だらだら社会人はじめました
奇跡か親の泣き落としか――
なんとか滑り込んだ小さな地元企業に、
元文化研究部の数名がまとめて就職した。
「……一緒の会社に入るとか、仲良しか」
「つまり……だらだら仲間……」
「お前ら、社長に怒られるぞ」
入社式
他の新入社員は黒髪にピシッとスーツ。
その中で――
寝癖&ギリギリのスーツ(ボタン飛びそう)が混じっている。
社長が挨拶する。
「社会人とは――責任感と誠意が大事です!!」
木下、立ったままウトウト。
「木下!!!立ちながら寝るな!!」
「……寝ながら働ける会社って聞いたのに……」
「そんな求人票は存在しない!!」
初めての仕事
配属先は総務部の片隅。
先輩
「これ、書類整理お願いね!」
部長
「えっと……どれから……」
5分後。
木下
「zzz……」
部長
「zzz……」
先輩
「おーーーーい!!!!」
お昼休み
社内の休憩室。
他の社員は弁当やコーヒーでリフレッシュ。
文化研究部OGは――
「お菓子広げ放題……」
「ここのテーブル、部室の机みたい……」
「最高……社会人って自由……」
通りがかった部長代理に怒鳴られる。
「そこは会議テーブルだ!!!おやつ禁止!!!」
会議地獄
午後、初の部署ミーティング。
上司
「君たち、何か意見は?」
部長
「……(寝そう)」
木下
「……おやつ……」
上司
「質問じゃない!!」
社会人半年後
奇跡的にクビにはならず、
小さなミスは連発しながらも、
なんとなく先輩に甘え、上司に土下座し、
結局ずっとお菓子を食べながら乗り切っている。
「……私たち……社会人になっても……」
「全然成長してない……」
「むしろ、周りが大人すぎて眩しい……」
「眩しいから寝よ……」
そして伝説へ
会社では密かに言われている。
「総務部のあの子たち、何者?」
「寝てるかお菓子食べてるかのどっちかだよね……」
「でも、締め切りだけはギリ守るのすごい……」
それが唯一の信頼――
だらだらするけどギリなんとかする文化研究部魂。
こうして、
社会に出ても彼女たちは変わらずだらだら。
上司に怒られ、後輩に呆れられ、
それでも幸せそうにお菓子を分け合うのであった。
社会人編・完