4
神様も、めぐと天使さんの命が燃え尽きるのを
それまで待つ、と
魔王と約束して。
「それが、あなたたち。」
わたしは、びっくりした。
そんな願いが込められて
わたしは、彼と出逢ったの?
ひととき、しあわせ
だけど、そんな話、ちっとも知らなかった。
ルーフィだって、言ってなかったし。
まだ、起きてこないルーフィに
ちょっと、じれったく思ったりした
わたしにも、悪魔くんが来てるかな?w
と、背中をみたけれど
悪魔くんはいなかった。
屋根裏部屋に行ってみた。
畑を、静かにあるいて
ガーデンの入り口から上がって。
二階に昇って。
静かな朝の訪れを
めぐ、は
幸せに、迎えているのかしら?
ふんわり、ぽよぽよに
毎日を送っているみたいだった
めぐが、そんなに辛い思いをしてたなんて、ショック。
天使さんがルーラーだって聞いて
もしかして、何かあったのかしらって
思ったけど。
もしも、この世界が平穏に戻ったら
天使さんと、めぐは
天に召されてしまうのかしら?
それとも.....
めぐのお部屋、さっきまで
わたしも居た、そのドアを開くと
めぐは、しあわせそう。
微睡みから醒める、少し前。
透明な朝の光の中...
ベッドで、コットン・ケットにくるまって
長い睫は、静かに閉じられていて。
あいらしいほっぺは、ちょっとあかみがあって。
やわらかい宝石みたい。
フルーティーで、いい香り。
はんぶん、天使さんなんて....
どんな方かしら?と
ほほえみながら、見ていると
柔らかな光のなかに、空間が揺らぐのが
感じ取れた。
天使さん
空間、めぐの背中のあたりが
ゆらいだみたいに感じられて。
見えるわけじゃないんだけど
なんとなく、そう感じるの。
透明な光の中に
漂っているようで。
おひさまの光にかざされて、
白い翼が、ベッドに映っているように見える。
その影を見ていると、すこしづつ
はっきりしてくるようで。
光の方へ向き直ると
翼の生えた、愛らしい女の子の
姿が、今度は見えた。
「おはようございます」
微笑む姿、笑顔は
なんとなく、めぐ、に似ていて。
ちょっと驚いた。
瞳、涼やか。
静かな微笑み。
めぐより、少し年下くらいに見えるけれど
天使さんの年は、人と違うので
ほんとうの年は、わからないけれど。
「あなたが、天使さん?」と、わたしは
語りかけた。
天使さんは、静かにうなづいて。
「めぐさんの、ルーラー、です。
でも、お守りできなくて、めぐさんに
宿らせて頂いています」
天使さんは、悲しい表情でうつむいた。
めぐみたいに、さらさらの髪で
なんとなく、そこも似てるわ....。
「めぐ、を守って下さっているのでしょう?」と
わたしが尋ねると
「はい....わたしが
いまは、めぐさんと一緒に生きています。」と
天使さんは、天界に戻れない理由を
それとなく言っている。
「おばあちゃんに聞きました。
ご自身が傷ついて、めぐをお助け下さったのですね」
と、わたしは、天使さんに感謝した。
天使さんは、かぶりを振って
「わたしが、生まれたての天使だったので
力が足りなかったのです....」
それで、魔界と人間界に蟠りが残り
悪魔くんたちが、人間界に来れる道筋ー
時空のゆがみー
が、残ったままになってしまって。
それを解決できる魔法使いー魔界と人間界の
調停のできる者ー
の、降臨を待つ間
天使さんは、地上にとどまって
めぐの命を守る使命を授かった。
そういう契約。
「めぐは、天使さんがいなくなったら
どうなってしまうの?」
天使さんは、いいえ、とかぶりを振って
「その、蟠りが無くなれば
神様は、めぐさんに施しを授けると
仰っています。」
でも、それは
時空のゆがみが解決すれば。
失敗すると.....?
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予定調和
「天使さん、あなたは
傷ついてまで、命を落とされかけてまで
なぜ、めぐを助けて下さったのですか」と
わたしは、聞きたくなった。
「....いえ、そうなってしまっただけで
あぶないと、思ってはいませんでした、なぜか。
」と、天使さんは何気なく話す。
その、自然な言葉。
なんでもない事、と
言ってしまう、天使さんには
損得、と言う
人間のような、感覚はないのでしょうと
わたしは思った。
わたしだって、赤ちゃんが浚われそうだったら
咄嗟に助けるかもしれないけれど
そんなこと、と
天使さんはいうのね。
めぐは、そのおかげで
いま、生きながらえている。
わたしは、めぐの部屋を出てから
ルーフィに会いに、屋根裏部屋へ行った。
ルーフィは、まだ寝てた(笑)。
「こら!おきろ!」とわたしは
ルーフィを起こして
「天使さんに会ったわ」と告げた。
ルーフィは、寝ぼけたまま
「んー、なに?めぐちゃん、かわいいおっぱい」
なんて(笑)
「何いってんの!この。」と、わたしが言うを
ルーフィは「冗談冗談」と、誤魔化して(笑)
どこまで冗談だか(笑)
「それで、天使さんは何だって?」と聞くルーフィに
わたしは、おばあちゃんの話、天使さんの話を
伝えた。
「ねぇ、魔法使いが降臨するって、わたしたち?」
そう、神様が予言されたと言う、話。
「どうかなぁ?そこまで予定調和的じゃない、と
思うよ、僕らって違う時空から来てるし。」
でも、説明は付くね、とも
言った。
「神様」って言っても
それは、時空がひとつの場合の、その時空の「天界」を
司る者に過ぎないと言う事を、わたしたちは実感した事になる。
多次元宇宙であり、それぞれに神が存在するならば
八百万の神様、なんて言われてる頃と同じこと...。
それぞれの天界に、また、魔界も存在している。
わたしたちは、その中のひとつの世界、時空に居るだけ、だ。
でも、だから矮小と言う事でもない。
だれかを好きになったり、愛を感じて分かち合う時
わたしたちの感覚は、無限大の広さの空間になったようで
時間は、相対性理論のようにゼロ、つまり点に留まってしまう。
ふつうの朝
そう、この世界にも3年後に
わたしがそうしたように
この世界の、ルーフィと
めぐが、出逢うかもしれない。
でも、そのためには
3年後までめぐが生きている必要がある。
そういう可能性もあるのだろう。
現実の世界は、お話と違って
複雑なのね。
そんなふうに、わたしは思った。
「それで、隣町の気術使いさんに会うの?」と
わたしが言うと
「そうだね、会う前に電話してみようか」と
ルーフィは言った。
朝は、まだ始まったばかり。
きょうは、何が起こるだろう。
そんな;わたしたちの心配とは
かかわらず
時間は、淡々と過ぎてゆく。
いつものように、めぐは目覚めて
ブレックファースト。
天使さんとふたりぶんだから、いっぱい食べるのかと
思うと、そうでもなく(笑)
天使さんは、食べたりしなくてもいいのだそうだ。
今朝は、ミルクティをアイスにして。
それと、フランス生地のサンドイッチ。
さっぱりとしたレタス、それと
ルバーブのジャム。
フランス生地って、油ものと
よく合うのは
フランス料理って、こってりさんだから
なのかしら?
なんて、めぐは楽しそう。
フランスの風土に合った、お粉とお塩、と
酵母でできているフランスパンは、風土に合った
自然の中でできたもの。
その、さっぱりした気候なので
フランスのお料理は、こってりさんに
なった、とも言えそうで。
なので、気候を通して
パンとお料理は、相性が良くなっている。
それが、住む人の感性で
積み重なってきた記憶、だ。
そんな風に、歴史も重なっている。
わたしたちが、ちょっと違うのは
別々の時空から来たから。
でも、それぞれに似ているわ。
そう、わたしは思う。
制服が無いので、好きな服を選べて楽しいって
めぐはにこにこ。
きょうは、何を着ていこうかな....?
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ささやかに願う
ハイスクールで制服があるのは
この地方では珍しく、宗教に関わった学校とか
そのくらいのものだったから
ちょっと、めぐは
着てみたい、なんて思ったけれど
「でも、毎日同じ服を着るのも」
ちょっと大変だし、お洗濯が間に合わないと
清潔に保つのも大変、なんて思ったり(笑)
実際、そういう理由で
制服を定めないハイスクールも多いので
自由な発想で、服飾のセンスも磨ける
いま、も
それはそれで良いと
めぐも納得したり。
「きょうは、ルーフィさん、おでかけになるのかしら?」と
めぐは、そんな風に思う。
思いが募って、愛を伝えてしまったけれど
やっぱり、言わない方がよかったのかもしれないと
めぐは、ちょっぴりだけ思ったりして。
でも、言ってしまったので
すこし、すっきりしたような
不思議な心持ちでもあった。
「ルーフィさんには、Megさんが
いらっしゃるのだから。」
とはいえ、めぐ自身の3年後と言う
変な存在なのだけれど(笑)
だから、ライバルは未来の自分自身(笑)
それって、ライバルって言えるのかしら?(笑)
なんて、めぐは可笑しくって
くすくす笑った。
その頃、件のルーフィは
電話を、隣町の気術使いに掛けて
相談をしていた。
もちろん、国会議員たちの
精神的傾向を変える、とは言わなかったが
漢方薬で行うなら、食べ物に混入すれば
いい、と言う事だったし
新薬ならば、西洋薬学で言う
選択型セロトニン再吸収阻害剤、(笑SSRI)のような
物が有効で、医局処方であれば
入手可能、と
常識的な返答を述べた。
ルーフィは納得。
たしかに、再吸収阻害薬剤の選択型なら
薬を使っていると、本人も気付かない。
アメリカでは、気分を良くする為に
薬局で売られていたくらいの代物である。
「問題は、どこで入手するか、だな」と
ルーフィは思案した。
漢方なら、彼女の所で手に入るが.....。
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異なる時空を越える者
それぞれの時空、世界を
越えて行動できる者は、つまり自身が
各々の時空を歪ませている。
その上、各々の時空の神や、魔王からも
自由だ。
古来より、その存在が語られ
例えば、極東アジアの島国、日本では
度々地震が起きたりもするが
それは、この国の山陰地方に
八百万の神の主、と言われる者が
存在、つまり
時空の歪みが激しく度々訪れるからである。
そして、地震の際に
原子力利用施設が壊れ
放射性物質が飛散したりしたが
原子その物が、概念として小宇宙である。
それを核分裂させるのは、つまり
銀河の太陽を破壊する行為であるから
つまり、ひとつの時空を破壊している事になる。
それが、地震に伴って発生したのは
いかにも皮相的、しかし事実だ。
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時
それは、同じ状態を
いろいろな視点から見ているので
例えば、アジアでは仏様の下、人間界に
幾つもの魂が宿っている、とされるし
西洋では、神様の下に
天のお使いがいる、と言われるけれど
世界観、構造は似ている。
たぶん、構造は同じで
見方が違うだけ、と言われてもいる。
でも、ルーフィたちのいる時空は
その世界が、幾つか歪んで重なり合っている。
なので、その捻れ、歪みが
無くなれば、異なる世界からの
移動はできなくなる公算が強い。
そうなった時、ルーフィは元の世界に戻る訳で
めぐと、めぐに宿っている天使の運命も決まる
だろう。
でも、そんな運命は
意識しなければ、その瞬間までは
まったく気にならないものだ。
死が近づいた人の迎える一秒も、
生まれたばかりの赤ちゃんの一秒も
物理的には同じだ。
めぐは、ルーフィたちが
今日は、一緒に出かけないので
ひとりで学校に行く事になって。
「....ちょっと、さびしいな」なんて思ったりもして。
さわやかな夏服の
白い袖を、ちょっと引っ張って直したりして
気分を整えた。
短く揃えた髪を、指で倣って。
路面電車の通りまでの、坂道を下る。
「3人一緒だと、楽しいのに」と
いつか、別れの日が来る、そんな事を
考えないように、した。
きらめく、夏のひざしを思わせる
こもれびの中
さわやかな気持ちでいよう、と
そんなふうに思ったり。
ただ好きなだけ、って
気持ちだけだった
ちょっと前の自分を
「すこし、恥ずかしいわ」って
思ったりするくらい、少し大人っぽくなったのかな
なーんて、じぶんで思ったり。
微妙なお年頃。
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sent from W-ZERO3
夏
毎日、赤いお屋根のスクールバスに乗って
通った学校も
いつか、思い出になっちゃうなんて
そんな事、思いもしないめぐたったけど
その事を、ルーフィと未来の自分に
会ったことで、気にしてしまっためぐは
ちょっとだけ、おとなになったのかな?
「おはよ」って
スクールバスで毎朝会う、クラスメート。
何気ない事が、しあわせなんだって
ちょっぴり、思ったり。
「おはよ、めぐ」って
いつもなかよしのクラスメートは
きょうは、ちょっと聞きたくないニュースを
教えてくれたりする。
「もうすぐ、プール開きね。」
スクールバスが、石畳の道を
ゆっくり、ゆらゆら。
長いお鼻を持ち上げて
坂道を昇りながら。
めぐは、ちょっと水泳がニガテだった。
なーんとなく、水着になるのが
恥ずかしいから。
女子校だから大丈夫、と言う事でもなくて
ちょっと、子供っぽい体型が気になってる、
そんな感じだった。
それで今年は、Megに会って
3年後、自分がそのくらいに成長するのかしら、なんて
面白い想像をしたりした。
物理的な寸法に大差ないのだが(笑)
気持ちってそんなものだ。
「もう始まっちゃうの、やだなー」と
めぐは、クラスメートには
ちょっと乱暴な言葉を使ったりもして(笑)
「そう、わたしは好き、泳ぐの」と
クラスメートはにこにこしながら
髪を後ろで束ねて、Chou Chouで止め直した。
もう、夏なのだろう。
見上げた青い空は、みづいろ。
白い雲はもくもく。
なにか、楽しい事が起こりそうな夏休みも、もうすぐ。
学校はすぐそばなので、ポプラのそばに
バスは停まる。
にぎやかに学生たちは降りて。
めいめいに校舎に散っていく。
1時間目は物理。
なぜか、理科系を一科目取る事になっている
面白い学校なので、いろいろ悩んで
物理を選んだめぐ。
失敗したかなと思ったけれど
いまでは、ルーフィとの会話に
物理の話が出てきたりするので
物理を選択してよかった、と思っている。
それに物理は、生物よりも覚える事が少なくて
楽だった。
化学よりも単純な感じがした。
図書館司書になるつもりのめぐは
仕事がそんなにないので
就職先が見つかるまで、小学校の先生に
なるのもいいかな、なんて
夢もあったりもして。
その時、理科が分かると
就職にも有利、とか
そんな事も、一応考える
賢い子(笑)だったりして。
今日の授業は、物体と運動式、のおさらい。
S=vit+1/2at2 v2=v1+at v22-v12=2as
なんていう式で、未来が予測できたりするのは
不思議だったけど、理論を教えてもらうと
なるほど、その通りと
納得できたりするのは、ルーフィにあった事で
未来、に興味を持ったせいもあったり。
きっかけは、なんでもいいのだけど。
それで、運動方程式概論を述べてみせると
のんびりした感じの理科教師、おじいちゃんで
ヨークシャーテリアみたいな感じの
かわいらしい先生が
「はい、よろしい、よく理解してるね」と
にこにこ、ほめてくれると
なんとなく、うれしかったりもして(笑)
きょうは、いい子のめぐだった。
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sent from W-ZERO3
近代の魔法
その頃、ルーフィはと言うと
薬をどこからか持ってくるよりも、大統領など
要人数名なら、神経回路を遮断すれば
可能かもしれないと考えていた。
再吸収阻害、つまり
人の神経回路は、ケミカルでつながっているので
一旦、回路をつないだケミカルは
すぐに、吸収されて次の機会に備えるように
できている。
例えば、さわやかな気持ちの風に吹かれて
丘を歩いていても
さわやかな風が止まれば、さわやか、と言う気持ちも
なくなる。
そんな時、この再吸収が起こっている。
つまり、ルーフィは
やさしい気持ちが起こる時のケミカル、
オキシトシンの再吸収を阻害するように
神経回路に働きかけよう、と
考えた。
直接、脳神経回路につながる部分を
止めてしまえばいいので
ナトリウム・チャンネルを変えてしまうように
魔法で働きかけた。
電気的なものなので、強い磁場をそこにつければ良い。
携帯電話で長く会話していると、腫瘍ができやすく
なるのと似たような仕組みだ。
後は、政府要人の居場所、3次元的座標を調べて
なるべく動かない、夜間などに
磁場を転送すれば良いのだ。
その調査は、かなり困難である。
「どうしよっかなー」と、こんな時も
ルーフィは軽快だ。
「国会中継してる時なら、そこにいるわね」と、わたし。
磁場は見えないから、それもいいかもしれない。
「ついでに、携帯電話に磁場を転送しよう」と、ルーフィ。
電話かけるたびに、優しさを思い出すなら
そんないいアプリ(笑?)売れるかも。
国会が開催される時間、首相はじめ
政府要人の座席を調べ、磁場を掛ける魔法を作成した。
割と、簡単なものだけれど
座標を絞って実行するのが、難しい。
「自動追尾させるのがね」と
近代の魔法は、まるで科学技術みたいだ。
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sent from W-ZERO3
猫
それなので、標的になる座標を
位置ではなく、物質で指定して
小さな金属のようなものを、そこに転送した。
磁場は、それを目指して
自動追尾する。
設定はできたので、テレビの国会中継を見ながら
ルーフィは魔方陣を書き、その方向に
ひとつづつ、目標を転送した。
「これで、うまく行くといいけど....」
国会が始まり、法律の審議が進む。
提案されていた、消費税引き上げについて
大統領が「一旦見送り、検討をする」との
発言をして、国会はどよめいた。
「あれ、利いてるのかなぁ」と、わたしが言うと
「かもね」と、ルーフィは言う。
見たところ、テレビに映る政府関係者の顔は
みな、穏やかだ。
悪魔くんたちは、欲が少なくなった彼らの
攻撃エネルギーを食べているのだろう。
かなり食べごたえがあるらしく、満腹そうだ。
悪魔とて満腹だと、争う気持ちには
ならないらしい(笑)。
次々と、政治家たちの悪意を食べ続ける
悪魔くんの数は増え、国会じゅうに
ひしめいているようだった。
「あんなところに悪意が固まっているとはね」と
ルーフィは笑う。
「あの人たちも、死んだら地獄に落ちる筈だったのかしら」
と、わたしは思った。
「魔王も大変だなぁ」と、ルーフィ。
その、魔界の住宅事情(笑)改善に
手伝ったのだけど。
その代わりに、動物界には異変が起きていた。
魔界から転生した悪魔くんの生まれ変わりは
動物に憑依したりしている。
元々、人間界から
例えば、自ら命を絶ったりして
悪い人でも無かったり、そういう場合
転生して、動物になったり、などと
アジアで伝承されているように
魔界と人間界は、まったく断裂しているわけ
ではなく、その間に
動物界がある。
例えば、穏やかで、人の言葉が分かるような
犬は、転生して人間になったり
反対に、人間界を嫌って命を絶って
孤独を好む猫になったりする。
それに、悪魔くんが乗り移ると
よく言われる、化け猫(笑)になったり
奇妙に賢い猫になったり。
そんな事もあると
アジアでは信じられている。
その、奇妙に知的な動物が
増えているのは、そんな理由もある。
2時間目が終わって、中庭の花壇のあたりを
歩いていためぐ、は
花キャベツの畑に隠れていた猫を見つけた
白っぽいシルバー・グレー。
気位の高そうな、アレイ・キャット。
めぐは「かわいい...」なんて。
にこにこしながら、撫でようとした。
けれども、その猫は
めぐに宿っている天使の存在を感じ取っていた。
猫に憑依していた悪魔くんが、であるが。
それで、猫の体を借りて、少し
いたずらをした。
めぐの手、に猫パンチ(笑)の真似。
めぐは、手をひっこめたけど
「....ひとに、さわられたくないのかな。」
そんな風に思った。
ふつう、猫には好かれるめぐ、だけど
そうでない事は、はじめてで
ちょっとびっくり。
でも、それは化け猫(笑)だったから。
猫に憑依して、化け猫にしちゃってる悪魔くんは
めぐ、に宿っている天使さんの、柔らかな雰囲気に和んで「....こういうのも、いいものだな」と、思ったりもした。
魔界に居た頃から、戦いばかりで
思いられたり、優しさに触れた事などなく
今、はじめてそんな気持ちになった、悪魔くんは
生まれてからの行動を、少し思い返してみたり、した。
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やさしい気持ち
そんな風に、めぐ、は
特別に戦ってる訳じゃなくっても
やさしい気持ちでいるから
悪魔くんの、気持ちを変えるかもしれなくて。
少しづつ、やさしい人が増えてくれれば
いいこと、かもしれない。
めぐ、が
そう思ってる訳じゃなくっても
柔らかな気持ち、と
ふれあって
自然に、優しくなっていく.......
男っぽい、ハードな戦いではなくっても
柔らかな気持ちが、いつしか
尖っていた気持ちを、やわらかくしていく
そういう事もあるのだろう。
それは、やはりオキシトシンの働きで
ルーフィがしたような方法でなくっても
世界が、みんな
やさしくなれば、いいのだけど。
どうやら、めぐが図書館で
妙なトラブルに巻き込まれるのも
天使さんが宿っているので
その、優しさに触れたくて
トラブルを起こす人に憑依している
悪魔くんが、そうさせているのかもしれない。
言ってみれば、そういう人は
愛されたい訴求があるので
自然に、愛してくれそうな人に
近づいていく。
でも、ふれあいの方法が分からないので
トラブルを起こしたりする、らしい。
勿論、悪魔くんも
人間界から魔界に行く理由は
そうした救いが無かったので、よくない行いをして
魔界に行ってしまった、と言う事だろうから
それで、救いを求めて
なぜか人間界に居る天使さんに近づくのも
自然な事........。
さっきの化け猫ちゃんも。
天使さんは、それも仕事....。
でも、めぐにとっては
義務でも何でもないのだけど(笑)。
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sent from W-ZERO3
いつもの放課後
その日も、めぐは
いつもみたいに、学校帰りに
図書館に行って、司書のお手伝いをした。
「ひろーい吹き抜けって、すてきだな」
なんて、見慣れてる景色なのに。
へんかな?なんて
ひとり笑い、くすくす。
きょうも、こども図書室のとなりを通って
ロッカールームへ。
それで、ロッカーにかばんを入れて。
いつもの黒いエプロン、むねのとこに
ひらがなで、オレンジ色に[としょかん]と
書いてある。
なんとなく、お気に入りの
それをつけて。
宰一図書室の、きょうは
返却カウンターで、受付。
夕方になるまでは、学生さんが主なので
そんなに、忙しくはないし
トラブルも少なくて、幾分気楽。
学生は、暇なのだ(笑)。
閉館に近い、5時を過ぎると
お勤め帰りの人、とか
バスや電車の時間の合間に、せわしく
駆け込んでくるので
そういう時、いらいらおじさんとか(笑)
こないだみたいに、来たりする。
「いい方法ないかなー。」なんて、めぐは思ったりしてて
カウンターに、人がいるのに気付かなかった。
「あ、あ、ごめんなさいっ」と、めぐはにこにこしながら
本を返しに来た人を見た。
大学を出たばかり、の人なのか
それにしては、地味な黒いスーツを着て
白いシャツ、短い髪。
就職活動かな?でも、もう夏.....。
と、めぐは思ったけど
この国は仕事が無くて、学校を出たばかりの
女の子でも、何か技がないと
就職できなかったりした。
この人も、そうかもしれなかった。
あまり、就職が上手くいかなかったのか
うつむいて、無言で
カウンターに本を返却。
就職に役立つ、面接の方法とか
そういった本ばかりだった。
でも、その中の一冊に
キュルケゴールの「死に至る病」があったので
めぐは、気になった。
悩みがもとで、命を絶つ事もある、と言う一節がある
哲学の本だ。
その人は、無言のまま
返却処理を待たずに、エレベータに向かって。
なぜか、昇りボタンを押して。
エレベータに収まった。
返却処理が終わって、気付くと
その人のものらしい、IDカードが本の間から。
「あ.....。」
返却を待つ人が居なかったので、めぐは
そのカードを、忘れ物を渡そうとして
エレベータに乗り、上へ登った。
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sent from W-ZERO3
墜落
エレベータを5階で降りて、めぐは
営業を終えて、灯りが消えている喫茶室、
いつか、子供が落ちそうになって
トラブルになった、あのテラスの入り口を見た。
鍵はしっかり掛かっている。
もしかして、と思って来たけれど。
死、をイメージする本を読んでいたりして
気になって。
ここにいない、ってことは....屋上?!
屋上は、ふつう
昇れないように、ドアに鍵が掛かっている。
でも、もしかしたら。
エレベータ・ホールの隣の階段に戻って
屋上への階段にある、柵を見ると
動かされて、隙間が空いていた。
時々、図書館の職員さんが
屋上点検や、煙草を吸ったりするときに
あけたりするから....。
と、めぐは思って、不吉な予想を打ち消そうとした。
階段を駆け上り、屋上への鉄の扉を開いた。
無骨なオリーブの塗装だけの扉、ステンレスの鍵は
捻れば開く。
-開いてる。-
なんとなく、怖い。
扉を開いて、屋上、まわりにあるフェンスを見回した。
遠くのお山は、すこし日暮れに近づいて
あかね色に染まり始めている。
その、山を見上げている後ろ姿を見つけ.....めぐは
「あの!」と声を上げると
さっきの人、リクルート・スーツのひとは
びっくりして振り向いて。
「カード、お忘れ物です」と、めぐは
それでもこわばった声で、言った。
ちょっと、怖かったのだ。
「いいんです、それ、もういらない」と、
リクルート・スーツの人は振り返って、山に向かって
屋上を駆けだした。
柵を乗り越えて、飛び降りるつもり?
「だめ!」と、めぐは
たちすくむ。
不思議だけど、そんな時
動けないこと、ってある。
「そんなことしちゃ、いけない!}と、めぐは叫ぶ。
リクルート・スーツは、柵に駆けより
乗り越えようとした、その時。
何者かが押さえたかのように
右足が止まり。
つまづいたみたいになって、柵にぶつかって倒れた(^.^;)
呆然。
なにがおきたかわからないけど
めぐは、なんとなく笑ってしまった。
「ごめんなさい」と、いいながらも
その動きがコミカルで。
リクルートスーツの人も、おでこを
ステンレスのフェンスにぶつけて、痛かったのと
ドジな動きで、照れ笑い。
「ありがとう、わたし、ほんとうに。」
飛び降りるところだった、と
リクルート・スーツの女の子は言った。
めぐは、いいえ、と、かぶりを振りながら
でもまだ、少しくすくす笑っていた。
「就職が、うまくいかなくって.....。」と、リクルートスーツ姿の理由も彼女は告げた。
このところの不況で、学校は卒業しても
就職ができなかった、と。
「大変なんですね...わたしも、いずれは」と、めぐは
ハイスクールに行きながら、図書館でバイトしてるのは
司書になりたいから、だと
そんな風に告げた。
「いいわね、あなたは...もう、進路が見つかって。」と
その人は俯いて、コンクリートの屋上を見つめながら。
「いいえ、図書館のアルバイトもいつまで続くか...
それに、学生でなくなったらアルバイトだけ、と言うのも...。」と、めぐは、そう言った。
「そっか....。」と、リクルート・スーツの襟を
気にしながら、その人は視線を上げた。
「あなたも頑張ってるのね。わたし、少し驕ってたの。
たぶん。でも、それじゃだめだって、今思った。
なんでもして、生きていこう。よし。」と
きっぱりとした口調で、その人は空を見上げた。
めぐ、も
にっこり。
背中の天使さんも、にこにこ。
でも、不思議なのは
彼女の足を引き留めたのは、誰.....?
あの時、子供が5階のテラスから落ちそうになった時と
同じ...。
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sent from W-ZERO3
天国と地獄
ふたりを、和やかな雰囲気が包む。
そう、あの化け猫ちゃんが
尖っていたのに、和やかになっていったように。
元々もっていた、和やかな気持ち。
その時、心にオキシトシンが作用する。
ルーフィたちは、それが
長く続くように、魔法を掛けて
国会に思いやりを取り戻そうとしていたように。
建国の頃は、国会は
思いやりに満ちていた。
でも、それを欲、主に外国の欲が狙って
この国は不況になり、大学を卒業しても
就職できない、彼女のような人が増えた。
それは、外国の人の欲、つまり
ルーフィが、まだ何もしていない国の
政治的、投機的意図だった。
いつかは、根本解決が必要だ。
それらも、人の悪意のなせる技で
いずれ、魔界に落ちてこられると
魔王、閻魔大王ですら手を焼くので(笑)
人間界にいるうちに更正して(笑)
魔界に来ないでほしい、と
魔王ですら願っている、墜ちた人類たち。
反対に、天界に登る人は限られて
天界は過疎に悩み、神様は
増税しようか(笑)などと悩むかもしれないほど、だった。
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sent from W-ZERO3
社会と魔法
国同士が戦争をしていた頃と違って
今は、領土はそのままで
経済で国同士が侵略をしているから
それは、戦争と似たようなもので
この国は、強い国の人々の
欲望に、従わされそうになっている。
そういう構造が、ひとびとの思いやりを失わせ
弱い立場の者、例えば女子学生が卒業しても
就職口が見つからずに、自殺を考えるような
そんな国になってしまった。
それは、言い換えれば悪魔も呆れる程の
人間の欲望で。
悪魔くんですら、食わない代物だ(笑)
それは、時空が捻れた結果
人の攻撃心を、悪魔くんたちが煽った結果だと
神様も、魔王も思っている。
それを、正す事が出来れば
この世界の平和が戻り
天使さんも、めぐも
もとの幸せを取り戻す事ができる....と
神様はお告げになったとの事で
ルーフィは、それを魔法で解決しようとした。
その結果、国会に政府が提出した消費税率増加案を
政府が取り下げると言う、異例の事態が置きて
国会は紛糾した。
「なぜ、廃案に?」と、政府税調会議の官僚が
詰め寄る。
テレビ中継を見ながら、ルーフィは
彼にも魔法を掛ける(笑)
「もぐらたたきゲームだな、まるで」と、言いながら。
どこまで魔力が持つか。
閣僚が答える。「金融緩和策で経済成長が起これば
法人税の収入が増え、一般国民からの消費税は
上げなくても済みます」と返答。
順当な理論である。欲に駆られた連中に
操作されていない言葉だ。
魔法が利いているのだろう。
「金融緩和ってなーに?」と、わたしがルーフィに聞くと
彼は「うん。お札は国が印刷すればいいから、いっぱい刷ってみんなに配ればいい、って事」と、ユーモアたっぷりに。
「そんなに簡単なの?」と、わたし。疑問。
ルーフィはにこにこしながら「うん、それを
外国のね、お金を売り買いして儲ける人たちは見て
価値が下がるから売ろう、と思う。
そうすると、外国のお金に変える時
いままでの2倍払わないと、例えば1ドルが貰えなくなったり。
輸入品は高くなったりするし、この国に居る
外国企業は、本国にお金を持ち出す時、困る。」
「なんで、そんな事するの?」と、わたしは
わからない。
「そうして、見かけ上の金額が増えて
国内に流れるお金が増えれば、それ以前より
豊かになったように見える。金額が増えるから。
それで、税金を増やして儲けよう、って事らしい。」
と、ルーフィ。
「ほんとは何も変わってないのに?」と、わたし。
「そう。それで税金を企業から取らずに
国民から取って、財政危機を乗り切ろうと言う
そういう話らしい(笑)。笑い話だよ、それは。
外国の人も企業もあるのに、この国には。」
と、ルーフィ。
「変な話ね」と、わたし。
「つまり、それでこの国のお金を吸い上げようと
言う、強い国、アメリカかな?のお金持ちの
..つまり、悪魔くんが煽っていた攻撃心を持っていた
人間たちの意図、だろうね。」
と、ルーフィは淡々と言った。
「いずれ、あっちも手を加えないとダメかな」
と、つぶやきながら。
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sent from W-ZERO3
必然と欲
「そんなにお金儲けして、何に使うっていうの?」
と、わたしは素朴な疑問。
ルーフィは
「うん、そこまではわからないけれど。
世界で戦争があった頃から、ずっと
国民から借金をして、国は動いてきて。
それの利子を払う、って話とか。
もうひとつは、原子力発電の失敗、事故でね。
国土に放射能が撒かれて。
その賠償で、電力会社が倒産しかけて。
それを、面倒見ている国が、そのために
お金を使う、って話とか」
「いままでの政治がいい加減だったのね」と、わたし。
「そうだけど、世界レベルでそういう事を決めてたから
ひとつの国だけで決められる話じゃない、とか」と
ルーフィ。
「そのためだけ?」と、わたし。
「そうでもなくて、今まで儲けてきた人や
いま、相場で儲けてる人もいる。
そういう人が、儲けようとして
例えば、会社の経費を切り詰めたり」と、ルーフィ。
そうして、お金が国民の手元に残らないから
お札を印刷して、と
そういう話らしい。
政治にとっては必然だけど、わたしたちが
頼んだわけでもないし。
いままで儲けてきた人が、払えばいいんじゃない?って
思う。
それから、私たちは
国会中継が終わった午後3時。
めぐが居る、図書館に行った。
第一図書室のカウンターに、めぐがいないので
司書主任さんに尋ねたら
忘れ物を届けに、エレベータで上っていった、と
彼が言うので
後を追って。
それで、屋上のベンチに座っていた
めぐと、リクルート・スーツの彼女に会った。
めぐは、リクルートさん(笑)にわたしたちを
紹介し、事情を話した。
ルーフィは「大変だけど、いまにきっと
よくなると思うよ」と
魔法の話はできないので(笑)
政治の方向が代わって、思いやりを持った
建国時代のような政治が戻ってくるだろう、と言った。
リクルートさんは「そういう日、来るといいけど」と。
あまり、期待している口調じゃなかった。
それはそうかもしれない。
いままで、お金持ち、例えば企業は
株価を気にして目先の利益を上げようとする。
そうしないと、会社経営者は首になるからだ。
その為に、リクルートしても就職できなかったり
賃金や安かったりして
ものが売れないから、不景気になる。
それが、今の世界。
つまり、ごく一部のお金持ちの「欲」が
少しだけ減ればいいのだけど....。
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sent from W-ZERO3
もうひとりの魔法使い
その欲を刺激しているのが
悪魔の仕業などと人間界では言っている(笑)が
魔界では憤慨しているだろう。
いままで、見てきた通り
悪魔くんも食当たり(笑)の
人間のおぞましい欲は
とどめを知る事もない。
「困ったもんだなぁ」と、ルーフィは苦笑い。
「貨幣なんて、ひとの暮らしを豊かにする為に
あるのに。それを得る為に心貧しい行動をする、とか」
「ずっと、いいかげんな政治をしてきた結果でしょう」と
わたしが言っても、ルーフィは
「だからと言って、国の借金が減りもしないから」
それで、アメリカなどはよその国を
ずっと前からあてにしていて、この国も
狙われている、って事らしい....
「そうだ!ルーフィのご主人様って、アメリカンだったでしょう」と、わたしは思い出す。
出逢った頃、星条旗を見てルーフィが
そんな事を言ってたんだ。
「そうだけど、どうするの?200年眠ってるんだし」と、ルーフィ。
「200年前に時間旅行して、アメリカで魔法掛けてもらうの。」と、わたしは名案にうきうき。
未来を悲観して、眠ってしまったんだった。
でもそれは、向こうの世界のことで....
こっちの世界にルーフィがいるのなら、ルーフィのご主人様も、いるんじゃないかしら。
ひょっとしたら、眠ってないかも。
「そっか。キミはすごいよ!Meg」と言って
こちらの世界のめぐ、も
自分が言われたみたいに、にこにこ。
「あ、そっか、おなじお名前ですもの」と
めぐ、は
ちょっと恥ずかしそうに笑った。
口元にかわいらしく手を当てて。
わたしより、ずっとお淑やか(笑)なので
ルーフィも、こっちの方がいい、なんて思うかしら(笑)
おのれ、強敵め。
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sent from W-ZERO3
どうやって
私達は、屋上から1階へ降りて。
めぐは、主任さんに「IDカードをお渡しできました」と。
主任さんは、まんまるで、ふくよかで。
ちょっと、編集長さんに似ている。
「そうか、良かったね。」と、穏やかに笑った。
きょうはウィークディなので、図書館もあまり人はいなくて静か。
時々、児童図書室から
子供達の声が聞こえたりするくらい。
図書館は静かにするところだけど
子供達では、仕方ない。
この図書館が新築されるまでは
川沿いに、古い図書館があって。
児童図書館は、別の建物だった。
どちらも、地域の銀行家の方が寄贈されたものだった。
その頃の銀行、は
国が保護していたので
安定感抜群(笑)で
利益をそうして、地域に返しているような、そういう存在だった。
貯金をしてくれる人の
お金を預かって。
仕事をする人に貸して。
利子で、地域に豊かさを齎した。
それを、横取りしようとしたのも
ほかの国の、欲だった。
この国の法律で守られていた銀行。
その、護る事が出来なくなるようにした。
それから、この国の豊かさは
外国人に持ち出されたし
この国の政府関係者は、外国人の手先になって
その、お金を山分けにしてもらうように
外国の投資会社に、政治家の親類などを送り込んで
それで、分け前を給料の形にして貰っていた。
法律に触れないように、国のお金を私物化していたのと同じだ。
それが「悪」と言うのなら
悪魔くんたちの方が余程善、だ(笑)
それは、それまでこの国の人が働いて得たもの、だからだ。
それも、「欲」と言う目の前にないもの、に
目の前の環境を合わせようとする、奇妙な行動のせい。
その人の頭の中の時空が歪んでいるのだ。
それを直す、と言う仕事は
魔法とて困難であるかもしれない、が
とりあえず、ルーフィはそれを行って
天使さん、それとめぐ、の
命を救おうと考えている。
おさな子のように
児童図書室で、子供の叫び声が上がったので
めぐは、ちょっと様子を見に行った。
気になっただけで(笑)でも、そういうものだ。
児童心理を学んだ係員が、そこにいるから
行かなくてもいいんだけど。
とっとこ、とっとこ。
様子を見ると、絵本を取り合っている(笑)
子供ってそういうものだけど
その声がうるさいと、大人の図書館利用者から
クレームが来る事もあって。
そんな時、「昔は別の建物だったので良かった」と
言われる事もあったりもする。
その時、クレームをつけた人のイメージには
過去の図書館、4次元空間のそれと
目前の3次元空間の、いまの図書館が
浮かんでいて
それを比較して、過去が良かったと
結論している。
だけど、過去に戻そうなどと、誰も思わない。
できない、からだ。
以前、ルーフィが言った「認知」で
例えば、夢を見ている時はどこが現実か、は
わからない。
現実、と分かるような、眼、耳、鼻、触覚などの
情報がないから。
それと似ていて、年を取って
のんびりしすぎた人、に
どこが現実か分からなくなる事もある。
認知症と言われる。
でもそれは、例えば死が近づいて
それを怖れなくなる為にある機能、などと
言われてもいる。
赤ちゃんで生まれて、夢の中のような
イメージから、
自分が誰で、
ここがどこで。
そういうもの、3次元的な時空に
自分がいると認識するまでは
その、曖昧な時空に皆、生きている。
だから、絵本をほしいと、ふたりで同時に思うと
取り合いになる(笑)。
自分の欲に従っているだけで
お互いに、相手の事など考えないから(笑)。
大人になると、理知的になるから
そういう事はない筈。
でも、なぜか
国を動かすようになると
国の為、と嘯いて
他の人や国から、金銭を掠め取ったりする。
それは、客観的には
幼児が絵本を取り合うのと変わらないレベルで
少なくとも建国の頃は、そういう政治家は居なかった。
理由は簡単で、選挙で多くの支持を集める為に
お金儲け主体の団体に協力を仰ぐから、だ。
結局、それも欲、必要もないのに
金銭を余計に取って、贅沢や無駄遣いをしたいと言う
結局、幼稚な自己顕示欲、幼児レベルの心が
それを行わせているから
欲、それを抑制すればいいのだろうと
ルーフィは考えた。
絵本の取り合いをしているふたりの男の子に
めぐは「どうしたの?」と
にこにこと、しゃがんで話しかけた。
ふたりとも、半分泣いている。
相手が憎いんじゃなくて、絵本が読みたいだけなのだ。
「借りてくの?」と言うと
ふたりとも、うん、と頷く。
男の子は、はっきりしていてかわいいと
めぐは思った。
本のタイトルを見ると、複数蔵書がある本だ。
「ちょっと待っててね」と、めぐは
カウンターのコンピュータで本の在処を調べ
他の一冊は、返却カウンターのカートにある事がわかり
もう一冊をたして、2冊をふたりにそれぞれ、手渡す。
ふたりの男の子は、喜んだ。
ありがとう、と
拙い言葉でめぐ、に伝え
ふたりの、母親たちも笑顔で、ありがとう、と
礼を述べて、貸し出しカウンターへ向かった。
「チャイルドマインダーみたい」と、児童図書室の係りは
めぐの所作を見て、楽しそうに言った。
「いいえ、わたしはなにも,,,,図書係ですから」と
めぐは控えめに微笑んだ。
児童図書の返却は、めぐの担当ではないけれど(笑)
それでも、坊やふたりが
本を好きで居てくれるといいな、と
めぐは思っての事だった。
欲を以て相手とぶつかり合う事を避けるのが
知性であり、情報である。
国の司る人も、そういう視点になれれば,,,,
めぐの場合は、母性的な優しさで
行動が起きて。
その時、彼女にはオキシトシンが作用している。
神経内分泌学的に、そう言われていて。
ルーフィはそれで、オキシトシンの作用を
政治家たちに与えようと
魔法を掛けた???
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sent from W-ZERO3
愛と心
「めぐちゃん、すてき」って
わたしは、めぐをはぐ(笑)したくなっちゃった。
めぐは、にこにこ。何も語らない。
ただ、本が好きなだけ。
そう言った、めぐがとっても愛おしいし
すてきって思った。
「やっぱり、好きって大切ね」と
わたし自身も思う。
気持ちが入ってる、って
音楽の演奏でも言うけど
そういうのって、いいな、って思う。
児童図書室の、チャイルドマインダーは、でも
大人だから
「ほんとは、あれは母親のしつけだけどね」と
当然な事を言う。
そう、確かに。
幼い子は分からないんだから。
他の子と仲良くするように、親同士で
気遣い合うのが、あたりまえ。
でも今は、子供が可愛くないのかな、
なんて思ったりするくらいだったり。
それも、オキシトシンが作用すると
ふつうは、子供に関心が行くもの、なんだけれど。
ただそれは、健康なひとの場合で
今は、心が健康でいられないような
事も多い、この世界なので
防御的だったり、闘争的だったり。
そんな心で居たりすると、子供の事より
日常の関心事、に
気を取られたり。
ちいさな子、ってかわいいのに。
毎日見てると慣れちゃうのかな。
世界のあちこちで、原子力発電所の事故があり
そういう事も、母親の関心事だった。
放射能は、子供のように
成長する時に触れると、癌が出来やすいなどと
親として、それは関心事だ。
実は、大昔に戦争が世界であって。
終わったとき、原子力を爆弾に使うため
原料になる為の原子炉を運転させる、その為に
世界のあちこちの国に、原子炉を作らせたのは
アメリカで
戦争など、もう起こらないので
原子炉は必要ないのに
原子炉を壊すにもお金が多くかかるので
そのまま使い続けている。
つまりこれも、欲のせいだ。
ほんのすこしでも、科学的な知識が
政治家にあれば、危険な事はしないだろう。
そんな風に誰もが思っているのにね。と
わたしは思う。
それを解決する為に送った、ルーフィのクスリ(笑)
の効果があったらしくて
消費税の増率は見送られたらしい。
らしい、と言っても
今と変わっていない、のだけど。
金融緩和、と言って
国の借金を、市民銀行からしていたのを
今度は、政府銀行から借金するように
して
その上お札を政府銀行で刷っているので
ちょっと奇妙だ、と世界中の人が思う。
政府が、政府銀行から借金する?
払うお札を政府が刷る(笑)。
それで、この国が豊かなら、世界はそれを信用する。
けれども、借金が多く、その上
原子力発電所の事故で、まだ多くの費用が
復旧にかかる国、である。
その、金融緩和策も転換が望まれるだろう。
クスリ(笑)が利いていれば、考え直すだろうと
ルーフィは思った。
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sent from W-ZERO3
ひとりのための
ルーフィは、その
絵本を取り合った子供と、母親の
シークエンスを見ていて
「流行もあるかもね」なんて、わたしに言った。
オキシトシンは本来、授乳ホルモンと言って
乳児を抱える母親の心に、自然に起こる気持ち、
その時にある物質。
なので、自分の子供は可愛い。
そういう気持ちにはなる。
けれど、他の子は可愛くないと言うのは
少し変だ、とルーフィは思う。
この国の人は、みんないい人だったのは
国の人同士が争う事無く、お互いに
豊かでいられたから、で
そうしたものを戦後、外国の人たちが
壊していった、その文化のせいだろうなどとも。
正確に言うと、外国の人、のうち
心が欲で歪んでいる人、つまり
頭の中の時空が歪んでる人たちの仕業、で
他人の事は知らない、自分だけが大切。
そんな気持ちになってしまうのは防御の為で
そうしないと、損ばかりするようになってしまうから、
だったりする。
それもやっぱり解決しないといけないのかなー(笑)
なんて、ルーフィは
意外な仕事の大きさに、ちょっとお疲れムード
「やっぱり、助っ人が必要なのかなぁ」なんて
思ったりもして。
元々、この世界は
ルーフィ自身には関係のない時空だから
お節介で、めぐ、と
天使さんのために頑張ってしまっていて。
自分でも変だと思ってる。
でも、困ってるからって
助けてあげたくなっちゃうのも、やっぱり
イギリス、紳士の国だもんなー、なんて(笑)
ルーフィは自画自賛(笑)
それでも、なんとかしてあげようと
頑張っている。
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sent from W-ZERO3
破滅
「でも、ヘン。わたしたちの居た世界って
魔物は居なかったし、平和で。
原子力発電所なんて無かったし、税金で国がもめる、
なんてなかったわ」と、わたし。
ルーフィはうなづく。「うん、だからここは..時間旅行で
3年前に戻るつもりで、時空の捻れた世界に着陸してしまった。
だから、ハイスクール時代のMeg,キミに似て非なる別人が居る。
その子は、生まれたばかりで魔物に襲われたりして
今は、天使さんに守られて、生きている。
そんな記憶、ないよね?」
「そんなことあるわけないわ」と、わたし。
「だから、ここは異世界なんだ。その、捻れは
最初、魔界と人間界に現れていた。
3次元、時間軸も空間軸も揺らがないこの世界に、
4次元の、時空軸が変化する魔物が、魔界から現れる。
通常ではありえない....。そして、魔王が魔物を退治した。
けれども、時空の歪みは、ひとの心の中に欲望、として残った。
自分さえよければ、と言う利己の欲望だ。」と、ルーフィ。
「そんなの、わたしたちの世界ではありえない。」と、わたし。
「そうだよね、ふつう、そう思うけど...。神話の時代にもあったことは、あった。
希望、と言う名の箱を開けてみれば、それは人の欲を掻き立てる存在だった、って
お話みたいに」と、ルーフィは、旧いお話を引用した。
「うんうん、そのせいで....。希望も、言ってみれば4次元で。
時間も空間も自由に伸縮するから、現実の3次元とあわせられないわ」と、わたしは
これまでの学習(笑)の成果で。
少し、理論物理学に強くなったかしら。
「まだ、希望なら、いいけれどさ。
欲望になると、少し大変だね。
国家レベルで、そんな事をすると
迷惑だ。
例えば戦争もそうだし。今、この世界では
他国の欲と、それを利用したいお金持ちの欲で
国を押しつぶそうとしている。
極東の島国で、地震が起きて原発が爆発したのと
同じような事が起きようとしているんだろう。
あの地震も、八百万の神が集まる60年に一度の時期、に
起きた。
人間界にある欲望のエネルギー、つまり
異次元のエネルギーが集まれば、多次元重層になって
地軸すらずれる。
地震くらいは起きるかもしれない。
その時に、核分裂、つまり、ひとつの宇宙を爆発させるような
事をしていたので....。3次元側では制御できなくなった。」
と、ルーフィは歴史を紐解くように語った。
でも、それはこの世界で起こった現実だ。
「それもこれも、欲望のせい、なのね。」と、わたしは思った。
「そう、少々行き過ぎた欲望と言うのは、4次元の存在さ。
3次元のレベルに合致できる程度の欲、に抑えていれば良かった。
それが認識だし、認知さ」と、ルーフィ。
「それは、この異次元の世界だけの事だけれどね。」とも。
「もう、帰りたくなっちゃった。」と、わたし。
「それは、正直僕も思ってるさ。でも、このまま放っておくとね.....
いつかこの世界は破滅するし、その前にめぐちゃんが..。」
と、ルーフィは口籠もった。
天使さんが宿っているから、めぐは生きていられる。
人間界、この世界に欲、つまり異界のエネルギーが増えると
それは、もはや人間界と言えなくなり、魔界に近いものになる。
住む者は魔物のような形相になり、争いを繰り返すのだろう。
ミシェル・ド・ノートルダームが予言したように
人類ではなくなってしまうのだ。
そうなったとき、そこは天使の居られる場所ではなくなるから
天界に帰らないと、生命が危ない。
そうすれば、めぐは....。
命
「でもさ、目の前で誰かが命を失うかもしれないって時
助けるでしょ、だいたい」と、ルーフィは言う。
にこにこと。
「それはそうかもしれないけど、自分がそれで死にそうに
なるなら、助けたりはしない、って
その程度の計算はするわ(笑)」って、わたしは正直に言う。
「それが普通だよね」と、ルーフィ。
生き物は、皆
自分の生命が最優先、仲間の命はその次に大事。
それは、動物だった頃からの記憶だろう。
「だから、めぐちゃんと天使さんを、僕は助けたいって思ったのさ。」と、ルーフィ。
「ちょっと力不足かも」なんて、言いながら(笑)
クスリの利いてきた政府(笑)は
消費税を上げずに、税収増加に期待する政策を取った。
元々、消費税を上げる条件に、景気回復があったので
景気が回復するのを待ってから、と
穏やかな表現で、争いを避けた。
政治家の中には、国民を虐めても
お金をかすめとりたいと思う人も多く
この、政府の姿勢、心変わりを
不快に思って
強大国アメリカの力で、政府決定をねじ曲げようと
する者も居たり。
大陸の他国、列強の国々に近づいて
圧力を求めたりした。
それで分かったことは、国会議員の多くが
お金儲けの為に政治をしている、と言う事だった。
選挙で当選する為に、企業などを通じて
投票を募ったのだから、当然だった。
儲からないと、会社経営者は
株主たち、役員たちに責任を問われるので
意味不明でも、お金儲けを最優先にした
経営になってしまう。
その結果、社員たちへの報酬を減らしたり
雇用を減らしたりしても
利益を増やそう、と言うような
そういう身勝手な経営になっていった。
それもやっぱり、ひとの心に潜む欲望のなせる技で
自分が社員の立場になってみれば、そんな事は
できない筈。
なので、オキシトシン治療が有効である(笑)
その欲望は現実的でない、と
認識させれば良いのだ。
困っている人が居ても、自分さえ儲かればいいと言う
そういう考えは、優しい気持ちからは生まれないもの
なので
優しい気持ちになるためのクスリを、投与する
割とハードな解決法をルーフィは、選択した。
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sent from W-ZERO3
ルーフィの目的
ルーフィの目的は、政治を変える事ではなく
ただ、欲望が過剰な人に潜む悪意を
なくす、と言う事だった。
欲を減らせば、悪魔くんが食べていってくれる(笑)
でも、いずれは
食べ物が無くなるから、悪魔くんは来なくなる。
それで、時空の歪みは減っていって、いずれは
無くなるだろう。
そんな風に考えていた。
この国の政府要人には、クスリが利いたらしく(笑)
少しづつ、世の中は良くなっていくような
そんな感じだった。
政府銀行に政治介入するなら、と
銀行法を改正、政府補償をつけた。
代わりに、政府が一時的に経営介入する事とし
融資が得られず倒産するような企業の発生を防止。
次いで、労働基準法を改正。
労働賃金の中間搾取を全面禁止した。
戦前の水準に戻った訳で、不安定
な雇用のせいで、たとえば
リクルートさんのように、罪もない人が
自殺を考えるような状況は、少なくなる。
そして、人材派遣会社の代わりに
国が、無償で人材派遣事業を実行。
法令を守らない事業者を一掃する事もでき
なにより無償なので、企業にとっても有り難い存在になる。
仮に、仕事が途切れてしまっても
そこは国の機関なので、公共の仕事が
いくらでも都合できる。
代わりに、雇用保険、失業給付を
本当に困っている人だけに限った。
生活保護も同様である。
そして、時代に逆行するような政策だが
郵政3事業、専売、鉄道、電力などの事業に
政府が介入、公共事業資本を投入する代わりに
雇用、政府人材バンクの人間を活用させた。
なかでも、電力は発電、送電を分離させ
送電ネットワークの保守に資本を投入。
ソーラーパネルを公共施設に無償設置し
また、個人住宅でも無償貸与とした。
発電所で大量に電気を作らず、需要地で作り
ネットワークで電気を融通しあう方策である。
超伝導磁気浮上高速鉄道の敷設に並行し
超伝導直流送電線を敷設。
風力発電などからの電力、地熱、波力、水力などの
電力をこれで、低損失で電送する事で
原子力発電を廃止する。
等々(笑)画期的なアイデアで
この国の雇用は増え、景気も浮揚していった。
それは当然で、既存のアイデアを活用しただけ、で
いままでは、そのお金が、一部のお金持ちや
アメリカなどの大国にかすめとられていた、だけ。
「いつまで、クスリが続くかなぁ(笑)」と、ルーフィは
思った。
平和が続くなら、もう、悪魔くんに助けてもらわなくても
人間の欲が増長する事はない。
金銭欲よりも、名誉欲よりも
ひとを愛し、慈しむ事の方が
流行していけば、それでいいのだけれど。
そう、この国で近年、争う事が増えたのは
単なる流行であるのだから。
別に、貧しくとも無欲であれば
苛立つ事もないし、争う事もない。
欲、が増長しなければ。
めぐは、特に目的がある訳では無いけれど
本が好きな人に、本を楽しんで貰う事が好きだった。
お話や、詩。
素晴らしい作品に出会って、感動する時
ひとは、争おうなどと思わない。
そういう世界を知っていれば、良からぬことをして
金銭を得るなど、に関心を持たないはず。
めぐが思っていたわけではないけれど
本を楽しんで貰ったり、よい音楽に親しんでもらう事が
豊かな心を得、争いを好まなくするのは事実である。
それは、ルーフィたちが医学的アプローチで
行っていた事と、似たような作用を
ひとに齎す、と言うことだった。
理想と空想
楽しい、嬉しい、優しい、
そんな気持ちを、音楽を聞くことや
本を読む事で、思い起こせたら
とってもいい事で....。
おすすめの本や、音楽を
いろんな形で紹介していって。
めぐは、図書館の仕事を
楽しく、続けていた。
アルバイトだけど(笑)。
政治家さんたちが、優しい気持ちに
なってくれて
この国は、建国の頃みたいな
活気に満ちてきて。
それはそうで、困ったらお国の人に頼めば
なんとかなる、って
そういう国なら、みんなも
国を大切に思う。
争わなくても、日々の暮らしに困らないなら
争う事もない。
無闇に争いたい人は、ごく少しになっていった。
悪魔くんの出番は減っていったので
自然に、魔界と人間界の境界を
超える悪魔くんも減っていったし
人間界で悪い事をして、魔界に墜ちる人も
少なくなっていった。
ルーフィの所に、魔王からお礼の手紙(笑)
が来たりして
ルーフィがびっくりしていたり。
魔王@mail>
ルーフィ殿
貴兄の働きに感謝いたす。
魔界の住宅事情(笑)も改善した。
これも全て、御尽力の成せる技と
我が輩は考える。
動物界に墜ちる、人間どもの数も減っている様子。
魔界の者としては、関係はないが
喜ばしい事と思っている。
頃合いを見て、魔界から人間界への
次元の扉を閉じる所存でおるが
貴兄のお考えを伺いたい。
「魔王が喜ぶってどんなんだろ」ってルーフィは笑う。
「いつも、怖い顔してるようなイメージがあるけど」って
わたしは
白塗りの、お相撲の中継に出てくる
デーモンさんみたいなのが
神殿の、大理石に囲まれてわっはっは、なんて
映像を思い浮かべた(笑)。
「キミの発想は、なーんとなくテレビに影響されてるね」と
マンガだなぁ、と
ルーフィは笑った。
「だって、いつも見てるんだもん」と
楽しかったドラマとか、映画とか
音楽のライブとか。
そんなのを思い出した。
向こうの世界で、ずーっと
そんな感じのテレビ、見てたっけ。
アルプスの少女ハイジ、とか。
楽しいお話だったっけ。やさしい気持ちになれて。
ハイジは、お友達の為に
病気になっちゃうくらい、優しい子だったんだわ。
そんなお話を見てたから、わたしも
自然とそんな気持ちになるのかなー、なんて(笑)。
いつもじゃないけど。
「そう、みんな優しいのさ、ほんとは。
追いつめられたりして、戦いたくなんてないんだよ。
そのために、みんなが幸せになれるように
社会があるのさ。」と、ルーフィは言った。
(e)笑!
みんなのためになれるってステキよね。
おじいちゃんが見てた、水戸黄門みたい(笑)
「なにそれ」って、ルーフィは笑う。
「えっと、んーと、時代劇のひーろー。」イギリスには
ないんだろうか、そんなの(笑)