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めぐたちの目前を、貨物列車が通り過ぎる。
青い機関車が、貨車を率いて。
機関士さんは、窓を開けて
リラックスした表情で信号機を見ている。
そう、鉄道で働く人は
昔ながらの表現でいう、男らしさがあるみたい。
だと、めぐは思ったりする。
それが、女の人でも男らしい(笑)なんて言うと変なので
凛々しいって言うのかな、なんて思ったりも。
ブレーキを掛けて、停まった機関車の中で
ひとり、機関士さんは
黙している。
そのうち、信号機が変わり
機関車のブレーキを緩める。
空気の抜ける音がする。
続いて、編成全体のブレーキを緩める。
貨車の前の方から、少しずつブレーキが緩むので
編成の最後尾のブレーキが緩む前に
機関車を僅かにバックさせる。
すると、連結器の隙間だけ貨車は押されて
ほんの少しづつ、ドミノのように後ろまで衝撃が伝わる。
最後尾で、跳ね返されて
前の方へと波が伝わる。
その時、機関車を前に進ませると
後ろから押される波に乗って、編成全体が前に進む。
昔ながらの技術である。
普段、貨物列車をあまり見かけないめぐのあたりでは
珍しい光景。




