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eS部 ~一目ぼれした先輩に告白したら格ゲーでガチ対戦することになりました~  作者: 川平直
STAGE5

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23/26

STAGE5-1

 勝負のルールはあの時と同じ。一試合二ラウンド。英太は一ラウンド先取、零は五試合先取で勝利のハンデマッチ。


 最初に動いたのは、英太操るリョウの方だった。


 試合が始まるとほぼ同時に突っ込み、攻撃を打ち込む。


 零の操るキティは当然これをガード。


 しかしそんなこと構うことなく、弱パンチや弱キックと言った、出の速く隙の少ない攻撃で責め立てる。


 ガードとはいえ全くダメージが入らないわけじゃない、ほんの少しではあるが、攻撃がヒットする度にヒットポイントは減っていく。


 弱攻撃故、KOやガードそのものを崩すことはは期待できないが、このまま時間切れまで逃げ切れば、ヒットポイント差でそのラウンドは勝利になる。


 しかし、その程度のことに対処できない零ではない。


 弱攻撃の終わり際の一瞬、これ以上ないタイミングで放たれたキティのカウンターがリョウに刺さる。

 1(フレーム)、六十分の一秒の隙であろうと、小早川零はそれを見逃す事は無い。


 一撃入ってしまえば、そこからは一瞬だ。


 怒濤のコンボをたたき込まれ、ダウンを取られてからの、起き攻めをくらいそれで終わり。一試合目の一ラウンドはあっけなく取られた。


 二ラウンド目。一ラウンド目と変わらずスタート同時に飛び込む英太だったが、完全にそれを読まれたか待ち構えていたキティの攻撃がヒットする。


 今度は攻撃打たせてすらもらえない。連撃を打ち込まれそのままなすすべもなく、敗北した。


 端から見ればあたかも零の置いておいた攻撃に、英太自ら当たりに行った様に見えるほど零は完璧に動きを見切っている。


 二ラウンド取られ、初戦は零の圧勝で終わる。後四試合取られれば完全に勝負ありだ。

 しかしその後も、英太の行動は変わることはなかった。


 スタートと同時に相手に向かって突っ込み、攻撃を仕掛ける。これをひたすら繰り返す。投げを織り込んだりなどして、多少攻撃パターンを換えはする物の、基本的な動きは変わらない。


 課程が変わらないのであれば、当然結果も変わらない。


 闇雲に突っ込んでくる英太のリョウを、零のキティが的確に迎撃し沈める。


 そんな試合が二戦、三戦と続き気が付けばあっという間にゼロ勝五敗の崖っぷちに追い込まれた。


 四戦目に敗北したところで、英太は一人静かに息を吐いた。


 ちらりと隣に座る零に視線を向けると彼女と目が合った。


 その表情に油断はなく、不敵な笑みを浮かべたままその瞳は語りかける。


 このまま終わりはしないのだろう? と。


 驕りなく全力で挑んで来てくれることは誇らしいが、正直なところ少しくらい油断してくれた方が助かったと思わなくもない。


 後ろを見れば、美海が不安げな表情で勝負の行く末を見守っているが、絶体絶命のこの窮地にも、その表情に焦りはない。


 英太の視線に気が付いたのか、不意に美海と目が合うと、彼女は真剣な表情で一度うなずく。


 その意味は『分かってるんでしょうね』だ。


 昨日さんざん似たようなやり取りをしたのに、まだ言うか。よほど信用がないと見える。


『心配すんな』とうなずき返し、視線をモニター画面へ戻す。


 ああ大丈夫、分かってるよ。


 心で呟き、より一層集中の中に潜る。


 こっからが、本当の勝負だ!


 その瞬間、正真正銘最後の勝負の始まりを告げる、ゴングが鳴り響いたその瞬間、英太の操るリョウは、先ほどまでとは明らかに違う動きを見せた。


 今までは試合開始と同時に突っ込み、返り討ちに遭うの繰り返しだった。今度は逆に一歩距離を取ったすかさずコマンドを入力。


 淀みなく、遠距離ワザである波動撃を繰り出す。


 零は冷静にこれをガード。


 それに構わず、英太はもう一度波動撃を繰り出す。


 零はそれを今度は、ジャンプして回避。その瞬間だった。


 ジャンプの瞬間、いや、その前動作の段階で反応し、英太はダッシュコマンドを入れ懐に入り、素早く昇竜脚のコマンドを入力する。


 特訓期間のラスト一週間は、ひたすらこの流れの練習に費やした。今では百パーセントミスせず繰り出せる。


 距離を取っていたリョウが、一瞬で距離を詰め、零がコマンドを入れるよりも速く、上空を蹴り上げる、昇竜撃を繰り出す。


 キティは空中でなすすべ無く、その一撃をもらい、容赦なく打ち落とされ。そこからきっちり、コンボが入る。


 しかし削り切ることは出来ず、ダウンするだけにとどまるがキティのヒットポイントは風前の灯火。


 あと一発でも入れることが出来れば、英太の勝利が決まる所まで追い詰めた。


「よしっ!」


 ここまでは、英太と美海。二人の思惑通りに事は進んでいた。

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