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人間は天敵がいない。



その為に、同じ種の中でも

自分たちのドメイン(最小は恋人とか、家族とか)以外を

排他する事が基底にあったりする。



遺伝子、と言う最小単位がそうして

優れた種を残そうと言う仮説もあるくらい。



だけれでも、それよりも強い感覚が

生物的に、弱い者を守って育てていく性質である。


それが愛、だ。








おでんわ




「出る?」と、おばあちゃんは

めぐの様子を見て、そう言う。



出たくないような、でも

声を聞きたいような。



そんな、複雑、相反。



そういう気持ちは誰にもあるけれど



めぐのような女の子も、そうみたい。





いい声って、なんとなく

安心できたりする。




お散歩している時、かわいいにゃんこが


「にゃー」と、寄ってきて

すりすり。




そんな時の声って、かわいいと思うけど




そういう音響心理的に、魅力を感じる声って

誰にもあるもので。




自然に、心を惹かれる声は

周波数特性、と言って

物理法則で定義できるので



最近では、会話できるコンピュータの

声に、それを使ったりする。


それは、簡単なもので

赤ちゃんの声を好むように、人間は出来ている、と言う事だと


進化生物学、動物行動学の論者は言う。




つまり、年少の者を庇護するプログラムである。






例えば、音楽でエレキギターの歪んだ音が

人を魅了したりするのも



同じ理由である。




真空管のギター・アンプは

電圧制御素子で、NFが緩いので、出力を超える、つまり歪んだ時に

人間の声に近い特性になると


電子工学、音響心理学、人類行動学、社会生物学等の共同研究からはそう言えるが





それが、赤ちゃんの声に近いと言う推察は

面白いものだ。






科学的な定義をすると



めぐが、ルーフィの声に安堵するのは

そんな理由である(笑)。







とりあえず、めぐは


自分の世界に帰るのを、思い留まった。



生物の限界



そうした報酬系と呼ばれる

快い、情緒と行動(縮め、情動と呼ばれる)は


生物が生き延びた結果である。



生き延びる為に正しい行動を

快く感じるようにプログラムされているので


そう感じるだけ、だ。



誰がいつプログラムしたか?と

問われると



長い生物の歴史の中で、自然に

そうなってきた、と

考えられている。




しかし、人間の社会は

自然環境とは異なる。



そうした、生命の営みが

快い、と言う


その感覚だけを楽しむ人間も多く




過程を楽しむのが趣味であるので

その帰結も自然であるが




生命を得て、生命を継承する機能であるところの快さ、である。




継承せずに快さだけを求めるのは不条理であり



その機構からして、心の機能に問題が生じる。





単純にモデル化して見ると



その快楽報酬系は

人工的な麻薬によって得られるそれと


類似である。



つまり、依存が生まれたり、禁断症状が

あったりする。




そんな理由で、この種類の人間は

抑制系に問題が生じたりする。



故に、めぐのような女の子は

防御を必要としたりする。




人間になぜ発情期がなくなったのか?と言う

進化生物学的な問いを求めるまでもなく




宜しくない事だ。




魔法使いルーフィは、しかし

人間ではないので

危険はない。




ともあれ、それもまた

人間の恋愛対象としては


不都合であったりもするが(笑)。







そんな理由で、めぐは電話の

彼の声を聞きたいと思う。




それで、幸せなら


それもいいのだけれど。



慕情



つまり、進化生物学的に

その、生命を継承するプログラムに支配されてしまう。


科学的に言える、恋に恋すると言う行動は


そんなところである。




相手がルーフィであった事は


偶然か必然か。




そこに物語を見出だすと


運命、なんて

夢想的で楽しいのだけれども。




めぐは、電話に出る。





おばあちゃんの温もりで


温かくなった受話器の

軽さは


なんとなく、懐かしい。




そういえば、無線でない電話って


しばらくぶりの事だ。







めぐは、ルーフィの声に安堵する。





裸の心を晒してしまったので

少し恥ずかしい気持ちもあったけれど



彼は、その事を覚えていないかのように


平然と言葉を発した。




それは、理路整然と



これまでの推察と、仮説を述べた言葉だった。




坊やは、たぶん過去の世界から



次元の裂け目を落ちてきた存在だから過去に旅しないと。








その言葉を聞いて、めぐは思った。






「過去って、いつごろ?」そうは思った。





その答をルーフィは用意していた。





「イメージで飛ぶのさ。


坊やのいた年代へ飛ぶ、と」






そうすれば、坊やの心へと


その気持ちが伝わる。




記憶には、断片的に時間が刻まれているから

それを感じ取って、その時代に行けると思うよ」





めぐが、魔法の練習をしていた時に

イギリスに飛んでしまったのも


そんな理由によるらしい(笑)。





しかし。






めぐが、ルーフィへの思慕を

持ったままだと




ひょっとすると

ルーフィのいた


イギリスに

また、飛んでしまうかもしれない(笑)と


めぐは思った。




今度は、18世紀のイギリスに。



最後の晩餐



「はい。がんばってみます!」と

めぐは、坊やのため、と.....。



自分を奮い立たせるように。


ほんとうは、もう帰ってしまいたいけれど。



でも、坊やをお母さんのもとに返せるのは

魔法が使える自分だけ。


そういう風に、めぐは思い込むことにした。



おばあちゃんも魔法使いだから、一緒に行って貰おう(笑)とは

思ったけど。


それで「おばあちゃん、聞いた?今のはなし。」と。



おばあちゃんは、うんうん、と頷いて「そうね。時間旅行ね。

ひとりじゃ淋しいの?」と。



めぐは、おなじようにうんうん、と頷いて(笑)「ひとりじゃ怖いもん」。






それはそうで、過去に飛ぶのは

はじめての事だし。



ひとりで若い女の子が飛ぶのはちょっと怖い。



坊やを連れて飛ぶのは、エネルギーも使う。



魔方陣で座標が決められないなら、感覚だけが頼り。





そういうときは、おばあちゃんが頼り。


ルーフィは、まだ魔法が使えてないんだし.....。



どのくらい過去なのか?と言うと


ルーフィの推理だと、原子力開発が無かった頃、と言うから

相当昔らしい(笑)。







めぐは、その夜

のんびりとディナーを楽しんでから


次の日、ゆっくりと支度をしようと思った。



なにしろ、飛ぶとなったら

しばらくは戻って来れないかもしれない。



ひょっとしたら、ずっと戻れないかも(笑)なんて

思ったりもした。



それだったら、最後の晩餐も楽しんで。とかね。




心とこころ



その日のディナーは、オリジナリティのある

多国籍料理だった。



蕪蒸しのソース、味噌風味。



コンソメふうの、これは和風のだしで蒸した

日本料理。



味噌と、ミートソースのような

不思議に美味しいものであったり。






その他、白身魚の包み焼き。




テンダーロインのステーキ。




冷製パスタのサラダ。





フォワグラ・トリュフソース。




アンチョビ・キャビア。




ボルシチふうスープ。







などなど、いろいろな国ふうの


アレンジが楽しめるメニュー。



作りたてを頂けるのが、何より嬉しい。





それが、いちばんのおもてなしだと


おばあちゃんは、にこにこ。





美味しく食べて貰おうと、テーブルに着いた人を見てから


最後の仕上げをして。



温かいうちに。





豪華なものでなくても、それが

なにより嬉しいと



おばあちゃんは、にこにこ。





食べる人のペースを見ながら、次のお料理を作る。





それも、おもてなし。



沢山のお客様をおもてなしするのは難しいけれど


それは、心に残る事になるかもしれない。






快い思い出。



いつか、思い出して

また訪れたい、そんな風に


思って貰えると




それは、良いサービス。





ホテルもエンターテイメント、そんなふうに

思っているのだろうか



館長さんの人柄を感じたような、

そんな気がしためぐだった。






「あたしは、快い思い出を

誰がに作ってあげる事ができるかしら」蕪蒸しを


さっくりと、ナイフで切りながら




めぐは思う。













ディナーを頂いて、心温まるのは


とても素敵な経験だった。




お腹は、ふつう温まるけど。(笑)







お料理でなくても、何か。



あたしにできる事で、ふだんの生活の中で

優しくできたらなぁ。





そんな事を、めぐは思った。




おもてなしも、優しい気持ち。





シェフは、お金を貰う為に

料理を作っているんじゃなくて。





優しい気持ちを、お料理に込めているんだと

めぐは思う。




その気持ちに触れて、レストランにまた来たいと


思う人が、増えれば

シェフへのお礼、として



結果的に、お金も入ってくるだろうけど


お金の為に働いていたら、気持ちは伝わらない。





もし、お金の為だったら、あつあつの

お料理をみんなに出すのは

人手も掛かるし、面倒だから。



運が悪いと、ぬるいスープが来たりする(笑)。






それはふつうのリゾートだけど。





そういうところより、ここのリゾートは

また来たい、そう思うので




繁盛してるの。





めぐはそう思った。





あたしに、できる事をしてみよう。



supervision by newtrino



あたしにできること.......。

めぐは、考えて。


「やっぱり、まず、坊やの幸せを考えて。」



ルーフィの言うように、坊やの記憶の中に

生まれてからの時刻が、どこかに刻まれている。



そう思って。



お部屋、408号室に戻ってから


おばあちゃんは、また温泉に行くって(笑)。



めぐは、夜中にそっと入ろうと思って(なぜかって、また、サインくださーい!が

来ると困るし)



ひとりで、408号室のリビングに。




ここはスイートだから、お部屋3つ。


そのうちのひとつ。




「あ、家族温泉ついてるんだった」と、めぐは気づく。



そこなら大丈夫。


バルコニーに露天風呂。手前に内湯。


バスルームから出られる。




それもいいかな、と思って。


浴衣に着替えて(なんたって、気分だし)。



バスルームに。




そこで、ちょっと思いつく。



「ルーフィさんがしたみたいに、坊やの映像を見れないかしら。」




それで、坊やと心が通じれば。

どこの時代に飛べばいいか、分かる。





めぐは、浴衣を脱いで。


お風呂に入りながら、お空を見ながら。



坊やの映像を見てみようと。



おーるぬーど(笑)。



誰もみてないと、ひょいひょい。




バスルームの鏡は、上半身しか映らないけれど

でも、自分のぬーど(w)ちょっと気恥ずかしいような。



.....あたしのことを、愛してくれるひと。


それって誰だろう。


右手で、そっと左の胸に触れてみる。



確かに、ここにあたしは居る。





そんな、あたりまえのことを、手のひらで確認してみたりして。



バルコニーへ、とっとこと(w)。



ちょっと、ほんとに恥ずかしくなった。








露天のお風呂は、当然ひとり用だけど

気楽でいい。



お空は真っ暗、お星さまきらきら。




空気が、すこし澄んできたみたい。




水蒸気が減ってきて、星が綺麗に見えると

もうすぐ、秋がくる。





そんな風に、季節の移ろいを感じながら


すこしづつ、楽しく日々は暮れてゆく-----




めぐは、ルーフィがしてみたように


右手で空に円を描いて。





坊やの映像を写してみようと思った。


理論的には難しくない。


いつも、空間移動しているのと同じで


ある範囲の、2次元空間を

別の座標から参照するだけだ。



今回は、同じ時空なので

3次元座標にある空間軸をずらすだけだ。



移動するわけではないので、ニュートリノのような

光速を越える粒子に波動を起こさせて

空間を飛び越えて。


参照先の光場、つまり光の反射で起こる情報、ふつうに見える視界を

こちらに転送するだけ、だ。



たとえば、星は何光年先、と言って

光の速度で何年もかかる距離にあったりするけれど


そこからの光場の情報を、超光速通信で観測すれば

空間を飛び越えたのと同じであるし



相対性理論より、光速を越えれば空間が歪む(e=mc2)であるから


同じ時空間で行えば、それで転送ができる。






そう、理論的にめぐが考えているわけではないけれど(w)

魔法はそんなことを、オートマティックに行ってくれる。



そこが、素晴らしい。








そうして、めぐは

坊やの映像を見た。


見た、と言うか


もう、眠っているらしくて

真っ暗な中(笑)。



Megのおばあちゃんと、一緒に寝てるみたい....。






そこで、めぐは


坊やの心を思った。



温泉に浸かりながら。






よく考えると、映像はいらなかったかもしれない(w)なんて

思いながら。






似た者同士



そうして、めぐは

温泉に入りながら


坊やと心をつなごうとした。



でも......。



心はつながった感じがする。



ねむっているんだよ、と言う

心地よさが感じられて。



しあわせそう。




だけど、思い出の時間が感じとれない。




図書館で、めぐたちと出会う前の

思い出が、感じられない。






「どうして?」と


考えながら、めぐは

坊やの気持ちを案じた。






わからない。



温泉につかりながら、だったから



お風呂でのぼせて。




ゆでタコさんになってしまって(笑)。




出よう、と思ったら


めまいがして、立てなかった。




湯舟のそばで、仰向けに寝転んでいたら


風が涼しかった。


お星さまが綺麗だった。





そのうち、おばあちゃんが

温泉から戻ってきて。




「めぐ?どこなのー?」と、のんびりした声。





おばあちゃんは、とことこ。



お風呂が明るいので



お風呂場へ。





露天風呂で寝てるめぐ、を見て




「風邪引くわよ、裸で」と、


にこにこ。




のんびりしたおばあちゃん。





女同士だと、気兼ねが無くていいけど。






なんて、めぐは思った。






めまいが収まってから、よろよろと


めぐは


起き上がって。




浴衣を着て、リビングに戻った。





お茶を飲んでるおばあちゃん。


ラジオだろうか、音楽が流れていて。



クラシックのピアノ曲。



どびゅっしー?だったかな。

月の光、と言う曲だった。



ふんわりとして、夜に似合いの。







おばあちゃんは「あら、めぐ。起きたの。]




と、のんびり。






「うん、のぼせてしまった」と

めぐが言うと





「あら、大変。」と。



のんびりと。




めぐは、お風呂で起こった事を話した。



坊やは、どうして過去の思い出が

ないのだろう?





その疑問を、おばあちゃんに聞いた。





おばあちゃんは、少し考えている。




音楽を聞いて、目をつぶって。



そのうちに、こっくり、こっくり(笑)



寝てしまった。






あらあら.....。





おばあちゃん、風邪ひくわよ(笑)。







似た者同士である。










しばらく、こっくり、こっくりしてると





おばあちゃんは、大きく揺れて。

目覚めた。





.



帰り道



おばあちゃんは、のーんびりと

まどろんでいるよう。



少しの間。



そういう瞬間は、快いものなので


めぐは、おばあちゃんに

話し掛けないでいた。




しばらく、おばあちゃんは



そのまま。



心の中では、時間が流れていないような

そんな時。


感覚的な時間は、物理的な時間とは


違うので




つまり、感覚的な時間軸は

4次元なのである。







「あら、めぐ。お風呂?」と




おばあちゃんは、ふんわり。




「うん、もう出た」と。


めぐも、にこにこ。






しばらく、お茶を頂いたり


お菓子を楽しんだり。




そのあと、めぐは


おばあちゃんに、坊やの事を

聞いて見た。




どうして、思い出の時間軸がないのだろう?。





おばあちゃんは、少し考えて「そうね。思い出って言うのかしら。




そういうものがない、生まれたばかりだとか......。」と



おばあちゃんは、ふんわりと。






めぐは、思う。


生まれたばかりの赤ちゃん、じゃないね。





もし、記憶の時間がない、とすると.....



「記憶を失ったとか....。」

過去の人ならそう。



放射能に塗れていないなら、記憶喪失じゃない。




この時空間の人なら、そう。





ルーフィの魔法が効き目を失ったのだから、この時空間の人、なんだろうけれど。





「生まれ変わりなのかもしれないわ」と、おばあちゃん。





それなら、確かに。


いきなり生まれ変わっていれば、記憶は無くてもふつう。




でも、誰が、どうして?





めぐは思ったけど



とりあえず、過去への時間旅行はできない、って

事だけは確かだ。







その夜は、のんびりと。




深夜に、大浴場の露天風呂に入ったりして。



こんどはのぼせないように(笑)。



お月さまが綺麗な夜。




温泉を楽しんだ、めぐ。






次の朝、おばあちゃんは

ルーフィに電話をして。




坊やの時間旅行ができなかった事を


伝えた。



彼も不思議がってはいたけれど。








リゾートは、楽しかった。

いろいろあった楽しい夏休み。




いつまでも

リゾートホテルにお世話になっているのも、

ちょっと気が引ける(笑)ので



とりあえず、家に帰る事にした。





坊やの手がかりも、何も掴めない。



時間軸の座標は見つからない。



いつまでもここにいても仕方ない。




それよりなにより、予定がのびのびになっていて

図書館の仕事を、クリスタさんに

任せっぱなしなのも、気になった。








もといたところに戻るのは、楽だ。




リゾートホテルの館長さんに、ごあいさつをして。





「お世話になりました」と。



そう告げると、館長さんは「残念です」と

それでもにこにこと。





別れも爽やかに気遣うのは

彼のおもてなしなんだろう。




めぐは、そんなふうに思った。




おばあちゃんは、また、あの


ハロウィンの魔女の衣装を着て(笑)



よほど気に入ったのだろうか、楽しげだ。




無邪気でかわいいおばあちゃん。






帰りは、ふたりだけ。



ちょっと淋しいけど、仕方ない。




408号室に戻って、忘れ物がないか、確かめて。



おばあちゃんは、お土産いっぱい(笑)。



魔女の扮装で買い物カゴ持ってるのはなんとなくユーモラス。


めぐは、そのままバルコニーから飛ぼうと思った。




魔法陣を、心で念じる。


すると、輝いたそれが、すぅ、と宙を舞った。




だいぶ、魔法には慣れた。

でも、できない事もいっぱい。

めぐは、なんとなく複雑な気持ちで


もとの世界に戻ろうとした。


flash!



take me to mardigras



例によって、3次元実体を0次元--超弦理論的ゆらぎモデルに

変換し


重力の影響下から解放される。


F=mgh m=0


∴F=0



空間の光子波動に同調し

質量のない0次元モデルは急加速され、ニュートリノ波動を捕捉し

光の速度を越える。






重力場では光さえ曲がる。

超光速、しかし質量のない0次元モデルは

重力に影響されず、真っ直ぐに進める。


結果として、隣接する11次元宇宙空間へと進める。



それが、魔法。





めぐは、自分の世界に戻ってくる。



少しづつ、0次元モデルを3次元展開すると


重力場に従い、緩やかに下降。


地球は時速1700kmで自転し、110km/hで公転している。


遅れ位相で連なる大気は、慣性の影響である。





空から見る地球は、やはり美しい星だ。



台風だろうか。


コリオリの力で、大きな渦を巻いている。




ゆっくりと帆船のように下降する、風向きを見て。



それを、魔方陣に書くのだが


今は、もと居た場所に戻るので、感覚で飛べる。



ツバメが空を旅するように。










めぐ、と

おばあちゃんは


ふわふわと、空を漂うようにして

もと居た街へ戻ってきた。




やっぱり、いろいろあっても

自分の住んでいるところは、いいものだ。







「ただいまぁ」と、めぐは、ふわり。


2階のバルコニーに下りた。


おばあちゃんは、魔法の杖と魔女の扮装なので


それらしく、三角屋根に降りた(w)。






にゃごは、お屋根でお昼寝中。



2匹の子猫も、少し見ないうちに

ずいぶん大きくなったように見える。




お昼寝から目覚めたにゃごは、ちょっと淋しげな表情。





.....どうしたんだろう?。






めぐは、そう思ったが


にゃごは、寡黙なので

これまでも、言葉を話した事はない。




おばあちゃんなら、なにかお話できるのかしら?











one second,onetime



おばあちゃんは、ハロウィンの魔女衣装

のまま。


黒い尖んがり帽子とマント、魔法の杖。


それなので、にゃごも

ちょっと、怪訝な顔なのかな?



めぐは、そう思ったけど


そうじゃないみたいだった。





おばあちゃんは、にゃごを

抱き上げて


よしよし、と

撫でていて。




子猫二匹が、だっこしてぇ、と



見上げて。


にゃー、にゃー。




めぐは、その二匹、ふわふわの子猫を


だっこして。



おばあちゃんみたいに


よしよし、と。



温もりが伝わって、いい気持ち。




おばあちゃんは、にゃごと

心が通じるみたいで。




その、にゃごの淋しげな表情の意味を

読み取った。






「めぐ、あのね....さむくん、って

岬のわんこが、天国へ行ったみたいなの」と。



おばあちゃんは、淋しそうに言う。





「え!?」めぐは、びっくりした。



ちょっと旅してるうちに、そんな事があったなんて。




あの、岬のお家で。



絵本に入ってしまった、あたしを助けてくれた、大きなわんこ。



老犬だったけど。



穏やかな、ゴールデンレトリバー。



「いきなり、そんな。」

めぐは、急に悲しくなった。





おばあちゃんも、淋しそう。



歳を取ると、より、そういう事に

センシティブになる。



それは仕方ない事だけど。




例えば、ピアノの詩人、フレデリック・ショパンは

病弱だったので、詩的な、音楽が好きだったとか



そんな理由を聞くように。



生命を持つ生物にとっては、大きな命題である。




いつか、天国へ行ってしまう。誰だって。





でも、最期の1秒も、最初の1秒も


物理的には同じ1秒だ。



感覚的には違う1秒だし、相対性理論的には

時間軸が変化するか、空間軸が変化する事も

有り得るので



そんな時、1秒の単位はゆらぐ事になる。







楽しい1秒なら。

短くてもいいのかもしれないけれど。




「さむくんは、幸せだったのかしら」と、めぐは思う。





たぶん、そうよね。


穏やかに、一生を終える事ができたんだもの。




みんなのために、一生懸命になって。




天国に行ったのね。


そう、めぐは思う。

でも、淋しくて


落涙してしまったりする。



人間だもん。そんな事もある。







「めぐ」おばあちゃんは、めぐを抱き寄せて。



優しい子ね、と


めぐを撫でた。




おばあちゃんんお優しさが嬉しくて、

なんとなく、めぐは安堵の涙を流す。




「さむちゃんは、きっと、生まれ変わるわ。

また、あなたに会いに。


生まれ変わって、また出会うの」



生まれ変わり



めぐはふと思う。



「あの坊やが、おばあちゃんの言うように

誰かの生まれ変わりだったら?」


そして、老犬さむの

生まれ変わりだったりしたら。






そんなことは、ある訳ないけれど

もし、そうだったら


さむは、坊やに生まれ変わって

めぐや、ルーフィたちに

会いに来たのかもしれない。




そんなふうに思うと、図書館に

どうして現れたのか、なんて事も

意味があるような、そんな

気もしてきたり。




それは、空想。



でも、そんなふうに

生まれ変わっって、生きてくれたら


いいのに。




そう思う事もある。



優しかったおじいちゃん。



天国から、誰がになって

帰って来てくれたら。




いいのに。





なんとなく、似ている人とか

どこかで会った事のあるような気がする人ってあるけれど



生まれ変わりの人だったりして。





めぐは、そんなふうに思ったり。


にゃごのように、元々人間で悪魔くんになって。



それで、にゃんこに生まれ変わったりする、

そんな人もいるくらいだから



生まれ変わって、誰かになっている

そういう人もいるんだろう。




気づかないだけで、めぐや

ルーフィ、Megも

誰かの生まれ変わりかもしれない。





「そんなのがわかったら、すごいな」めぐは

思う。


ちょっと怖いかもしれないけど(笑)。





めぐやルーフィたちに、前世の因縁があったりしたら



ちょっと。(笑)





めぐは、老犬さむの

住んでいたあの、岬に家に

行ってみたくなった。



そういえば、モペッドに乗って

ルーフィさんと帰ってきたんだった。



なんだか、遠い日の思い出みたい。




ほんの少し前の事なのに。







そう、めぐは思う。



それはたぶん、恋が終わってしまったので

希みがあった、その夏休みの前の日が


とても遠い日のような、そんな気がするのだろう。






めぐは、その過ぎた日の思い出と

恋の記憶、それと

さむの死を重ねて考えていたりした。




イメージ、悲しい事。



そんな連想だけれども


気持ちは、記憶されているので



悲しい気持ちで見聞きしたものは

「悲しい」感覚でいると

連想される。




仕掛けは単純で、ひとの記憶には

それぞれの感情に見合う、スイッチがついていて



それが、人間では

ケミカル、化学物質でスイッチされている。



神経内分泌、と言う仕掛けなので



例えば、ある物質が足りなくなると


憂鬱な気持ちが続いたり。




その反対に、いつも爽快な気持ちが続いたり。




そういう事も、スイッチで起きている。









それなので、いまのめぐは


悲しい、スイッチが


入ってしまったみたいだった。



live,life



「おばあちゃん、あたし

さむくんのお家へ行って来たい。」と

めぐは、おばあちゃんに包まれながら


そう言った。





「はい、いっといで。めぐは、いい子だね。」と

おばあちゃんに

髪を撫でてもらうと


悲しいきもちは、どこかに消えた。




ずっと前にも、そんなことがあったような気がすると

めぐは思う。



幼い頃も、おばあちゃんは



いつも、優しかった。



おじいちゃんも、やさしかった。





お気に入りのおもちゃがこわれちゃった時、は

おじいちゃんが、一生懸命に直してくれたり。


お人形さんの洋服を、おばあちゃんにつくってもらったり。



いつも、撫でてもらうと

つらいことも、なくなっていった。




おじいちゃんが天国に行ったとき

めぐは、最初意味が分からなくて。


どうして動かないんだろう?と思っただけだった。



眠ってるのかな?



そんなふうに思っただけ。



でも、そのうちに

おじいちゃんの姿が見えなくなると、悲しくなった。



「おじいちゃん、どこに行ったの?」と


幼いめぐは、おばあちゃんに尋ねたりした。



おばあちゃんは、黒い服を着ていて「めぐは、いい子ね。」と

なでなでしてくれた。



おばあちゃんは、なぜか淋しそうだった....。




でも。


いまのめぐは、魔法が使えるから



おじいちゃんに会いにも行ける。





いつか、行ってみたいと

思ったりもする。



















Angel Crysta



次の日。


めぐは、少し早く目覚めたので


さむくんの、岬の家に行こうと思った。



久しぶりの自分のお部屋。


なーんとなく、あの


丘の上温泉リゾートホテルの408号室を

思い出してしまうけど



やっぱり、じぶんのお部屋はいいな。



そんな風に思う。





おうちにだって、温泉はあるもん(^.^)


そんな事を思ってると、さむくんがいなくなって

淋しいって気持も、少し和らぐ。



気持って、いっぺんに複数の気持にはなれない。


そんなことを、めぐは思った。




朝の光を、レースのカーテン越しに感じると

なんとなく、幸せ。



夏休み。



学校に行かない、と言うか

決まった時間に行かないとダメだと言うのは

少しだけ、気が重い朝だったりするのは



誰も同じ。



めぐだって、しっかりしているようでも....

やっぱりニガテだったりする。





図書館は、朝9時からだし

そんなに気にすることはないけど。








早めに目覚めると、お空もなんとなく

さわやかな感じ。




お部屋を出ると...




「おはようございます」と、クリスタさんが

さわやかな声でご挨拶。



クリスタさんのゲスト・ルームは

めぐのお部屋の前。



めぐも、「おはようございます」と。




クリスタさんは「きょうもいいお天気ですね。」と

にっこり。




はい、と

めぐもにっこり。



するけれど、ずっと図書館の仕事を代役させてしまって...。

と、ちょっと後悔。



「あの、きょうはさむくんのお家に行って来たいのです」と

めぐは、クリスタさんに、図書館の仕事、ごめんなさい、と言う気持で。






クリスタさんは、にこにこ。


「はい、きょうは月曜なので。図書館お休みです。」と。



あ、そっか。



じゃあ、あしたからでいいかな(笑 仕事。






めぐは、すこし気楽になった。







I'll never see you smile again



でも、岬の家に、あの

さむくんのお家のひとは

めぐの事を知らないから



行っても、困っちゃうかもしれない。


けど、めぐは


どうしても、あの


さむくんに、お礼をしたかった。


魔法を間違えて(笑)2次元の絵本の

入ってしまっためぐを

助けてくれた恩人、だったのだから。




彼がいなかったら、めぐは

今頃、ここにはいなくて



絵本の中にいたかもしれないんだから。





彼にとって、何も得でない事なのに

朴訥に、彼は

めぐを救ってくれた。




優しい、そんな彼が

天国にいっちゃった。




突然だけど。





それで、会いたいって思った。







めぐは、いつもの路面電車を

港の駅で降りて



バスに乗り換えて。






オレンジ色のバス。

アイボリーとのツートンカラーで


なんとなく可愛らしい、まんまるバスは

ゆらゆら揺れて、岬を目指した。

モペッドだと遠く感じないけど



結構、バスはのんびり走るので



遠く感じた。




時間の感覚ってそんなもので



早く、会いたいなんて思うと

道中が長い、なんて思ったり。





それでも30分くらいで、岬に着いた。





記憶を紐解きながら、めぐは

あの岬の家を目指す。




坂道を降り、松林。



砂混じり風、さらさら。


砂浜に風紋。





なぜか、岬にあるそのお家。




おうちはあったけど、さむは

もういない。





そう思うだけで、めぐは

涙ぐんでしまう。






さむと、一緒に住んでいる三毛猫、たまが


とっとこ、とっとこ。



涙ぐんでいるめぐの、足元、すりすり。






めぐは、しゃがんで


たまを撫でる。





「あったかい.....」温もりだけで



なぜか、有り難く感じる。



淋しいときって、そんなもの。








たまの後を追って、あの

絵本を借りた子が


めぐのそばに来た。





「お姉ちゃん、泣いてるの?ぽんぽんいたい?」と




優しい声を掛けられると、なおさら

涙が零れてしまう。




「ままー」と、その子は

母さんを呼ぶ。



あの、絵本を借りに

巡回バスに来た人。




「いかがなさったの?」物腰が上品な

その人は、しかし若い人で



優しげな雰囲気。






めぐが、あの、さむくんが、と言うと



その人は、察して


めぐを、家の向かい側、岬の海が見えるところに

招いた。





「さむは、ここから海を見るのが好きでした」と



その人は、もう遠い表情で渚を見る。




そこに、さむの墓標があった。




いつも、使っていたらしい

おもちゃや、

お散歩紐。



それを見てるだけで、めぐは


泣けてしまう。





どんなに想っても、もう、あなたの笑顔には


出会えない。



I'll never see you smile again....



my memories of you



優しくて、穏やかで。

おじいちゃんみたいな、さむくん。



なんで、天国にいっちゃったの?



と、めぐは

さむくんを思い返す。


その、思い出のひとコマづつ

涙が、めぐのまるい頬を伝う。




「思って頂いて、さむは幸せですわ」と



絵本の子のお母さんは、涙ぐみながら。




「海が好きだったんですね」と

めぐは言う。





はい、と、お母さんは言い「子犬の頃から

穏やかで、吠えたりするところのない子で。

海は、すぐ目の前なので

泳いだりもできるのですけれど。

眺めているだけの、のんびりした子でした」




めぐは思う。

その、さむくんが

とっさに、あたしを助けるために

素早く動いてくれたり。



無理じゃなかったのかな。

それで、早く天国へいっちゃったんじゃ。





そんなふうに思ったりもした。



思っても、さむは帰って来ない。



そのことが、とても悲しい.....






せめて、もう一度会いたい。




天国にいるのかしら?



flash!


ほんの一瞬、めぐは

心が、天国に飛びそうになった。


でも、果てしない空間に、

どこに行けばいいか、わからなくて

すぐに戻って。







クリスタさんは、元天使さんだったから

天国に行けるのかな。





そんなふうに思ったり。











しばらく、風に吹かれてから



めぐは、さむの住んでいた家に招かれて

お茶を頂いた。



夏休みなのに、木陰は涼しい風が吹いてきて

もう、秋の雰囲気。



それで、暖かいお茶に

ミルクを加えて頂いた。



優しい心遣い。

そんな味わいだった。






「さむは、子犬でもらってきたのです」と

飼い主さんの、彼女は言った。



それなので、今は

たまだけが心のささえ。



さむの思い出を話せる子だもの。




彼女は、お話を書いている、と言う

ひとらしく、繊細なことばつかいで。



kamome



「さむくんは、昔

船乗りさんだったのかしら。


それとも、かもめ?

海が好きで、浜辺でいつも海を見ているのは


思い出が、なんとなく呼ぶのかしら?」と


めぐは、ひとりごとでもなく

そんな事を言った。




お話を書いている、と言う

さむの飼い主さんは「そうですね。


なんとなく、惹かれる事って、ありますから。


さむは、かもめの生まれ変わりだったのかもしれませんね。」と


悲しそうな表情だった彼女は、

少し、柔らかいな微笑みを作った。





ふたりの、思い出の中に


さむの思い出がある。



時を越えて、いつまでも記憶はそこにあって。


つまりそれは、4次元の記憶だ。






さむくんは、かもめだったのかしら?



生まれ変わって、わんこになって。



海が、空が、恋しかったりしたのかしら?




と、めぐは思う。





こんどは、生まれ変わって、大きな空を飛んでいるのかな。





「かもめになったら、飛んで来てね?」と


めぐが言ったので



それが唐突で



絵本を書いている、彼女は



微笑む。






めぐも、ちょっと恥ずかしい(笑)。


一緒に笑うと、淋しい気持ちは

優しい気持ちになった。






岬から、バスで帰る時


めぐは、海辺に漂うかもめさんを

眺めながら。



あの中に、さむくんは

いるのかな?



なんて。


思いながら

バスに乗っていると、そんなに遠いとは

感じなかった。




気持ちって

面白いけれど


そういうもの。



考え事とか、していると

そちらの時間軸、つまり

記憶は時系列が一定ではないので



現実の、3次元的な

一定の時間軸は気になったりしない。



そんなものだ。







港の駅、路面電車の始発駅まで

来る頃には、もう


夕方近くになっていた。




結構な距離が、岬まではあるようだ。



そこから、いつもの図書館通りまで

路面電車に揺られてると

図書館は、休館なのに

明かりがついていて。




めぐは、図書館前で下りる。




古いタイプの路面電車は、


ガタゴトと揺れて、レールの響きを伝えながら走り去ってゆく。





その、車体の向こうに



見慣れた図書館。



休館なのに、なんで?



と、思いながら


めぐは、通用口の


ガードマンのおじいちゃんに聞く。



「どなたか、いらっしゃるのですか?」






通用口のガラス張りのガードマンさんの詰め所で



おじいちゃんは、にこにこ。



「主任さんかな?なにか、お仕事をされているんじゃないかな。」と。





主任さん、久しぶりだな。


めぐは、ちょっと微笑む。




向こうの世界では、主任さんに


似ている人に出会ったけど



まるで知らない人だったので


ちょっと淋しかったっけ。





並行な世界って、そういうものらしいけど

でも、なんとなく淋しい。



めぐは、通用口からの廊下を

懐かしく思いつつ


楽しく歩いた。



ここは、あたしの町なのね!。




そう、なぜか再確認(笑)。


記憶の積み重ねで


だんだん、そこに住んで行く。



いろんな事を覚えて。



from heaven



照明が少ないと、広い図書館が

もっと広く見える。



めぐは、第一図書室の

貸出カウンターに


司書主任さんの姿を見て

なんとなく、笑顔になる。



穏やかで、のんびりで。


本が大好きで。



めぐと、なんとなく気が合う主任さん。



まるまると太って、朗らかで。



いい人。




「やあ、もう帰ってきたの?」主任さんは

にこにこ。




「はい、主任さん、ご迷惑をおかけしました。」と、めぐは


なんとなく図書館の仕事を放っておいたようで


気になっていたのもあって。





それで、ここで主任さんに会えてよかった、

そんなふうに思う。





「いやーぁ、クリスタさんが

頑張ってくれたから。大丈夫だったよ。」と



主任さんがそういうと



安心しためぐだった。




そんなに、クリスタさんはお仕事が上手なんだ。



天使さんだもんね。



めぐは、そう思うけど



でも、心のどこかで


「めぐちゃんがいないと困る」なんて

言われたかったりもしたり(笑)。





それは、そういうものだけど。






「きょうは、お休みなのに.....

あ、そうだ。

甥っ子がね、映画に出て欲しいって

言ってた話。




帰ってきたんなら、話聞いてあげてよ。



」と、主任さんは

何気なくそう言う。






でも、めぐは



向こうの世界で有名人になって、酷い目にあった。(笑)。




だから、こんどは断ろう!(笑)。


とは思ったものの、主任さんの丸い顔を見ていると

断りにくい(笑)。から




甥っ子さんに直接断ろう(笑)なんて。




顔の影響って、大きい(笑)。




穏やかで、人の良さそうな主任さんの頼みだと

断りにくいけど



そうじゃない人なら、断ってしまう。



そんな事もある。






「ま、後で甥っ子がま来るだろうけど」と、主任さんはにこにこ。





その、主任さんの後ろ側の書庫の方から



クリスタさんが、ふわふわ、と

軽そうに現れた。





「あ」めぐは驚く。





図書館休みなのに。





「あら?お帰りなさい。」と、クリスタさんは

柔和に。




「ただいま」とめぐは


返答しながら。




いつも涼やかで、やっぱり天使さんっていいなぁ。





なんて、今は天使じゃないんだけど(笑)

クリスタさんの爽やかさを思う。






そうだ!




めぐは、いきなり思い出す。


天国の行き方(笑)。



そうすれば、おじいちゃんやさむくんにも会えるかも。








クリスタさんが、書庫整理をするのについていって。

めぐも、本を書庫に収納しながら。



クリスタさんに囁く。


誰もいないけど。




ね、天国に旅してみたいって思うの」と。


クリスタさんは、別に驚きもせず「そうですね、ふつう、行かれないところなので。



魔法が効かないかもしれませんね。」と。


天国は、人間の世界と違うので



同じ、魔法は効かないかもしれない。





「それで、さっき

心が飛んでいってしまったけど

何も見えなかったのかな」と


めぐが言うと、クリスタさんは




「心だけでも、飛べるのは

素敵な事ですね。

それは、魔法ではないのかもしれません」と。


天界は、魔法は効かないなら

そうかもしれない、と

クリスタさんは言う。




誰にでも、心が空想に遊ぶ事はある。




その空想は、時々

本当に、どこか別の世界につながっていたりする事も


たまにはあったりする。




予知夢とか、既視感。


そんなものはひょっとしたら

心がその世界に飛んで行った証、かもしれなかったりする。



そういう事を、天使、クリスタさんは

言っている。






「どなたかが、天国で

会いたいと

思われているのかもしれませんね。」クリスタさんは、同じ口調で。



the aftergrow



誰もいない図書館でする話にしては

少し、ファンタジックだったようで


めぐの心は、今すぐにでも

天国に飛んで行きそうになった。(w)



夢想は楽しい。


こころのなかは、みんな自由だ。


目の前の事象に合わせて、みんなセーブするので



それを認知、などと言ったりする。




言ってみれば、4次元の広がりを持つこころのイメージ

(時間・空間が自由に伸縮できる)



を、3次元の目前(時間・空間が物理的に固定されている)


に、合わせる行為。






無限に自由なこころのイメージを、セーブするのは

エネルギーを減らすこと。



なので、そのエネルギーを解放すれば、魔法のような

作用も起こり得る。



元・天使、クリスタさんは

そんな風な事を言ったのだろう。



そして、目の前に誰もいない図書館の大きな空間は

そのエネルギーの封印を解いてしまいそうな、めぐにとっては


ちょっと危ない(w)場所でもあった。




たとえば、眠っている時に夢を見るのは

その空想をセーブしなくてよい環境だから。






めぐの気持は、いますぐにでも

天国へ飛んで行きそうだった。






心が浮遊しても、実体は地上にあるので

ほんの一瞬、3次元的に1秒でもない間に


心は4次元のイメージで


どこかに飛ぶ事もできる。



旅先の誰かの心と、通じ合う事も


もしかすると、その「誰か」が


自由な心を持っていれば、可能。






それは、めぐにとって

新しい魔法だった。



クリスタさんの言うように、魔法ではないのかもしれないけれど。









evergreen



めぐは、でも回想が続く。



回想も、こころのスイッチは


ケミカルな、神経内分泌物質が

起こしているので


それの、再吸収、と言って


使った薬をもう一度カプセルにしまって



また使う時に備える、そんな仕組みが


働くまでは、回想が続く。





例えば、選択型セロトニン再吸収阻害剤

(SelectiveSerotoninRecollectInhiviter)

などは、その再吸収を抑えて

心の働きを保つ医薬品、だったりもする。






ふつう、回想が続くのは

楽しい事だ。





めぐは、回想の続きで



おじいちゃんの育てていた

花壇のサルビアを



蜜がほしくて。



花を散らしてしまった事、を


思い出した。





おじいちゃんは、叱らなかった。



とても優しいおじいちゃん。



花壇を見る目が、でも

淋しそうで



めぐは、とても後悔した。





おじいちゃんの大切なお花を

散らしてしまった自分。




叱ってくれるより、余程

めぐにとって、抑制になった。



もう、二度と

おじいちゃんを悲しませないようにしよう。



幼な心に、めぐは

そう誓った。




それから、めぐは

おじいちゃんの願うような子供になろうと



頑張った。




愛って、そういうものなのだろう。






おじいちゃんが喜んでくれるように。





誰かが喜んでくれるために、働く。




それがなかったら.....

何をして生きるのだろう。




めぐは、おじいちゃんが天国に

行ってしまってから

そんな気持ちだった事もあった。



穏やかなひと



めぐには、お父さんも

お母さんもいたけれど。


めぐが幼い頃は、まだ、両親も

若く



まだまだ、自分を際立たせたいと言う

欲のある年代だった。





生き物なので、自分が生き残りたいと言う

性質を


生物として、記憶している。



そして、婚姻して

めぐが生まれて。


もう、生き物としての自分たちを

際立たせる必要はなくなった

(つまり、良いパートナーを得るための

行動なので)。



なのに、生物的な嗜好は

変わらない。




それは、生殖の能力が

衰えを見せるまで


変わらないので




つまり、おじいちゃん、おばあちゃんに

なるまでは



誰でも多少は

自分中心である。





それでふつうなのだけれど



でも、幼い娘、めぐにとっては




そのせいで、お父さんお母さんよりは



おじいちゃん、おばあちゃんの


方が



可愛がってもらえる(笑)。




そんな理由も、ごくふつう。





なので、めぐは


おじいちゃんのような



無類な優しさが好きだったり。







中学生くらいになって、恋を意識しても


周りの男の子って、なんとなく

優しさが足りないように



見えて来て。





でも、おじいちゃんは天国に行っちゃったから




淋しい気持ちはそのままで




天国に行ってみたいな、なんて



思ってた。


そんな気持ちが、いまのめぐに




天国への旅行(笑)を



する能力を作らせたのかもしれない。





思えば、老犬さむも



おじいちゃん、



ルーフィも、おじいちゃん(笑)みたいな

魔法使いさんだし。




めぐは、穏やかな人が好きなんだろう。



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