01 始話
01 塔の上の少女、ラプンツェル
昔、今からほんの少しだけ、昔のこと。
そこにある国がありました。その国は、戦争に負けて、だけれども今一番活気付いている国でもありました。
でもそれは、端っこのある、町にもならない村にまで、それは届きませんでした。
確かに食べるものは少なかったけれども、それでもてきのばくだんにあう琴もなく平和といえば平和な村でした。
その村の、一番高い、石で出来た塔。そこの一番上の階が私のお家でした。お家から出たことは一度もありません。お家というよりは、一つの部屋しか使っていないのだから、部屋が正しい気がします。
一部屋に私は過ごしていました。お風呂も、トイレも皆部屋にあります。食事は、いつも一日一回、おばあさんが運んできました。
私は、ラプンツェルと呼ばれています。もちろん本当の名前じゃありません。本当の名前は、私しか知りません。
どうしてラプンツェルと呼ばれるのかというと、私がとても長い髪をしているからです。そして、塔の一番上の階に住んでいるからです。
そして、自分で言うのもなんですが、私の顔はとても綺麗です。
だけれどもそれは、村の皆に認められませんでした。
――だって私は、金色の髪の毛で、青い目をしていたからです。