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~普通の習い事~

 娘が小学校3年生か4年生の時に、習い事を始めた。

 確か、ピアノだったかエレクトーンだったかの教室で、近所の子のお母さんの家に個人レッスンに通うことになった。


 僕の家には、大きな楽器は置けなかったので、小型の電子キーボードを購入して、家ではそれを使って練習していた。家とはいっても、賃貸のマンションだったのだ。

 さすがに、週に1度、それも30分かそこらのレッスンだけで上達したりはしない。どうしたって、家での練習が必要になってくる。むしろ、そっちの方がメインだ。

 妻は「こんな小さな楽器じゃ、まともな練習にならないわ」などと不満顔だったが、そこは仕方がない。それだって、結構な値段がしたものだ。今みたいに、安くはなかった。確か、3万円とか5万円くらいだったのではないだろうか?「もしも、娘が本格的にやりたがったら、その時は引っ越しも考えよう」などと言っておいて、その場は収めた。

 結局の所、娘はすぐに飽きてやめてしまった。僕は、内心ホッとした。引っ越しして、楽器を買ったりしなければならなくなると、一体いくらかかるか、わかったものではない。子供には、ちゃんとした教育をさせてやりたいが、それもできる限りお金のかからないモノにしてもらいたいものだ。


 それで思い出したが、僕も子供の頃、習い事に行かされた記憶がある。

 1つは、お習字の教室。これは、小学校低学年の時。確か、1年生か2年生の時だったと思う。結局、これは嫌になって、自然と行かなくなってしまった。週に2日くらいだったと思うのだが、どちらも通わなくなって、近所の児童館で遊びほうけていた。これには、さすがの母親も諦めがついたようだ。

 ところが、もう1つ。中学の時に通わされた塾の方は、どんなに嫌になってもやめさせてはもらえなかった。元々、僕は学校の成績は悪くない方だったのだが、それでも「もっといい点を取れ!」と母に叱られて、無理矢理に通わされることになってしまった。

 おかげで、ワンランク上の高校に通うコトができたのだが、ま、それも大したものではない。近所にある2つの高校の、レベルが高いとされている方に過ぎない。


 話を娘の習い事に戻そう。

「レッスンには、もう通いたくない」と娘が言い出した時、案の定、妻はそれを渋った。けれども、僕には子供時代の苦い経験もある。無理矢理に続けさせたって嫌な思いをするだけだ。

 そこで、「まあまあ、嫌な思いをして続けても、そんなに上達なんてしやしないよ」などと言って、妻を説得した。最後には、妻も折れた。彼女も、子供時代に似たような経験をしたコトを思い出したようだった。


 “自分が嫌なコトは、人にもさせない”

 簡単なようだが、これがなかなか難しい。特に、大人になると、子供時代のコトなんてスッカリ忘れてしまう。こと自分の子となると、親は目の色を変え、感情を剥き出しにし、わからなくなってしまうのだ。普段ならば、もっと公平に判断できるようなコトでさえ、頭に血が上って冷静に判断できなくなってしまう。

 僕も、そういう部分はある。注意しなければ…

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