だらだら就活戦線、異常なし(異常だらけ)
大学3年の春。
周囲はそろそろ「就職活動」を始める頃。
講義後、図書館の聖域(寝床)にて。
「……みんな、就活って知ってる……?」
「聞いたことある……」
「社会と繋がる呪いの儀式……」
「怖すぎるだろ……」
唯一まとも枠、パソコンを開きながら。
「みんなは志望業界とか決めた?」
「お菓子がいっぱいもらえる会社……」
「寝てても給料くれる会社……」
「それ犯罪組織だわ!!」
説明会デビュー
仕方なく合同説明会に参加する元文化研究部。
会場――
スーツに身を包んだ意識高い学生たちの群れ。
その中に――
寝癖つき、カバンからクッキーの袋が飛び出した
完全に場違いな集団。
「……ここ、空気重くない……?」
「みんなキラキラしてる……」
「寝たい……」
説明会の席。
全員、開始15分で寝落ち。
「そこの君たち、質問は?」
「……zzz……」
「前代未聞すぎるだろ!!」
エントリーシート地獄
帰宅後。
一応エントリーシート(ES)を書いてみる。
「志望動機……なんて書くの……」
「『家が近い』ってだめ……?」
「『寝ながら働きたい』って書いちゃった……」
「そのまま出すな!!」
面接デビュー
ある企業の面接。
面接官
「あなたの長所を教えてください」
部長
「えっと……人の話を聞いてるフリが得意です……」
面接官
「短所は?」
部長
「話を聞かないところです……」
木下の番。
面接官
「将来の夢は?」
木下
「無限に寝たいです……」
面接官
「……(無言で書類にバツ)」
結果通知
1週間後、メール受信箱。
「全部……不採用……」
「こんなに全滅するもんか……」
「奇跡の統率力……」
「逆に文化研究部って何だったの……」
就活やめたい会議
図書館の聖域にて。
「……ねぇ、もう就活やめない……?」
「賛成……」
「生きていけるの……?」
「最悪みんなで同居しよう……」
「だらだらシェアハウス……?」
最後の希望
まとも枠が泣きながら叫ぶ。
「お願いだから一社くらいは真面目に受けようよ!!!」
「えぇ……」
「次落ちたら親に土下座だぞ!?」
「土下座より寝たい……」
「木下黙れ!!」
こうして、文化研究部のだらだら就活は――
続くのか、終わるのか、未定のまま、
今日も図書館の隅で寝ているのであった。
就活編・完