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03 塔の外の世界・過去
03 塔の外の世界・過去
一度だけ、実は外に出たことがありました。おばあさんが上ってくるはしごを使って、塔の外に出たことがありました。
クツもなくて足はとても歩くと痛かったけれど、外に出られた嬉しさいっぱいに、この村を探検しようとしました。
その頃の私は、まだ自分が他の人とちがうことを知らなくて、見る人は黒い髪に黒い目をしていたけれど、金色の髪に青い目をした人も村にいるんじゃないのかな。って思ってました。
だけれど、全然そんなことありませんでした。
皆私を怖いもので見る目をして、やがておばあさんに見つかって、塔に連れ戻されました。その時いっぱい叩かれて、私に外に出てはいけないよ。ときつくお説教しました。
それから私は、外に出たことがありません。
私はお母さんの顔も、お父さんの顔も知りません。多分、お父さんは私と同じ目と髪をしていて、お母さんは村の人と同じ髪と目をしているのだと思います。だからきっと、半分だけ私は皆と違うのだと思います。
それでも、私の心はきっと村の人よりもきれいなんじゃないかなぁっておもいました。