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のんびり、ほとんどからになった
ワゴンを押して
食堂車のとなりの、ロビーカーに
差し掛かったNaomiは
丸顔で、人の良さそうな
おじさんに声を掛けられた。
「お酒の類は、あるかの?」
こんな非常時に、お酒なんて、と
Naomiは一瞬思ったけれど
でも、その人には
その人なりの理由があって
お酒を飲みたいのだろうと
優しく、そう思った。
長い人生、いろいろな事があって
お酒を飲む事が習慣になったのだろう。
その人にとって、お酒、アルコール代謝で得られる状態が
幸せな、気分を齎す化学物質を
彼の脳に満たす、それだけの事だ。
Naomiは、「ワゴンのお酒はもう、売り切れてしまって」と
そう言う。
彼は、淋しそうな顔をして「はい」と。
その横顔を見て、Naomiは、
ちょっとかわいそうに思った。
「探してみます」そう言って。
となりの食堂車まで、ワゴンを押した。
食堂車では、もう、食料がなくなったので
後片付けを終えた
めぐたちが、のんびりと
テーブルをしまっていて。
「どしたの?」と、れーみぃ。
Naomiは、訳を話す。
お酒がないかしら?と。
「そうだねぇ」と
キッチンを見回して見ると
料理用のワインくらいしかない。
列車料理長、それを見ていて
「どうしたの?」
めぐは「お酒の好きなおじいさんが
ちょっと淋しそうなので」と
そういうと、料理長は
「それじゃ、僕の私物を進呈しよう」そう言って
料理長は、自分のお部屋に行って。
小瓶のウィスキーとか、ワイン。
数本を抱えて持ってきた。




