06 さくはな、ちるはな
06 さくはな、ちるはな
しばらくわたあめを食べていると、ぱん、ぱんと音がして小窓の外が光りました。
わたあめをもったまま駆け寄ると、空に、大きな花が咲いています。その花は一瞬だけきれいに光ったあと、すぐにかれてしまいました。
「花火綺麗だよね」
ここは村で一番高い場所だからきれいに見えるね。彼はそういいます。
「はなび?」
空に一瞬だけ咲く花は、はなびという名前らしいです。
そう会話している合間にも、はなびはたくさんさいて、そして散ってゆきます。
「確かにはなびは綺麗だけれども、でも、なんだか寂しいです」
「どうして?」
彼は驚くこともなく、理由を聞いてくれました。
「だって、あの空にさく花は、一瞬だけしかきれいな花を咲かせることが出来ないのですもの」
きれいに咲く花を目に焼き付けながら、私はしっかりといいました。
すると、彼はくすくすとわらって、私の頭をよしよし、と撫でてくれました。
「そうか。君はそんな発想も出来るんだね」
「普通ではないのですか?」
「そうかな? 皆きれいだ、きれいだって見てて、散ってしまう花火なんて考える人はいないんだよ。でも、君みたいな人考えの人がいてくれるのは嬉しいな」
最後のほうに言った言葉は、私にはよく意味は分からなかったけれども、でも彼は誇らしそうに、嬉しそうに言っていたので私は良かったことにしました。
そうして、二人で小さな小窓から、きれいにさくはなびを見つめていました。
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