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24



優しいお姉ちゃんって、ステキ。


向こうの世界のMegさんは、弟さんが

いるらしいけど


どんなひと、なんだろ。


なんて、めぐは思ったりもする。






並列世界って言っても、

全部同じじゃないのは


時空間が歪んでいるせい、なのかしら。



ぼんやりとめぐは思う。





向こうの世界には、魔物もいなくて。


天使さんもいない。



なので、クリスタさんのような

ひともいない。


神様もいない。




今は、こちらの世界も

魔物がいなくなったから.......




「いろんな世界のひとに会えて、

楽しいかもね。」





めぐは、楽観的。



それも、おばあちゃん譲りなのかな、なんて

自問自答(笑)。








バスは、ふんわり、ゆったり

揺れながら


並木道を下りて、路面電車の

走っている

大通りへと。





「路面電車、いいなー、かわいい。


あれだったら、運転できるかなぁ。」と

リサは言う。




「なれるよ、きっと」とめぐは

そう言ってしまって。





不思議そうにリサが、めぐを見ているのに


慌てて、めぐは「リサ、しっかりしてるもの。

おじいちゃん譲りのレールマン。」って

おどけて言う。




リサは「レールレディよ」と、いいながら





でも、おじいちゃんは、大学を出てから

国鉄に入った方がいい、って



そう、リサは言うから




この時は、まだおじいちゃんを

傷つけたって思っていなかったんだな、と

めぐは気づく。




それは、いつだったのだろう?




たぶん.......

おじいちゃんが天国に行く、少し前。



それで、リサは

罪を感じて、大学へ行くのを

辞めたんだね。




責任感のある、しっかり者のリサ。




本当に、お姉ちゃんにしたくなった(笑)めぐだったりして。







でも、3年も悩ませたくないなぁ、と

めぐは思う。


本当の、おじいちゃんの気持ちを

伝えてあげたい。

でも、どうしたら?



Profetic dream



もし、めぐが

おじいちゃんの最期を

リサに告げたら


縁起の悪い予言になってしまうから


それは、今

言う事はできないと

めぐは考える。




「でも。」リサの話だと

今のおじいちゃんは、大学進学をしてから

国鉄に入ればいい、と

リサに言ってた事になる。





「なんで、リサは

大学に行かないで

路面電車の運転手さんになろうとしたんだろ?」



それは、謎。




何かがこれから起こるって事なのかな?





めぐは、ちょっと

予感っぽい気持ちになったけど



ほんとの予言者でもないので(笑)

それは、わからない。



ただ、わかってる事は




おじいちゃんの真意を、リサに伝えたら

未来が変わるって事。





あの時、Naomiが

リサを励まそうと

バイクで出かける事もなかった事になるけれど

それは、それでいい事なのかもしれないね、と


めぐは、リサ、18歳のリサの

屈託のない笑顔を眺めながら思った。




いつもは

歩いて通う道を


バスで来ると、楽チンだけど


ちょっと、味気ないかな?



そんなふうにも、めぐは思った。





過ぎていく時間のひとこま、ひとこまが


記憶されて


それが思い出になっていくような


そんな気もするから





時間をいくつも重ねたり、巻き戻したり、早送りしたり。


そんな魔法を持っていると、

なんとなく、思い出が薄れてしまうような


そんな気持ちにもなるめぐは、18歳。多感な時期であったりもする。






「じゃ、プール、2時ね」と

リサと別れて、坂道を登ると、すぐに、めぐのお家は見えてくる。




慣れた道だけど、いろんな事を感じながら歩いていると

新鮮に見えたりもする。






「ただいまぁ、おばあちゃん!」と

元気よく


畠の方から、めぐは家に入る。






「おかえり」と

いつもどおりのおばあちゃんの笑顔に


めぐは、安心する。



けれども、リサのおじいちゃんの

話を

考えていたら


なーんとなく、いつか

めぐのおじいちゃんみたいに

おばあちゃんも、天国へ行っちゃうの

かなぁ、なんて。


意識すると、ちょっと悲しい

気持ちになったりして。




淋しい気持ちのめぐ。



その表情を、おばあちゃんは読み取って。




「どうしたの?」と



言うけれども





そんな事を、おばあちゃんには言えない。



秋が来るの」とだけ言って。









だから、リサの


おじいちゃんの事も


おじいちゃんが天国に行くまでは、とても言い出せない。



そう、めぐは思った。



でも。


おじいちゃんの本心を伝える事はできるかな?






そんなふうにも、思う。









めぐは、おばあちゃんに

お昼ご飯を作って貰って。





「きょうは、中華にしましょうか?」と



おばあちゃんが作ったのは、パエリヤみたいな、


ビアンカで頂くような、白魚の

小さいお魚の入った、炒めご飯だった。




あまり、このあたりでは見掛けない、

珍しいお料理。



「チャーハン、と言うの。」

お米を焚いて食べる、アジアの風習に沿った


お料理らしい。





「おばあちゃんは

アジアを旅したの?」と

めぐは、そのお米料理を


スプーンですくって。

頂きながら。




お塩味と、お魚と、

ガーリック風味のご飯で



タマゴ、ふわふわのスクランブルエッグが


混ざっていて。


ペッパー風味。





中華料理って複雑なんだな、と

めぐは、おばあちゃんの旅先を

イメージしながら


そのビアンカのチャーハン、を

平らげた。



ベーコンの小口切りが入ってたり、

刻み葱が薬味だったり。



めぐの感覚だと、オムライスの中身にしちゃいそうだけど(笑)。


これは、こう言うものらしい。








ダイニングで、ご飯を食べてると

にゃごが、子猫を二匹連れて



「ただいま」と

めぐに言ったような気がした。



おばあちゃんは、「おや、おかえり。

お昼ご飯?」と



自然に受け答え。





.......おばあちゃんは、ずっと前から。



にゃごと、お話してたんだ。


めぐは、いまそれに気づく。



thinking praying



ちょっと、見ないうちに

子猫ちゃんたちも、ずいぶん大きくなった気がする。




こないだまで、ミルクのんでたのに。



今は、親分の(笑)にゃごの

お魚まで食べちゃうくらいに大きくなって。




にゃごも、元は人間で


そのあと、悪魔くんになったくらいだから


結構怖い事もできるんだろうけれども


子猫には、優しいお父さんで



お魚取られても


にこにこ、と



譲ってあげていて。





そういうものなんだろうな、と


その様子を見ていてめぐは思ったりもする。





食物の分配がある事が、家族の成立

条件である、と述べたのは


生物社会学、ジャンルの提唱者

京都大学霊長類研究所(当時)の

今西錦司教授である。




人間には、家族が必要であり



その家族は、男女一対でかつ、食物の分配があり

子供を育てる事、そんな条件を

必要とされていた。




ーーーーでも、ねこだって

食べ物分けてるよ。





と、めぐは思ったりもする。




一番大切なのは、愛だと

今西教授も、同じ研究所の河合雅雄さんも





そう思っていた。

でも、日本人にしか分からない感覚だったらしい。





シームレスな、ボーダーレスな感覚。



外国人、特にキリスト教の信仰が深い地域では

愛、のように高級な感情を

人間以外に認め難かった(つまり、動物は格下と思ってる)あたりが

その理由で





比較進化論、チャールズ・ダーウィンのそれが

当時認められなかったのと



同じ理由で(笑)


思想的に、まったく進化していない、などと

当時の学会は批判されて、志を改めたらしいが




信仰とはそういうもので



思考を停止するので、現実から視点を逸らす事ができるのである。




もし、考えてしまうと

救いにはならないのだから。



da-do-ron-ron



信仰も、何かが

好ましいからひとは

、それを行う。


好ましくないことは、ふつうのひとはしない。




そういう訳で、信仰の多くは

限りある命である人間に、

終末が訪れないと、幻想を

与える事で、それを

好ましい、と


思わせる。


なので、子供で信仰深いひとは少ない。



終末、のイメージが

よく掴めないから、である。





なので、魔法使いにとって


信仰はあまり必然性がない。



時間も、空間も自由自在に

移動できるから、である。






天国や地獄、生まれ変わり、輪廻転生、


そういう概念が、ほとんど信仰にあるのは


終末への畏れを和らげるためであったりもしたが




実際に、その世界がある事は



めぐにはわかる。




何と言っても、天使さんに

護られていたのだからーーー。











めぐは、ごはんを食べている

子猫たちを

微笑んで見ている。




子猫は、ほとんど

うちの子、になりつつある。



母親猫は、美人猫なのだけれど


なぜか、子猫はにゃごに懐いていて。


お母さんの家には、時々帰るくらいらしい。





そのあたり、にゃごは


自身の人間だった頃の記憶もあって(笑)

子煩悩である。




優しい父親、として

役立っている。




そんなふうにも、

前世の記憶は役に立つのである(笑)。








「さ、行ってきまーす。」




めぐは、レモンイエローの


スイム・スーツをバッグに入れて。


裏山の、プールへむかうバスに乗って。






いつか、乗ったっけ?



と、めぐは回想するけれど。

それは、旅先の向こうの世界の話でした。





(笑)





そんなふうに、記憶は曖昧で。




複雑になってしまうと、おばあちゃんの

記憶みたいに

こんがらがってしまいそうだった。





「自分の夢に飛び込んで、記憶を

組み直さないと」なーんて

思うあたり、めぐは、魔法使いっぽく。







「あ」めぐは忘れた。



あの、坊やの事を

おばあちゃんに尋ねてみる事を。





そのあたりも、記憶が複雑になったせいだったりもして。






めぐ自身、こんがらがってしまいそうだったから


こんな時は、泳ぐのもいいかもしれないな。


リサが誘ってくれた偶然に、感謝。







緑いろのバスは、ゆらゆら揺れながら


停留所にやってきて。




ばあん、と


空気仕掛けの折り戸が開いた。






鉄の階段が、2段。

ハイデッキのバスは


どこか懐かしい匂いがして。





行く夏休みを惜しむような、ひぐらしの声に

良く似合う。





秋が近くなって、空気が澄んで来ると

この、高い声が良く似合う。



ああ、秋が来るんだな、と

めぐは思いつつ



でも、クーラーの効いている


バスの有り難さを

まだ、感じる陽気でもある。



バスは、扉を閉じ、

運転手さんの白い手袋がルームミラーを示し



左手がギアを入れる。




ふんわりと、バスは走り出すけれど



それは、人知れず難しい技術であったりもする。



坂道から、衝撃なく走り出すには

ブレーキの解放を行う時に

クラッチをつないでいないと、できない。




でも、タイミングがぴったりでなければ


揺れるか、後ろに下がるか。

前に飛び出すか。




ふわ、と

雲のような乗り心地になるには


熟練の技が必要である。



本当の技、と言うのは

そんなふうに、人知れず行うものであったりもして。


それは、めぐが

リサの知らないところで


リサの悩みを解決してあげたような


そんなものであったりもする。






バスは、快適に

山を登っていった。



ゆらゆらと、バスは揺れながら山道を登っていく。


車内は誰も乗っていない。


終点が近いので、昼間はほとんど乗る人がいないから

それはそれで快適だ。



観光気分で、車窓を眺めると

左手には、木々が青々と茂り


ドイツの黒い森のようだ。

その隣に、竹林。


パンダちゃんが居ても、食べ物に困らないだろうな、と

めぐは微笑む。




時々、雪が降ると


明け方、野うさぎさんがお散歩している跡が見える

その丘の上。



夜になると、鹿さんや猪くんが

出てきたりする、自然豊かなところ。



右手には、お茶の畑が見える。


その、向こうに


ルーフィと歩いた、坂道が見える。



.....ほんのちょっと前の事なのに。



とっても遠い日のような、記憶を


朧げに、めぐは思い出す。





それで、いいのかも。




と、めぐは、ふと

思い返すと、少しだけ思い出に

胸が痛むような、そんな気もした。





バスは、ハイウェイの高架をくぐり


温泉、流れるプールのあのリゾートへ。



振り返ると、海が見えるのは

坂道を登っているから。




道が斜めになっているから、自分が傾いているのに

それに慣れると、海がこちらに傾いているような

そんなふうに見えてきて。


水平線が、地面より高く感じたりするのは錯覚である。




地面が、斜めに海に向かっているので

行く手遙かな水平線が、それより高く見える。




3次元立体に住んでいる事がよく分かり

二次元の平面的な平衡感覚で、座標を認識できない事が

このあたりでも実感できる。



----と、めぐが思っているわけもない(笑)。








バスは、ロータリーでめぐを下ろし

薄い紫色の煙を吐いて、また戻っていった。



ディーゼルエンジンの排気は、僅かに酸を感じるが

それは、燃料に硫黄が混ざっているせいで


燃焼して酸化されると、硫黄酸化物、水分と反応すると

硫酸になる。



金属が溶けるのだけれども、そんな理由で酸の匂いがする。









プールは、リゾートホテルの裏手に入り口がある。

スポーツリゾートなので、テニスコートがあったりする


エントランスは、ホテルと分けられているのは

巧みな設計である。




ホテルは静粛に、と言っても

スポーツで高揚している気分を鎮めるのも難しいから


入り口を別にするのは良い方法である。



係員が両方に必要だが、それもおもてなし。



来る人は、気持ちよいところに来るのである。





feel like makin’ love



プールに入る前に、めぐはちょっと408号室が気になって(笑)。



こちらの世界では、泊まった事もないんだけれども。

それが、並列世界の面白いところで

地上の座標は似ていたりして。



空間は、必ず真っすぐには座標が取れないので

どこかが歪んでいるから

その歪みが重なるところで


行き来したりするのが

めぐたち魔法使いだったり。




408号室には、人はいなくて。



その、ドアを見ていても

めぐには、懐かしい。



ふつうのひとには、ただのドア。


思い出って、そういうものかもしれない。





泊まり客エリアに、入ってしまっているめぐは



それでも、かわいい女の子だし

おとなしいから

別に迷惑にも思われてはいないようで




ホテルのひとも、咎める訳でもなく

通り過ぎて行く。




めぐは、その

何も変わっていないような雰囲気を


感じながら。


でも、異なる空間に居る自分を不思議に思いながら



プールサイドへと向かう。








プールの方のエントランスに戻ると


リサと、ガスパールではなく(笑)

ミシェルが待っていた。




「ごめーん、待った?」と

めぐが言う。


リサは、にこにこして「どこ行ってたの?まだ2時前だもん。あたしたちが早いの。」と。




ミシェルは、ちょっと俯き加減に、「こんにちは」白い頬は、夏なのに真っ白で


うっすらと赤みがさしていたりする。




かわいらしい、フランスのお人形みたいな

少年。




この時は14歳で、17歳になった時の

あの、男の子っぽい片鱗を見せるような


雰囲気は微塵にも感じられない。





いつ、どこで

ミシェルはあんなふうに

なっていったのだろう?と

めぐは、未来を知るので



そんなふうに思う。





同時に、おじいちゃんの訃報は

ミシェルをどう変化させたのだろう。







たぶん、お姉ちゃんの悲しみを知って

ミシェルは、お姉ちゃんを護ろうと


男の子らしく、自立を始めた

結果、めぐを意識するようになった。






そんなところだろう。





男の子の自立と言っても、基本的には

生き物であるから



生物行動学で言えば、群れ、と言うか


家族、バンドを率いる行動力であるから




例えば類人猿の隣人たちで

小さい群れを作るタイプで言うと



群れをリードする存在になると、体が

ホルモンで変調する。



環境によってそれが起こるのである。


内分泌、と言う不思議な仕掛で

それが、同時に愛を自立させる。



自分だけのひと、を愛し求めるようになるのだけれども


つまり、リーダーは種を保存する意味でも

愛を求めるのである。






そんな理由で、ミシェルは、めぐを

愛するようになったのかもしれない。





ーーーーと、めぐが思っている訳ではないが。(笑)





この時は、まだまだかわいい少年である。





よしよし、と

めぐでも

撫で撫でしたいような


そんな少年だったり。








じゃ、泳ごう?」と


リサは、3人バンドを引っ張る。



バンド、と言うのは

音楽の、それに似ているけれど

本来は、生態学のような

複数の固体を関係づける用語である。




関係があって、結び付いている


ここでは

、めぐたち3人の事は

バンド、と表現できるのであろう。



many girls and lover



ロッカールームに、めぐと、リサ

それと

ミシェル。


もちろんミシェルは別の部屋(笑)。





夏休みなのだけど、そろそろ後半とあって


プールで遊ぶ子供たちも減ってくる。



北のほうのこの町は、割と夏が過ごし易い

から、

みんな、宿題でもしてるのかな?なんて


めぐは微笑みながら。





「楽しそうね、めぐ」と


リサは微笑みながら。





気づくと、めぐは

プールに来たせいで

自身の

魔法使いとしての悩みを

忘れてしまっていて。




友達っていいなぁ、なんて

思ったり。


困った時に、頼りになったり。



辛い時、そばにいてくれたり。




めぐも、そんな訳で

リサの力になってあげたいと

思って。




あんな事をしたんだな。




めぐの回想(笑)。






水着に着替えながら、めぐは

自分の体をちら、と見たりするけれど

それは、ちょっと恥ずかしい(笑)。




でも、着替えないとプールに行けないから

仕方ない。





リサは「めぐぅ、育ったね」なんて



言うので


「かわんないよ、ちっとも。

リサの方が、」と

言いながら

スリムなリサの脚を見ると




颯爽としていて。



スポーツが過ぎな彼女らしい


さっぱりとしたその脚線美は


めぐには、憧れの


どこか少年のような雰囲気も残る

美しいものであったり。




そういえば、なんとなく中性的な雰囲気もある

ミシェルと、少し似ている。



それを、セパレーツの水着で纏う

リサ。




ほんとなら、そのまま美しい裸身を晒しても


美術的に思えるような

そんなリサのスタイルを



見ていて、めぐは



「新体操とか、似合いそうだよね」と


言ったりもする。


リサは、「そっか。

やってみよっかなー」なんて

ビーチボールで

新体操の真似したり(笑)。





そんな訳なので、女の子の着替えは時間が掛かる(笑)。




ミシェルは、先にプールサイドに出ていて。



ひとりだと、なんとなく落ち着かない。




流れるプールは、温水なので

秋が近いこの時期でも、別に

寒くはないのだけれど(天然温泉だし)。





寒くなったら、ジャグジーもあると言う

至れり尽くせりの温泉リゾートであったり。



気温のせい、ではないけれど

ひとりだと、ちょっと心が寒いかな、と


思うミシェルだった。






真夏とは違う、陽射しは

午後2時とは言っても、そろそろ

水着だけでは涼しいかな、と


ミシェルは思った。





嬌声を上げて、はしゃいでる女の子たちの

姿が、プールサイドのミシェルにも届く。




それを見ていても、ミシェルは



そんなに興味を覚えたりはしなかった。



心にあるイメージは、めぐお姉ちゃんの事で

満たされていて。



本が好きで、大人っぽくて。

優しい。





.....と、ミシェルにはそう映っている(笑)

めぐの偶像。



恋と言うものは、そんなものである。



cecile



その、嬌声のひとりが


とてとてとて....と、ミシェルの方に歩いてきて。



「みしぇーるぅ?どしたのぉ」と


大きな声で言うので、ミシェルは恥ずかしくなって

顔が赤くなった。



「大きな声だすなよ、セシル。」と



呼ばれたその子は、可愛らしいビキニスタイルの水着。

まんまるで、ころころしてて。


髪も、栗色のショート・ボブ。



屈託無くよく笑う子。





ミシェルのクラスメートらしい。




「なによぉ、誰も見てやしないわよ。」と、

ちょっと乱暴な口を利くその子は、でも

ミシェルと親しいようで。




プールサイドを、とてとてとて。と

歩いてくるあたりは、仔犬のように愛らしい。



なんだけど、ミシェルは


めぐお姉さんを待ってるところなので「ちょっと、あっち行っててセシル」と


素っ気無い。





「どして?なんで?」と

セシルは、にこにこしながら。




それでも、なーんとなくミシェルの顔が怖いので(笑)



プールに飛び込んだ。






ゆらゆら、水面から

顔をのぞかせて、プールサイドのミシェルを見ると



後ろ手で、仔犬を追い払うように(笑)。





「なによ、せっかく。

偶然逢えてステキだな、って

思ったのになぁ。」とセシルは

水の中。





ミシェルの視線の彼方に、ステキなお姉さん(セシル視点で。)



それは、ミシェルの片思いの相手、めぐお姉さんだった(w)。





「ふーん.....。そっか。」と、セシルは、ミシェルの表情を見て


なーんとなく、つまんないな、と



背泳ぎで、その場を去った。







リサは、めぐと一緒にプールサイドに出てきて。



「あの子?セシルじゃない?」と。




「帰っちゃったの?」とも。



ミシェルは、ちょっとバツ悪そうに「偶然会ったんです。向こうも

友達が一緒だから、って。」と


追い払ったとは言えない(笑)。






めぐは「かわいい子。」と、にこにこ。





ミシェルは「そう....ですね。」と、否定できない、やさしい子。






magical invention



セシルは女の子だから、ふつうに

ひとりのひとを愛そうと思う。


それは、人間として生きてきた歴史が

彼女の記憶に残っているからで


哺乳類なので、子供を育てる機能があるから

理論的に正しい行動である。







面白い事に、霊長類ひと科でも隣人たちは、家族がないから


例えば母子関係はあるが


父子関係は曖昧で、属する社会全体が


父親の役割をしている場合が多い。




人間も、基本的には似ている。


年長の男は、社会全体の父親として


社会を正しく育てるべきである。




租税をし、公共のために働くのが男の

在り方である。




一時、この国でも



自分だけが得をしようと



公共性を失った男たちが増えた時期があった。




それは、心に魔物がとりついたからであり


既に行ったように、魔法使いルーフィは


心に魔物が取り付かないように


魔法を使った。





魔物たちは、この世界に入れなくなった。





けれども、心に魔がさす、などと言うように




もし、愛するが故に



争う事があったりすると



ひょっとすると、正当な

戦いはあるかもしれないーーーー。





もし、ミシェルが

めぐを愛すれば



セシルが、ミシェルを愛すれば。





人間的な感覚では、争いになるかもしれないけれど




ミシェルもセシルも知らないけれど


めぐは魔法使いである。





時間は自由自在、ひょっとすると、

命も。




そうすると、生きて、子孫を残すと言う

機能に縛られる必要はなくなる。


それは、人間が動物であった名残。





動物的な機能を別ににすれば

愛は、自由になれる。






それは、魔法使いルーフィたちの意識でもあった。



Flash forward



でも、めぐは

魔法使いとしての生き方を強いられるのも嫌だと思っていた。


「だって、あたしが選んだ訳じゃないもの」


それが本心。



自由に生きて、自由に暮らしたい。



別に、結果がどうだって

自分が選らんだ生き方なら、それが一番と

若々しい自負に溢れる18歳の感覚は、そんなもので



なので、リサの弟だから

ミシェルに情けを掛けるつもりもなかったし


リサも、そんな事を望んではいない。






女同士って、そういうものだ。




気が済むように生きるのが、一番!。




そう思うリサとめぐは、ある意味ファイターだ。



自由に生きようとすれば、自由に生きられない人たちから

妬かれる。



それも不思議な事だけど。


自分で、自分を規制してしまうと

何もできなくなる。




リサが、少し前

電車の運転が上手く行かなかったのは

おじいちゃんのために、失敗できない、優等生で居たいと言う

(そんなことは、おじいちゃんは思っていなかったけど)


そういう呪縛だった。



言ってみれば、若さ故の自己顕示の転換である。



誰だって、優れている方が嬉しいと思う。その気持が

転換して、優れていなければならないと思い込んでしまうから

失敗する。



失敗したら終わり、みたいに思い込むから。



そういう気持が無くなれば、なんだってできるのだ。

何度も間違えながら。


それが人間。





自由に生きる為に、まず気持を自由に。






そうしたから、Naomiもリサも

好きな事に向かって、ステップを登っていけた。





もちろん、めぐも

そうなっているのだろう。






なーんとなく、でも、めぐは

ミシェルの3年後を知っているせいか


その後も、めぐ自身と

恋愛に至るとも思えなかった。




.....セシルちゃんの方がお似合いなのになぁ。


と、女の子同士の感覚で、めぐはそう思う。




セシルちゃんの気持が、なんとなく分かるから。

その気持を叶えてあげたいもの、って



めぐは優しい子だから、そう思う。







ふと、その瞬間。

めぐの意識は、ミシェルと、めぐ自身の近い将来をイメージして。



短い、タイム・スリップに飛んだ。

もちろん、瞬間の白昼夢のようなもので、こちらの時間軸では


ほんの数秒の間のこと、である。



意識の中では、0次元モデルになっても

問題なく、代わりに4次元の意識、それを凝縮するので

エネルギーは4乗になる。



それで、タイム・トリップ。






------flash!!! forward.









イメージの中で、めぐは

母校、あの坂の上のハイスクール、そこの旧校舎が

建て替えられる、解体現場に立っていた。




時系列で言うと、10年くらい後なのだろうか。




木造の、趣のある旧校舎は

めぐが在校生だった頃も十分に古かったので


そろそろ寿命、なのだろうか。



周囲を囲われて、これから、解体に掛かると言う

そんな感じ。


でも、時刻は夕刻。



解体は明日、以降なのだろう。






「..........。」めぐの心に、寂寥感。


なんだろう。やっぱり、思い出のある物が

なくなってしまうのは、淋しいのだろうか。




思い出のある、日々の象徴のような。



そこに来れば、過ごした時間を思い出せる。


そんな場所がひとつ、なくなるのは。




人は、やっぱり美しい思い出と生きていくものだから。






それを、どうして壊してしまうのだろう?



と、めぐは思った。

思ったけど、それを魔法で阻止するのも、ちょっと無理。



なんたって、この世界の人に魔法を見られたら

その魔法は消えてしまうのだから。









その解体現場を見ている人の中に、成長したセシルの姿を見かけた。



美しいレディになった彼女は、穏やかそうで愛らしい子になっていて。



「あれなら、ミシェルもイチコロだ」(笑)と、めぐは思ったけど


そこにミシェルの姿は無かった。





「10年くらい経ってるとすると......。会社勤めでもしてるのかな?」と



めぐは思う。




うまく行ってるといいけどな、あのふたり。







foget future



そう、回想していたりすると

「なんか、老婆心っぽい」と、めぐは笑う。



そう、おばあちゃんの心配は

いろんなことを経験しているので


ひとつのことに、いろいろ連想してしまうから。





「つーまーりぃ。」めぐは、18才らしく

考える。



「忘れちゃえ!」


そう、めぐは、夢を自由に見る魔法を覚えたから



夢って、つまり忘れる技術なのだ。




それで、過ぎた事は全部忘れちゃえばいい。


なんたって、時間旅行で未来に行く事も

過去に行く事も、ふつうのひとには起こらない事なんだし。




その魔法で、リサの記憶のうち

忘れたほうがいい記憶を、忘れてもらったから



リサは、悩みを忘れる事ができた。



そう、悩みも記憶なのだ。





「いらないもん。全部。捨てちゃえ!」



台風娘、めぐ(笑)。








....そういえば。



ルーフィさんのご主人様は、その悩みで

眠りについてしまったから......。





「それなら、悩みを忘れてもらえれば....。」

なんて、めぐは考えた。



ちょっと、期待しちゃう。





ルーフィさんが、それで自由になれるなら。



どんなにステキかな?






と、10くらい後の世界に飛び込んだめぐは



やっぱり、旧校舎の建て替えを惜しむらしい


卒業生たちの群像を、遠く離れて傍観しながら

回想を続けていたりした。





forget future



めぐは、その

夢セラピー(笑)で、ルーフィが

ご主人様へのお仕えを終えるなら


いいな、と思ったりもしたけど



でも、電話が通じる訳でもないし(笑)



超11次元宇宙の、隣接空間への

通信、なんて

どうしたらいいか、解らない。




そんな訳なので、「おばあちゃんに聞いてみよ♪」と


いつも、困った時はおばあちゃん頼み。



お気楽でいいの。




そう思って。



とりあえず、家の方へ行って見る。



もちろん、タイムスリップした10年くらい後だから


この時間軸のめぐは、28歳くらいになってるのだろう。




たぶん、図書館に行っている筈だから

昼間、出くわす事もない。




そう思って、並木を歩いて

路面電車に乗って。



大通りで、すれ違う路面電車、幾つも。



リサの姿がないかと思って、見てみたけれど


見つからなかった。



「ひょっとして、自信をつけて

国鉄に転職したのかな?」なんて



それは楽しい空想。


おじいちゃんの後継ぎとして、国鉄に

入るなら



それは、リサにとっても、リサのお父さんに

とっても嬉しい事だろう。




「あれ?  ミシェルは、国鉄に

入らないのかなぁ」なんて、めぐは

思ったりした。




リサが、女の子なのに

おじいちゃんの後継ぎにならなくても

ミシェルがなればいいのになぁ。なんて(笑)


思う。でもまあ、それは

ミシェルの自由だ(笑)し、リサの気持ち

でもある。




リサは、おじいちゃんに

心ならず反抗をしてしまったから

その罪の意識で、ああなったのだし。





回想していて、めぐは

路面電車を下り損なって(笑)



ひとつ向こうまで行って、歩いて戻って来て。




坂道の路地を昇って、家に向かう。





「おばあちゃんは、70歳くらいかなぁ」



なんて、いろいろ想像しながら

坂道を、昇る途中で



にゃごに会った。




彼は、キャットイヤーを生きているから

髪も真っ白になって。





「よぉ」と、めぐに

しわがれ声で挨拶した。





わかってはいるけれど、でも

めぐはちょっと悲しい。




10年も、いきなりタイムスリップしちゃうと。






こういうとこに、すぐ遭ってしまう。





「にゃご。  子猫たちは?」と


めぐは、にゃごの背中をさすった。




背骨がごつごつと、老化を思わせた。





「子猫なんて、とっくに

出てったさ。もう、曾孫もいるよ」と

にゃごは、かたっぽの頬で微笑んだ。






そう、にゃごが猫に生まれ変わった理由は

天使だった、いまのクリスタさんへの想いを

遂げるため。



いつか、自身も天界へ迎えられて

その時、クリスタさんは天使に戻り...。


そうなるかもしれない。


そうならなくても、人に生まれ変わって

今は天使でもなく

ひとでもない存在になっているクリスタさんを

愛するために。


今は、猫として異界から転生している。


その、猫としての時間は、あと、もう残りすくない。


これまでの10年余りを、クリスタさんを愛する事で

生きてきた.....。




「めぐ、お前もがんばるんだな。」と、老猫にゃごは

しゃがれ声で言った。



まだ、めぐには信じられないけれど

時間軸を10年ほど、すっ飛ばすと

こんな事も起こる。





家族を持って、子の成長を見届けて、生きる事を

終える。


でも、彼は、長い長い転生が目的である。



「はい。」と、だけ、めぐは答えたけれど




内心、何をがんばるのかなぁ(^.^;)とか、思ったりもしたけれど。




それは、にゃごには分かっているのだろう。



なんたって、彼は元悪魔くん、なのだから。






にゃごは、じゃな、と

塀の際を、とことこ歩いていった。


もう、塀に登るほどの力も残ってはいないのだった。






「......。」その、背中を見送ると

めぐは、なんとなくだけど


淋しくなった。




生まれて、生きて、そして.....。生きる事を終える。


時間、全て3次元的な時間に結びついている。



生命は

自己で増殖し

代謝し

自律する。


そういう生物学的定義があるけれど


その時間軸は、物理的なものだ。




3次元的な。



でも、心の中は4次元だし、夢の中もそう。

めぐたち魔法使いは、時間旅行もできたりするけれど。




「いい夢みてね、にゃご....さん。」と、めぐは、彼の後ろ姿に

そう告げて、見送った。








family



めぐは、いつものように

畑の方から家に入ろうとした。



トマト畑から、おばあちゃんが出てきて


「おかえり、めぐ」なんて言って。


にこにこしてくれると、めぐもにこにこ。




そんな毎日は、なーんとなくしあわせ。




そう思って、めぐは

なにげなく

10年ほど後の、この時間軸で


同じ事をした。




やっぱり、おばあちゃんは


畑で、草取りをしてたり。




大きな麦藁帽子をかぶって。





「めぐ、おかえり。あら?」と



タイムスリップしてきためぐを迎えてくれた。





いつか、ルーフィたちが訪れた時のように



クワスとヨーグルトを、農機具小屋で



冷たいものを頂ながら。





おばあちゃんは「そうね。未来は確かに気になるわ。



あまり知りすぎると、つまらないのも

よくわかる。




ルーフィさんのご主人様は

、それで、眠りに入ってしまったの?」と


おばあちゃんは、めぐの想像に

答えた。




それは、想像よ、と


めぐは言う。






「それにしても、18歳のあなたは素敵ね。

とってもかわいいわ。


フランスのお人形さんみたいよ

」と



おばあちゃんは言うので


めぐは、恥ずかしくなって、頬が染まった。




「いま、ここに住んでるあたしは、どんな?

大人っぽくなってる?」と


めぐは、気になってる事を

おばあちゃんに尋ねた。





おばあちゃんは、楽しそうに笑って



「はい、とても素敵なレディよ。

おばあちゃんの一番の楽しみだもの。

めぐが、しあわせになる事が。」と




魔法使いにしては、ふつうのひとみたいな

おばあちゃんの願いに、めぐはちょっと聞いてみたくなった。





「おばあちゃんは、魔法使いで

永遠に生きられるでしょう?



どうして、そんなにふつうなの?」







おばあちゃんは、少し考えて、

トマト畑の草を集めながら



「そう、でも

おじいちゃんと出会ってしまったから。


人間として、しあわせに生きるのが

やっぱり、大切だし。


家族の中に生きていくって

やっぱりしあわせだもの。


」と、笑いながら。






めぐは、半分納得しながら



それだと、魔法使い同士で

出会ってしまったら


どうなるのかなぁ、なんて

思ったりもした。





もちろん、ルーフィ、それとめぐ自身と

Megの事だけど。




10年後も、おばあちゃんの話だと

まだ、めぐ自身は


答を見出だしていないらしい(笑)。







そっかぁ、と


溜息をついて。


めぐは、自分のお部屋の方へ行こうとした。




おばあちゃんは「あ、今

家族に会うと変よ?


あなたは、18歳のままだもの。」


と、おばあちゃんが言うから

めぐはそれに気づく。




「そっかぁ」あまり、何も変わらないので、

錯覚してしまった。



でも、お母さんやお父さんが見たら



それを、ドイツ語のドッペルケンガーとか、

二重身、なんて


言われるのかな、なんて


思ったりもした。




家族のために、おばあちゃんは

魔法使いとしての生き方より


人間としてのしあわせを選んだ。




と、いうよりも


選ばれたから、そう

生きたんだろな、と

めぐは、女の子っぽく想像した。



おじいちゃんに想われて。


おじいちゃんをしあわせにしてあげたい。


それが、しあわせだと思ったら




「やっぱり、そうなってしまうのかな」


なんて、回想しながらめぐは歩いて。



温泉の小屋の前、日陰のとこで

涼んだ。






にゃごが、のこのこ、と

歩いてきて。



どこか、にゃごに似た子猫が3ひき。



「かわいい.....ああ、孫か!」めぐは

その、白と、とら猫、それとぶちの

にゃんこたちを

遠くから眺めた。


にゃごも、愛おしむように


子猫たちを見守っている。


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