河童だっているかもしれないね。うん。
百年物のぬか漬けとはすばらしい。うん、おいしい。
こたつをはさんで河童(仮)と向かい合う。河童(仮)はキュウリをシャリシャリと、それはもうおいしそうに食べ、時折りお茶を飲みつつ、俺達はマッタリしていた。
そんな空気に流されそうになるが、そうもいかない。そろそろこいつの正体を聞きださないと。
「なあ。」
「はいはいなんですか。おいしいですねこのお茶、静岡産ですか?」
「ああ、静岡に住んでる母親から届いたんだ。」
「それはいいですね、素晴らしい。けれどお茶の淹れ方がまだまだですね。お茶は低温で、むらしながらですねー…」
きゅうすを手にとって、実演付きで河童(仮)が『美味しいお茶の淹れ方』をレクチャーしてくれる。
そうやって淹れなおしたお茶は、確かにおいしかった。ああ、なるほど、俺は今までかなり勿体ない事をしてたんだなぁ。
キュウリが無くなったので、代わりにミカンを持ってきてまたこたつに入る。河童(仮)は新しく入ったお茶を、それはもうおいしそうに飲み、籠に積まれたみかんを食べながら、俺達はマッタリしていた。
そんな空気に流れていたが、いかん、そうじゃない。とっととこいつの正体を聞きださないと。
「なあ。」
「はいはいなんですか。おいしいですねこのみかん。愛媛産ですか?」
「ああ、愛媛に住んでる父親から届いたんだ」
「それはいいですね、素晴らしい。けれどミカンの白い筋をとって食べるのは頂けませんね。みかんの白い筋には、色々な栄養があってですね…」
どこからかスマホを取り出して、図説付きで河童(仮)が『みかんの白い筋の大切さ』をティーチしてくれる。
いろんなサイトを見て、実験結果とかを見てると、確かにあの筋は健康に良いらしかった。ああ、なるほど、俺は今までかなり勿体ない事をしてたんだなぁ。
おなかも膨れてきたので、みかんの皮を片づけて、暇つぶしにPSP(黒)を持ってきてまたこたつに入る。河童(仮)はどこからかPSP(白)を取り出して、気難しそうな顔をしながらモンハンをして、俺達はマッタリしていた。
そんな空気に流されているが、もうそれでいいかもしない。こいつの正体なんて、なんか、どうでもよくなってきた。
河童(仮)と呼ぶのももう面倒くさいな。もうこいつ、ただの「河童」でいいや。
「このクエスト難しい…」
「通信するか?」
「あ、いいですね。それじゃワタシ笛使って援護しますんで、前衛頑張って下さい」
「ズリー」
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ちなみに私は双剣使いです。
鬼神モードなめんなよ!