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15


司書主任さんが、そこへ。



「・・・・ちいさな子だから。でも、もうミルクじゃないでしょうね。

なにか、消化の良いものでも。」と、坊やを見て、しゃがんで。

頭を撫でて。





「じゃあ、スカイレストランのシェフに聞いてみよ。」と、めぐはにこにこ。



坊やの手を引いて。





・・・・・楽しいけれど、でも、ちいさな子を育てるって

たいへんなのね・・・・。なんて(笑)。




おかあさんになったような気がした。







で。





・・・・・・ルーフィさんは。




旅から旅へ。

時を、空を飛び越える魔法使いルーフィは


どこに住むべき、と言う時空もないから。




どこの時代の人間か、も

わからない。



イギリス生まれは、わかるけど・・・・。

現代じゃないみたい。



と、めぐは


なんとなく、立ち居振る舞いや

ことばの感じ、ものの考え方から


ルーフィの出自を想像した。




そういうものは、生活から影響されるからだ。






どうして、ルーフィに惹かれるのか?


その理由が、そんな大いなる父性、みたいなものにあるのかもしれないと

めぐが、感じとっているか?は


わからないけれど






時間の窓



本当に、お母さんは

どこにいるのだろう?



と、めぐとルーフィー、そして

クリスタさんは、坊やが

おいしそうに、ごはんを食べるのを見て、そう思う。



ここは、スカイレストラン。


シェフの計らいで、まだ空いていない展望室で。

のんびりとごはんを、坊やに食べてもらうことにした。



パン・プディングとか


温野菜、オランデーズ・ソース。


そんな、優しいものを軽く。




めぐも、一緒に食べて見ると

これが、美味しい。


同じものを作れそうなものだけど

でも、ちょっと同じものは作れない。



シェフのお料理は、そんな感じ。



オレンジジュースを飲みながら、ルーフィーは思う。



「この子のお母さん、ほんと、どこいっちゃったんだろう。」




ルーフィーは、案じる。



「時間の窓を開いて、見てみようか」


と、ルーフィーは、いつかみたいに

空中に円を描いて。



今朝の出来事を、見てみようとした。



しかし・・・・・。



描いた円には、何も起こらない。



ただ、空を切っただけだ。





「あれ?」



ルーフィーは、魔法陣を確認した。



間違いはない。



「おかしいなあ・・・・・。」



ルーフィー自身、何も気づいていないが



もと天使、クリスタさんの心配するように



ルーフィーは、坊やの前で魔法を使ったので


魔力が、どうにかなってしまったようだ。




「おっかしいなぁ・・・。」と

ルーフィーは首を捻る。



坊やは、その間にも

お昼ごはんを平らげて。




オレンジジュースを飲み干した。




ごちそうさまでした、と言うように


両手を合わせて。



お辞儀をする。


しつけの良い子、クリスチャンだろか。






「あの、ルーフィーさん・・・・・?」


クリスタさんは、心配していた事を

口にした。



「魔法って、人前で使うと・・・・。」




と、言うと、ルーフィーは、それに気づき



「でも、ここは異なる世界だから


大丈夫なはずだけど・・・?」





そこで、ルーフィーは事態に気づく。



「ここは異なる世界だけど・・・。もしかして、この坊やは。


僕らの世界の人なんじゃ・・・?。」





魔法を使うところを

人に見られると、その魔力は効かなくなってくる。



でも、ここはルーフィーがいた世界と

ちがう時空間にあるので



大丈夫だった。




ほんとなら、ルーフィーは

ぬいぐるみ姿になっていないと

いけないのに


こちらの世界では、ふつうの姿で

居られるのも、そのおかげ。




「でも・・・・・。」



この子が、もし

向こうの人だったら。



何の為にここに連れて来られたのだろう。





そんな事をルーフィーは考え、そして

重大な事に気づく。




「魔法がダメだったら、僕は

帰れないんだ・・・・・・。」








魔法の呪文・ノイズシェープ



その、重大な事態にも

ルーフィは明るい。


軽快、と言うのだろうか。


それもイギリス流なのだろうか。


そういえば、007もそうだったような感じだったし


あんまり、ヒーローって

あたふたしない感じもする。



そうでないと、ヒーローにはなれないような気も・・・・する。



魔法を使うのには、集中力が大事なので


めぐは、途中で気が散り易いので・・・。ルーフィの後を追って

時間旅行しようと思ったけれど


本の中の世界に入ってしまったりした。



その集中を助けるために、昔の人は呪文、とか

魔法のことばを使ったりしたけれど

あれは、お念仏とか、おまじないと一緒で



そのことば自体に、力があるわけじゃない。




使う人の心を集中させるためのものなのだ。




ひとの心は、いつも記憶と演算と繰り返す。


演算、つまり連想記憶と関連は


いろんなことがらを結びつけて考える、と言うこと。



つまり、気が散る、って事で


それに長けた人は、反対に集中が下手だ。




それは、ドパミンと言う化学物質の一種が、脳の中の

神経を接続する事で行われたりするので


効き目を良くする

薬品があったりする。





集中しすぎてしまう人を、少し楽にする意味の薬、だ。






面白いことに、コンピュータにもそういう事があったりする。



適当に無駄な計算を繰り返させる事で、ノイズを均一にする方法、

ディザ、なんて言ったりする。



そうすれば、ノイズが気にならなくなったり。



それはつまり、集中を妨げないような考え方。






あるいは、ノイズ自体を細かく刻んでしまうよう

高速計算を繰り返す方法。


ノイズシェープ、なんて言ったりする。



それも、気が散らないようにノイズを細かくする方法。






魔法を使う時、魔方陣を書いたり、呪文を唱えたりするのは

つまり、頭に沢山の計算をさせて



気が散らないようにする、と言う事なのだけど・・・。






それで、めぐが

集中できれば、つまり



魔法をしっかり使えるようになれば


ルーフィを、元の世界に送る事が出来るかもしれない。




いま、この異なる世界で孤立無援のルーフィを

助ける事ができそうなのは・・・たぶん、めぐだけだろうか。










魔法・再生




たぶん、めぐは

坊やに魔法を見られていても

大丈夫だろう、と


ルーフィーは推測した。



それは、坊やが、たぶん

この異なる世界ではなくて

ルーフィーの住んでいる、向こう側の世界・・・・・

魔物や悪魔が3次元の世界に

入る事ができない、ふつうの人間界。



天界・魔界などの境界が

はっきりしていて、ふつう、乗り越える事の出来ない世界。



そういうところから、来た坊やだから。



そんなふうに、ルーフィーは思ったり。




でも、魔法使いは楽観的だ。




「そのうち、なんとかなるだろう」(笑)。




いっつも、そんなふうに生きてきたし


魔法が全部使えなくなれば

たぶん、ルーフィー自身が消滅してしまうだろうから(笑)。



なぜかと言うと、いま、ここに居られるのは


魔法で時空間旅行をしているおかげだから。



「とりあえず、見られた魔法だけ、かな。」





そのうち、めぐちゃんが魔法をちゃんと使えたら


向こうの世界に連れていって貰って


魔法を修正すればいい。



そんなふうに、ルーフィーは思ったり。



魔法は、プログラムみたいなものだから



バグ修正のように、悪いところを

直せばいいけど



それは、魔法が作られた18世紀に戻らないと出来ない。





サーバーにおいてあるプログラムを

クライアントから直せないのと似てる(笑)。



似てると言うか、コンピューターは

現代の魔法なのだ。








そんなルーフィーの思いとは無関係に


坊やは、お腹いっぱいになったので


眠くなったのか。



こっくり、こっくり。




眠りかけた。






「あらあら・・・・。」クリスタさんは微笑んで。



めぐも、にこにこ「かわいい・・・・・育児室に行きましょう」




と、レストランのシェフにお礼を言って。




シェフは「またいらっしゃい。困った時はお互い様」と。



にこにこ。




シェフは山育ちなので、ひとに優しい。



飼っている、と言う

やぎのミルクを、みんなに御相伴。




やぎのミルクは、ちょっとすっぱ味があって


爽やかな味わいだった。




「チーズもあるんですよ、こんどまた」




と言って、にこにこ笑った。











やぎのチーズ



やぎのチーズは、ふつうのパルメザンチーズ、みたいに固めるタイプと


モッツァレラみたいに、伸ばすものと。



いろいろあるらしい。


「バターも作れるんですよ」と

シェフは、楽しそう。


食べるものが好きなひとは

みんな、いいひと。



そんな、コマーシャルを思い浮かべそうなほど


お人のよい、シェフ。



食べてもらうのを、見てるだけでも

なんとなく、幸せ。



めぐは、そんなふうに思う。



ちいさな坊やが、食べてるのは

特に、そんな感じがしたり。





ごはん食べて、眠っちゃって。


自然のままのふるまいを

見ていると、ちょっと嬉しくなって。



それも、不思議な気持ちだけど。



優しい気持ちって、誰かが

居ると・・・・。



とっても優しくなれるんだよね。




シェフも、そうなのかしら(笑)。




お昼休みの、ディナーの仕込み時間に


見ず知らずの坊やに、ごはんあげても


何にもシェフの得にはならない(笑)


それどころか、お金取れないから損(笑)。




でも、男ってそういうものだし。



それは、ルーフィーも一緒で



男ってそういうふうに、何かを守るようにできている。



たいてい、それは

守るべき、弱い立場のひとだったりするけれど



そういうひとが、喜んでると嬉しい。



それは、めぐが

坊やにごはん食べさせてると

しあわせ、ってのと

同じ気持ちなのかな。






ルーフィーも一緒で




そのために、向こうの世界から戻って来て。




こっちで、魔法事故(笑)。



魔法が一部、使えなくなってしまった。












生得的性質と心



そういうルーフィーは

みんなに親しまれる。


シェフだって、すぐ打ち解ける。


幼い坊やだって、すぐに懐く。


気持ちでわかるのだろう。



人間になる、ずっと前から

そういう、仲間、群れ。


そんな感覚はずっとあったのだろう。



分かち合う喜び、慈しみ。


そういうもののために、生きている。


生きものとして、そうプログラムされているので


人は、生き延びて来れた。



元々は、他の霊長類の隣人たちのように

天敵が居て、それらから

群れを守るために、そんな

性質は便利だった。





そして、知恵を持って


樹木の上で、天敵を避けるような

生活になったあたりで


群れ同士、つまり

同じ種類の生物同士に敵が出来る。



でも、同じ群れになったら

味方になる。



そんなふうな、ややこしい生物になった。




それで、住んでる国の人は味方、

よその国の人は敵、とか。


それで戦争をしたり。



お金儲けのために、同じ国の仲間も


敵視したり。




そんな、愚かな性質も

欲望のせいだった。


他の人の領域を侵すのは

間違いだ。


そのひとも、幸せになるべきなのだから。





そういう欲望を、神やルーフィーが

すこし、抑制したことは

正しい行為だった。



すこし、生き物として

羽目を外したひとたち。



それは、競い合ってより良い

生き方を探る、生き物の本質、

その欲望を過剰に煽る魔物のせいだったし


攻撃心を煽る悪魔のせいだった。




その魔物を、なぜか魔王が退治した。



不思議なのは、誰が魔王を招いたのか?




とか。



地獄に近い存在の魔物を、どうして

魔王が退治したのか・・・・。




なんてことを、ふと


ルーフィーは思っていたのかな?(笑)




それは、わからない。




とりあえず、今は

坊やの落ち着くところを、なんとか

しなくちゃ。


そう思うルーフィーだった。










坊や



育児室、と言うのは

図書館に来る、赤ちゃんのために

ある小部屋で


あまり、使われる事はなかった。



そこに、寝ちゃってる坊やを連れてって



寝かした。



赤ちゃんには、ちょっと大きいけど。




すやすや眠ってる坊やを見てると


ルーフィーも、なんとなく

優しい気持ちになってきて。



・・・・・もう、戻れなくなっても

いいかな?





なんて、ふと、思ったりする。




元々ルーフィーは、どこに戻る訳でもない。



旅先に、長逗留して

それが生活になってしまうような。



時間旅行する魔法使いって、そんな生活なのだ。





「坊やも、たぶん・・・・・。」と

ルーフィーは、つぶやくようにそう言って。





めぐが「はい。」と、その言葉の

継ぎ穂を求めた。





「次元の裂け目に落ちたのかな?

昔から、神隠し、なんて言うでしょう。

あれが、こうなるのね。」




地球は、時速1700kmで自転しながら

太陽の周りを、時速110kmで回っている。



すごいスピード。



その上に立っていても、そんな気持ちにはならないけれど



物理的に、そう。



たとえば、台風が渦を巻くのも



その回転のせいだし、海流もそう。



宇宙自体が、渦なので


つまり、縦・横・高さ、みたいな感覚の3次元空間は


大きな空間では、歪んでしまう。




そういう空間同士が歪みあって


裂け目が出来ると、別の時空間に

つながる。





それを昔は「神隠し」なんて言って。




この坊やは、偶然


向こうの時空間から、こっちに

落ちてきた。



そんなところなんだろう。



「じゃあ、坊やはもう戻れないの?」


と、めぐはすこし、悲しくなってしまった。


お母さんにも、もう会えないで

生きていくんだろうか・・・・・と

思って。




ルーフィーは、言う。



「できない事はないけど・・・・」






ふたつの世界



「でも、この坊や、そんなに淋しそうじゃないね。」と


ルーフィ。




「そういえば・・・・。」と、めぐ。





クリスタさんは、なんとなく思う。


「この方も、生まれ変わりの前は・・・・なにか、理由があって。

生まれ変わりを望まれたのかしら。」




にゃご、がそうであるように。

でも、前世の記憶は忘れているはず。



それでも、遺伝子に脳細胞の設計図があって

前世代の特質が遺伝されるように


前世の記憶は、知らず知らずに影響したりする。




それで、クリスタさんが連想したように

次元の裂け目に落ちたとしても


別に、平然としているような

そんな坊やだったりして。




「そうかもしれない」と、ルーフィも思う。



「それでも、やっぱり、おかあさんが探してるね・・・。」と

めぐ。




「そうだよね」と、ルーフィ。「でも、帰るなら・・・・

僕の魔法が使えるように戻ったとしても。


坊やに見られたら、それでまた終わりだね。


めぐちゃんが、魔法の修行して。

向こうに連れて行ってあげるしかないんじゃない?」





めぐは、ちょっと困った。「まだ・・・・飛べるくらいだし・・・・。」





ルーフィの想像だと、坊やは「あちらの世界」の人だから

「こちらの世界」のめぐの魔法を見ても、どうと言う事はない。


異なる世界の住人同士だから。



ルーフィの魔法をめぐが見ても、大丈夫だったように。






「そっか・・・・」と、めぐは考える。



「魔法、ちゃんと使えるようになるかしら?」


と、ルーフィに尋ねる。





坊やはまだ、すやすやと眠っている・・・・。




魔法陣



クリスタさんは、仕事に戻り


育児室に、ルーフィとふたり、のめぐ。


坊やはいるけど。



それなので、ちょっと・・・・ヘンな感じ。




誰かいないと。



「魔法、戻らないと・・・・困りますよね。」と、めぐは言う。




でも、ちょっと心の中は複雑。


このまま、ルーフィの魔法が戻らなくて、この世界に

居続ければ。



そうすれば、ルーフィはわたしのもの!(笑)・・・・なんて、考えないでもない。



でも。




坊やが、やっぱり元の世界に戻れないと。

お母さんが心配してるだろうし・・・・。







ルーフィは、そんなめぐの気持を知ってか知らずか

「うん。僕はいいんだけどね。・・・・・でも、坊やがさ。」







思っていた通りの返事が返ってきて「・・・・そうですね!。」と

意図して元気に答えた。





坊やが、ちょっと動いた。




「おこしちゃいますね・・・・。」と、こんどは静かにめぐは話した。



坊やは、寝返りを打ってすやすや。


まるいほっぺを見ていると、なんか、しあわせ。





かわいい。






でも、お母さんの元に返してあげたいけど。




「神隠しって、昔からあるんですね。」と、めぐ。




ルーフィは頷く。「うん。それは極東の国の伝承だけどね。

西洋だと、妖精に惑わされるとか、魔王に捕らわれたとか・・・・・

魔王が憤慨するだろうけど。」と魔王を知るルーフィは微笑む。


めぐも、ちょっと微笑んで「じゃあ、魔法をあたしが覚えて・・・・・。」


しかないのか。と、めぐは心でため息。





難しそうだもん。






ルーフィは、論理的に言う。「魔方陣は、地図なんだ。座標のね。

天球図みたいなもので、時空を表して。

どこに行きたいか念じるんだね。」





めぐは、なんとなく理解する。






ルーフィは、簡単に論旨を述べる。



「この星は、時速1700kmで回っていて。時速110kmで移動しているから

それを利用すれば、同じ場所で時間を逆転させるのは簡単だね。


0次元モデルになって、重力の影響下から外れる。

そうすると、1700km/hでこの星は回るから

飛び上がるだけで位置はずれる。



超弦理論・11次元移動



「その0次元モデルは、質量がないから

元々持っていたエネルギーは無限大に秘められている。

F(=m0)a、つまり、全てが加速度に変換できるし

地面は、1700km/hで動いているから


そこで、エネルギーを少し解放してあげれば加速する。

光の速度を越える事は容易い。


そこで、空間が歪む。時間が逆転する。

そのままの世界で過去に進むなら、それでいい。



元の重力場も空間が歪んでいるので、そのつなぎ目には

高次元の時空が存在する。


それが、異次元の世界さ。僕らは、それを使って移動する。


時間も空間も、全て動かせる。

でも、失敗すると異次元に行ってしまう。

僕らが最初、ここに来たように。」


と、ルーフィは魔法の理論的な説明をした。



けれど・・・わたしにはなんのことやら(笑)。






「つまり、魔方陣をきちんと書いて、座標を決めるのね。」と、あたし。



うんうん、と、ルーフィは頷く。





「新しい魔法もあるんだ。まだ、試していないけど。」と、ルーフィ。



「それはどんなものなの?」と、あたしはちょっと興味(笑)。






ルーフィは楽しそうに話す。




「新しいのはね、0次元になった時に、ミクロ宇宙にある

11次元の時空間に移動する。そこでは、次元すらも動かせるので

自由自在にどこにでも行けるし、時間も変えられる。」




そういうところは、男の子っぽくてかわいい、と

めぐは思う(笑)。








ふたつの世界



お話をしていたら、坊やが

おめざめ。



「あ、ごめんね?」と、ルーフィが言うと


ぼうやは、目をこすりながら、ふるふる。かぶりを振った。



そんな様子は、とってもかわいらしい。





気づくと、そろそろ・・・・夕方も近い。



「お家に帰ろっか。」と

めぐは、坊やに話しかける。



坊やは、うなづく。


「淋しがらないねぇ。」と、ルーフィは感心。





しっかりしてるなぁ、と。




「僕なんか、遊園地で迷子になっても泣いちゃったけど」と

ルーフィは、昔の思い出を語る。



過去から未来への旅人、ルーフィ。


それは、いつの時代の思い出かしら?と

めぐは思う。



「ちいさな頃から魔法使いだったんですか?」と

めぐは聞いてみた。




ルーフィは、「いや、キミくらいの頃だったかなー。

大抵みんなそうだよ。どういう訳だか。


Megもそうだったらしいし。」と、ルーフィがMeg、もうひとりのめぐの事を

話すと


めぐは、なんとなく、それまでの青空みたいな気持に

すこーし、霧がかかるような気もした。




・・・・いつまでたっても。


結局、ルーフィとの間には越えられない壁がある。



それは、異世界なのだから当然、なんだけど。




時空間を超えても



・・・・でも、好きな気持ちは

変えられない。



そんなふうに、めぐは思ったりするけど。




境界があるって事は、ほんとに

仕方がない。


めぐ自身が、この世界を捨てるか。



それもできない。



おばあちゃんや、おじいちゃん。

お父さん、お母さん。



みんなと別れてまで、恋を追うかと言うと



めぐはそういうタイプでもなかった。



・・・・やっぱり、みんな一緒がいいもの。








そう、思ってるうちに

坊やがしっかりと目覚めて。



「じゃ、とりあえずうちに連れて・・・。」と、めぐは言う。




「誘拐犯人に間違えられないといいけどなぁ。」と、ルーフィーは

ユーモアでそういう。




「間違えられたら、ほんとの事を言うの?」と。めぐは。




ほんとのこと・・・・。は

図書館に、迷子になった男の子が来て。



それだけ(笑)。





「お巡りさんに言って置こうか?」と


ルーフィーは少し弱気(笑)


魔法がダメなせい??(笑)。




「そうなると・・・・面倒ね。

お巡りさんが捜査に来て。

ルーフィーの身許も調べられるわ。


免許証!とか(笑)。」」



めぐも、ちょっとユーモアで。




「それに、坊やは警察に泊まる事になっちゃうし。


もしも次元の裂け目から落ちて来たなら・・・

お母さんが見つかるはずないから。


そのまま、施設に預けられるんじゃないかしら。




それなら、元の時空間へ帰してあげた方がいいと思う。」


と、めぐはきっぱり。



「元の時空間への入口って、どこにあるの?」



と、ルーフィーに尋ねる。



「うん、理論的にはミクロ宇宙だから。例えば、そこかしこにある分子の中にもあるんだね。


でも、どこから来たかを探すのは容易じゃない。



この、今いる時空間も

どこかの

マクロ宇宙、こっちから見ればね。


そこの一部なんだから。




と、ルーフィーは理論的な話をした。



「その座標を探るのが、魔法なのさ。






果てしない旅



「なんだか、果てしない旅になりそう」


と、めぐはそうつぶやく。



「そんなことないさ。今までだって

そうして来たんだもの。」と

ルーフィーは、造作無くそういう。








坊やは、扉を開けてさっき、どこかへ出ていって。



また、扉を開けて戻ってきて。




にこにこ。




また、絵本を読んで、なんて

言いたそうな感じ。


めぐは「坊や、お家どこ?」と

聞く。



坊やは、かぶりを振るだけ。





「やっぱり、わかんないのかな。」と、ルーフィー。





「とりあえず、今夜はうちへ・・・・。」

と、めぐは言い



「坊や、お姉ちゃんとこ、来る?」と


言うと、にっこりしてうなづく(笑)。



「淋しがらないなぁ。」と、ルーフィーは感心。




旅慣れてるのかな。






そんなふうに思ったけど。



夕方になって、クリスタさんの

仕事が終わるのを待って。




私たちは、一緒に。

仲良しの兄弟姉妹(笑)みたいに


手をつないで帰った。



その方が、お巡りさんも

怪しまないで済むかな(笑)



なんて思ったりしたけど。



交番のお巡りさんも、別に

気にしてないふうだった。






お家に帰って、訳を話したけど

みんな、訳を聞く前から


坊やを可愛がって。



「着替え、着替え・・・。」と、お母さんは


小さな男の子の服を、どこかから出してきたり。



おばあちゃんは「そうそう」と

お父さんの、子供の頃の浴衣を

出してきたり(笑)。




「なんか、孫の里帰りみたい」なんてルーフィーが言う。



「めぐが、そのうち産むわ」と

おばあちゃんが変な事言うので


めぐは恥ずかしくなった(笑)。




ルーフィーがいるのに。・・・・・なんて。



そんな意味ではなく、そう、少しすれば

そんな事もあるかもしれないのだから。



客観的に、おばあちゃんは

そんなふうに言ったんだけど。





連想しすぎ、も

恋するオトメ

(笑)





とりあえず、坊やはにこにこしてるし


お風呂に入れて貰えて(笑)、浴衣着て。



のんびりできて。






「あとは、魔法次第だな。」と

ルーフィーは、真面目に言う。





「そうね」と、あたしも

そうは思うけど・・・・・・。



まず、ひとりで飛んで見ないと。




坊やを連れて飛ぶなんて無理よ。











ささやかな期待



まだ、宵の口。


坊やは、おばあちゃんに懐いちゃったので(にこにこ)。


そのまま、すやすや。



「お風呂も、おばあちゃんが入れてあげたのよ」と

お母さん。



「かわいいんだろうね、とっても」と、お父さん。



「そんなものかしら」と、めぐ。




たしかに・・・・・ちいさい子の愛らしさは

年を取ってから、とっても感じるらしい。



アルプスの少女ハイジを、可愛がったのは

おじいさん、元、軍人だった。


皆が恐れていたおじいさんの心でも

愛らしい子は和らげたりして。



そういうお話は一杯あるから、そんなものかもしれないと

めぐは思う。


でも、まだ実感はない(笑)。







坊やが、おばあちゃんのところで寝付いちゃったので


めぐは、ルーフィに魔方陣の書き方を教わりに言った。




屋根裏のルーフィの部屋。



そういえば、久しぶりに入る。




「ああ、そうだね。」と、ルーフィはさわやかな表情。




天球図みたいなものさ、と言って


同心円を書いて、その中心に今の座標、周辺に方向を描く。


外側の円に沿って、座標を描く。




「それだけ?」と、めぐは拍子抜けする。




ルーフィは笑って「そんなものさ。それで意識を集中するのさ。

密教なんかだと念仏みたいなもの、呪術とかもそうだね。

あれは、まあプログラムさ、コンピュータなら。

こっちはグラフィックみたいなものだね。


近似式モデル、って言うか。」



数学的、と言うか幾何学モデルだとか。





めぐは、よく分からない(笑)。





「慣れると、空中に描いたり、地面に描いたり。

図形に意味はないから、0次元仮想、とも言える。」と

ルーフィは楽しそう。






それを、とりあえず真似て紙に書いてみる。




「イメージしてごらん?」と、ルーフィ。





その、魔方陣の中心が自分の足もとにあると思って

座標をイメージする。



そうすると・・・・。




ゆらり。


陽炎のように地面が揺れていた、いままでの浮遊は


すっ、と安定して宙を目指すようになった。



でも。



少し上がりすぎた。




天井の照明に髪が触れて、めぐは驚いて集中が途切れる。




すとん。




木の床に落ちた。(にこにこ)。





「うん、うまいうまい。そんな調子だね。」と、ルーフィは褒める。




彼自身は、新しい超弦理論に基づいた移動法を考えていた。




新しい魔法。




ひょっとしたら、使えるかもしれない。


そんな僅かな期待から。





時間旅行



ルーフィーは彼独自の理論で

超紐理論に基づく、時空間超越の

手法を考えていた。


「0次元モデルが、点ではなく

ゆらぎを持った紐の輪、それの

集合体と仮定すればいい」


数式を当て嵌め、それを魔法陣に

設定していく。



計算上は正しいが、それが0次元と言えるのか?と言う疑問はある。


しかし、とりあえずこれで

スティーヴ・ホーキングの論証にもあったように

計算上の誤差は回避できる。



ブラックホールのような、重力中心で

0次元モデルは、熱力学的な運動をどのように行っているのか?と言う疑念であった。




それを、点でない0次元モデルなら

ゆらぎを持った運動ができると言う

方策で回避を行った式、である。



つまり、これまで

0次元モデルとして、ルーフィーやめぐたちが行っている飛行実験は

その実証を先駆けて


行っていた事になる。


「ネイチャー」に投稿すれば

よかったな(笑)


なんて、ルーフィーは、楽しみながら


魔法陣を書き上げた。




屋根裏部屋は、先程より

ルーフィーひとり。



少し、風を感じたくて


ルーフィーは、出窓を開けた。



めぐが、ベランダで練習をしている。


さっきは、天井にぶつかりそうになったので。












「ここなら、いいね」と、めぐは

魔法陣を持って。



瞳を閉じ、夜風を感じながら



イメージする、魔法陣の方角。





すう、と



空間に、心で円を描き

魔法陣を書き込んだ。




意識を集中する。




「それっ」魔法の封印は解除される。



すっ、と空間に舞い上がる。

翼を持たない天使さんみたい。





舞い上がりながら、3次元実体を

0次元モデルに転換していく。



それで、重力の影響を受けなくなるから


急上昇。





逆転!


ニュートリノ粒子みたいに超高速で。


歪んでいる時空間を飛び越える。



それは、相対性理論のようだ。









「どう?上手くいった?」と、ルーフィーは


出窓から、めぐに声を掛けた。





「上手く行ったみたいだけど・・・怖くくてすぐ戻ってきちゃった。一緒に飛んでくれますか?」と、ルーフィーに言う。



「それはいいけど・・・・。」と

ルーフィーもちょっと慎重なのは

自分の能力が戻っていないから。




もし、違う世界に行ってしまうと

戻ってこれないかもしれない。




「坊やの居た世界って、どこなんだろう。」


と、めぐはルーフィーに尋ねる。




「たぶん、僕らの居たところだろうけれど」と、ルーフィーは答える。



ここに近い、ちょっとだけ違うところ。



隣り合わせだから、最初

間違えて飛び降りてしまったMeg。




「向こうから来てくれると

確実なんだけど。」





ルーフィーは思う。




そのうちに・・・・探しに来てくれるかもしれない。





そうは思ったりした。





でも、向こうの世界では

時間軸が進んでいない。









孤立無援



それはどうしてか?と言うと

向こうの世界で、不在になってしまうと困るので(笑)。


時間軸を縮めて、ほとんど0、に近い状態の間に

時間旅行をしているから。


「だから、向こうでMegが気づくとしたら相当先だろうね。」


たぶん、無理だろうからと言って

ルーフィーは、向こうの座標を

こちらの位置から逆計算した。



時間軸は一緒、ただしこっちは3年遅れている。3次元的位置関係は殆ど同じ・・・・。



たぶん、隣接しているどこか。



天体の位置がそっくりなので、おそらく

空間がどこかで捩れている。


つまり、重力場が少し違うのだろう。。




光も、重力中心で捩曲がるので


真っ直ぐ進めない、つまり、マクロレベルで捩れている。




「今となっては、魔法が愛おしいよ」と


ルーフィーは言う。




魔法が戻ってくれば、行く先は

感覚だけ、イメージするだけでも

飛べる。




そう、ルーフィーは言う。





でもまだ、めぐはその行き先も知らないから



それをイメージする事もできない。




「量子コンピュータで計算できないかしら。」とめぐは連想する。





でも「計算するにしても、ミクロレベルの11次元隣接宇宙の

座標探すのは大変さ。」



と、ルーフィー。



素粒子レベルに、11次元宇宙があるのだから。10の500乗ほど。





「それ考えると、原子力って怖い技術ね。宇宙を壊してる、ってこと?」



と、めぐは言った。




「僕らがビッグバーン、って言ってるのも

マクロレベルだと原子核爆発、だったりして(笑)」と、ルーフィーは


こんな時でもユーモアを忘れない。




「とにあえず、この時空間で

時間旅行、空間移動ができるようになれば、後は慣れだね。」と


ルーフィーは言う。

試していない、新しい方法はまだ未知の領域だ。









その頃、にゃごは


のんびりと、お屋根でごろごろ。


そのあたりは猫そのものだけれども



ルーフィーが魔法で移動できなくなったこと。


それと、坊やの関係をちょっと、考えていた。



なにせ、前々生は人間だったし

前世は悪魔くんだったのだ。


少々は、考えたりもする。




・・・・あの、坊や。




ただ、時空間の裂け目に落っこちたにしては・・・・・。




落ち着いているし。




「悪い奴じゃなさそうだけれどな。」と


悪魔たちとの付き合いで感じとった

奴らの雰囲気。



それとは異なる感じなので


そんなふうに、にゃごは思う。




「目的があって、ここに来たんだろうか?」



沈黙の闇に、ひとりつぶやくにゃご、だった。












「さ、今度は空間移動」

と、めぐは自主トレーニング。



これも、地球の自転・公転の速度を

利用すれば簡単だ。



慣性が働かなくなる0次元モデルになればV2=1700km・時だし


それを利用すれば、ほぼ瞬時に移動できる。



地軸方向への移動は、展開するモデルの3次元化の際に

抵抗を意識すればいい。


広範囲な移動なら、時空間移動を使う。



時間旅行と同じで、時間軸を動かさずに

空間軸を動かすのだ。









飛翔・空間移動



空間軸と言うと難しいような気もするけれど、でも


グラフ用紙に小学生が書く、あの縦軸(y)・横軸(x)で2次元モデルが書け

もうひとつ軸を持ってくれば、3次元モデルが書ける。

xyz座標だけれども、奥行きが出来ただけだ。



別にどうと言う事はない。



人間は、目で見て奥行きを判断するので

目がふたつ、顔の前面に付いているような種類が生き延びたと

比較進化論、チャールズ・ダーウィンは説く。



そして、傾きや高さを判断するような器官は、耳の奥にあって

流体の流れを神経が直接感知している。


つまり、重力場がそもそも3次元的なところで進化してきたと言う事である。

樹上生活に伴ってそう適応してきたと、比較進化論の支持者は説く。



それならば、ルーフィたちのように

魔法に長く触れ、時空間旅行をする者には


時空間の捻れ、つまり重力場の歪みへの感受性が強くなるの、かもしれない。



時空間は重力場に従って捻れるから、である・・・・・。






めぐはまだ、魔法を使い始めたばかりだから

3次元的な空間の感覚で、上へ飛ぼうとする。



隣接宇宙は、不規則に存在する筈なので



どこかで、ひょいと別の時空間に移動してしまったりする事も

あったりする。




昔からそういう話はあって、謎のバーミューダ海域、などと

一時話題になったりもしたが


今では殆ど話題にもならないのは、その存在が

問題にならないために配慮であるとも言われている。



そういう場所はあちこちにある。


心霊スポット、とかパワースポットの類にもあるようだ。




異次元につながっていれば、不可解な事が起きても不思議はない。


何せ、11次元時空間があちこちにあるのだから。







めぐは、ふたたび飛行練習。


飛行少女、なんてユーモアも通じないような

真剣な表情。だけど、ルーフィは


「リラックス、リラックス。楽しまないとね、魔法の力が減っちゃうよ」


と、お気楽である。




もともと楽天的なのもあるし、家族を持たず

どの時空間に生きてもいい、魔法使いは

基本的に自由だ。




だから、Megのような魔法を使える人を恋人にするの?などと

めぐは思うかもしれない。



故に、なるほど真剣に魔法使いを志す訳だ。




もうそろそろ夜更けだから、月明かりが眩しい。



練習もほどほどにしないと・・・・と、めぐは思いながら



魔方陣の方角を確かめ、瞳を閉じる。



心のイメージに、その魔方陣を描く。



天球図のような、曼荼羅のような

不思議なそれは、しかし数式の羅列のようでもあるのは

ルーフィ流、である。




すぅ、と息を吸って。



月明かりに白く照らされた、めぐのまるい頬は

魔法使い、と言う語感にはやや不似合いなようにあどけない。



短くそろえられた髪が、夜風に靡くように


ゆらり、と揺らめく。



メービウスの輪のような、超弦理論上の0次元モデルに

転換するのだ。



反重力物質のように、空へと飛翔するのは

当然だが、質量mを穏やかに減らすため、だ。



地上での位置エネルギー式を単純化するとF=mghである。

これは、3次元的な重力場のみを考えているが。


そのmが、0次元化に際して緩やかに減少し、0になってしまえば

F=0×gh。gは重力加速度、古くは9.8m/(s)2、1Nである。

hは高さ。



0に何を掛けても0である。


それまで地上に居たのは、そのFのせいである。



無くなれば、舞い上がる。









浮遊の感覚



自然エネルギー由来(笑)なので

魔法で旅行するには、免許証は要らない。


習う事もできないので



モペッドみたいに、練習できればいいのにな、なんて


めぐは、飛びながら思う。




鳥が、3次元的な空間飛翔をするのに適応してきたので

他のすべてを失ったと言うのも

比較進化論的な定説だったりする。


骨格と、筋肉が殆ど。

脳も小さい。



それだけ、飛ぶと言う行動が

必然だったのだろう。



それゆえに、知能も最小限に抑制されたのだ。





しかしそれが、不幸であったか・・・・?



と言うと、そんな事はない。



人間のように、飛ぶ事ができず

群れを持って生活する、その為に

知性を持ったと考えられている。


でも、様々なひとの欲望を調停いながら生きていかなくてはならず


煩雑である。



もし、飛翔して逃れる事ができれば

その社会、なるものも

自由であっていい。




そんなふうに、めぐ自身思ったりするのも

若さ故、の事だ。



若いエネルギーが、行動力を生み

関わり始めたこれまでの社会を

ちょっと窮屈に思ったりするのは

いつの時代も同じ。



でも、今のめぐは違う。


飛翔する手段を手に入れたので


いつでも、どこにでも

飛んで行ける。


そうした事が、人間としての生き方に

変質を与える事も、有り得るかもしれない・・・・なんて

めぐは、少し集中を欠いた。




途端、軌道がゆらぐ。



質量が減ると言う事は、それだけ

安定性を欠く、と言う事になる。


重力場では、そうである。





ゆっくりと上昇し、次第に加速。



0次元に近づけば、それだけ

速度も早くなる。


重力場の影響が減るので

次第に、慣性の影響が少なくなる。




地球は、時速1700kmで回転しているので

地上から離れれば、

その速度で地上の座標からズレていく。


秒速にすれば472m、である。



そうして、緯度線に沿った移動はできるし


経度方向へは、0次元モデルから

2次元、=>3次元モデルに戻る時


徐々に大気との摩擦を受けるから


方向性を、帆船のマストのように

抵抗と角度で得れば良いのだ。



こんなふうに、近距離移動はする。



機械的なようだけど、鳥が自分の翼で方向を決めるのと同じ。



それは、魔法使いの感覚でできるものなのだ。




落下しながら、徐々に方向を転換していくのは


前述のように、自由落下運動に対する

角度θに対する関数で式が示される。



それは、重力中心方向への直線に対する力であり


F=mghsinsinθ、質量mとθが

適合パラメータである。


大気との関係性は、空間軸方向で

気流に対する抵抗がFで示される。


それらの式で示される解が、飛行モデル。


飛行機の自律航法計算と似たようなものだが

鳥のように、それを感覚的に行う。




「ふう。」



丘のおおきな木が、とても小さく



クリスマスケーキの飾りみたいに

小さく見えて。



北極星が、手が届きそうに近く見えるあたりで

0次元モデルを、解放。



落下しながら、速度を増す。


宇宙旅行のようだけど。


地球のゆっくりした回転、それが


行く先への方向に合っていれば、いいのだけど(笑)。


それは、計算頼み。



もと居た場所からの方向は、計算に頼る他はない。




ひょっとしたら、海、ドーバー海峡に

転落したり


アルプスの山に落下するかもしれないが(笑)



その時、再度上昇すればいいだけの話だ。。





「時間旅行よりは、気楽ね。」



めぐは、楽しそうに空を飛んだ。



絵本の中で見た雲は、近くに言ってみれば


冷たい氷の粒、だったりした。






すごい風



時速1700kmと言うと、秒速なら472mになる。


台風の風でも40mくらいだから、相当な風速。



気をつけてモデル変換をしないと、壊れてしまうかもしれないが


それは、感覚でいい。


方向をみながら、2次元化して



凧のように飛んで行けばいいのだ。



大気は、地球について回っている。


季節風や、気圧の影響も僅かなものだ。





・・・・・でも、めぐの着陸方向は(笑)



海の向こうのロンドンだったから(笑)。



60kmくらいは流された事になる。


見た事のない外国の景色は

新鮮で良かったけれど



大きな教会の鐘や、時計台。


港町と、石造りの街。



「いつか、昼間に

ゆっくりと観光したいなー、2階立てバスで」


なんて、のんびりさんのめぐは


にこにこしながら。



でも、夜のロンドンにひとりで下りるのは

ちょっと怖い。




もう一度上昇して、元に戻る事にした。


風の影響を受けないように、時間軸軸を戻す。



そうすると、数分前に戻るのだから


もといた場所に戻ることになる。




「やっぱり、地学をもう少し勉強しておけばよかったかしら。」と

めぐは、反省。



理科系でも、地学ってなんとなく

覚える事が多くて。

めぐは苦手だったりする。



物理学や化学は、考えて構築する。



それに比べると、地学は少し地味だった。


「こんなところで使うとは思わなかったあ」と


めぐは、ちょtっと反省。


風向を見たり、天候を予測したり。



迂闊に雨雲に入れば、びしょ濡れ。


雷雲に入ると、感電はしないけど

ちょっと怖いかも。




それに比べて、時間旅行は楽だった。


ただ、上空に舞って0次元モデルになってしまえば


重力場の影響から逃れられる。

質量0の粒子となって


光子に押されて、急加速。


光速を超えれば、時間は逆転する。



アルバート・アインシュタインの


述べた通りだ。








びゅん、と

音がするくらいにしっかりと

もといた、めぐのお家上空に

戻ってきた、めぐ。



時間を逆転させたとは、お月様にも

わからない。




さっき、消えたのに


また戻ってきた。



そんなふうにしか、見えない。





つまり、時間軸を縮めたぶん

空間も歪んだのだった。




めぐの周辺だけ。



 



魔法使いの家系



魔法使いルーフィの勘が当たっていたとすれば

めぐは、血統のどこかで魔法使いが先祖だったのか・・・・


それか、魔法使いの生まれ変わりで、その記憶の影響なのか。



それは、今のところわからないけれど。



その両方かもしれない。



そういう事は、よくある。




めぐのおばあちゃんも、魔法使いっぽかったし。

おじいちゃんは、わからないけれど。


お父さん、お母さんも

超次元の旅人を、ふつうに受け入れるひと。



「どっかで、つながってるのかな」


ルーフィは、めぐの飛行少女(w)ぶりを見てそう思う。




もっとも、めぐは

ルーフィのためになりたくて、懸命なのだけど。






「...向こうの世界のMegと、似て非なるめぐちゃん、か。」と

ルーフィはつぶやく。



3年、時間がずれているけれど

どこか、違っている。



時空が歪んでいるので、当然なのだけれど。




もともと、Megがわが身の3年前を見てみたいと思って

時間旅行をしたつもりで

時空を越えて、こちらに来てしまった。


そういう関係性だから、3次元的な空間座標はそっくりだ。



「並列世界みたいだ」と、ルーフィは思う。



そっくりな構造の3次元的な時空間でも、それは

直線的な3次元ではないから、曲線で、縦・横・奥行きを

とても大きな規模で見ると、どこかが歪んでしまう。



その歪みが、お互いに交わっている座標であるとされる。



重力場が変わっているから、ふつうの3次元空間より

重いところに別の時空がある、と言うのが

この並列世界、と言う概念。



重合するような、ミクロレベルの多次元宇宙とは

また違った理論である。




「どっちかわからないけど」と、ルーフィは

量子コンピュータで計算してみようかと

本当に思った。



シミュレーション・システム。



matlabで計算してみるかな、と


ルーフィは、物理式をsimulinkに書き込んだ。













一方のめぐは、無事に戻れた事で

いくらか、自信を持った。






「あとは、向こうの世界に行って見るだけ。

ルーフィさんに一緒に行ってもらお。」



夏休みになる前、ルーフィさんに

連れて行ってもらう約束だった、時間旅行。


それが、いろいろあって。


のびのびになってしまっていた。




夏休みが終わる前に、行って来たいけど・・・・。







「坊やも連れて行くのかしら」と、ふと、めぐは思う。



おばあちゃんが可愛がってるから。

別れが辛いだろうな・・・・。なんて。




「とりあえず、ルーフィさんとふたりで行ってみたいけど・・・・でも

坊やのお母さんも心配してるだろうし・・・・。」


悩む乙女、めぐ(笑)






ふわり、とバルコニーのところへ降りる。


そこで、ようやく3次元実体に戻ったわけだけど。



0次元モデルに近づくにつれ、体重が軽くなる。




「ふだん、ちょっとだけ軽くしておきたいな」なんて

悩む乙女、めぐ(笑)。





・・・・・(元)天使さん、クリスタさんは

いつも軽いので、羨ましい(笑)めぐだった。





飛べる。飛べる。



とりあえず、飛べるようにはなっためぐ。

でも、まだ・・・いまひとつ自信はない。


坊やを連れて飛んでいくなんて・・・・



と、めぐは思ったり。




それで、ルーフィーに相談。


屋根裏部屋の出窓には、まだ

明かりがついている。



時間は、まだ午後9時くらいだ。


ちょっと、いたずら心を出して

めぐは、出窓のところに飛んで行こうとした。


歩いていけば、行けない事もないけれど


三角屋根だし、傾斜が急で

ちょっと滑りそう。


F=mghcosθなので

mとθを適合すればいい。

3次元の自分の実体を

少しずつ、0次元に近づけていくと

F、つまり重力影響が少なくなる。



m、質量が何グラムなのかは・・・

オトメの内緒だ(笑)。



でもその質量は、地球の重力の影響下では、そうなる。



それだけの理由である。


もっとも、質量が問題なのではなく


形状、つまりスタイルが重要なんだけど。


「スタイルよくする魔法、ってないかな」

と、めぐは、オトメらしくそう思ったり(笑)。




そんな事を考えながらでも、魔法が使えるようになった。


慣れたのだろう。



0次元モデル化のプロトコールである。



プロトコール、つまり、約束だ。


魔法さんとの約束、である。




普通の物理学では、重力などによる凝縮で3次元物体は、0次元に向かうけれど



これは、理論物理学である。








地上に僅かな空隙を持ち、めぐは

三角屋根を滑るように移動する。



魔法使いの女の子が、ほうきに乗って飛ぶように。



斜め運動なので、三角関数を持つ連立解だが


もちろん、そこは魔法である。



暗算をして代入する訳でもない(笑)。




すーう、と

音もなく、三角屋根の勾配θに沿って

めぐは飛ぶ。


足を、お屋根に付けて見ても

抵抗を感じない、浮遊である。


空間に固定されていないので、それは当然だ。




でも、進む先に地上があると

止めるのは難しい。


斜め上向けのマイナスの重力加速度を、そこで抑える。


つまり、mを少しずつ増やして止めるのであるから


それは、結構難しい。


バルコニーの位置から、すこし高い出窓の位置までの



位置エネルギーの差分が、この運動を司る訳で


重力加速度1N、それと質量mと高さHの積であるが


アイザック・ニュートンも



21世紀に、魔法使いに応用されるとは

思わなかっただろう(笑)。




でも、その停止は上手く行かない。



ブレーキがないので、それは当然かもしれない。



出窓の縁を手で押さえて。


それでも足りなくて。


モモンガみたいに両手、両足で

窓枠を抑えた(笑)。



ルーフィーは、明かりのついた屋根裏部屋で、その様子を伺っていたら



ガラス窓に突進してくるめぐを見て


ちょっと身構えた(笑)。



窓を、ルーフィーが開くと

めぐは、停まるべき対象が無くなって


ルーフィーに抱き留められてしまった。




「いらっしゃい、かわいい魔女さん」と

ルーフィーはにっこり。



めぐは、ぱっ、と後退したせいで

窓枠に頭をぶっつけた(笑)。




「ご、ごめんなさいー・・・!」




恥ずかしくて、顔が火事みたい(笑)。



と、めぐは思う。


「ルーフィーさんに、抱きしめられちゃったぁ」と、めぐはにこにこ。




「その表現は誤解を招くね」と

ルーフィー。




「いいの。」と、めぐはにこにこ。





「誰にも言わないように」と、ルーフィー。



「うん、ふたりだけの秘密だもん。」と、めぐは楽しい。(笑)。



ユーモア混じりでも、好きなルーフィーさんに近づけて。



それは、とっても嬉しかったりする18歳だった。



好きって、理由なんかいらないもの。


めぐは、心でそう思う。








恋する魔法使い



ルーフィは、量子コンピュータで


重力場の計算をmatlabで行っていた。


simulinkと言う

、ブロック毎にシミュレーション結果を適合できるソフトウェアだ。



「あれ?」



めぐが発見したのは



静電誘導の力学モデル式だった。




F=k*{q1*q2/(r)2}と言う有名な式。



それは、星の重力場計算に式の構造が似ている。



もちろん、定数は違うが。


ルーフィは楽しそうだ。




「ミクロ宇宙に11次元が内包されているなら、マクロ宇宙と構造が似てるって事だよね。



静電気を作る、電子の力と


星の重力場が似てるってのは


結構、面白いね。



たぶん、多重次元構造って正しいんだよ、きっと」



その話の内容よりも、めぐは


ルーフィのそばに居られる事が嬉しかったりした。





どうしてなんだろう?と

思うけど。






べつに、Megさんは嫌いではないし、

自分の3年後にそっくりだから


親近感はある。


でも、ルーフィさんに、先に出会ってしまったから。



そんな理由で、ルーフィのパートナーに


決まっているのは、ちょっと


あたしがかわいそう(笑)なんて


思ったりもする。




でも、だから

争う訳もないけれど。







このまま、ルーフィの魔法が戻らないで

すっと、ここに住んでいてくれたらいいのに。


めぐは、そんな風にも思ったりする。






それはそれで、Megさんがかわいそうだから。


それもできないだろうけれど。




第一、魔法使いって仕事じゃないもの(笑)。



普段は何して暮らしてるんだろう?なんて(笑)。





「だいぶ、上手く飛べるじゃない」と


ルーフィのその言葉に、めぐは、


ふと、物思いに耽っていた事に気づいたり。







この頃、そんな事多い。




そういう時間って、楽しいんだけど(笑)。






「はい、あの、いえ.....変なところに飛んで行ってしまいそうで、まだ自信ないです。」と


めぐは、さっきのロンドン旅行(笑)の


話をしたり。





「それなら、魔法陣を使い切りで作ってあげるよ。そうすれば大丈夫。]と




ルーフィは親切心でそういう。



でもなんとなく、めぐは複雑だ。




.....あちらに帰りたいのかしら。あたしって魅力ないのかなぁ。




なんて(笑)思ったりするのも



恋故のキモチだったり。




もちろん、魅力ない訳じゃないんだけど。






「早く帰りたいですか?」と、めぐは

その口調がちょっと、淋しかったかな、と


思って。微笑んで見せた。



でもルーフィは、気にしない。




「いや、だってさ。坊やのおかあさん

心配してるでしょ。」




と、平然と、思いやりの気持ちで

答えるから、


めぐは、自分の事を


勝手な女の子だ、なんて

恥ずかしく思ったりも(笑)。





でも、恋ってそうだもの。




恥ずかしく思わなくていいんだけど。



魔法使いの限界



好きなひとといつも一緒でいたいって


それって、自然な気持ちだし。


あたしだけを愛して。



そういう気持ちだって、ふつう。

だから、向こうの世界に戻らないでほしい

なんて思うのも、別に恥ずかしい事でもない。



でもそれは、人間、めぐの感覚で

魔法使いは、いろんな世界に住む事ができたりする。



だから、時間を分割して多重人生を送る事が

できたりする。


例えば今、ルーフィの向こうの世界では

時間がとてもゆっくりしか進んでいない。


4次元にモデル変換することで、時間軸を

伸ばす事も可能だからだ。




つまり、この手法を複数の世界で使えば


例えば、超弦理論に基づく11次元多重宇宙では

10の500乗も宇宙が隣接していると

予想されているので



それだけの中から、住む世界を決められる。





理論的には、である。




もともと、愛するが故に

相手を独占したいと言う気持ちは



人間が、生物として生きてきた証で


そうしないと、家族の排他性が保てないから


それを好む人が生き延びてきた、そういう事になる。



それは、3次元的な同じ平面の上にしか

その人が生きていないと言う前提だからで



もし、遠い別の世界に

その人が、別の人と恋していたとしても....



別の世界に生きているその人は、別の人。



なので、知る由もない。



その存在を知らなければ。



そう思うと、めぐはちょっと怖い気がしたりするし



人間の女の子として生きているめぐ、は

魔法使いになっても、ちょっと


いろんな世界で、恋人を作るなんて

出来そうにもなかった。




「そんなの無理」



そう思う。





男の人だって。



そんな女の子を好きになれないって思う。


めぐはそんな風に思ったし、いくら魔法が使えたって



そんなの嫌。




そう思った。





「ルーフィさんのご主人様が、未来に希望を無くして眠っちゃったって、この事なのかしら?」



なんて、めぐは恋する乙女らしく

そんな連想をした。



それが、魔法使いの限界....?




なんでもできるけど。愛だけは

作れないし。もし、相手が魔法使いさんだったら


魔法でなんでも出来てしまう相手の


真実の愛ってどこにあるの?

ホントの姿って?



そんなふうに思ってしまうと

めぐは、かわいらしくそう思ったりした。



恋は戦い



ルーフィさんは、そのことを

どう考えてるんだろう。

めぐは、ちょっとそれを

確かめたくなったりもする。



もうひとりのあたし、3年後のあたしと

今のあたし。



先に出会ってて、ルーフィ

さんが愛を打ち明けた。



らしい。(笑)。




でも、あたしだって好き。







めぐは、そんなふうにして

魔法使いさんは、複数の生活を作るのかしら(笑)


なんて思ったりした




重結婚罪だ(笑)なんて。



結婚してないけど。








魔法使いさんってみんなそうなのかしら。




ふつうの人間世界でも、お父さんがひとりで

お母さんがいっぱい。



そういう国もある。




それで、めぐはちょっとルーフィの気持ちを

確かめたくなったり。





......するけれども


それを言ってしまうと、全て終わってしまいそう。



そんな気がして、怖かったり。







だって、順番から行くと

あたしの方が後から好きになったけど。


先着順で恋は撰べないもん(笑)。



あたしの方が若いしー。かわいいし


なんて、思ったり(笑)。


そんな事は思ってても言わないけど(笑)。






そういうものだと思う。




恋は戦いなの。(笑)





「じゃ、あしたかな坊やが目覚めてから。


旅に出よう。」とルーフィは



そんなめぐの気持ちなど

、知らないで。



向こうの世界に戻る、と言う事を

口にした。



魔女先生



でもルーフィは、意地悪で

言ってるわけでは、もちろんない。


もともと、戻るつもりでいたのだけど

それは、別にめぐが嫌いだとか


Megより魅力がないとか、そんな気持ちでは

もちろんない。




でも、比べる事なんてできないってのは

正直な気持ちだと思う。

ちなみに、筆者もそう思う(笑)が




女の子、ひとりひとり違っ個性があるし

二人のうち、どちらを選べとか、そういうのは

酷な命題だ。



魅力に上下なんてないんだから。




つまり、家族を持ったりしない

心の愛だけだったら、時空間が

重複しなければいいんじゃないかな、と

ルーフィは思っていた。




でもそれは、魔法使いさん的な感覚。




人間、めぐとMegも

そういうのを認めるかなぁ(笑)と


筆者も思ったりもするけれど



それは、戦後の西洋的な考えで



戦前の東洋や、中近東、極東には

割と曖昧に、家族ができていたりしていた。



それでも幸せならいいのかな、などと

筆者は思うけれど。


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