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それで、神様は
しばらくぶりに、クリスタさんの
事が気になったから
夜になって、そっと地上に下りて。
でも、魔法使いとは違うので
なかなか、上手く降りられれなかったりする(笑)。
めぐの家の裏の、丘の斜面に
やや乱暴に、どすん!
と、落っこちた(笑)。
「イメージを壊すわい。やれやれ」と神様は頭をカキながら。
どっかのわんこに吠えられている(笑)
「これ、静かにせい。」と
でも、犬好きの神様は
それでも吠えられるのは
やっぱり、怪しいからだろうか(笑)。
「でも、どうしてクリスタに会おうか」と
思ってみて、結局
「そうだ、あの、めぐと言う娘が
していたように
夢の中にお邪魔しよう。」と
そう、思いついて、それなら
地上に下りる事はなかった、と
天上に戻った(笑)。
それから、クリスタさんの夢にお邪魔しようと思った神様は
「果て、天使って夢を見るのかのう?(笑)」と
思ったりしたが
今は、人間界に降りて
天使ではなくなっているから
夢も見るだろう、そんなふうに
アバウトな神様である
(笑)。
たいてい、神様とか天使さんは
アバウトなもので(笑)
それは、ありのままでいいから、そのまんまでいいからで
悪魔くんとか、魔王とかが厳格で細心なのは
良くない事をしているので
つまり、誰かを意識しないといけないから。
人間も一緒で
芸術家とか、シスターとか。
そういう人たちは、ありのままでいいので
結構アバウトである(笑)。
面白いのは、科学者とかもそうで
新たな発想をするような人はアバウトな人が多い。
全体を見据えて、ほい!と
舵取をするので
細かい事にこだわっていると
それができないのである。
人間なら、その心の切替は
例に因って、考え方に沿って行われる
生理学的な、化学物質の循環で
行われるのだけれども。
古くはクレッチマーなど学者さんが言うような
執着気質、なんて言われる状態で
執着を続ける、つまり
ある事柄にこだわり続けると言うのは、実は
排他性で
ひとつの持論にこだわり、客観性を失った状態である。
そうではなく、あらゆる可能性を見出だす、と言う状態は
演算的状態、連想的状態で
よく言われるように
エンドルフィン、ドーパミンなどの
化学物質が、脳の中で
複数の記憶の接続を刺激するから起こる。
つまり、アバウトな連携である。
人間なら、そうで
つまり、天使とか、悪魔とか、そういう発想は
人間の作ったシミュレーションである。
好ましい状態の人間と、そうでない状態の人間、を
イメージしているものだ。
そんな訳で、神様はアバウトである(笑)。
ひとの良いおじさん、なんかは神様っぽくアバウトだし
いじわるなおばあちゃんは、時として
悪魔っぽいけど
(笑)
それは、もともと
人間が作り出した物語だから、である。
そういう訳で(笑)アバウトな神様はクリスタさんの夢にお邪魔して。
「あー、もしもし。クリスタや。わしじゃ」と
と、のんびり夢の中で
お歌おを歌っているクリスタさんに
声を掛けた。
クリスタさんは、美しい声で
綺麗なメロディーを歌っていて。
「神様。お久しぶりです」と
ゆるゆると、お辞儀をする。
神様は、ゆっくりと手をふり
「ああ、わしは堅苦しいのは苦手での。
どうじゃ、地上の暮らしは」と
にこにこ、微笑みながら
神様は、クリスタさんを労った。
「はい、お蔭様で恙無く」と
天使さんだったクリスタさんは
丁寧にご挨拶。
「うんうん。それはよかった、よかった
。」
あの、地獄から舞い戻った猫も元気か、と
神様は、にこにこしながら。
はい、と、
クリスタさんもにこやかに。
「それは、よかった。ところでな。今日は
その話ではなくて。
以前は、お前が宿っていた、あの娘の事だが
」と
神様は、率直に言う。
隠しだてする必要もない。
損得など、神様や天使さんにはありえないのだから。
「めぐさん、ですね。」と
クリスタさんは、微笑みを絶やさず。
神様は、うなづいて
「うむ。あの娘は、魔法の使い道を
よく考えておらん。
なぜ、魔法使いになれたのか?
どうして、魔物から
護って貰えたのか、とか
何も覚えておらんから当然だが、
よく理解しておらんようなのだ。
それで、時空間の多重は増えてしまう。
別に悪い事ではないが。
あまり複雑になると、エネルギーをそれに
費やしてしまう。
エコロジー、が
このところの流行りだしな」と
神様は、ちょっとユニークだ。
(笑)。
「めぐさんにお会いになればよろしいのに」と
クリスタさんは、当然のように言う。
神様は、ちょっとどっきりしたように
(笑)
「いや、わしは、若い娘は苦手でな」と
神様は、少し赤くなって言う。
クリスタさんは、そういう神様は、
なんとなく人間っぽくて可愛い、と
思ったりしたが
それを表情には出さず
「そうですか」と
平然と言った。
神様とクリスタさんは、長い付き合いなので
その、クリスタさんの言葉を
なんとなく、神様は
恥ずかしく思う(笑)。
見透かされているのではないか?(笑)とか。
そうは思ったが、一応神様なので
そこは抑えて(笑)。
「あの娘、お前となんとなく似てるしな」と
口調が砕けるあたり。
神様は、めぐの事が
可愛い、と
思っているらしい。
父親のような、そういう視線で
めぐを愛らしく思っているらしい。
「それで、魔物から護られて、
記憶を作り直されたのですか?」と
クリスタさんは、問い掛けた。
もちろん、そうでないことは分かっているけれど。
「いや、あの娘は魔法使いとして
数少ない正統な継承者だ。
護った理由は、もちろんそれもあるが。
この世界で、魔物が狼藉を働いて
しまった、と言う事は
神としてのわしの失敗だしな。
それで、あの娘が命を失うのは、ちょっと困るのだ。
」と、神様はもっともらしい理屈を付けた。
でも、それだけではないらしい、とクリスタさんは思う。
クリスタさんが、天使を辞めて
地上に降りる事を
黙認していたり。
そういうところ、優しい気持ちのある
神様。
それなので、クリスタさんも、にゃごも
幸せに暮らせている。
「わたくしが、お伝えしましょう」と
クリスタさんは、神様にそう言った。
神様は、にっこりと笑った。
「そうか、頼む。
ありがとう、クリスタ。
」
と、簡潔に伝え、神様は
クリスタさんの夢から去った。
つかの間の出来事である。
まだまだ、夜明け前。
クリスタさんは、夢の中への来訪者(笑)のせいで
ちょっと、ふんわりと微睡んでいた。
朧げな意識。
.....そう。めぐさんの事で。
と、夢の中で思い.....。
廊下をはさんで向かい側のお部屋で眠っている
めぐ、の事を思った。
「夢、見てるかしら.....。」
天使、クリスタさんは
今は天使としての能力は、ほとんど使っていない。
でも、夢の中でお話するくらいなら-----。
と、クリスタさんは思った。
----割と、夢の中で誰かに会った、なんて言う。
時々、こんな風に
本当に、夢と夢がつながっている、って事も
あるのかもしれないーー。
めぐの夢の中では、めぐ自身は
きょう、出会った事を思い返していたりした。
それは、もちろんふつうの人間の夢で
そうすることで、記憶を、もう一度記録するのだけれど
その時に、データが変わってしまったりする事もある。
そんなところに、クリスタさんが現れて(笑)。
めぐは、驚く。
リサたちと一緒にいるところを、夢に見ていたところで
いるはずのないクリスタさんが、電車に乗っていたりしたので(笑)
もちろん夢だけど、そういう風に
不条理な夢、ってできていたりする。
クリスタさんの存在に、夢を見ていためぐは
ふと、夢の中で「これは夢」と認識するのだけど(笑)
それも、ふつうの事だ。
でも、めぐが違っているのは
魔法使いだから、夢に現れたクリスタさんが
夢の中の人じゃない、ってわかってしまうところ、だったり。
「クリスタさん?でしょ?」
と、めぐは夢の中で語りかけた。
こういう時、寝言を言っていたりするのだろう(笑)
「そんなの、知らないもん」と、
めぐは、言った。
クリスタさんが、めぐの夢の中にお邪魔して(笑)
神様の言った事を、そのまま伝えた。
めぐは、魔法使いの系譜に残る人で
その力は大きいから
正統に、魔法を継承るものとして
みだりに、魔法を使う事は
世界を乱す事になる。
だから、考えて使ってほしい。
でも、18歳の少女めぐにしてみれば
そんなのわからない(笑)。
生まれる前から決まってたって言われても
魔法があるおかげで
悩んだり、苦しんだり
おばあちゃんみたいに老け顔になっちゃうなら(笑)
そんな魔法なんて要らない。
「でも、なんのために魔法使えばいいの?」
と、めぐはクリスタさんに言った。
「私には、わからないです。
神様のおっしゃる事は」
と、クリスタさんは言って
「神様には、神様のお考えがあって、そうなさったのでしょう」と。
それは真実で
どんな人も、心の中のイメージをもって
生きている。
でも、誰か、他の人の存在を
心の中にイメージするとき
その、誰かの行動に
自由意思を認めないと
それは、規制とか
束縛になったりして。
この場合だと、めぐの行動を
神様だからと言って
規制する事は、できない。
無理強いすれば、強要罪だと
れーみぃなら言うだろうか(笑)。
なので、めぐの反発は尤もだ。
若いお嬢さんだから、なおさらそう思うだろう。
「そんな魔法ならいらないよ、あたし。
魔法使いになんて、ならない。
普通の女の子でいい。」めぐは、自然にそう思った。
別に、頼んだ訳じゃないし。
めんどーい(笑)。って。
この時のめぐは、しかし忘れている。
幼い頃に魔物に襲われて
命を、危うくした時
身を挺し、天使さんが護ってくれた事。
それで、天使、クリスタさんも傷ついた事。
神様が、命を授けてくれた事。
そして、魔法使いルーフィが
ふたりの命を救ってくれたこと。
大きな愛に護られて、生きている。
そういう事は、意識しないと
ちょっとわからないけれど
めぐ、18歳。
まだ、そこまでは
心配りはできないみたいだ。
それで当然、なのだけど。
神様が、めぐの記憶を消してしまった理由は
魔物に襲われた怖い記憶、それが
めぐの心にダメージを与えてしまわないように、そういう
神様の配慮だった(らしい)。
そのせいで、めぐは
クリスタさんや、ルーフィや神様に護られて
生きてきた
それまでの、1回めの
17年の人生を記憶としては失っている。
つまり、世話になっていない(笑)2回めの
今度の人生で
魔法の使い方がどうとかいろいろ
言われても(笑)
正直鬱陶しい(笑)
と、思うのは自然である。
神様の配慮も、それが伝わらなければ
めぐにとって、知らない出来事なので
配慮に恩義を感じる訳もない。
仕方ない事だけど、人の記憶を変えるのは
そのくらい、難しい。
神様と言えども
例えば、ひとの恋心までは変えられないし(笑)。
めぐの性格は、その
魔物に襲われた記憶のせいで
やや、以前は慎重に過ぎるおとなしさで
今度の人生では、ちょっと自由奔放に過ぎるくらいの
可愛い女の子になった。
なので、以前は
図書館の司書主任さんの甥っ子さんは
そんな、おとなしやかな
めぐに恋していた。
でも、後の人生では
彼は、めぐに興味を覚える事もなく(笑)
寧ろ、分身のような
天使、クリスタさんに
その、かつての彼女の幻影を見たりして。
(実際、外見も似ているのだが笑)。
そんなふうに、男の子たちの人生も変えてしまっている。
もちろん、リサの弟
ミシェルの恋心にも
影響があっただろう事は
想像するに容易い。
以前、ミシェルの話など
リサは、一言も言わなかったのだから。
「めぐさんは、そう言っています」と
朝になってから、クリスタさんは
神様にメールをしたためた。
mailto:god@heaven.com
from
crysta@angel.com
[souiu koto desu]
(笑)。
神様は、どのみち、知っておられるのだから
メールする事はないのだけれども。
そこは、クリスタさんはそつのない天使さんである(今は違うみたいだけれども。笑)
めぐは、夢のなかで
クリスタさんの言った、神様のお告げ(笑)に
不条理を感じていた。
「目の前で困ってる人がいるとき、助けるな?って言うのは
できない。」
それはごもっとも。
めぐは生きているから、同じ人間が
例えばスクーターの少年が電車にぶつかりそうになれば
ぶつからないように。
そう思う。
それは、同じひとだもの。
生き物同士、助け合うのは
ずーっと生きてきたんだもの。あたりまえにそう思う。
のは、もちろん、生物として群れを持った霊長類ひと科だからで
群れの仲間と共存して進化してきたから。
そういう暮らしが、記憶に残っているプログラム。
その中で、助けあいながら、競い合って生きていく。
より、良い暮らしの為に。
群れを持った生き物は、皆、そういう知性を持っている。
知性を持つ以前なら、縄張りを持って
その中に入るほかの生き物を遠ざける。
猫などはそういうタイプで、もちろん人間も
そういう性質が深い、遠い過去の記憶に残っているから
人間同士でも、仲間でないと縄張り争いをしたりする。
犬くらいになると、知性があるので
犬同士では、そんなに競い合いはしない。
挨拶、と言う文化でドメインを共有する。
植物くらいまで過去の記憶に遡ると
同じ種でも、競いあうが
それは、移動が出来ないためで
遠くに行ってくれ、と言う意思である。
もっと過去、微生物くらいになると
そういう意思すらなく、漂っているだけだ。
そんなふうに、過去の記憶、生物的に
助けようと思う基本があって
たまたま魔法を使えるから、助けた。
それだけのことなので、めぐが考えてそうしているわけじゃない。
なので、神様のように
そういう生理がない存在には、それもまた理解できない(笑)
自分が生き延びなくていい、そういう存在には
助け合う必然もないのである。
めぐは、「そんな魔法なら使えなくていい、魔法の継承者なんて
ならない」と.....。
そう思う。それも当然だ。
もし、魔法が使えなくても
たぶん、助けただろうと
めぐは、思う。
いつだったか、クリスタさんが
めぐの事を、銃弾から守る為
身を呈した。
その時も、めぐは
時間を逆転する魔法で、銃弾を
発射前に戻したり。
それで、クリスタさんが助かったのに。
神様は、そんなめぐの
魔法が、未来を変えてしまうから
いけない、と言うのだろうか。
めぐは、そう思った。
矛盾なんじゃない?と。
神様だから、間違えない訳でもない。
すべての世界を掌握するなんて、無理だ。
そんな、若者らしい主張を
持って
めぐは、恐れなく神様に反発した(笑)。
もちろん、それを神様は
認識した。
「まったく、あのめぐと言う娘といい
クリスタといい。
頼もしい限りじゃの」
むしろ、その
めぐの主張を、愛らしく
思う、神様だった。
神様とて、愛らしい女の子には
勝てない(笑)。
見守り、困ったら助けてあげるのも
神様の仕事だろう。
そんなふうに、
神様は思った。
別に、誰も困る訳でもないが。
「世界が複雑になりすぎると
こんがらがってしまうがの」と
神様はつぶやいた。
ついったーに、ではないが(笑)。
人間は、ずっと
3次元的に、規則的な時間の流れに沿って
生活してきて、それで済んでいた。
それが、文化が出来て
例えば、狩猟採集を行うようになった。
農耕を行った。
その対価を、交換する。
貨幣が興る。
そうすると、リアルな物と違う貨幣、と言う
現実と違う価値観が生まれたりする。
例えば、昨秋に収穫した農産物を
貨幣にして貯蓄する。
また、来秋に収穫が起こる、などと
予測するようになると
時間の流れが、イメージの中で
現実と違って来る。
もっと、近代になって
言語が興り、書物ができたりして
架空の世界を、書物が持ったりすると
(この文章もそうだけど笑)
架空の世界、つまり別次元の世界を
誰もがイメージできる事になる。
それら全てが、現実の
時間の流れと違う存在だし
違う価値観が、いろいろ起こる。
ひとによっては、現実の世界より
本の中がいい、映画の中がいい。
そういう感覚も起こる。
そんなふうに、時間の流れ、現実の3次元的
な速度(地球の自転に沿っているので遅くはないが笑)
に、従うのは難しい事もある。
記憶の中では、いつでもどこでも
好きな世界へ跳べるから。
そういう世界感覚は、以前は
書物を書ける人々など、一部の者が持つに限られていた。
それを、解放したのが
コンピュータ通信、ネットワークであるので
いつも、好きな世界に浸りたいと言う
欲求が
現実の、3次元世界の時間の流れを
蔑ろにする傾向、それは
このお話の中で
神様が憂慮する「こんがらがる」「うっとうしい」時間感覚は
いま、ふつうの人々の身の回りで
起きてる(笑)。




