09 私の好きと彼の好き
09 私の好きと彼の好き
そうして毎日せいじさんは遊びに来てくれるようになりました。
季節は熱い季節から、もみじが輝く季節になりました。
「せいじさんは、どうして毎日わたしと遊んでくれるの? お仕事もして、きっと疲れているのだから、たまに遊びに来てくれるだけで、わたしは十分だよ」
そういうとせいじさんは、笑って首を振りました。
「俺はね、ラプンツェル。君のことが好きなんだ」
「わたしも、せいじさんのこと好きだよ」
わたしも笑顔で返すと、せいじさんはまた首を横に振りました。
「俺の好きと、君の好きは、少し違うかな?」
「何が違うの?」
私には違いが分かりませんでした。なんでそう言う風にせいじさんが言うのかもわかりませんでした。
「まだラプンツェルはわからなくてもいいよ。今の君にはまだ難しいかもしれないね」
「そうなの?」
「うん。だけれども、君が俺の“好き”の意味がわかるようになったら、おんなじ好きになっていて欲しいな」
そう言ってせいじさんは、わたしのおでこにちゅっとキスをしました。
初めてされたキスは、すごく恥ずかしくて、顔を真っ赤にしてしまいました。
せいじさんはそんな私の顔を見て、まるでりんごみたいだと今度はほっぺをつつき始めます。
いいたいほうだいにされていた私は、仕返しにぽかぽかとせいじさんを叩きました。
それでもせいじさんはうれしそうで、私はどうしていいか困ってしまいました。