魔女の買い物
私の名前はナギ、魔女族だ。
わけあって今、奴隷が合法な国に来た。私はしばらく歩き、一軒の奴隷商店に着き、扉を開いた。
「いらっしゃいませ……おや、これは珍しいお客様ですね」
小太りな店主は、私を魔女だと見抜いたのか、笑顔のまま鋭い目つきでこちらを見つめていた。
「私が魔女族だと気づいたの?」
「確信はありませんでしたが、やはりそうでしたか。ここに来たということは、奴隷をお探しですね」
「ええ、戦える奴隷を買いにきたの、見せてくれる?」
「承知しました。では少々お待ちください、ご要望に沿う奴隷たちを連れてまいります」
店主はそう言うと店の裏に消えた。
この国は奴隷にもある程度の人権はあるらしい。奴隷は主人と血の契約を結ぶと、主人の命令に逆らえなくなる。ただし、例外はある。性的な事や自傷行為、生物への加害といった命令には効力が及ばないようになっている。さらに、奴隷が犯罪を犯すと主人まで一緒に罰せられる。
しばらくすると、店主が数人の奴隷を連れて戻ってきた。
店主は、一人ずつ得意な武器や魔法を説明してくれた。
私は話を聞き終えてから、店主に尋ねた。
「戦える奴隷は、これで全部?」
「ほかにも、剣と身体強化魔法を得意とする少年がおります。元兵士なのですが、今は大きな怪我をしておりまして……戦える奴隷をお探しでしたら、こちらの者たちをお勧めいたします」
「どんな怪我?」
「右目と左足です。手当はしておりますが、満足に歩ける状態ではありません」
重傷の少年ね…回復魔法が得意な魔女を一人知っている。
「その子にも会わせてくれる?」
「承知しました。では、奥へどうぞ」
店主は奴隷たちを先に奥へ戻すと、私を別の部屋へ案内した。
部屋の寝台には、黒髪の男の子が座っていた。
右目は白い包帯で覆われ、左足にも包帯が巻かれている。着ているシャツや短パンは清潔だったけれど、袖口から見える手首にも包帯があった。
私たちに気づくと、男の子は顔を上げた。
「……何の用だ?」
「あなたに会いに来たの。名前を教えてくれる?」
男の子は私をじっと見てから、口を開いた。
「ロイ・ベルク。兵士だ」




