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高校時代の友達って、ずっと

長く友達で続くなんて、よく言うけど


それは、こんなふうに

学生から社会へ進む時期、いろんな思い出を

一緒に過ごすからかな、なんて

リサは思う。




ちょっと困った時、そばにいてくれるだけで


とても心強い。



18歳って言っても、まだまだ甘えていたい。



そういう気持ちを、みんな、共感できているから



一緒に、こうして、付き合ってくれるんだ。



休みだから、好きな事したり

ボーイフレンドとデート、とか

(笑)。






デート?(笑)。



そういえば、みんな、恋人らしき者はいなかったけど(笑)





そういうところも、付き合いがいい理由かしら。


なーんて、リサは微笑む。



すると、めぐは


「リサ、余裕ね」なんて。



微笑みをそんなふうに見る(笑)。







「そうじゃなくって。友達っていいな、って

思ったの。」と

リサは、ホントの気持ちを言った。






「そうよ、今更気づいたの?」なんて


Naomiは、ちょっと睨むふりして微笑む。




すっきり美人顔で、そうすると

結構カッコイイ(笑)。






ふと、めぐは


さっきの「ディズニーランドいくー」の

女の子をみると


別に、駄々をこねるでもなく

椅子の上に立って、景色を眺めている。



「ディズニーランドいくー」とは言ってないけど。




海の景色の向こうに、ディズニーランドが見えるのだろうか。




その子には見えるのかもしれない。




想いってそういうもので



空間を飛び越えて、楽しい景色が見える事も

あるのかもしれない。







お母さんは、別に諌めるでもなく

椅子の上で眺める景色に飽きるまで

立たせている(笑)。


もちろん、靴は脱がせているけれど。






優しい、お母さんだけど



おばあちゃんの家に行く予定を、変えて

ディズニーランドに行くような、そういう

母親ではないあたりに


リサは、好感を持った。



「おばあちゃん、待ってるよ、会うの

楽しみに」と


言って、この、お嬢ちゃんの

気持ちを



変えていた。





もちろん、この子が

自分勝手な時期だったらダメかもしれない説得だけど(笑)。





おばあちゃんが、自分を好んで

待ってくれている、と


そういう結び付きを

子供心にも覚えると


むやみに、子供とは言え


人の心を反古にはしないものだ。



子供だからこそ、好きな気持ちには敏感なのかもしれない。








そんなふうに、諦める、と言う事を

少しずつ覚える事は


例えば、この電車の車体、

ステンレスのヘアライン仕上げのように


細かい傷をあらかじめ付けて、

大きな傷をつきにくくする、なんて事に

似ていたりする。




いつも、諦める事を少しずつ覚えて

それに慣れると




そんなに、我が儘にはならないものだし


諦める事が、カッコイイと

思うようになったりもする(笑)。





そうすると。駄々っ子は


みっともないと

感じる子になるのだし。













ーーーと、リサが

思った訳でもない。


(笑)



でも、リサは


従順な子供だったし

お姉さんだし。



機関車乗りのおじいちゃんと一緒に住んでると


勤務のせいで、昼間、寝ているおじいちゃんを起こさないように、って

静かにしていたり、


友達がヴァケーションに行ってる時も


いけなかったり、と


そういうふうに

諦める事に慣れる子供だったりもして。





それを美徳に思っていたから、

この、「ディズニーランドいくー、」の

子が、駄々っ子でないところに


共感を感じて、愛らしい、とも思った。





......反対に、ディズニーランドに連れて行ってあげたくなるけど(笑)


気持ちってそういうものだ。


駄々をこねられると、意地でも

連れて行きたくなくなる(笑)。




気持ちってそういうものだな、と



リサは、「そういう気持ちって、車掌さんになったら大事かな」なんて

真面目に思ったり(笑)。


電車は、海沿いのカーブを


ゆっくり走っているみたいに

感じられる。


実際の速度は時速80kmくらいで

かなり早いのだけれども


電車は元々早いので

減速すると、ゆっくりに感じる。




乗っていると感じないけれど


地球だって、時速1700kmで回るのだけど

乗っていると、相対で0km/hだ。




感覚は、相対的なものである。







また、時間感覚も

物理的な原基と比較しなければ....。


多分に相対的で、だから

人は焦ったりする。


そんな時、例えば機関車乗りは

物理的な原基と比較する。


速度から、進むべき距離を割り出して

現在の地点を比較し、到達点までの距離から


速度を増減するだけだ。


そうすれば、焦ることはない。




よく、リサのおじいちゃんは

そうしていた。


普段の生活でも。


それは、職業的な感受性であるけれど

理論的に正しい行動である。






そんな風に、時間だって

相対的に感じてるふだんと、

リサのおじいちゃんみたいに、絶対的な原基で

動いていた人と。


ふたとおりある。



その絶対にあわせるのは結構ストレスなので

それで、国鉄職員は


退職すると、健康を害する人が多い。


(筆者のおじいちゃんもそうだった。笑)。




規則的な3次元時間軸に

合わせて行動するのは、結構面倒(笑)。


物には質量があるから、加速、減速が


等しく規則的にならないから。




なので、結構列車の時刻はいい加減だったりするのは

南の方の国。


その方が、自然なんだって考え。

普通列車なので、駅にひとつひとつ止まりながら

のんびりと走る。



「やっぱ、スーパーエクスプレスに

乗り換えようよ」と


れーみぃは、後々ハイウェイパトロールを

白バイでする割に


スピードマニアだ(笑)。




「乗れるよ、特急券買えば」ってリサは


さっぱりと言う。



Naomiはニコニコ。美人顔でそうすると

なんだか、あどけなく見えて、とってもかわいい。


「お客様にその言葉遣いはいけませんよ、リサ車掌」と


真面目な顔のふりして、ジョーク。



「はい、教官」と


めぐはふざける。





「なんであんたが言うの?」と

リサも楽しそう。





「言ってみたかったの。そういうの。

図書館ってそういう制服もないし。

なんか、カッコイイなー、って。」と

めぐは、映画で見た

飛行機のパイロットの話とか、を

想い起こして。





なーるほど。とれーみぃはにこにこ。




制服って、なんかいいもんね。と。



そういえば、あたしたちの学校、制服ないし。と



Naomi。



「なんで、ないのかしら?」と

リサも言うけど



「毎日だと、洗濯大変だし、夏なんか臭いそうだし」と、めぐ。



いやーぁ主婦っぽい、と

みんなが笑うので


めぐも恥ずかしくなった。




「でも、ホント、そうだよね。

制服ない学校でよかった」と

れーみぃも言う。






毎日お洗濯だと、お母さんが大変だし。




なーんて、リサは思う。




4人掛けの向かい合わせシートに

楽しそうに

しているめぐ、リサ、れーみぃ、Naomi。



座席は結構埋まっているけど、座れないほどでもなかった。


土曜日の午前10時くらいと言うと、

遊びに行くひとは、出掛けた後で

割と、空いている時間帯だったりして。



そのへんを考えるあたりは、リサの

鉄道職員の血統、だろうか(笑)。





でも、座席に座らないで


ドアのところで立っている幼い女の子、と


お母さんがいる。




なんとなく、めぐはそれを見ていると



かわいいリュックサックを、その女の子は

床に投げつける。





お母さんは、それを拾って


自分で背負う。




そうすると、その女の子は、


お母さんから


かわいいリュックサックを奪って


また、床に投げつける。






「なにやってんだろ」と

めぐはそれを見て。



リサは「ああ、反抗期じゃない?」なんて


平然と言うので




「経験ありそー」なんて、れーみぃはジョーク(笑)。



あるわけないわよ、と

リサはにこにこ。



「弟がね、いたから」と



リサが言う。





「かわいいミシェルにも反抗期はあったのね」と

Naomi。




めぐは、ふと思う。




いま、ここでいうミシェルは

この時空間では

最初からいたんだろうな、と。







少し前、リサの家に男の子がいないから

Naomiを後継ぎに、とおじいちゃんが考えた

なんて言ってたのは、確か、Naomiじゃなかったかな、なんて

めぐは回想。




その時期、時空間が歪んで

違う世界、につながっていたのかもしれない。




などと、ふと推理するめぐ。


リゾートには似合わないけど(笑)。

「スーパーエクスプレスって

特急券高いの?」



なんて、れーみぃは言う。




「もう、着いちゃうよ」って

リサは言う(笑)


でも、100kmくらいだと

普通切符と同じくらいの値段。だと。



リサはさすがに詳しい(笑)。




「バイト一日分くらいかな、往復すると」って

めぐは思う。



けっこう、儲かるんだな(笑)なんて

思ったりもするけど。






そのあたりは主婦っぽい感覚かな(笑)なんて


誰も言わないけど、めぐは

それを気にして、頬が

赤くなった(笑)。







終点。





「大きな駅だねー」と

めぐは驚く。




「ほんと」と

リサも笑顔になった。




首都だもの、それはそうかもしれない。




電車のホームが二階建て、

地下も3階建て。




「人がこんなにいっぱい!」と

のどかな山里に住んでいる、naomiは


見た目都会的だけど、言う事は素朴(笑)。





そういうとこ、かわいいって

なんとなくめぐも思う(笑)。


女子高でなかったら、きっと、

憧れのマドンナ、とかになるんだろうけど(笑)。



男の子たちの。






列車は、終点。


だけど、レールはずっと続いてる。





「どこまで行くんだろ、このレール」と

めぐは、ひとりごとで言うと




「北の国境までよ」と

リサ。






2000kmあるの、と


さすがに、機関車乗りの孫だ(笑)。





時刻表なども、家にたぶん

普通にあるのだろうから


知識も、自然に覚えるんだろうな、なんて


めぐは思った。






「国鉄本社ってどこなの?」と


れーみぃは、電車を降りながら


そんな事を言う。






さっき、「ディズニーランドいくー」と


言ってたかわいい子の



お耳つき帽子が、ひょこひょこ歩いて行くのが見える。





おばあちゃんのお家に行くのかな?



どこだろ?



なんて、思いながら。







「となりの駅よ。鉄道発祥の地、なんだって」と

リサは、観光バスガイドも兼ねてか(笑)。








「じゃ、乗り換えなんだ。乗り越したの?」と


めぐは言う。




リサは首を振って、「線路が違うの。」と。




なんだか難しいなぁ、と


れーみぃは、ふくよかな頬を綻ばせる。



白い頬に、紅い唇で



笑顔になると、生きているお花みたいだと

めぐは思う。



あんなふうに、かわいい子に

なれたらステキ、

なんて(笑)。












国鉄本社は、厳めしい花崗岩の入口で

歴史を感じさせる。



けれども、入口には

新しい会社みたいに


受付の、明るい笑顔の

お姉さんが居て


場違いな雰囲気の

カラフルな女子高生4人を

優しく迎える。







リサが、名前を言うと




「はい、それは、2階の右手に

総務部がございますので、そちらで願書を

お受け取り下さい。




と。


にこやかで丁重だけれども

願書、とか

聞くと

緊張しちゃうリサ、だったり。






4人でどやどや行く訳にも行かないから(笑)

めぐたち3人は、しばらく待ってる事にした。






とはいえ、古いビルなので



ロビーがある訳でもなくて。



どうしようか、と迷ってると


受付の

お姉さん「6階の社員食堂で、お茶はいかがですか」と。



「入っていいんですか?」と

れーみぃはにこにこ。




はい、もちろん。

と、お姉さんはにこにこと

エレベーターの位置を教えてくれる。



楽しそうなめぐたちと、エレベーターで別れる時

ちょっと、心細そうなリサ。



Naomiは、エレベーターを一緒に下りる。


「外で、待っててやるよ」と

乱暴だけど、暖かい気遣い。



じゃ、あたしも、って

めぐ、と、れーみぃ。



「騒がしくしないでね」と



Naomi(笑)。




やっぱり、一緒がいいよね。







さらに、厳めしい感じの

木造の扉。

閉じられているので、余計怖い(笑)。



ノックして、扉を開くリサ。



試験じゃないけど、なんとなく緊張(笑)。





3人、背後で

小声で、がんばれー、って口々に(笑)。









扉を後ろ手で閉じると


試験じゃないから、普通の事務室で



賑やかなので

リサの緊張は解ける。




声を掛けるまでもなく、事務のお姉さんが

朗らかに「ああ、願書の人ね」と






そこで名前を言うと、聞かされた言葉は意外な事だった。

「お祖父様のご希望ですね。」と

事務の受付さんは、リサに

にこやかに言う。


リサは、何も知らない。



受付さんは、続ける。


「退職なさる前に、手続きを済まされておりましたので

特待生として、国鉄にお迎え致したいと....

人事が申しております。


試験は行いますが、既に優待が決定しております。」



つまり、スポーツ選手みたいな感じで(笑)。


名機関士だったおじいちゃんの孫なら、無条件で受け入れると

そういうお話らしい。



それで、国鉄職員の身分のまま、大学へ進学。



もちろん、大学の試験の方は落ちるかもしれないが(笑)と

そういう話。






「おじいちゃんが『国鉄に来い』って....。こういう事だったの。」と

リサは、はやとちりを悔やんだ。



それで、リサが「レールに敷かれるのは嫌」と

言ったばかりに。


おじいちゃんは、その言葉を曲解してしまった。




「わたし、バカだったな。」と.....。





...でも、おじいちゃんも

もう少し何か、言ってくれたらな(笑)とも思ったけど。










願書を貰って来て、Naomi、めぐ、れーみぃに

その話をすると....。




「よかったね。」

「いいじゃん。」


「おめでと。内定1号。」と


めいめいにいろいろ。






リサは、実感する。

おじいちゃんは、リサに失望してはいなかったんだ。


それだったら、特待生に推薦なんて、しない。



「電話掛けて来なくても、良かったんだって。特別選抜じゃなくて

特待生だから。

いずれ、連絡が来たんだって。」





おじいちゃんの存在の大きさを、リサは実感する。

国鉄、なんて言う大きな組織に、これだけ名が通っているなんて

想像もしていなかった。


それだけに、後継ぎとしての重圧も

感じないでもない....けれど。



それで、おじいちゃんは


「レールに乗りたくない」と言う気持を

理解したのかもしれない。






「でも、よかったね、おじいちゃんの本心がわかって。」と

めぐは言った。




魔法使わなくても、心は通じてたんだ。




それは、おじいちゃんの魔法、かも。なんて

めぐは内心思った。




「さ、じゃ、国鉄パーラーでなんか飲もうか!」と

リサが言って。



「おー。」




エレベータに乗って。



ちょっと騒がしくなってしまうのは、致し方ないけど

お祝いだもん。




なんか、そういえば.....と

めぐは、思い出せない。


消してしまった未来の記憶。






もうひとつの未来で、確か

路面電車の運転が、上手く行かなくって

励ましに行った時。


警察カフェ、って言って盛り上がった(笑)。




似たような事は、それなりに起る。


でも、もう...。あの、3年後は

訪れない。





そのこと自体も、めぐは忘れている。



こんなのも既視感、になるのだろうか(笑)

めぐは思う。

未来を、みんな変えて生きているけど

それに気づかないのは、未来に行った事が

ないから。



当たり前(笑)。


たまたま、それを知っていためぐだから



そう気づくのだけど。



つまり、超紐0次元モデル仮説に基づく

11次元隣接宇宙の個数、10の500乗、



選ばれなかった選択肢が、その個数だけある。


そう

、想像するのも楽しそう。



何かの拍子に、ひょい、と

入れ替わると


違った未来があるのかな?

なんて空想すると

とっても、未来は楽しそうだ。











旧い、国鉄本社のエレベーターは

ゆっくりと登り


6階に着くと、かん、と

鐘の音がして。


やっと上ってきた、と

エレベーターが言っているみたいだと

めぐは思う。



「着いたねー」れーみぃが

ゆっくりと開く重厚なエレベーターの扉、

各階の扉とは二重になっていて

合間に、鋳物のアコーディオン扉がついていて。


以前は手動開閉だったのだろう、その

把手は真鍮で。

人が触れたところが、光り輝いていた。



その、鋳物と真鍮の対比は


なんとなく、機械的で


蒸気機関車のスロットルとリバーギャの

ようだ、と


リサは、それを見て


おじいちゃんの機関車を思い出す。



ずっと昔、まだ

リサが幼い頃の記憶だけど。


黒い、大きな機関車は

幼いリサにとって、少し怖いくらい

立派なものだった。でも

おじいちゃんは、誇らしげに

機関車に乗っていて。



その様子は、頼もしげに

リサには思えた。



父がなぜ、機関車乗りにならずに

自動車エンジニアになったのだろう、などと

不思議に思ったものだった。




自動車より、機関車の方がカッコイイ。


そんな

ふうに、幼いリサには思えて。






他愛ない記憶だけど。


と、リサはそんな自嘲を含め


エレベーターの扉、隙間が大きくて

下見ると少し怖い(笑)のだけど。




開いた扉から、6階の

フロアへ。

その、社員食堂は、

時間帯がお昼じゃないので

比較的空いていた。


でも、サービス業だから

お昼の時間帯は交代で取っているみたい。



制服のひと、私服のひと。


いろんな人が

お食事をしたり


お茶をしたり。

めいめいに、休息を楽しんでいる。



でも、それほど険しい顔の人がいないので


そこは、いい会社だと分かる。




そういうところに、本音が出るので


入社試験を受ける時は、社員食堂とか

を見てみるといい(笑)。






でも、カラフル女子高生4人は、明らかに場違いで


けっこう、地味な服装の


会社員たちに混ざると


奇妙な感じに注目を浴びてしまったりする。





でもまあ、構わずに(笑)。


リサたちは、お祝い。



ホントにビール園いきたいね、とかNaomiは言ったりして(笑)。




おっさんぽいなあ、なんて

リサは笑ったり。




そんなふうに、なんとなく解放された気分になった。




リサの悩みが解決した、それだけなんだけど


でも、友達みんなの気分が解放されて。




面白いな、ってめぐは感じた。



心理学で共感、とか言われるんだっけ、と


めぐが思うそのあたり。



魔法で、めぐが


リサの夢にお邪魔して

同じ気持ちを感じたり。



そんなところに似ている。





辛い気持ちも共有して、分かち合って。

一緒に、楽しい時は、笑って。



友達っていいものだ、と思う。





「でもさ、リサ、どこの大学行くの?」と

Naomi。




リサは、ああ困った、と言う顔をして。



「工学部ってのもいいと思うの。

お父さんはエンジニアだし」と。

「工学部かぁ」と

れーみぃは驚いて。




理系だよね、と

Naomiもびっくり。



めぐは、そんなに驚きもしない。


めぐ自身、プログラムを書いたりするし

理系も、文系も、ちょっとした


違いだと感じてたりする。



理系って、割と大雑把な

傾向を掴むような、そういうジャンルが多かった。



文系はその反対で、細かいところを文章で表して

ニュアンスを想像する、そんなイメージだった。




例えば、心理学は文系っぽいし


ひとの心を診断する、と言う意味で

似ている

精神分析学は、理系。




でも、最近は

細かいニュアンスを定義して、心の

内面を想像しなくても

マニュアルに沿えば、はっきりと

類別できるような

そういうジャンルもあるから


理系、文系って分けなくても

どっちもできる

そういう人も多い。



理系の視点で書かれた文学も過去から多く存在するし。


リサは、どっちかと言うとスポーツ系みたいだけど(笑)。






「お父さん、エンジニアだもんね。」と

めぐは言う。




エンジニアの血、ってのもあるのだろう。



脳細胞、神経細胞の結び付きやすさとかは連想に

影響するから

そういう器質学的な違いは

遺伝から、才能を作る。



そういう研究もあったりするけれど。







「お父さんの希望もあるんだね」と

れーみぃは、にっこり。



国鉄カフェ、そろそろ午後になって

太陽も傾いてきて。


働く人々は減ってきた。



それなので、めぐたち4人も



割と、楽しんで談笑してても

気になる事もない。





「お父さんの希望、って別にないけど。

でも、やっぱり国鉄に入らないで

自動車エンジニアになっちゃったのは

ちょっと、気になってるみたいね。」とリサは言う。





「リサみたいな葛藤があったのね。でも、リサは

他にしたい事とか夢、とかなかったの?」と


Naomiは言う。






リサは、少し考えて。「特にないかなぁ。あんまり仕事で、とか。


普通に恋して、お嫁さんになって。

そういうのはあるけど。

仕事じゃないもんね。




だから、なんでもいいの。って

リサは楽しそう。


「そういえば、そうね。]と

めぐは相槌。


自分も、あんまり考えてなかった(笑)。



女の子ってそうなんだろうか(笑)。






魔法使いになれたんだって、願った訳でもない。


なんとなく、使えただけで

面倒なら捨てちゃえ(笑)くらいに。



思ってた。



友達が困ってたりする時、便利だとは

思うけど。

魔法使いになったのは偶然

ルーフィに出逢ったからだった。



めぐは、微かな胸の痛みと共に

ルーフィの境遇を思い起こす。



魔法で作られたひと。



魔法の為に。





そんなふうに、運命づけられた人生って


どんなものなんだろう?




人間、めぐには自由がある。

魔法ですら、使わない自由。



でも、それがない魔法使いルーフィは


でも、見た目そんなに不幸に感じられない。




生命ではないから、生きる為に

苦労する事もないけれど。



今のところ、彼のご主人様が

眠っているから

自由な事が出来ている。


それは、目覚めさせる方法を探す為に

自由にしていると言うだけなのだけれど。





目的が済んだら、自由は奪われる。



いったい、彼の人生は

なんのためにあるのだろう?







魔法の為にあるのだろうけれど。

彼自身の為、でない事は


たぶん、確かだ。





「めぐ、どしたの?」と

れーみぃ、気にして。





「時々こうなるの。秋ね」と

Naomiは、めぐの物思いを


秋のせいだと、オトメチックに(笑)




秋のせい、そうかもしれないけれど。


ふとしたキッカケで、気になる事ができて。

それが、心を捉えてしまうなんて事もある。


たいてい、それは

そのキッカケが、記憶にある出来事と関連があるからで


記憶、面白いもので


覚えた時の、気持や雰囲気、風の香りや

日のひかり。


そういうものも一緒に覚えてたりするのは

神経細胞がつながる時、一緒に、それらをつないでいるので



楽しい時、聞いていた音楽を聞くと、楽しかった思い出が蘇ったり

旅先で見た風景、それを写真で見ると

その時吹いてた風を思い出したり。


人間の記憶は複雑なもの。でも、時間の概念が正確でないのは


時間、と言うものに順応する必要がなかったからだ、と

進化生物学者は言う。





それは、そうかもしれない。


時間そのものが一定に流れていない、と言う考えは

例えば、アルバート・アインシュタインの説く

相対性理論でも主張されている。





もちろん、記憶に時系列の類別があったら

一瞬で連想できなくなってしまうのだけど(笑)。




そんな訳で、めぐはルーフィの事を

突然思い出したりした(笑)。






.....あの人は、どうしているのだろう?



まだ、あれからそんなに経ってないけれど。



夏の日の思い出は、遠く感じる。


それも、記憶の面白いところで




あまり使われない記憶は、遠く感じるもの。














「そろそろ帰ろうか」Naomi。


「ディズニーランド行く~ぅ」れーみぃ。



「ビール園も行けなかったね」めぐ。


「帰りは、SuperExpressで行こうか」と、リサ。





「え、乗れるの!」と、れーみぃ。




「うん、さっき聞いたら。わたしは、もう職員扱いなので

チケット貰えたの。自由席だけど。」と、リサ。




「みんなも、きょうは特別だって。.....国鉄に入社してくれたら、

ずっと乗れますって」



リサは、楽しい話をした。




「それじゃ、楽しい旅を!」と、Naomi。




気が付くと、もう、夕方が近くなっていて

秋の日暮れは早い。



めぐの持っている魔法は、

例えばアインシュタインの言うようなE=MC2の

それ、を

使うものだから


時間旅行をする時に、その質量をエネルギーに変換して


光速を超え、時間を逆転したり。



そういうものだけど。




それをめぐが意識していないから

魔法、と呼んでいるだけで(笑)




そんなものである。



リサたちと、これから乗ろうとしている

SuperExpressは、その少し前の物理学の

運動法則で動いているから


質量を保ったまま、F=maで加速するので大きなエネルギーを使う。



でも、そのエネルギー源は電気だから

核の周辺を回る電子、であったりする。



つまり、

化学反応、つまり燃焼による火力発電、物理エネルギー、風力や水力などの



100年前の概念で電子の流れ、つまり電気を起こして


それを誘導電動の力で物理力に変換すると言う

結構、旧式な技術。

でもそれだけに、確実ではある。




核エネルギーは、E=MC2の法則で

質量をエネルギーに変換している。



それで、原子力発電所を作ったはいいが

膨大なエネルギーの扱いが

旧式な蒸気発電では(笑)。

ロスが多くてダメだし



反応の制御が下手で

事故が多かった事もあった。





魔法そのものは18世紀に在って

それを応用すればよかったのだが。




時代、と言うものは

そんなものである。








魔法使いルーフィは、その確立した魔法で

エネルギを保っていた。


けれども、その魔法の効力が薄れると

いつか、エネルギーは消滅する。



それまでに、魔法を再生、つまり

プログラムを作り直す必要があるのだけれど。。



修復ができるのは、18世紀の人だろうか。






そこで、彼が誕生したならば。








過去に時間旅行できるのは、ルーフィ周辺では

Megだけ、なのだけど。






そんな限られた時間の中で、ルーフィは

使命によって存在している。


彼のご主人様が、目覚めて

ルーフィを救えば、いいけれど。


そうすれば、彼は

ずっと下僕のままだ。





定められた運命に沿って。










めぐは、一瞬、そのルーフィと


リサの人生が似ているような

気もした。





リサも、望む自分ひとりの人生よりも


おじいちゃんやお父さん、そういう

家族、小さな社会の望みに沿って生きようとしている。





「別に、したい事ないから」と


リサは、そう言っているけれど。




そういう、周囲の要求で生きているって

割と、辛いんじゃないのかなぁ、なんて



めぐは、リサとルーフィ、ふたりの

人生を連想して、そう思う。




それは、めぐ自身もそうだったりするけど(笑)。

女の子にとって、ふつうの夢って


恋して、しあわせになって。

ふつうに、おばあちゃんになって。


そんなとこじゃないか、って思う。


だから、ルーフィとリサを「大変」な生き方だって連想したのは.....


なんとなく、めぐ自身、自分が「魔法」なんてヘンなものに

巻き込まれちゃった、そういう気持もどっかにあったから。




もっと、ふつうに生きたい。





世のため人の為もいいけど、それで自分が辛いなら....。

正義のヒロインなんて、要らない(笑)。


それは、正直な感覚。







それでいいんだ、と思う。

だから、いつかの未来でも、リサが辛い時に

魔法を使った。



今は、魔法なしでも、なんとかなってるけど。





「さ、帰ろう?」とNaomiが言って


国鉄本社から、駅に戻ろうとすると




駅の前に、黒い、蒸気機関車が

展示してあった。


記念に、残されたのだろう。


屋根も付けられて、きれいに塗装されて

磨かれている。




リサは、機関車をじっと見ていた。


おじいちゃんを思い出しているのだろうか。



黒い、大きな機関車は、本当なら煤と油に塗れて黒い。

でも今は、ペイントの匂いがするだけ。



熱いはずのボイラーも冷え切っていて。



リサは、なんとなく悲しくなってしまった。



切れているレール、冷えたボイラー。



なんとなく、過ぎた時間のモニュメント、と言う感じに思えて。




すこし、涙が滲んでしまって。


気丈なリサが、そうすると

淋しさをより、強くイメージさせる....。




どうしたの?って聞かなくても


なんとなく、れーみぃ、Naomi、めぐには

リサの気持ちが分かる。



「さ、帰ろう?」と、駅の、高架線路を見ると


SuperExpressではなく、始発駅を出た

ブルー・トレインが、懐かしい音を立てて....通過していった。




「おじいちゃん.....。」と、リサは落涙。



その列車、寝台特急は

国境の駅を越えて行く、おじいちゃんが最後に運転した機関車が率いていた

列車だった。






Naomiは、リサの肩を抱いて。


「いつか、あの青い機関車に乗るんだろ?おじいちゃんに会えるさ、

運転台でさ」と、Naomiは、男っぽい言葉でそう言った。



軽快な車輪の響きは、電車とは違って

軽い、金属の輪がレールを擦っていく、そういう音だった。




青い編成を、見送って


リサは思う。


「いつか、乗ってあげるから、待っててね。」



旧式の電気機関車は、空気の笛を ふ、と鳴らして

通過していった。



その先端は、金属のモニュメントが輝いて

空気を切り裂くようでもあった。


重々しいギアの響き、モーターの唸り。

エア・ブロワの音。


何もかも、旧式で重厚な3900kw。


でも、リサにとっては特別な機関車だ。




寝台特急が走り抜けていったホームに登って

走り去ったロマンを追った4人。


「やっぱ、いいね、なんか」と、めぐ。

「うん!のってみたいなー」と、れーみぃ。

「渋いね」とNaomi。


「いつか、乗ってあげる」と、リサ。



「でもさ、大学行って、それから機関車乗るの?」とNaomi。



ふつう、大学出で現場に行くのは研修くらいで

管理職コースとかに乗って、本社に居る仕事になる。


でも、中には変わった人が居て.....。



「おじいちゃんもね、駅長さんになれ、って国鉄では言ってたの。

でも、断って、ずっと機関車に乗ってたの。」と、リサは意外な事を言った。



「どこの駅?」って、れーみぃ。



「あの首都の。」と、リサはちょっとはずかしそうに。



「あんな大きな?すごい。」とめぐは驚く。

「すごいよねーそれ。だって、この国で一番!。」と、れーみぃ。

にっこりしてると、まんまる(w)。



「うーん、男だね」と、Naomi。




「機関車に乗っていたい、って言って。

駅長の方が楽だし、給料だっていいんだけど。

一生機関車乗り、していたいんだって。」と、リサは

遠い日を回想するように。






実際、駅長になれる機関車乗りは少なかった。


ふつう、車掌か、駅員とかからなる。


それを断ってまで乗り続けた機関車。




魅力あるんだろうな、と

リサは、想像でしかわからない機関車の運転をイメージした。



おじいちゃんは、駅長さんになってれば

もっと長生きできたかもしれないんだけど。





(筆者のおじいちゃんもそうです。笑)。


めぐがイメージしたのは

おじいちゃんが最後に乗った


機関車に乗って。


あの、おじいちゃんが

最後に降りた駅で



運転席から降り、花束を受ける

リサの姿だった。



たくさんの人々が訪れて

別れを惜しんでいるような

映像。





横断幕を見ると、


さようなら寝台特急



と、あるので




いつか、この列車自体が

運転を終える時、リサは


機関車乗りとして、その列車に乗務

するのだろう。





めぐの、予知能力かもしれない。




ただの、夢想かもしれないけれど(笑)。






その、夢想に

めぐ自身微笑みながら



ホームを歩いて、SuperExpressの


発車駅まで向かう。



通勤電車でひと駅だけど。




れーみぃは、微笑んでるめぐに気づき



「楽しそう。」って

長い髪が風に巻かれるのを

右手で押さえるれーみぃ。



その仕草は、なんともエレガント。



どこどなく、そういえば

お嬢さんっぽいれーみぃだった。



家の事とか、家族の事は

何も言わないし、高価なものを

持っている訳でもないけれど


慎ましい物腰が、上品さを醸しだしていて。






「うん、リサがね、あの寝台特急の

機関車を運転しているとこを

想像したの」と、めぐは



想像じゃなくて、予知かもしれないけれど(笑)。




それは、わからなぁい。






「きっと、そうなるね」と

れーみぃは、率直な言葉で。


どことなくアジアンな風貌のれーみぃ、は

ファー・イーストのアジアンが使う英語の

ように、単純な表現を好む。



本当にアジアンなのかな、なんて

聞いてみた事もないけど(笑)。



どうでもいい事だし。





通勤電車が、土曜なので

通勤するひとも少なく、所在なく

やってくる。



やっぱりメタルボディに、簡素な

ブルーのストライプが入っていて。



減速する時、メロディーのような音が

流れて。




電車がハミングしているようだ。







それは、モーターへの電力を

交流的に制御するシステムの音、なのだけれど


ドイツのエンジニアが、音楽にして

乗るひとに楽しんで貰おうと

考えたもの。







生活を楽しむ感覚は、ゆとりが

感じられて。



羨ましく思えたりもする。






機械工業品に、それを採用するセンスは。

遊びの精神だけれども




遊ぶのは、高級な知性である。


機能があって、機能とは離れたところで

楽しい、と思うあたりが遊び、で




人間などは、幼い子供でも遊ぶ事を

知っていたりするし



犬や猫くらいでも、誰でも知っているように

遊んでみたりする。




そういうゆとりが、工業品に出てきた事は

機械工業に余裕が増えた事だから




電車にそれを採用する、この国の国鉄は

楽しい会社である(笑)。







ホームに電車が止まり、ドアが

静かに開く。



ドアは、リニアモーターなので

滑車の、ごろごろ、と言う音が聞こえるだけ。


旧いタイプの電車だと、さっき乗った時みたいに

空気のシリンダーで開閉されるので

その音が大きくて、滑車の音は聞こえにくい。



リニアモータで静かになったら、旧いままのドアレールと

滑車との間のでこぼこが音になって、目だってしまうのは

なんとも面白い事で



旧い方がその滑車の音が気にならないのは

なんともシニカルな事だけれども


現実ってそんなもので


人間の感覚は、物理的な基準と一致しないのだから

それは仕方ない。




耳、それは元々

進化の過程で、環境にある外敵の音を聞き分けて

生き延びて来た動物が持っていた性質が残ったのだから


そういう傾向にある。


音量そのものも、小さい差を見極めるのは得意だ。

でも、一定に続いている音は段々鈍感になる。


それで、例えば川の流れとか、風にそよぐ草の音に

隠れた外的の足音とかを聞き分けるのに適してきた、と言う訳で



旧い電車の空気シリンダーの大きな音が流れている間に

滑車の音はあまり感じにくく、

静かなリニアモーターの動作中の、滑車の音は目立つ。



もっとも、寝台特急になると

滑車が足もとには無く、扉の上部についていて

レールが無いから無音なのである。


それは、眠っている人への配慮で

細やかな心遣いが、それまでの国鉄の車両設計にはあった、らしい(笑)。




そういうものを継承するのも、新しい、例えばリサたちのような

世代の務め、だったりもする。








「割と、混んでるね」と、Naomi。


「ひと駅だもん」と、めぐ。



「混雑、恐れ入ります」と、リサは

車掌さんの声色を真似して(笑)



「似てるー」って、れーみぃは楽しそう。



電車は、がらがら、と

ドアを閉じて。


東へ向かった。





ほんの500mくらいだろうか。


SuperExpressの発車駅に着く。



「速いね。」と、Naomiは感心する。


「レオナルド・ダ・ヴィンチは、馬の速度が旅に最適だ、って」めぐ。


「なんでだろ?」と、リサ。



「旅って、景色見るからじゃない?」と、れーみぃ。



ひとそれぞれ、めいめいに自由に感じる4人。



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