第17話『傲慢なプライド、秘密のテスト。』
侯爵様は、自身のギフトについて異常なほどの執着を見せていた。
侯爵家の人間は代々、強力な防御系ギフトを継承している。
その血筋に生まれた侯爵様自身も、二十歳をとうに過ぎているにもかかわらず、「ただ未発覚なだけだ。自分には、誰よりも強大なギフトが眠っている」と固く信じている。
それは、彼が凡人であることを受け入れられない、傲慢なプライドと、深いコンプレックスの表れだった。
「リナ。お前に頼みたいのは、他ならぬ、私の『潜在能力』についてだ」
侯爵様は書斎の重厚な椅子に座り、私に声をひそめた。
「お前がマリアにした助言は見た。お前の力は本物かもしれん」
私は、背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。
侯爵のギフトが「ハズレ」だった場合、その事実は私の命を危険に晒すだろう。
「そのような、恐れ多いこと……」
「黙れ」
侯爵様は、鋭い視線を向けた。
「まず、私の優秀な護衛のギフトを調べろ。彼のギフトは私と彼しか知らぬ。それが正しければ、お前の力は本物だ。これは、テストだ」
侯爵様は、半ば強引に、私を窓の外に連れて行った。
庭には、彼の「秘密の盾」である衛兵隊長が警備にあたっている。
侯爵様は、私を衛兵隊長に近づけると、不意に、私の手を護衛の肩に押し付けた。
「さあ、リナ。調べろ。私のプライドのためにな!」
私は、激しい恐怖を堪えながら、侯爵の命令に従うしかなかった。
―――そして、脳裏に流れ込んできたのは、驚くべき情報だった。
『硬化』『全身の皮膚』『5秒間』『一日一回』...
「……侯爵様、その護衛のギフトは、皮膚の硬化です。ですが、一日一回、5秒間しか発動できません」
私の言葉に、侯爵様は目を見開いた。
「その通りだ! その能力と条件は、私と彼しか知らぬはずだ!……リナ、お前の力は本物だ!」
侯爵様は、歓喜のあまり、椅子から立ち上がった。
「素晴らしい! よし、リナ。次に、私だ。私の、誰も知らぬ、偉大なるギフトを見つけてみせろ!」
侯爵様の瞳は、期待と渇望で、爛々(らんらん)と輝いていた。
―――その輝きこそが、私の命を懸けた、最も危険な「テスト」の始まりだった。
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