~普通の職場~
僕の仕事は、普通の仕事。職種だけではなく、職場自体も普通の職場である。
別段、変わった性格の人がいるわけでもない。そりゃ、人間だからね。多かれ少なかれ、変わった部分はある。けれども、それも許容範囲内。飛び抜けて大きく変わっているわけではない。
じゃあ、そろそろ、僕が何の仕事をしているか明かそうか。
それは、印刷業者さ。
ね?普通の仕事だろう?
ただ、印刷業とはいっても、紙の本なんかを印刷するわけじゃあない。ああいうのも、昔はやってたらしいんだけどね。僕が入社する頃には、もうほとんどやらなくなっていた。忙しいばっかりで儲けが出ないってね。
じゃあ、何を印刷しているかって?
そうさな。たとえば、みんながスーパーやコンビニなんかで買うお菓子ってあるだろう?ああいう物のパッケージさ。紙のパッケージだけじゃない。ビニールやプラスチックや金属、なんでもござれ!意外と、ああいうのに上手く印刷するには技術がいるんだよ。
もちろん、チラシなんかも普通に印刷するよ。雑誌だとか本だとかの印刷はやめちゃったけど、普通に紙の印刷も、まだやってはいる。あとは、そう!シールなんかだね。これも、なかなか難しい。特に、半透明のシールなんて、かなり難易度が高い。
僕の働いている会社は、そういった技術を売りにしているのさ。企業秘密になっている技術もいくつかあるし、特許なんかもバンバン取得している。
僕自身は、直接印刷に携わっているわけじゃあないんだけど。それでも、会社の業績は上々さ。だから、それなりの給料を貰っている。決して、世間一般の労働者からすると、飛び抜けて高額というわけでははない。それでも、そこそこの額はいただいている。ボーナスだって、一応はある。家族4人が食べていくには充分な額さ。
とはいっても、妻も全く働いていないわけではない。僕の務めている会社にヘルプでやって来ることがある。こういう仕事だからね。忙しい時期と暇な時期がクッキリ分かれているのさ。安定してもらえている仕事もあるんだけどね。それ以外にも、急遽入ってくる用件だとか、急な増産を頼まれることがあるものなんだよ。
そんな時に、アルバイトを雇うわけなんだけど、そんな急に人が集まるわけでもない。だから、僕の家みたいに、妻や娘に応援に駆けつけてもらったりするコトがよくあるのさ。
元々、僕の妻は同じ職場で働いていたしね。勝手は、よくわかっている。
ま、そんなわけで、僕の貰ってくるお給料に加えて、いくらかの臨時収入もあったりするので、それなりに裕福に暮らしていくことはできているわけ。時々、ちょっとした贅沢くらいは、できる程度にね。




