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ミシェルは、列車が止まっている事に気づいた。
「あれ?なんだろう」と
ベッドの枕元にある、おおきな窓から
外を見たけれど
農村の中を走っていたのだろうか、明かりが
なにもないので
よくわからなかった。
けれど、止まっている事は
揺れないので、わかる。
駅じゃないので、何かあったのかもしれない、と
壁についているラジオのスイッチを入れると
アナウンサーが淡々と「地震がありました」との
一報。
「地震」。
ミシェルは思う。
あんな、罪な夢を見たから
罰があったのだろうか、などと
ミシェルは敬謙な男の子である(笑)。
でも、好きな女の子を愛したいと思うのは
人間らしい行動。
それを知らないのは、お母さんやお姉さんの
影響かもしれなかった。
おじいちゃんも、機関車乗りだったし
あんまり、男としてのミシェルの成長には
心を配るゆとりもなかった。
人間は、日々の暮らしから
経験を記憶して
行動様式を作っていく。
お母さんやお姉さんは、女としての感覚で
ミシェルに関わっっていくから
それに、ミシェルが罪悪感を持ってしまったりする。
でも、愛するのは悪い事ではないのだけれど
。
地震で列車が停まってしまったのに
気づいている乗客は少なかったから
ミシェルや、めぐたちは
そのまま、個室の中で眠り続けていられた。
案外、揺れない列車の方が
よく眠れたりする。
そう、ミシェルが夢を見たのも
眠りが浅くなった時、列車が揺れたせいで
その、体にかかる揺れで
物理的な刺激が、愛の営みを連想させられてしまったのも
また、少年ミシェルの仕方ないところでもあるけれど
それは、ミシェル、の人格には関係なく
生き物としての存在の上に人格が乗っかっているから(w
コンピュータで言えば、ブート・アップしてシャット・ダウンするのは
システムがあり続けるために仕方ないのと同じで
その上に、知性たるプログラムがあり続けるために
仕方ない存在であったりする。
複数のプログラム同士が、コンピュータ上で競合するように
生き物としての人間も、競合しあう事があったりするけれど
それは、生き抜いて来た歴史のようなもの。
少年は、まだその入り口なので歴史に翻弄されるけれど
いつか、老年になった時にその構造を意識して
平和に、競合をせずに共存するように成熟するのだ。
それは、生き物としての役目を終える頃に初めて出来る事なのだけれど。




