。見上げてみると空洞内にあった宝の山まよりも負けていない綺麗な夜空が見えていた。
今見えている夜空は、昔住んでいた祖父の実家で毎日のように見ていた夜空と同じように美しい星々が見えていた。都会から離れていた祖父母の実家の近くの土手から見えた夜空は大好きだった。都会は光が多く夜空が明るく星が少なく、何か重く感じるから、都会の夜空好きでない。だから、都会で働くようになってから夜空はあんまり見なくなったのだ。
「懐かしいな」
懐かしく完次は食い入るように夜空を見つめていた。夜空を見ていると完次は昔のことを思い出した。祖父とは夜空を見ては星座の話をよくしてもらっていた。祖父は物知りで、その場いろいろ聞くと答えてくれた。そして、一人で夜空をずっと見てしまい夜遅くなると祖母が心配して迎えに来てくれたりしていた。
「綺麗」
完次のすぐ横でケイト達も星を見ている。ケイト達の眼も星が煌いてるようにキラキラと光らせていた。本をよく読んでいるルーネも煌かせ、男らしいセラも少女のようにケイトは何かを思っているのだろう星々を見ながら両手を合わせている。
「あそこにある縦長の星たちを結ぶと何に見える?」
ケイト達は、完次が指をさした先にある星々を見てそれぞれが思う星座を言っていたがどれも違った。
「あれは ウミヘビ座だよ 春の代表的な星座で一番大きい星座でもあるんだよ 他にも春星座が見られるな ということは今は季節は春ということになる」
祖父から教わった春の星座を完次は知ってる限り全てケイトに話している。異世界に来て見慣れない光景の中で、自分が好きだったものが一面に広がっているのだ。口数の少ない完次でも思わず口数が多くなる。
「完次さんは星座も詳しいですね 知りませんでした」
「昔 じいちゃんから教えてもらったことがあって思い出しただけだ」
あの頃も本当楽しかった。完次の質問に何でも答えてくれる祖父は完次の憧れの人その者だった。
「村に帰ったらまた教えてください いろいろ教えてほしいです」
ケイトがそう言うとセラやマーレも参加したいと言ってきたのだ。完次は祖父の後をよく追っていき、祖父の話をよく聞いてた。そんな幼き頃の自分にそっくりな眼をし昔の自分その者だった。だからこそ、なんて答えてほしいかも知っていて、憧れていた人が取っていた行動をする。
「そうだな 時間が空いた時にでも話そうか 」
ケイト達は嬉しそうな顔をしているのがよくわかる。完次もケイト達と同じ反応をよくしたもの、彼女たちの反応を見ると少なくとも嫌われていない事だけはよくわかった。
鉱山をあとにした完次達は、横に並びながら星を見ながら帰っていたのだ。セラ達が星の質問すると完次が答えまた別の質問をすると答えいくの繰り返しであったが、皆の顔は行きとは違い笑顔が多かった。
時間も忘れ気が付いたらモンスターに襲われずにいるに着くことができたのだ。
村はほ明かりがなくここに村があるのかと思うほど静かで暗闇に飲まれていた。ほとんどの人が眠っているのだろう。迷惑かけてはならないと口を閉ざして工場に目指す。
暗闇に飲まれた村でも完次は迷うことなく工場へと歩みを進める事ができた。なぜなら、たった一つ明かりがともしてある建物がある。その建物に近づいていくと完次の工場に明かりが灯り、窓には帰りを待っているウキが窓に頬っぺたをべったりとくっつけていて、完次を発見すると嬉しそうに笑っている。
自分がいないのに明るい工場を見て、帰りが待ってくれている人がいるのも悪くないと思う完治であった。