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第6話 奴隷を売ってみよう


 これまでにアーデ、ドミンゴと二人の欠損奴隷、それからグラディオスと……。

 いろんな奴隷を治してきて、俺もかなり回復魔法に慣れてきた。

 アーデほどの欠損状態でも治せるのだから、もうほとんどの奴隷は治療できるだろう。

 

 ということで、俺は今度は奴隷を売ることにした。

 ドミンゴやグラディオスのおかげで、定期的に小金は入る。

 だが、ここらでいっちょ大金が欲しくなったのだ。


 まとまった金さえ手に入れば、またそれを元手にいろいろなことができる。

 金は俺が破滅フラグから生き残るのに、必要不可欠なものだった。

 俺が欠損奴隷を安く買って、治療すれば、買ったとき以上の値で売れるだろう。

 ということで、俺は再び奴隷市場にやってきた。

 

 利用する店は、もちろんアーデを買ったときの、スリザーク爺さんの店だ。

 ここには欠損奴隷がたくさん売られている。


「坊さんもモノ好きでんなぁ……」

「違う」


 適当にスリザークをあしらいながら、奴隷を見ていく。

 

 見つけたのはハレルヤという名の少女奴隷だった。

 まだ奴隷市場に売られたばかりで、人々の目に怯えていたのを、不憫に思ったのだ。

 ハレルヤはまだ幼く、性奴隷としての需要も見込めなさそうだった。

 顔は綺麗で、左足と右腕だけが欠損している。

 俺はハレルヤを連れて帰って、治療してやった。


「あ、あの……ご主人様、ありがとうございます。私を治してくださって」

「礼はいらない。お前を高値で売るために、商品の状態をケアしただけにすぎないからな」


 ハレルヤは治療して風呂に入れると、けっこうな美少女だった。

 ただの美少女というだけでなく、どこか気品がある。

 もしかしたら、結構ないいところの娘だったのかもしれない。

 奴隷にされたのには、なにかわけがありそうだ。

 まあ、奴隷なんてのはみんな多かれ少なかれ、なにかはあるもんだけどな。


 シュマーケン家には、奴隷を買いにくるお客さんが定期的にやってくる。

 うちで働いている奴隷とは別に、売り物ように仕入れてある奴隷を売っているのだ。

 主な客層は貴族だ。

 シュマーケン家は奴隷商として長く、それなりに貴族からの信頼もあつい。

 父の奴隷商館には、毎日たくさんの客が訪れる。


 俺はハレルヤを売るために、父にかけあった。

 そして、俺も奴隷商館に同行を許されたのだ。

 

 父の奴隷商館は、市場の喧騒とは異なり、静かで格式のある空間だった。

 入口には厳つい門番が控え、廊下には高級な絨毯が敷かれている。

 壁には贅沢なシャンデリアが吊るされ、天井には貴族向けの商談室がいくつも並んでいた。


 奴隷を売買する場とはいえ、ここはただの取引所ではない。

 ここで交わされる契約は、貴族たちの権力や影響力にも直結するのだ。

 

 ハレルヤをカタログに加えてもらい、あとは売れるのを待つだけだ。

 ハレルヤは見た目も器量もよく、若い。

 目をつけた貴族の客に、すぐに売れた。


「エルド様、短い間でしたが、ありがとうございました。身体を治していただいた御恩は、主人が変わっても決して忘れません」

「ああ、向こうでもしっかりな。またけがをしたら、俺が治してやる」


 アフターサービスも欠かさない。

 ハレルヤは気が弱く臆病だから、心配だ。

 いい人に買われたのならいいけれど……。

 

 ハレルヤを買っていったのは、セモンド伯爵という貴族だった。

 伯爵は顧客リストの中でも、かなり質のいい客といえた。


 シュマーケン家では、顧客たちの情報を細かくリストアップしている。

 その顧客が、奴隷をどう扱うかによってランク分けがされているのだ。


 奴隷にひどい扱いをする客や、奴隷を過度に好待遇にする善良な客など、さまざまだった。

 父は、奴隷をひどく扱う客に売ることを好んだ。

 そういう客のほうが、すぐに奴隷を壊すからまた売れるのだ。


 だが俺は幼いハレルヤを売るのなら、善良な貴族に売りたいと考えた。

 まあ、セモンド伯爵は金払いもいいからな。

 別にハレルヤがどうなろうと俺の知ったことではないが、せっかく治した腕を壊されたりしたら腹が立つからな。

 俺は別に、医師でもないし、ここは病院じゃないんだからな。


 ちなみに、ハレルヤは30Gで買って、7000Gで売れた。

 かなりの利益になった。

 ただ欠損奴隷を安く買って、それを適正価格で売るだけでコレだ。

 それだけ欠損奴隷の価値が低いってことなんだけど。

 とにかく、これはいい商売だぞ。





 それから数日して、またセモンド伯爵が店を訪れた。

 その際に、後ろにハレルヤがついてきていた。

 ハレルヤは俺を見つけると、にこっと笑ってこちらに寄ってきた。

 どうやら元気にしてそうでよかった。俺は安心する。


「あの、エルド様、あらためて、ありがとうございました。私は今、セモンド様に買われて幸せに暮らしています」

「そうか、それはなによりだ」

「エルド様のおかげで、とてもいいご主人さまに恵まれました。今はセモンド様のお屋敷で、まるで娘のように丁寧に扱われています。これも、すべてエルド様が私を元通りにしてくださったおかげです」

「大げさだな」

「いえ、あのままの欠損奴隷では、私はひどいところにしか買われなかったでしょう。ですがこうして治療してくださったおかげで、今の待遇に恵まれました。本当に感謝しています」

「それはよかった」


 それにしても、おかしなこともあったもんだ。

 売った奴隷に感謝されるなんてな。

 普通、奴隷商人っていったら、奴隷からしたら敵なわけだろう?

 まあ、俺はこれからもこの方法で商売を続けていこうと思った。

 ハレルヤには、どうかこのまま幸せに暮らしてもらいたいな。




 

 奴隷のハレルヤを売って大金を得た俺は、それに味を占めた。

 もっと奴隷を治して売っていけば、さらなる大金が手に入る。

 そして大金はきっと将来の俺を助けてくれるだろう。

 ということで、もうおわかりの通り、いつもの奴隷市場に。

 もちろんスリザーク爺さんの店を訪れた。

 怪しい男だが、今のところいい買い物をさせてもらっている。


 また適当に欠損奴隷の中から買う奴隷を選ぶ。

 でもどうせなら、欠損具合のひどい奴隷を選ぼうか。

 片腕だけを失っている奴隷とかは、まだ買い手がつく可能性がある。

 だが、欠損具合がひどければひどいほど、需要がないだろうからな。


 あまりにも欠損がひどいと、それだけ処分の判断が下されるのもはやくなるだろう。

 欠損がましな奴隷のほうが結果的に長生きするだろう。

 だから俺は欠損のひどい奴隷から買っていくことに決めた。

 これは別に俺にやさしさがあるからとか、同情からくるものじゃない。

 単に欠損がひどいほうが、仕入れ値も安くすむからだ。


「こいつをもらおうか」

「へい。20Gです」

「安いな。そんなんでいいのか」

「こいつは欠損が特にひどいですからね。女の奴隷だってのに、胸が切り落とされている」

「そうか。まあいい」


 どうせ、俺が全部治すんだからな。


 俺はその奴隷――ミルコを屋敷に連れて帰った。

 ミルコは一見して、男に見えるような見た目をしていた。

 髪は短く、ぼさぼさだ。

 それに胸は切り落とされて、包帯がまかれた状態になっている。

 腕も足もなく、声帯も失っているようだった。


 そんなミルコを、俺はいつものように治療してやる。

 最初こそ不安からか、抵抗をみせたが、ミルコは癒してやると大人しく俺に従った。

 ミルコの腕と足を治し、今度は胸を治してやる。

 胸を治すと、意外なことにミルコはとんでもない巨乳だった。

 これは、性奴隷としてかなり需要があるだろう。


 声帯も治せるようにして、ミルコは喋れるようになった。

 身体を治したことで、ミルコは俺への警戒を解いたようだが、どこか俺を拒むようなそぶりをみせた。

 今までの奴隷とは違って、ミルコはかなり奴隷商人への嫌悪感が強そうだ。

 まあ、これが本来奴隷としては普通の反応なのかもしれない。


「お、俺を治してどうするつもりだ……!」


 ミルコは、一人称を「俺」としていた。

 不思議と、ボーイッシュな彼女がそういうと違和感がない。


「別に、お前を治して高値で売る。それだけだ」

「ふん……情けをかけたつもりか」

「いや……?」


 なんだかミルコは勘違いをしているみたいだな。

 俺が同情や優しさで治療を施したと思っているらしい。

 単に値段が上がるからなのだが……。

 まあいい。明日にはミルコを売りにだそう。




 

 だが翌日――。

 とんでもないことが起こった。


「う、うぅ…………」

「ミルコ……!? なにをやっているんだ……!?」


 ミルコを商館へ連れていこうと、部屋に行くと――。

 そこには自分で自分の胸を切り落として、うめいているミルコがいた。

 かなりの出血をしている。

 俺は急いで、治療する。


「なんでこんなバカなことを……」

「う、うるさい。お前には関係ないだろ。俺は、この大きな胸が嫌いなんだ」

「そういうことか……」


 もしかしたら、ミルコはもともと、自分で胸を切り落としていたのかもしれないな。

 ボーイッシュな格好といい、口調といい、彼女は自分にコンプレックスをかかえているのだろう。

 俺は、ミルコの胸を完全に再生させることもできたが、今回はそうはしなかった。

 どうせまたこいつは切り落としかねないからな。

 ミルコの胸を、なんとか出血だけとめて、けがだけを治してやる。

 これでミルコの胸は無事に、小さいままで綺麗に縫合できた。


「これならいいか?」

「ふん……別に……頼んでなどいない」


 治療し、落ち着いたミルコに、俺は事情を尋ねる。


「どうしてこんなことをしたんだ?」

「どうせ俺の胸だ。性奴隷にされるに決まっている。それが……嫌なんだ。どうしても……。だから、売りに出される前にこの忌々しいデカい胸を切り落とそうとした……。それだけだ」

「なんだ。そんなことか。そういうことなら、言ってくれればいいのに」

「は……?」

「別に俺は金が手に入ればいいからな。性奴隷がいやなら、他の奴隷として売りにだせばいいだけの話だ。他に使い道があれば、高く売れるのだから」


 ミルコはガタイもいいから、戦闘用の奴隷としても重宝されるだろう。

 俺は別に金が手に入りさえすれば、奴隷がどのようにつかわれようが、どうでもいいからな。


「じゃあ、お前を戦闘用の奴隷として売りにだすが、それでいいか?」

「あ、ああ……その……たすかる」

「別に、いいってことだ」

「それに、胸を小さく、綺麗にしてくれたのも……」


 ミルコは少し照れながら、礼を言った。

 ちょっと不覚にもかわいいと思ってしまった。


 そんなミルコは、すぐに戦闘用の奴隷として貴族に売れた。

 ミルコは見た目もいいし、ガタイもよく、身体能力も高い。

 なんと20Gで買ったのに、8500Gで売ることができた。

 性奴隷としてもミルコは売れただろうが、これでも十分な収益だ。

 俺はなんら文句はなかった。

 ミルコも、自分の希望が叶ってうれしそうだった。


 そんなミルコが、主人に連れられ、また商館に来ることがあった。

 ミルコは、今の生活に非常に満足しているようだった。

 元気そうでなによりだ。


「あの……エルド様。その際は、非常にお世話になりました……」


 口調も、だいぶ丸くなったようだな。


「胸を小さくしていただき、俺の要望通り、性奴隷にはしないでくださいました。今は主人の護衛として働いています。すごく待遇もよく、やりがいのある仕事です! これもすべて、エルド様の治療魔法のおかげです!」


 ミルコは満面の笑みでそう言って、去っていった。

 ま、売れた奴隷がどうなろうと、俺の知ったことではないが……。

 そう言われて悪い気はしなかった。




 

 俺はまたしても奴隷市場にきていた。

 欠損奴隷を売っているエリアばかりをうろついているもんだから、そろそろ店の主人たちに顔を覚えられてしまった。特にスリザーク爺さんとはかなり世間話で盛り上がる。

 

 まだ若いのに欠損奴隷ばかりを買っていく物好きな兄ちゃんとして認識されている。

 そこで、スリザーク爺さんのほうから俺に連絡があったのだ。


 曰く、没落貴族の娘が手に入っただの。

 俺はべつに没落貴族の娘だろうがなんだろうが、なんでもいいんだけどな。

 だが話によると、その没落貴族の娘はひどく欠損をしているらしい。

 没落貴族の娘を治して売れば、きっと高く売れるだろう。

 ということで、俺はその奴隷を買いにきたのだった。


「へっへっへ、坊さんもほんと、物好きでんな」

「いや、変な勘違いはやめてもらいたいんだが……」


 スリザークから謎の目線をもらいつつ、俺はその奴隷を買って帰った。

 奴隷の名は、シャンディというらしい。

 シャンディの家は没落して、解散となったそうだ。

 その際に、シャンディだけはもともと足がなく、逃げ遅れたのだとか。

 あれこれあって、シャンディだけが奴隷狩りにつかまり、こうして奴隷になったのだという。


「ま、気の毒だったな。安心しろ、足は治して、まともな主人のもとに売ってやる」


 俺はシャンディの足を治して、再び歩けるようにしてやった。

 俺はシャンディの足に手をかざし、魔力を込める。


「ヒール」


 すると、傷口がじわじわと閉じていき、皮膚の色が元に戻る。

 そこまでは通常の治癒魔法でもできる範囲だ。だが、俺の魔法はここからが違う。

 傷口から、新たな筋肉が形成され、皮膚が伸び、関節が形作られていく――。

 やがて、かつてそこにあったはずの「足」が完全に再生される。


「っ……!?」

 

 シャンディは驚愕に目を見開き、ゆっくりと足を動かした。


「お、おかしい……! こんなこと……通常の回復魔法では……!」


 そう、これは単なる治癒ではなく「完全再生」だ。

 高位の宮廷魔術医師ですら、このレベルの治療は簡単にはできない。

 だが、俺にはできる――いや、もう当たり前のようにできるようになっていた。


「ああ、問題ない。もう歩けるはずだ」

「そんな……本当に……私の足が……」


 シャンディは戸惑いながらも、ゆっくりと足を地面につける。

 そして恐る恐る立ち上がると、足の感触を確かめるように指を動かした。

 彼女の表情に浮かぶのは、驚きと……ほんの僅かな希望。

 だが、その瞳に宿るのは依然として強い警戒心だった。


「っく……こんな足を治して、私を服従させる気か!? 奴隷の身分に落ちても、私は魂までは落ちぶれない! 最後まで気高い貴族のままだ……!」

「おう、そうか」


 シャンディのような元貴族の奴隷は、だいたいみんなこうだ。

 反抗的で、プライドが高い。

 無理やり奴隷紋で痛めつけでもしないと、仕事をさせられないくらいに。

 だがまあ、シャンディは売るために買った奴隷だ。

 シャンディの態度が悪かろうが、実際に使うのは俺じゃない。

 シャンディを買っていくどこぞの貴族だ。

 だから、俺にとってはさほど問題じゃなかった。


 元貴族の奴隷となれば、そこそこの値がつく。

 だが幸い、シャンディは欠損奴隷だったため、130Gと安く仕入れることができた。

 これを治して売れば、かなりの利益になる。

 俺の目的は、ただそれだけだった。

 シャンディがこの先どうなろうと、知ったことではない。

 だから彼女の態度も、軽く受け流していた。


「っく……卑劣な奴隷商人め……。私をどうするつもりだ……!」

「どうって、売るだけだけど……?」

「人を売り買いするなんて……」


 シャンディのその言葉に、俺は少しだけ引っ掛かった。


「あのなぁ……。お前だって、もと貴族なんだったら、奴隷くらい使っていたよな?」

「っく……そ、それは……」

「それなのにその言葉は、おかしいんじゃないのか? 他人が虐げられるのはよくて、いざ自分が奴隷として売られたら倫理観を問いだすのか? それって、偽善っていうんじゃないのか?」

「うるさい黙れ! 奴隷の人権と私のような貴族は違う……!」

「ま、今お前はその奴隷なんだけどな……」


 まあ、お嬢さまになにを言っても無駄か。

 正直、そのままの考えでは、この先地獄をみることはあきらかだ。

 はやいうちに心が折れて、奴隷としての自覚を持てれば、奴隷として生きていくことは可能だ。

 だが今のままのシャンディの態度では、おそかれはやかれ、主人に殺されてもおかしくない。

 殺されないまでも、ひどい目にあうのは確実だ。

 ま、俺の知ったことではないか……。


「よし、じゃあお前を明日売りにだすから。それまでの付き合いだ」

「っく……殺せ……」

「いや、売り物なんだから殺さんよ……」


 そして、俺はシャンディをカタログに登録し、売りに出した。

 すると、なんとその日のうちに、シャンディはすぐに売れた。

 まるで、シャンディが売りに出されるのを見計らったかのように……。

 どういうことだ……?

 シャンディを購入した貴族がやってきて、ようやくその謎がとけた。


「シャンディ……! 会いたかったぞ……!」

「お、御父様……!?」


 御父様……?


「ようやくうちの財産を取り戻せたんだ……! よかった、お前がまだ他の貴族に売りにだされるまえで……」

「御父様……! よかったです、本当に……!」


 なるほど、シャンディの父は没落から復活したということか。

 それで、なにがなんでもはぐれてしまった娘をとりかえそうと、網を張ってたわけか。


「ごめんなシャンディ……おいていったりして、もう二度とはなさないからな……!」

「いいんですわ御父様、しかたのないことです。でも、もうこうして再び会えたのだから……!」


 ま、なんだかなんだ、ハッピーエンドでよかったかな。

 俺は別に、売れて金が手に入ればどうでもいいしな。

 シャンディが悪徳貴族に買われてひどい目に合おうが、家族と再会できようが、俺に入ってくる金額はかわらない。

 それでも、ちょっとだけ気分はいいかな。


「シャンディ……!? 足が生えているじゃないか……!? ど、どういうことなんだ……!?」

「それは……こちらの奴隷商人……いえ、エルド様がお救いくださったのです」

「なに……!? エルド様、あなたがシャンディの足を……!?」


 シャンディのやつ、自分が奴隷として売られないとなるやいなや、俺のことをエルド様か。

 まあ、いいけど。


「ああ、そうです。俺が治しておきました。まあ、金のためです。礼はいりません」

「ほんとうになにからなにまで……ありがとうございます! この恩は決して忘れません、また、エルド様のお店をつかわせていただきますね……!」

「それは、どうも……」


 なんだか顧客が増えた。

 話をきくと、シャンディの父――ラフラム男爵はすっかり没落貴族からは復活して、今では前にもまして大金持ちだそうだ。

 これは今後の上客として期待できるな。

 シャンディも、シャンディ・ラフラムとして、ちゃんと名前をとり戻せたようだ。


 ちなみに、シャンディは14000Gで売れた。

 まあ、娘を買い戻す値段としては安いだろう。

 俺も儲かったし、ウィンウィンだ。


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