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社会は、いずれゲームになる。

作者: Rchild
掲載日:2025/12/31

思考の果てに望める世界は「ゲームの世界」だった。


こう言えば「おい、ゲームオタクが何か言い出したぞw」となるのが一般的な価値観だと、私も思う。


だが、私が言うゲームの世界は、人間が行き着く発展先の社会が「ゲームの世界」だとしている。


もちろんこれは、通過点のひとつでしかないはずだ。ただ、今の私は「ゲームの世界」以上の社会発展先を思い付かないでいるから、果てとしている。


しかし、さて。ゲームの世界とは一体、なんであろうか。それを話す前に、今の社会から話し始めよう。


現在、社会はデジタル化されていっている。工場の機械化だけに止まらず、デジタル化は家庭の中に入り込んで、出掛ける前に車のエンジンを掛け、帰ってくれば風呂が丁度よく沸きあがるように、私たちの暮らしを快適にしてくれている。


そんな生活は先進国だけでなく、途上国の生活も変化させはじめて、アフリカから日本に動画配信を送ることも出来るほどだ。


このように、デジタル社会は殆どの地域に行き渡り、その密度は確かに格差を生んではいるものの、現在の社会からデジタル技術をなくすことなんてもう出来やしない。


では、このままデジタル社会が進んでいけばどんなことが起こるだろうと考えを進めていけば、はじめに言った「ゲームの世界」が訪れるということになるのだが、順序立てて話していこう。


1 労働の過小化


現在、労働は人間の社会になくてはならない行為だ。労働がなければ賃金を稼ぐことは出来ず、稼ぎなければ生活が出来ない。米を買う。家賃を払う。友人とカフェで語らうことすら出来ない。


だが、これからの社会は、労働の価値が変化する。何故か? 労働力がデジタル化、詰まりは機械化するからだ。


いまの社会でもうっすらと見えている労働力の置き換えは、これからずっと早く起きていき、今でも労働者の立場を脅かしている機械の脅威はあなたから仕事を奪っていく。


今はまだ、事務などのホワイトカラー系の仕事が徐々に置き換わっているだけだが、もう間近に芸術系の絵画、人文系の小説、はたまた精神系のメンタルヘルスなども、からめ捕られるのは間違いない。


仕事はデジタル化され、機械化されて、人の手から離れて会社の経営者は人件費から解放されていくのがこれからの社会だ。


──とはいっても、人間社会から労働がなくなるのはまだ先だ。まだまだ人間は生活のための労働から解放されはしないのだが。


2 労働の価値の変化と格差


次に起こるのは、格差の間が極端に広がる「格差間の極大化」だ。


先にも言った通り、経営者が人件費から解放されると言うことは、「人間が働かなくとも会社が回る」ということになる。


逆に言えば「働きたくとも働けない社会」になると言うこと。経営者が必要なのは掛かる経費の少なく、感情によって仕事の質にムラがない、言われたことを言われたように量産してくれる働き手であって、期間ごとに給金と、ウェルビーイングを求めるムラのある働き手じゃない。


とすれば、デジタル社会の路線は目に見える。つまり、労働者の必要ない社会の実現が必ず起こる。


もし働き続けたいと思うのであれば、人間が「人間でなければ駄目だ」と思う職種に転職することをお勧めしたい程だ。


詰まりは、働くことの価値は社会的な構造として二極化していく。経営者的立場の人間にとって働くことは社会の維持──「私が社会を生存させている」──という価値になるし、機械に職を奪われた人間は──「社会は勝手に生存している」──という価値観になる。


そしてそれは、人間同士の目には映らない社会格差となり、中には憤りや不満を育てる原因になるのは当然だ。


3 社会的価値観の平坦化


人は馴れる生き物だということは、心理生物学の書物を紐解かなくとも皆理解していることだと思う。いいや、言語的に理解していなくとも、好きな食べ物や好きなアニメに「飽きる」という経験はしているはずで、その飽きるは馴れると言い換えられることだ。


先述した通り、人の社会は己の生活基盤から生存のための労働を簡略化する為に、技術を発展させてきた。そして人は、簡略化された社会に慣れ親しむことで、過去の社会的常識を過去の物として扱う術を持っている。


だが、よく考えずとも、新しい文化や技術なども、いつからか「当然」として享受するようになる。過去の常識を持つ人間に対して「過去の人」というレッテルを張り付け、自分は社会の流れから外れていない真っ当な感覚を持つ人間であると、周囲に示していく。そしてそれも、いつの間にか常識化して、常識であるように振る舞うようになっていくのだ。


例えば過去、投票権は、爵位を持つ者だけに与えられた権利だった。労働者は手を動かすことしか出来ず、頭を働かせるだけの能力のない(と思われた)存在だった。


けれど、今そのようなことを言えば、逆に「こいつの頭は大丈夫か?」と可哀想な目を向けられる社会になっている。


それは、天文学にも、歴史学にも、生化学にも、運動工学にも起きたことであり、社会的進歩とされる基盤丸ごとを変容せしめてきた。


そして結局、私たちはそれを常識だと捉え、価値観のアップデートという形で平坦化してきたのだ。


ならば、考えられる未来の恐怖も、いつかは平坦化が起きてしまう。人は、便利という道具を使って、その道具の取り扱いに飽きが来ると不平不満を漏らし、より新しくより便利な道具を求めて、新たな恐怖を生み出していくのだから。


4 働くという趣味


社会がデジタル機器による変容を起こし、その変容によって生まれた混乱期を過ぎると、さて、人の社会はどうなるのか。ここまで追って来た人には、簡単な答え合わせ。


ひとつは、労働が必要ない社会が訪れるということ。


もう少し具体的に言えば、労働者の必要ない事業形態へと変容した企業が、労働者の雇用をやめる。個々の事業が大きいものに吸収される形で纏まり、企業的インフラの一本化が始まる。雇用が生まれなくなった社会にはしかし、少数が動かす巨大企業同士による貿易が無人で活性化する。需要と供給の安定を機械が運営し、生活のための労働が人の手から離れる。自動的に生まれる金銭価値が書面的数値として国に記録され、記録された価値の交換が国庫を自動的に潤していく。貧富の差はおおよそなくなるが、巨大企業の所持者と、それ以外という極端な格差が生まれる。だが、先述したように人は便利に馴れ、現状の不安を忘れる機能を持っている。多くの人が「働かなくても良い社会」に馴れ、いつの間にか働くことは趣味になっていくことだろう。


もちろん、ここまで読んだ貴方なら、これが端に寄った考えだと分かっているはずだ。


たが、ここまで読んだ貴方なら、これが「極端だけれど、未来に起き得る可能性のひとつだ」とも理解しているだろう。


人の手が何処まで残り続け、機械化がどの順序で浸透していくのか。それは、現在の技術の走り方を見ていれば、多くの人が納得をもって「こうに違いない」と予測できることでもあるのだから。


5 社会のゲーム化


さて、ようやくここまで来た。が、どう話を繋げれば良いか迷う。


何故なら、ここから少し、暗い話しになるからだ。


先述したように、人間社会は、生活のための労働の簡略化に成功すると、労働自体をなくすことになる。いや、正確に言えば「機械が代替労働することになる」だが、人類から労働がなくなるのは違いない。


では、人間から労働を取り上げると、どうなるのか。


答えは簡単──「死」だ。


大袈裟に書いている部分も勿論あるが、人は、やることがなくなると自死を選びやすい生き物でもある。


詰まりは、自殺者が増える。特に、自分に自信を持ちづらい人や、他者からの承認を得づらい人々の自殺が増えるとの予測は簡単なことで、労働に誇りを持っていた人間など言うまでもない。「私に生きる意味はあるのだろうか?」という下らないことで、人は死んでしまう。


そして、だからこその「ゲームの世界」だ。


現在でもARやVRなどの機器があり、そのなかで現実をゲーム化したり、意識をゲームに没入させたりしている。


なら、労働から解放された人間は、労働に代わる行為をデジタル技術のなかに求めるのは、当然の帰結なのかもしれない。


金銭を稼ぐ目的にあくせくせず、しかし代替以上の価値と意味を生成する電子世界を構築し、そのなかで人間は生活するようになる。ARでもVRでもそれは変わらず、人はそのなかに喜怒哀楽や、真剣勝負や、差別意識を持ち込んでは、また新たな平坦化を経験して、今度はどんな世界を構築しようかとあくせくするのだ。


おわりに


少し長めのこの「社会の未来視」は、私見であり、当分は訪れない未来の話ではある。


けれど私は、この私見がそう遠くない未来であると、考えてもいる。


これを、ここまで読んでくれたあなたは、どう思うだろうか。


私の言葉が、笑いの種になるならそれも良いし、ゾッとする背中の冷えと共に共感するのも悪くはない。


どちらにせよ。


書き綴った未来は、着実にあなたの背後に迫りつつあるものだ。


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