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めぐは能力者だから、時空を旅すれば

「向こうの時空」に行く能力はあるけれど



その能力は、魔法だから

魔界に近い雰囲気を持っていて


めぐに宿っている天使さんの、天界の雰囲気と相反するエネルギー。

なので、天使さんが疲弊してしまうから

めぐの、能力者としての意識は

自らを封印したのだった。



もちろん、人間としてのめぐは

魔界との関わりがあった記憶を忘れるために

一度、時間を逆転させて

再度、記憶を積み重ねた。



能力があった事は、覚えていない。

けれども、それを思い出すかもしれないし


天使さんが、そういうめぐを

自由にしてあげたい、そう思っている....。








「きょうは暑かったわぁ」と、おばあちゃんは

にこにこしながら。



夕方になると、丘に建っているこの家は

草原を渡る風が、さわやか。




にゃごも、のんびり。



涼しいところを探して、ごろり、と

横になった。



リビングにある、アンティークの真空管ラジオからニュース。



熱帯植物が、昆虫の大発生のせいで

枯れたせいで、二酸化炭素が増え

太陽の熱を宇宙に逃がせず、地球は暑くなっている。




昆虫に転生したような、欲の深い人間たちは

そんなに数が多かったのだろう。



考えてみると、この国が

戦争に負けてからは、ずっと

愛や正義より、お金儲け、そんな感じ。

言い換えれば、この国の「雰囲気」だ。


天使さんの雰囲気、魔界の雰囲気。



それと似た、この国の、それまでの雰囲気。



ルーフィや神様ががんばったから、過去のものになったけれど..。



お金を持っていれば、正義や愛を支配できる、なんて

間違った雰囲気を持つ人は、悪い雰囲気を失ったけれど

その行状のせいで、虫になってしまって。


それも自然の摂理だけれども。



まだ、当分は変わりそうもない。



にゃごの優しさ



それから、美人猫さんは

、おかあさんになった。



かわいい子猫が、3匹。


お母さん似の男の子2匹と、お父さん似の女の子。



とてもかわいくて、にゃごも

子猫を眺めているだけで

幸せだった。



生まれて少しして、ヨチヨチ歩けるようになると、美人猫さんや、にゃごの後をついてきて。




美人猫さんは、お母さんになると

遊んで歩く事もなく、かわいい子猫と遊ぶ事を楽しむようになった。


人間と違い、テレビもネットもないから

遊びに行きたい遊園地、とか

見たい映画、とか

スイーツバイキング(笑)とか


べつにどうでもいい物売りの誘惑もないから、でもある(笑)




にゃごも、おさんぽを子猫たちと楽しんだり。





小さな子猫をつれて、家に帰ってくると、めぐも

おばあちゃんもとっても

喜んだ。



お母さんも、お父さんも。






子猫にとっては、にゃごがお父さんだから



やっぱり、にゃごも

子猫を見守ったり。



階段を昇れないで、上を見上げてる男の子。

お母さん似で、かわいい子猫、真っ白でふわふわ。


外をおさんぽしたい、って窓の向こうを見ている女の子は、にゃごに似ていて

トラちゃん、だけど

しなやかな白い。



子育ては大変だけれど、にゃごは、心のどこかで

前世、人間だった頃に

寂しい思いをした事を

思い出して。



自分だけは、子供達に

寂しい思いはさせない。



と、思っていたかどうか(笑)



とにかく、猫お父さんになってしまったにゃごは


面倒見のいい、お父さんだった。


まだ、お兄ちゃんくらいの年なんだけど((笑))


仕方ない、美人猫さんも

悲しませる訳にもいかない。





もちろん、天使さんも

子猫を愛しげに見守った。



そうして、幸せににゃごが暮らす事は

良い転生ができる理由に

なったりもするから、で



天使さんの、そんな気持ちは

いまは、にゃごに宿っている

元悪魔くんの心にも、伝わって。



良い雰囲気になった。


かわいい子猫



にゃごでなくても、子猫のかわいさは

誰にでもわかるもので


男の子どうしで、じゃれあったり。

毛糸玉みたいに、ころころしたり。


不思議に、お母さん似の男の子は

優美で凛々しかったから


いずれ、モテモテ猫ちゃんになるだろう(笑)。


お父さん似の女の子は、愛らしい中に聡明なところを感じさせて

気品のある、お母さんとは違う魅力を見せ


それは、美人猫さんのお母さんが

わが娘ながら、嫉妬を覚える(笑)


ような女の子に、いずれなるであろうか、と思った。


お母さん猫としては、にゃご、恋した彼に似ている娘、を

微笑ましく、愛しく思って。

知る事のない、生まれた頃の

彼の姿は、こんなだったのかしら?


などと想像して、楽しくなったりもする。




めぐは、どの子猫も

とっても可愛がった。



おうちに遊びに来ると、ミルクをあげたり。




ふにゃふにゃの子猫たちと遊んで、和んだりもした。



「向こうは、大丈夫かな」わたしは

思いの他長旅になった、自分の世界の事を、ふと気にした。



思いつきで飛んできてしまった、3年前の世界、に

似た、めぐのいる

こちらがわの異世界。



めぐ、と言う

わたしの過去生、3年前の彼女は

生まれたばかりの時に

魔物にさらわれて、怖い思いをして。


それは、魔物が往来する異なる、この次元の歪んだ世界のせい。


そのせいで、めぐ、は

天使さんに護られて

限られた時間を生きていて。


いつか、助けてもらえる事を

願っていた。




ルーフィは、困難なその願いを

叶えてあげた。


神様と契約をし、果たした。



それで、めぐは

ふつうの女の子、の

人生を歩めること、になって・・・・。




いま、思うと

たぶん、おばあちゃんの願いが

わたしとルーフィに届いたんだろうと

思うけど。



みんなしあわせになって良かった。


そう思うと、わたしは

急に、自分の世界が気になってしまって。




ルーフィは「ああ、いつかみたいに

向こうの世界では、ほんの一瞬の出来事、なんだよ。

4次元、って時間軸が伸び縮みするから。」


って、微笑んでる。



ふつうの次元は、3次元。


たて、よこ、たかさ。で

形が決まって。


時間軸は動かせない。



4次元、は

時間軸も、たて、よこ、たかさ、も

伸び縮みできる。



夢の中で、思い出を一瞬に

呼び出したり。


遠くに突然飛べたり。



それが4次元ー。




「でも、エネルギーの総和は同じだから、限界はあるね」とルーフィは真面目な表情をした。



つまり、向こうの世界での、わたしたちは


とてもちいさくなって、存在しているのだろう。エネルギー体として。





「いずれは、戻るべきだろうね」と、ルーフィは言った。





そっか・・・・・・。


楽しい長旅だった。




いろんなことがあったな。



わたしは、旅の思い出に浸った。



うれしいこと、たのしいこと。


つらいこともあったけど。


でも、みんな、いい思い出。







旅の終わり



それなので、わたしたちは

天使さんに、お話をして。


「そろそろ、戻ろうかと思うのです」



と、言うと、天使さんは


「淋しくなりますね、でも、いつでも

遊びに来てくださいね」と

水晶のように微笑むのでした。



めぐは、そろそろ夏休み。

ハイスクールの休みは長くて

秋までを、ゆっくりとバケーション。


わたしの記憶だと、スイスのお山とか


涼しいところに出掛けたりした。



めぐも、そうするのかな・・・。







おばあちゃんに、帰る話をすると



「ずっと、いらしてくれていいんですよ」と

にこにこしながら。



そーいえば、ごはん一杯食べてたし(笑)と

ルーフィは、わたしをつっつく。



「なによ、あんただって。おいしいおいしい、って

パスタ3さらも、魔法使いのくせに」




と、言ってしまって。


あっ、と、気づいた。



おばあちゃんは、神様の粛清で

魔物の記憶を忘れているはず・・・。



「いいんですよ、わたしは。」と

おばあちゃんは穏やかに微笑んだ。



「わたしは、ずっと、覚えているんです・・・そう、わたしがめぐ、くらいの頃から。

わたしのおばあちゃんから、受け継いだ能力・・・・なの。」


ずっとずっと昔から、ときどき

うちの家系には、魔法使いになれる女の子が生まれると

おばあちゃんは、静かに告げた。




それが、めぐ。



つまり、わたしの世界で言うと

それはわたし、と言う事になるけど


そんなはなし、聞いたことないわ(笑)。




「すべて、ご存知だったんですね」と

ルーフィ。




おばあちゃんは静かに頷き、「未来には、魔法使いの時代が再び訪れるはず・・・・」と、にこにこして。




「ルーフィさん、あなたの世界で3年後のめぐ、を大切にしてあげてくださいね」と、面白い事を言った(笑)。




それは、つまりわたしの事になるけど(笑)。




「予言では、魔法使いのお婿さんが来ることになってるの」と

おばあちゃんは楽しそうに笑った。




あれ?



それは、どっちの世界の事?



お婿さんって、ルーフィ?



どっちの世界でお婿さんになるのー?



と、思ったけど、ルーフィは

「それ聞いたらつまんないでしょ」


と、わたしを引きずって(笑)



その場を離れた。





2階のテラスで、風にあたっていためぐ、にも


わたしたちは、旅の終わりを告げた。




めぐは、悲しそう。



「もっと、ずっと、いてくださっていいのに」




って、おばあちゃんに似た言い方をするので



ちょっと微笑ましかった。




めぐは、とってもいい子。



淋しいよね。



だって、好きなひとが

遠くに行っちゃうんだもん。


でも、取り乱したりしたら

好きなひとが困る。



そう思って、おとなしくして。



いい子だけど、それ、無神経ルーフィに伝わるかな・・・・(笑)なんて、わたしは思った。






にゃごお兄さん



そういう、奥ゆかしい子が

ほんとにいい子なんだけど


男の子には、いまいち伝わらなくて

泣いたりする、わがままな子の方が


男の子には、わかりやすいから

恋もうまく行ったりする。


でも、、感情で動く子って

あとで、扱いにくかったり、

浮気だったり(笑)




だから、めぐみたいな子が


いいのに。


この、鈍感イギリス人!(笑)。





わたしは、なぜか

そんな風に思ったりして。








でも、めぐは

「わたしが、魔法使いさんになれたら

ルーフィさんのところへ、行けますか?」




「めぐ・・・・覚えてたの?」と

わたしはびっくり。



「めぐちゃん・・・・。来れるよ、来れるさ!」


と、ルーフィ。


神様は、魔物は

最初から来なかった、と

時間を巻き戻して、めぐの

生まれたばかりから

世界全ての時間をやりなおした。



けれど、ルーフィが来た事や

過ごした時間は


魔物と、関係ないから(笑)


そのまま、に。



なるほど・・・(笑)流石は神様。





もちろん、今は

天使さんを思って、魔法使いの能力は封印している、めぐ。



でも、いつか・・・にゃごが転生して

天使さんと共に、暮らせるようになったら。




めぐは、魔法使いになれるんだわ。






それが、いつなのかは

わからない。





わたしたちは、それでも

希望を持って。



テラスで風に吹かれて。


それから、2階に戻ったら


吹き抜けに、にゃごが寝そべっていて。




「待て」


寡黙な彼は、初めてルーフィに

口を開いた。



静かで、澄んだ低い声だった。

それは、おそらく

元悪魔くん、今はにゃごに

宿っている彼のこころの

声だった。




ルーフィは、少し驚いたけど

「何?」と。


飄々と答えた。



にゃごは「それでいいのか?」と。

だけ。



めぐの気持ちに、ルーフィが

答えていない、その事を

言っているのだろう。


男らしい、きっぱりとした言い方だった。




ルーフィは、少し考えて


「僕には、Megがいる。それは、めぐちゃんの3年後の姿だから

どちらかを選ぶ事など、できない。」



わたしは、思った。


ルーフィは、こっちの世界に

残ろうとすれば、残れるんだわ・・・

もともと、時間旅行でわたしと

偶然出逢ったんだもの。




さらに、ルーフィは語る。


「めぐちゃんも、3年経つ間に

理論的には、誰かと出逢うはずなんだ。それが、僕かどうかはわからないけどね。

だから、これから3年の間に

決めればいいんじゃないかなぁ。

僕は、帰るけど、でも

ここに二度と来れない訳じゃないんだ。


めぐちゃんも、封印している能力を解けば

時間旅行くらいはできるだろうさ。」と


ルーフィは、そこまで言って


ちょっと失敗かな、と、思った。



めぐが封印している能力は、天使さんのため。



つまりは、にゃご自身のしあわせの

為、だった。


それを、にゃごが

どう思うか・・・・・?




男らしい彼が。





転生



転生、それは

人間界では、死を意味したりする。

でも、転生をする前の記憶を

もし、忘れなければ


死を恐れることはなにもない。


ただ、転生を通じて

意識を持ち続けるのは、

能力のある者だけだ。


なので、ふつうはそれを恐れる。

もっとも、時間旅行をする旅人たちには

あまり関係ないのだけれども。



でも、にゃごには葛藤があった。


自分の為に、めぐと天使さんが

しあわせを失うかもしれない。



そんなことはなくて、天使さんもめぐも


お互いに、しあわせなのだけれど。


男らしい彼は、そう思ったり。


自分が転生すれば、めぐは

封印を解いて、魔法使いの修業をすることもできる。


何しろ、天使さんが地上にいるのは

自分の為、そして

天使のまま、地上にいる為に

めぐというあの娘に宿っている。



そのせいで、めぐは魔法を封印している。





ただ、彼自身にも猫の世界で

美人猫さん、それと子猫がいて。



突然、姿を消す訳にもいかない。


せめて、子猫が巣立つまで・・・



と、彼は思慮した。





「わたしは、地上に生きようと思います」

天使さんも、ルーフィたちの旅立ちを知らされ


決意を胸に、神様にお話をしていた。




「なに?天使を辞めるというのか?」



神様は驚愕した。


志願者はいくらでもいるが

滅多になることのできない天使、である。



それを、悪魔ひとりの為に

我が身を捨て、人間界に・・・・







天使と悪魔くん



否、元悪魔と言うべきだろうか。


神様は、怒りのせいで

少し冷静さを欠いたらしい。



「お許し下さい」


天使さんは、大胆にも

そんな事を告げた。




神様は、沈黙し

ただ、思考した。




・・・・それほどまでに。


元悪魔、とはいえ

今は、転生して

猫になっている。



その猫の為に、天使である自分を捨てようと言うのか?



しかし。天使故に無欲なのも

また、天使足る所以である。



天使の身分、などと言うものよりも

愛他的であることは、実は天使らしい行動だと、神様は思った。


「・・・うむ。」



天使が、そもそも身分だの、階級だのと

制度にこだわるはずはない。


それは、人間の書いた物語の中の

はなしだろう。



そう、神様は思った。


本当の天使は、やはりあんな存在なのだろう。


悪魔が、いつも悪い者ではないように。




天界で、そんなやりとりがあった事など

誰も知らずに


それぞれに、旅愁とか、別れの寂しさとか。


いろいろなものを感じていた。



中でも、にゃごの気持はとても複雑なものだった。


なにせ、自分の幸せの為を思って


誰かが幸せを失うかもしれない、と言うのだから。



元々、人に傷つけられて魔界にまで落ちた彼にとって

それは、耐えられるものではなかった。



幸薄かった人ほど、他の人の幸せを奪ったりできないものだから。




しかし、子供の幸せを思うと.....。



忸怩たる思いで、ルーフィたちの旅立ちを見守ろうとしたが....。






ふと、にゃごは気づく。


天使がいない。




「どこに行ってるんだろう.....。」こんな時に。


訳分からないけれど、なんとなく気になる。





まさか.....。








そこに、透明な翼で空を切り

天使は舞い降りてきた。


すでに夜闇、天使が飛翔するには似つかわしくない時間である。




静かに、にゃごを見つけた天使さんは、微笑みながら着地。




「どこへ?」彼は、予感を振り払うように。




天使さんは、静かに...「天界へ行って参りました」



やっぱり。と、彼は確信した。

天使は、自身を捨て去るつもりに相違ない。




「そんな事をするくらいなら、俺が転生する」と、彼は決意を告げる。



しかし天使さんは、静かにかぶりを振り

「子猫ちゃんたちの事を考えると、それは.......。」



それを聞き、彼は愛らしい子猫の事を思った。



そうすると、転生する気持も薄れてくる。


愛とは、そういうものだ。



守るべき者があるからこその愛である。





「.....。」彼もまた、沈黙した。





子猫が巣立った後にしても、あまりに早い転生は

やはり子猫たちが悲しむに違いない。



能力者でもない子猫たちにとって、転生した後の自分は

父親には思えないだろう。






「それで、こうするのが一番だとわたしは.....。」天使さんは

透明な翼を収め、人間の姿になった。





「.....。」無言で、彼はそれを見詰めた。

もう、時間を戻す事はできない。






「どうするつもりだ」と、彼は尋ねる。



天使さんは、綺麗に澄んだ声で「あなたと共に、暮らして行きましょう。

幾度も転生して。幾度も出会って。

いつかは、一緒に天に召される時が来るでしょう.....。その時まで。」




彼は、何故そこまで、と聞きたかった、が...。


それが天使と言うものなのだ。




周りのしあわせのために。








天使さんの願い




みんながしあわせになって

しあわせな気持ちになれる。


それが、天使さん。


「みんなに、しあわせになって

いただきたいのです」



と、天使さん、今は人間の姿をしているけれど。


こころは、天使さんのまま。




「自分はどうするんだ?天から落ちたってことだろ」と、にゃごは

猫の姿のまま。




天使さんは、静かに微笑む。

「わたしは、じゅうぶんしあわせです。




めぐさんが、あなたが。

それでしあわせになってくださるのなら。」




にゃごは、沈黙した。



人間の姿になっても、天使は天使だな。


そんな風に思った。


見た目は、あの、めぐ、って娘に

似てるが(笑)。

ちょっと、浮世離れしてるあたりは

やっぱ天使だな、なんて

にゃごは、自分が

猫の姿をしている元悪魔くんだ、って事を

忘れている(笑)。








そんないきさつを知らない、わたしたちは



ルーフィの屋根裏部屋から降りてきて。


彼女、元天使さんに遭遇。




穏やかに微笑む、元天使さんは

「こんばんは」。


わたしも、ルーフィもどっきり。



「驚いたわー、めぐかと思った。」




「転生なさったのですか?」と、ルーフィ。



天使さんは、いいえ、と

かぶりを振り「天使を辞めた、と

神様にはお伝えしました。

でも、お許しは頂いておりませんから・・・・・天使でもなく、人間でもない、

そんなところでしょうか。


めぐに似ているのは、ずっと、めぐに宿っていたせいもあるかも。



経験してきたことで、人間って変わるものだし。




わたしは、めぐの3年後だけれども

違う世界に生きているから

やっぱり、なんとなく違う。


そんな風に、わたしは、ちょっと

天使さんと、めぐの境遇を羨んだ。


神様が粛清してくださるなんて。




天使さん・・・・あ、そうだ。



「天使さん、お名前はなんておっしゃるの?」と、わたしは

初めてその事に気づいた(笑)



「あ、そうですね・・・・crysta、と

呼んでくださいますか?」


ふんわりとした表情で、そう告げられると



ほんとうは、天使さんって

長ーい名前があるんだろうな、

なんて。


美術館でみた、レンブラントの絵画を



わたしは連想した。





「めぐ」



2階の吹き抜けでお話してたら

お部屋から、めぐが出てきて。


天使さんの姿を見て、また、びっくり。



雰囲気は天使さんだけど、だって

めぐにそっくりだもん(笑)。




「いままで、ごめんなさい・・・・・と言っても、ご存知ないかしら。

わたしは、あなたのrular、です」



めぐは、それにまた驚いて




「ルーラー、って、星占いだと守護星の事だけど・・・あなたが、わたしの守護神さん?」



こないだまで、星占いの本を読んでたから(笑)。



はい、と

天使さんは、にっこり。



ステキだー、って

めぐは、天使さん、いまはクリスタさんに駆け寄って。手を取った。


並んでると、少しだけ

クリスタさんは、めぐよりお姉さんみたい。


髪型もふんわりで、さっぱりショートカットのめぐとは、ちょっと違う。




でも、なんとなく似てる。




「いいなぁ。ステキなルーラーがいて」って、わたしはため息(笑)。




「僕もそう思う」って、ルーフィ(笑)。


わたしにも、いるの?ルーラー、って。







おばあちゃんと天使さん



めぐは、とても楽しそう。



淋しがりだから、わたしが帰ったあと


ちょっと心配だったりした。


でも、クリスタさんがいれば・・・・



めぐは、元気に「おばあちゃん、おばあちゃんー」と

スリッパで階段を駆け降りてって(笑)



みんな、にこにこ。



おばあちゃんが、2階に上がるのは大変かしら、と


わたしたちは、階段を下りようとした。


おっとりタイプのクリスタさん、スリッパ履いてなかった(笑)。ので、わたしはスリッパを持ってきて。


クリスタさんは、天使さんだから

スリッパなんて久しぶりなのかしら(笑)。



歩くのが難しそう(笑)。


階段を降りようとして、スカートの裾をスリッパで引っかけ。




転びそうになったのを


ルーフィが、後ろから支えた(笑)



「す、すみません」って

恥ずかしそうなクリスタさんは

レディなのに、なんだかかわいい。




「ルーフィ、めぐの時はさ、なんで

後ろから支えなかったのよ」と

わたしはルーフィに(笑)。




「なんでかなー、あれは咄嗟だったから」と、ルーフィは口笛(笑)。




「さわりたかったからだろー、このH魔法使い、こら!」



と、ルーフィを叩くふり。



ルーフィは、よけながら

「ごめんごめん、だって天使の胸なんて、触ったら地獄行きだよ、きっと」

と、ルーフィは笑う。



クリスタさんは、楽しそうに笑い


「今は天使ではありませんから、罰はありませんわ」と。



ルーフィは「失敗したかなー(笑)」

なんて。


魔法使いは人間っぽい(笑)。





「天使さんに触れたら、どんな罰があるんですか?」と、ルーフィはお気楽に。




クリスタさんは「神様がお怒りになると、どんな事が起こるかわかりません・・・史実では、魔物にされた、地獄に落とされた、消滅した・・」


と、怖い話を(笑)


ルーフィは、危ない危ない、と

肩を竦めた(笑)。




なら、神様は

いまのクリスタさんと、にゃご、を

お怒りではないのね。



と、わたしは思った。





それはそうかもしれない。



にゃご、元々は

人間界で、辛い事があって

魔界に落ちて。


それも、救いを求めてもがいていたから。



彼が、天使さんに出逢って

その彼を、天使さんは愛して。



彼は、猫になってまで

転生を望んだ。



それを支える天使さんは、ステキだわ・・・・・。



愛よね。



そんなふうに、わたしは思う。



わたしたちって、人間。

やっぱり、自分を捨ててまで

誰かの為に、なんて

ちょっとできないもの。



できることならするけど。




クリスタさんが転ばないように

ゆっくり階段を降りて。


わたしは、めぐ、の声がした

おばあちゃんのお部屋へ。




おばあちゃんは「まあまあ、ようこそ、めぐがお世話になって」と。


クリスタさんは「いいえ、わたしの力足らずで・・・・・」と言った。



でも、それはもう

神様の粛清で、元に戻って。


知っているのは、天使さんと

おばあちゃんくらい。



めぐは「なんのこと?」と。


魔物の事は、経験していないので

覚えていない、と言うか


知らない話。(笑)。




でも、どうしてルーフィとわたしの記憶を消さなかったんだろう、神様は。




クリスタさんと、にゃご、を見ていて


わたしは、なんとなく思った。



めぐに、もう少しだけ

天使さんと一緒でいてほしかったのかな?


なーんて(笑)。





おばあちゃんは、喜んで

「じゃあ、クリスタさんはMegさんの代わりに、うちに居て貰って。

めぐのお姉さん代わりに。


そうだ!、めぐ、夏休みだから。

ルーフィさんのところへ、旅行してくれば?」


と、おばあちゃんは、神様よりも大胆だ(笑)。




「嬉しいっ!行きたいっ!、あ、でも、図書館もあるし・・・・」

と、めぐは、賢い子(笑)。



 

クリスタさんは「あ、図書館のお仕事は、わたしが・・・・」と。

ふんわり、にっこり(笑)。



「でもルーフィ、時間旅行って4次元だから、こっちは一瞬、旅先は時間旅行・・・・って?」と

ルーフィに聞いた。



ルーフィは、それもあるけど、って言って



「まあ、そういう方法もあるし、入れ替わりになるってやり方もあるさ。

こちらがわが3次元のまま、向こうも、って。



それに、異世界で女の子が仕事持って働く、ってお約束だし(笑)」




・・・・・なるほど(笑)。












お約束(笑)



お父さん、お母さんも

なぜか、クリスタさんの存在を

不思議に思わない、めぐの家(笑)。


そういえば、わたしの家と似てるけど


やっぱりちょっと違うのは、そんなとこ。




「じゃ、お部屋はゲストルームを使って頂いて」と、お父さん。



いえいえ、恐縮です、と

クリスタさんは言うけれど

ルーフィみたいに、屋根裏って訳にもいかない(笑)。


レディ・エンジェルだもん。




ゲストルームふたつ。

ひとつは、もともとお父さんが書斎にしようと思ってたらしいけど

本は、図書館で読んじゃうので

要らない、って(笑)。



その、広いほうのお部屋に

クリスタさんに入ってもらった。




「どーしよう、出発」と、わたしはルーフィに聞く。




「そうだね、図書館の事もあるから今夜は止めよっか。明日、クリスタさんと、めぐちゃんと

図書館に行って。



そのあとにしようよ」と、ルーフィ。


「そうそう」って、めぐは楽しそう。



思いがけないVacation、それが

時間旅行なんて、ステキだわ・・・。




「じゃあ、きょうはのんびりしましょ。いつかみたいに、一緒にお風呂でも!」って、めぐは楽しそう。



クリスタさんは、「お風呂?」。



そういえば、天使さんが温泉、なんて

聞いた事ないわ(笑)。



西洋のキャラクター、だからかな。


沐浴の王女、なんて絵は

知っているけど。




「ああ、クリスタさん、スパね。パスタじゃないの」と、おばあちゃんも

楽しそう。



和やかに、みんな笑った。




裏山の温泉に行こうと思ったけど

時間が遅かったから、おうちの温泉、あの、ルーフィがノゾイた小屋(笑)。





「こんどはノゾカナイでね」と、わたし。



「あれは事故だったんだ。」と、ルーフィ。




「天使さんのヌードを見たら、雷に撃たれるわよ」と、わたし。



ははは、怖い怖い、と

ルーフィは楽しそうに手を振って。

ロフトに引っ込んだ。




「さ、いこっか」って。

わたしは、クリスタさんとめぐ、に。


「おばあちゃんも、一緒にいこー」って

めぐは子供みたいに(笑)。




おばあちゃんは「楽しそうね。でも4人じゃ狭いもの」って。


そっか(笑)。




お庭に出ると、お星様がとってもきれい。




飛び石は、確か

おじいちゃんが作ったんだっけ。




「めぐは、おじいちゃん好き?」って


わたしが言うと、めぐは


「うん、天国に行った時、泣いちゃったもん」って。


時間旅行して、おじいちゃんに会いに行きたくなっちゃった、なんて

めぐは、かわいい事を言った。




「天国に、おじいちゃんは居ましたか?」と、めぐは

クリスタさんに聞く。



クリスタさんは「はい・・・たぶん。私がこちらに来てから、あまり天界には行っていませんので、詳しくは存じませんけれど」と。



「そっか。ずっと、生まれてからあたしと一緒だったんだもん、そうよね。」



と、めぐは、にこにこ。





温泉小屋の扉を、よいしょ、と

わたしは開けようとしたら

案外、かるく開いたので、びっくりした。



「雨の季節が終わったのですね」と

クリスタさん。





そう、季節は

そんなふうに、巡っていって。


いつか、年月が過ぎる。


わたしたちの星が、太陽の周りを

ひとまわり。



そんなふうに、わたしたちも

生きていく。



そして・・・・いつか、転生する。











温泉女子会



いつもの温泉小屋も、ちょっと3人だと

狭かったりする。


それでも、きょうは最後、なんて思うと

ちょっとさびしかったり。


まあ、おうちに帰っても

あるんだけど、同じの。



クリスタさんとお風呂はいるのは

初めて。

 



この旅先では最後かなー。


また来るかもしれないけど。




「さー、はいろっか。」って、わたしは

お湯のコックを捻って。

からっぽだった、桧風呂に

温泉を流した。


ちょっと、温泉の香り。



「山の香りね」と、わたし。



「いい感じ」と、ねぐ。



「お風呂って、こういうのですか」と

クリスタさん。


言葉は、どことなくイギリスふうの

響きを感じるけど


ルーフィと同郷かしら(笑)。





「そう、こうするの」って、めぐは

女子会だから(笑)


ひょいひょい、と

オールヌード。


クリスタさんは、ちょっとびっくり。





「ああ、ちょっと恥ずかしいけど

でも、赤ちゃんに戻ったみたいで

楽しいでしょ。わたしたちは家族だもん」


と、わたし。



ふつう、この国でも

温泉とかだと、水着着たり。


でも、これはアジアンテイスト。


それに、わたしはめぐの3年後。

クリスタさんは、めぐと一緒に

18年過ごした天使さん。



「みんな姉妹よ」と、めぐもにこにこ。



白い首筋は、細くってとってもきれい。



「そうですね」と

クリスタさんも、さらり、と

オールヌード(笑)。



「きれいだわー」と、めぐ。



「天使さんね、ほんと。絵みたい」と

わたし。




「いえいえ、そんな・・・・」と、クリスタさん。




どちらかと言うと、めぐに近い

清楚な感じ、だけれども

細い足首や肩、なんかは

浮世離れしていて、工芸品みたい。



透き通った肌は水晶みたい。



柔和な、それでいて神々しいほど

美しい。



天使だから、男でも女の子でもあいんだけど。


すべての美の原点、そういう感じ。



ちょっと、めぐのボディに似てる。




「並んでみてー」って、わたし。


めぐと並ぶと、クリスタさんは

すこーしだけ、背が高いみたい。



ふんわりした雰囲気なので、小柄に見えるけけど。



「すてきだわー、とっても」と

わたしが言うと



めぐは「おねーさんもステキよ、色っぽいわー」なんて言うので


なんか、おかしくなって

みんなで笑った。



お風呂場で、ヌードで遊んでるって

子供に戻ったみたいで、楽しくて。



旅行の最後の夜なんて、

思いもしなかったけど。



そうだったっけ。




天使の水浴



美、というのは

やっぱり女の子にあるのだな、と

学校で習った事を思い出したりした

わたしだった。(笑)。


もともと、わたしの

ハイスクール時代の映像を

ルーフィが見せてくれて。


それで、この世界に

飛んできてしまったわたしだけど


自分の3年前、それが

めぐ、みたいだったのかなー、なんて

思ったり。


めぐのボディは、美術的でもあったりして。



はて、自分がそうだったのかな、なんて

比べる事もできないけど(笑)。



天使さんのボディは、鑑賞するに相応しい

素晴らしい存在、って思う、


それを鑑賞できるなんて、わたしたち

女の子だけの特別なもの、そんな

気持ちになったりもしたり(笑)。



柔らかい宝石。


そんな言葉を、思い出したり。


天使さんって、男の子でも女の子でもないんだけど


外観が女の子みたいだし、心お

なんとなく・・・・



やっぱり、女の子って象徴なのね、

美とか、愛とかの。


なーんて(笑)。




「背中、ながそ。」って、

めぐは、いつかみたいに。


めぐ、わたし、クリスタさん。


3人だと、ちょっと狭かったりするお風呂だけど


並んで、背中流したり。



シャボン玉、ふわふわ。

柔らかくした、海綿に


お湯を浸して。



クリスタさんの肩に、静かに触れて見る。


すーっ、って。



「気持ちいい?」



「はい。」



天使さんに触れた人なんて、わたしたちくらいのものだろう。。



クリスタさんは、めぐの背中を流してるけど

クリスタさんの背中越しに、めぐを見ると


ほんと姉妹みたいね、って

めぐに言った。



「おねーさんも、そーよ。」



なんて、めぐはかわいい言葉を。


わたし・クリスタさん。


姉妹みたい、だったらいいなぁ。(笑)



自分のヌードって、見れないもん(笑)。



それから、温泉に

ゆっくりつかって。


のーんびり。



「桧のお風呂って、気持ちいいでしょ。」って、わたしは

クリスタさんに言う。




「はい、とっても。いい香りがして」



「桧の香りなの」って、めぐ。



「そうなんですね。森の中でも

この香り、感じます」と、クリスタさん。



森の中・・・・・



天使さんになる前、彼女は

どんな人だったのかしら。


アルプスの山で、山羊さんと

暮らしてたのかなー、なんて。


草原で、お花畑と一緒に

暮らしてたのかなー、なんて(笑)。




どっちにしても、自然のいっぱいな

とこで


のーんびりしてた、そんな感じに

見えたり。




お風呂上がりに、お庭から

星を、3人で眺めて。


遠い、あの星の

もっともっと遠くに、わたしたちは

旅するんだなー、なんて(笑)。





宇宙空間は、重力に沿って曲がるので

光が、届く、あの星の


そのずっと遠くまで、真っすぐ進む事は、できなかったりする。


つまり、たて・よこ・たかさ、って


角砂糖みたいな空間は、宇宙みたいな大きいところだと

ゆっくり曲がっていく、って事。

実は、時間旅行もそんな感じらしい。


4次元空間は、伸び縮みできるので

歪んだ時間軸を、飛び越える。



そうすると時間旅行。


空間の座標軸を飛び越えると

瞬間移動。


宇宙物理学では、そんなふうに

言われている。




ルーフィたちは、その方法を見つけた、と


そういう事らしい。



グレゴリオ聖歌を、お父さんが聞いている。


ラジオかなー。



あ、こっちだとめぐのお父さんだけど。



明日、帰るのかー。



なんか、淋しいけど・・・・・(笑)




旅愁



翌朝、めぐと一緒に目覚めた

幸せな朝。


でも、旅先最後の朝って

なんとなくペーソス。


いろんなこと、あったな・・・

なんて、思い出してるけど

にゃごと、天使さん、それと神様は

まだ、これからもいろいろあるんだろうな。



にゃごは、昨夜から

どこかに出かけてるみたい。



子猫のとこかな・・・・・。


子猫も、3ひき

一緒に暮らせるのも、ほんの

少しの間だから



今、一番可愛い季節を一緒に過ごすのも

楽しいかしら。





すぐに、大きくなっちゃうんだもの。




「おはよ、おねーちゃん!」って

めぐは、元気だ。



天使さんが離れて、魔物の怖い記憶も失せて


それが、めぐ自身のらしさ、なのかしら。


とっても元気、楽しそうで。


ちょっと、そばによりたくなるような

いい子になった。


それだけでも、ここに来て良かった。



ルーフィも、ほんとに頑張った。


いい旅だった。



ダイニングに下りると

クリスタさんは、もう降りてきてて。

おばあちゃんと、リビングルームでお話。



なんだか、楽しそう。


「クリスタさん、おはようございます」と、わたしは、ごあいさつ。



クリスタさんは、いつも静かな微笑みで


今朝も同じ。「おはようございます、マーガレットさん」



と、ほんとの名前で呼んで貰えるのも

なんとなく嬉しい。


クリスタさんはレディ、だもんなー。



きっと、図書館でも

人気になるだろなー(笑)なんて。





天使さんだったから、ほんとの年齢はわかんないし

男の子でも女の子でもない、なんて

ちょっと見た目には信じらんない(笑)。



恋しちゃう、哀れな男の子も多いか(笑)。


にゃごがいるけどね。





「おはよ」ルーフィが降りてきた。



わたしたちも、めいめいにご挨拶。



「よく眠れて?魔法使いさん」と

わたしは、いつものごあいさつ。



「ああ、眠れない訳なんかないよ」と

ルーフィ。



「そーかしら。水浴の天使をノゾキ損ねて、夢に出て来たんじゃない?」

なんて、わたしが言うと


クリスタさんの方が恥ずかしそうなので(笑)



ルーフィをからかうのは止めた。


けど、ルーフィは

「そんなの、魔法使えば

見ようとすれば見れるさ」




「あ、じゃ、見てたんだー。

やっぱし。お部屋でおとなしくしててるかと思ったら」



と、わたしが言うと



「そんなことしないさ。地獄に落とされるのはゴメンだよ(笑)」と、ルーフィは、いつもの通り軽妙だ。。





「おはよー、なんの話?」って

めぐが、のんびり降りてきた。




「H魔法使いさんの話」と

わたしはにこにこ。






Good time charlie



「Hって、あー、そうだ!ルーフィさん。あたしの胸、わざと触ったんでしょー。

クリスタさんの時は後ろからささえられたのにー。」



「めぐちゃん、覚えてたの?」と

ルーフィは神様のいたずら(w)に驚く。


そんなとこまで覚えてたのか(笑)。と。



「あれは、だって、並んで歩いてたもの」と、ルーフィは言いながら


なんとなく、明るくなっためぐは、あたりまえだけどMegにそっくりだ、と

思った。



それは当然で、魔物に襲われた記憶が、めぐ自身を無意識に

受動的、防御的にしていたので


垣間見る元気な彼女が、本当の彼女だった。



その、魔物の記憶が無くなったから、アクティヴなめぐ、に戻って。





「そっか、ま、いっか。許したげる。旅行行ったら、エスコートしてね!」


と、めぐは、楽しそう。




ダイニングのほうへ、ととととー。っと。歩いていった。



「今朝は、さっぱりめですよ」と、めぐのお母さんは、にこにこ。



ショート・パスタのサラダ。twisty。

kiwiのスムージー。


まんまるフランスパンには、切れ目がはいっていて。


お好みでサンドイッチが作れるように、って


それとロールパン、ふつうのバゲット。

イギリスパン。




いろいろな、小品がたくさん。


焙ったベーコン、レタス。


ゆで卵とオランデーズ。


スライス・オレンジ、レモン、ライム、キウィ。



ヨーグルトは自家製で、ほんのり酸っぱい香り、まだ暖かい。


山羊さんミルクのチーズ、モッツアレラ、カテージ、パルミジャーノ。


生ハム。


ローストビーフのスライス、スパゲティ・カルボナーラ。



アイスティ、ミルク、アイスココア。


冷やした焙じ茶、エスプレッソ。





「すごいわね」と、わたしは感嘆。



こんなに豪華なモーニングって、ホテル・ヒルトンでも出ない(笑)。



全部手作りだもん。なーんて。





「帰りたくなくなるなぁ」と、ルーフィ。



そっか。


向こうだと、ぬいぐるみ姿じゃないとダメなんだもん(笑)。



「なら、ずっと居れば?」と、わたしはちょっとルーフィに聞いてみる。



「一度、戻んないとね。向こうのエネルギーがそろそろ満杯だもん」と

真面目ルーフィ(笑)。




「もちろんジョークだけど」と、わたし。



「それは分かってる」と、ルーフィは、フランスパンに

カルボナーラのたまごと生クリームを挟んでた。


面白いことするなぁ(笑)。






にゃごも一緒



「にゃご」


どこから、にゃごが帰ってきた。


「おかえり」と、おばあちゃんもごあいさつ。



おさかな、きょうは

まぐろのかま、を

ほぐしたものを、ごはんと。


にゃごは、おいしそうに

それをたべている。




クリスタさんも、にゃごを

微笑みながら、見ている。




にゃごが、しあわせでいる事は

天使さんにとって、しあわせな事で



でも、クリスタさん、天使を

お辞めになった今でも


人間じゃないから、欲はない。



人間から見ると、それって楽しいのかなー(笑)なんて思うけど。


それで、救われる人がいるから

天使さんも、それでしあわせなのだろう。



高尚な幸せだ。




もちろん、わたしは人間だもん、欲だってあるし。



高尚じゃないけど、でも

誰かにしあわせになってほしい、

その気持ちは一緒。



もちろん、わたしもしあわせになりたい。


めぐも、そう思ってて。


ルーフィを、好き。


ルーフィは、わたしを好き、って


前言ってた(笑)。


今はどうかしら(笑)。


わたしも、もちろんルーフィが好きだけど。



そんな、不思議なわたしたちは

こんどは、わたしの世界に


旅する、んでしょうね。


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