~普通の恋愛~
僕の人生にも、何度か恋愛というモノがあった。
そりゃ、僕も普通の人間だ。恋愛経験の1つや2つはある。決して特別な恋愛ではない。普通の恋愛だ。恋をして、儚くも破れた。あるいは、成就した。
結婚式に乱入し、花嫁を奪ったりはしない。心の底から好きになった人がいたからといって、その人の後をつけ回したりもしない。逆に、つけ回されたこともない。恋人の誕生日には、花束やケーキを送り、記念日には食事に出かける。一緒に映画を見に行ったり、海やプールに出かけたり、旅行に行ったり。2人きりで初詣に向かい、クリスマスを共に過ごす。そんなイベントも、何度かはあった。
小学校の時の初恋は別としても、初めてまともに人を好きになったのはいつだったろうか?
おそらく、それは中学2年生の時だっただろう。クラスで2番目に美人と噂されていた、あの子。他の男の子達と同じように、同じような人を好きになるものだ。結局、その恋は上手くはいかなった。ただ、遠くから憧れながら眺めていただけ。ほとんど、まともに声を交わすことすらできやしなかった。
高校生の時には、生まれて初めての恋人ができた。相手は誰かといえば、近所に住んでいた1つ下の学年の女の子。幼い頃から顔はよく知っている。小学校の頃は、よく一緒に遊んだものさ。いわば、幼なじみというヤツだろうか?
けれども、マンガやアニメのような存在ではない。別に、そんなに特別なものでもなく、どちらかといえば妹に近かった。別に深い感情もない。相手の方から告白してきたので、「別に断る必要もないか」と思って、つき合っただけ。
その子とも、大学に通い始めてからは自然消滅してしまった。彼女は、大学には進学しなかったし、僕は遠くの街の大学に合格してしまったからだ。
大学時代も、それはそれで恋人はいた。けれども、さして語るようなこともない。同じサークルの女の子。現実世界でよくある関係さ。デートに行く場所も、その内容も別段特殊なモノではない。ほとんどが、映画に行ったり、カラオケに行ったり、そんな感じ。
大学を卒業して、僕は地元に帰ってきた。幼なじみの女の子とヨリを戻すようなこともなく、就職先の後輩と恋に落ち、普通に結婚した。現実なんて、そんなものさ。
ね?普通の恋愛経験だろう?
けれども、最近は、こういった経験もままならないと聞く。コミュニケーション能力の欠如だとかなんとか囁かれているが、結局の所、お金がないのだ。何をするにもお金がかかる。恋をするにもお金が必要。まして、結婚となると…
ま、人との関わりが面倒だという話もあるけれども。僕も、それには賛同だ。確かに、人間関係は面倒ではある。それでも、恋をしたり結婚したりを拒絶する程ではない。
結局の所、そういう部分まで僕は普通の感覚なのだ。何もかもが普通の性格。だから、普通に恋をして、普通に結婚し、普通に子供が生まれた。それだけのこと。
おそらく、このまま普通の人生を歩み、普通に死んでいくだろう。それで、いい。それが、僕の望み。




