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~普通の戦争~

 日本には戦争はない。昔の日本はそうではなかったと聞くが、現代の日本は他国と戦争をするようなことはなくなってしまった。隣の国とイザコザを起こしてはいるが、今の所、武器や兵器を用いて戦うという事態にまでは発展してしない。

 それでも、世界には戦争がある。あちらこちらで戦争が起きている。大規模なものも小規模なものも無数に起きている。もしも、日本で起きれば、新聞やテレビを埋め尽くす程の大問題になるような事態が、世界各地で勃発している。

 世界的に見れば、戦争というのは、実に普通の出来事なのだ。


 それが、いいか悪いかはわからない。いや、悪いに決まっている。決まってはいるのだが、どうしようもない。世の中には、戦争を起こしたくて起こしたくて堪らないという人々が存在するのだ。

 たとえば、それは武器や兵器を作っている人達だったり、売っている人達だったり、実際に戦闘に参加して銃を撃つ人達だったり、様々だ。そこには供給がある。だから、需要を作りたい。彼らだって生きているのだ。どうにかして、お金を稼がなくてはならない。生きていかなくちゃならないんだ。手段を選んでなんていられない。

 その気持ちは、ちょっとだけわかる。そういう意味では、いいか悪いかよくわからない。


 僕が大学生だった頃の知り合いも、そんな中の1人だった。知り合いというのは、直接の友人ではなかったからだ。友人が通っている学部の先輩、という位置づけだった。

 ある日、その人と飲み会の席で一緒になったことがある。何の飲み会だったかは忘れたけれども、とにかくいろいろな学部の人達がゴッチャになって参加していたのだけは覚えている。そこで、彼はこんな風に言ってのけたのだ。

「オレは、戦いたいんだよ。とにかく戦いたいんだ。きっと、生まれてくる国を間違えたんだろうな。もっと頻繁に戦闘が起こっている国に生まれていれば、この力を存分に発揮できただろうに」

 彼は、肉体派の人だった。普段からガチガチに筋肉を鍛えており、1対1で戦えば、負けるようなことはまずなかっただろう。相手が、余程の武術の達人だとか、そういうのでもなければ。

 さらには、武器を持って戦う訓練も欠かさなかった。ナイフだとか、木刀だとか、そういうのを持って戦う訓練だ。他にも、棒術だとか、槍術だとかも学んでいると言っていた。武器の知識も豊富だった。本物の銃を撃ったことはないと言っていたが、サバイバルゲームなどで鍛えているのだと自慢していた。

 そうして、そこで満足できない人であった。野外で行うサバイバルゲームだとか、画面の中の敵を倒すオンラインの銃撃戦などでは我慢できない性格だった。実際に戦場へ赴き、本物の銃を手に、本物の人間を撃ち殺す。常に、そういうのに憧れている人だった。

 数年後、風の噂で、彼が戦争に参加したと聞かされた。外人部隊に入隊し、日本のテレビのニュースでも放送されているような戦争に加わっているというのだ。その後、彼がどうなったかは知らない。ただ、僕の頭の中には、満面の笑みを浮かべて銃を手に戦場を駆け回る男の姿がハッキリとイメージできる。きっと、彼は幸せだろう。たとえ、どのような結末が待っているとしても。それでも…


 大切なコトなので、もう1度言おう。世界的に見れば、身近で戦争が起きているだなんて普通の出来事なのだ。

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