味噌汁
僕はいつも馬鹿だとか、阿呆だとかノータリンだとか言われる。
はっきり言って悔しい。
でも、それも今日で終わりだ。
僕は凄い情報を手に入れた。
古本屋で立ち読みした雑誌に書いてあったことだ。
なんでも、味噌汁は脳を活性化させて、とにかく頭に良いらしい。
さっそく味噌汁の材料を揃えて作ることにした。
出汁は煮干しからとる。
丁寧にアクをすくい、香り高く、澄んだ出汁ができた。
水気を切った木綿豆腐を賽の目に切り分け、形を崩さないようにその中へ。
乾燥ワカメを入れて一煮立ち。
それから合わせ味噌を溶き入れ、あさつきを散らして完成だ。
我ながら良い出来だと思う。
さあ、これで僕も天才の仲間入りだ。
僕は味噌汁入りの鍋を持って流し場へ行く。
そして鍋をひっくり返した。
熱されたシンクがベコンと叩かれたような音を出す。
鍋をよく洗い、もう一度水を張る。
さて、お腹も空いてきたし、うどんでも作ろう。
麺を茹でながら、活性化されたであろう頭で僕は考える。
ところで、どうして味噌汁は頭に良いんだろう。