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【欠損奴隷を治して高値で売り付けよう!】破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します  作者: みんと
第二章

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第5話 ミンディの初仕事★


 ミンディの鍛冶工房はあれから上手くいっていた。

 女性だけの工房ということもあって、和気あいあいとした雰囲気でみんな仕事している。

 それから、ミンディにも回復オーブをいくつか渡して、自分で人員を補強するように伝えた。

 ミンディは奴隷市場で、見込みのありそうな欠損奴隷を何人か買い、工房のメンバーにしていた。

 

 俺は他にも、ミンディにはできるだけ多くの予算を与えていた。

 武器や防具をつくるのなら、材料費などがかかるからな。

 材料費をケチってもろくなことにならない。

 先行投資というやつだ。



 


 ミンディたちは武器や防具をつくり、それらを冒険者組に提供してくれている。


「いつもありがとう、ミンディ」


 オットーはいつも冒険から帰ると、ミンディのもとへ弓を持っていき、話しかけている。

 

「オットーは武器の扱いが丁寧だね……」


 ミンディはそんなオットーの弓を、丁寧に整備する。


「そんなことわかるの……?」

「弓を見ればわかるよ。いつもオットーがどれだけこの弓を愛して使っているか」

「へへ……なんか照れるな……」


 そんな感じで、オットーとミンディは意外といい感じだった。

 もしかしてこの二人……恋愛感情があるのだろうか。

 まあ、奴隷の間での恋愛を禁じるつもりはないし、別にかまわないが……。

 なんだかその二人は意外な組み合わせに思えた。



 

 

 ちなみに、余った武具は市場に売りに行って、儲けを出している。

 もちろん、ミンディたちはそれらの整備も承っている。

 

 彼女たちの作る武具は、どれも繊細な装飾が施されていて、見た目がよく市場でも人気だった。

 やはり市場に溢れているような男ドワーフが作った武器は、どれも無骨な見た目が多いからな。

 ミンディたち女性ドワーフの作る武器はどれも新鮮だと話題だ。


 市場に並べた武具に、冒険者たちが列をなして群がる。


「おいおいなんだこの武器は……! こんなオシャレな武器は見たことないぞ……!?」

「おい、こっちの防具もすごいぞ……! ドラゴンと薔薇がモチーフか……。カッコいいぞ……!」


 俺からしたらドラゴンはダサい気がするんだけど……。

 さすがに厨二すぎないか……?

 けど、こっちの世界の住人にはこれが人気だった。

 やはり、異世界だけあって感覚が違うな……。



 


 もちろん、ミンディ工房の武具は、ただ見た目がいいだけじゃない。

 扱いやすさでも右に出る商品はなかった。

 特に、奴隷用に作った各種道具が大人気。

 

 ミンディは女性でも簡単に扱えるようにと、持ち手を細くしたり、全体的に軽量化をはかったのだ。

 そのおかげで、女性奴隷でもすこっぷやピッケルなどの道具を扱いやすいと評判だ。


「すごいわ……! これなら私でも鉱山で働ける……!」

「これはすげぇ……! だいぶ身体が楽だぜ……!」


 もちろんうちの鉱山でもミンディの道具を導入した。

 親父も奴隷たちの働きっぷりがよくなったと喜んでいた。


「がっはっは……! これでさらに大儲けじゃわ……! さすがは我が息子! よくやった!」





 ミンディ工房の評判はとどまることを知らなかった。

 そして、ついに正式な商業ギルドから、大口の依頼があったのだ。

 普通、奴隷のやっている工房なんかに、正規の商業ギルドからの依頼なんかこない。

 だが、ミンディたちは実力で認められたのだ。

 女性ドワーフたちがやっている唯一の工房ということで、他にはない需要があったのだ。


 ミンディに依頼してきたのは、「世界樹(ユグドラシル)」という名前の大手商業ギルドだった。

 そこの支店長の、ザコッグという男からの依頼だ。


「初めまして、ミンディ工房の皆さん。俺はザコッグと言います。このたびは、ぜひ皆さんに依頼をしたいと思ってやってきました」


 ザコッグは、奴隷相手だというのに腰が低く、礼儀正しい男だった。

 ミンディも俺立ち合いのもと、恐縮して答える。


「初めまして。私がミンディです。まずは、ありがとうございます。ザコッグさん。でも……本当に奴隷の私たちなんかでいいんでしょうか……?」

「もちろんですよ……! ぜひミンディ工房の特別な道具が欲しいんです……! むしろ、あなたたちじゃないとダメなんです……!」

「あ、ありがとうございます……! そういうことなら、頑張ります……!」


 最初は自信なさそうに振舞っていたミンディだったが、話していると、次第にやる気が出てきたみたいでよかった。


「それで、どういった道具をつくればいいでしょうか?」

「そうですねぇ。労働奴隷用の道具をいくつかお願いします。鎌やクワ、シャベルなどですね」

「わかりました。では納期はこれくらいで……」


 ミンディは仕事のこととなると、しっかりしている。

 夢中で納期や細かい仕様について、ザコッグとともに話し始めた。

 心配していたが、どうやら大丈夫なようだな。

 ミンディの失敗は俺の評判にもかかわるからな。

 ちゃんと俺がこうして立ち会って、サポートしてやらないと。




 

 しばらくして、ミンディは試作品をいくつか完成させた。

 これで一度ザコッグに見てもらって、大丈夫かどうか確認してもらうことになっている。

 ザコッグは試作品をまじまじと見て、こう言った。


「うーん、たしかに従来品よりは優れています。ですが、こちらの希望としては、できればもう少し軽量化してもらえると助かります。それに……耐久性にもまだ不安がありますね……」

「そうですか……。すみません、もっと頑張ります……!」

「いえいえ! 全然、十分素晴らしい出来ですよ! でも、うちはかなり大手の商業ギルドなので、質にもこだわりたいんです。せっかくミンディ工房のみなさんとつくり上げるなら、もっといいものにしたくて」

「わかりました。私も、もっといいものにしたいです……! 頑張ります……!」

「では、引き続きよろしくお願いしますね」


 ザコッグの所属する「世界樹」ギルドは、やはり大手ということもあって、品質管理には厳しかった。

 これまでは奴隷市場での投げ売りだったから許されていたような、細かな部分でのミスが多かった。

 向こうも「世界樹」ギルドの名前を使って売るというので、妥協は許されないみたいだ。

 最初はリテイクに落ち込んでいたミンディだったが、すぐに立ち直って、また金槌を片手に金属と向かい合っていた。

 さすがは職人魂だな……。俺なら、心が折れてしまうかもしれない。

 ミンディたちも、少しでもいいものを作りたいという思いは同じだった。





 それから数週間して、改良版が完成した。

 さっそくザコッグに見せると、とても好評だった。


「すごいですよこれ……! この短期間で、見違えるほどの出来栄えです……! これなら、きっと大ヒット商品間違いなしです!」

「よかったです……! 頑張った甲斐がありました」


 この数週間、ミンディは女性鍛冶師ならではの発想を活かし、男性職人とは違う視点で改良を進めていた。

 軽量で長時間作業が可能な柄の設計。

 耐久性を上げつつも、安価な素材を活かす工夫。

 力の弱い者でも使いやすい設計を意識したのだ。


「これなら、従来品の道具よりもはるかにいいです! でも、いったいどうやってこんな短期間で、ここまでの成果を上げることができたんですか? 後学のために、なにかヒントがあれば教えてください」


 ザコッグはそう問いかける。

 ミンディは答えた。


「そうですね……。なにか特別なことをしたわけではないんです。ただ、実際にやってみたんです」

「というと……?」

「私も一応、奴隷ですからね。一度、鉱山に行って、鉱山奴隷のみなさんと一緒に道具を使ってみたんです。そうしたら、今の自分に足りないものが見えてきたんです……!」

「なるほど……実際に現地に足を運んで体験してみるとは……! すごい発想です……!」

「いえ、これも普通の奴隷の仕事ですので……。当たり前のことですよ。今までも、工房が暇なときは他の仕事もしてましたしね」

「すごいです……。その当たり前の発想が、普通は難しいんですよ。普通の職人は、わざわざそんなことはしませんからね。当たり前のことを当たり前にやった、ミンディさんの勝利ですね!」

「ありがとうございます!」


 たしかに、ザコッグの言う通りなのかもしれない。

 当たり前のことを当たり前にやることが、一番難しい。

 普通のドワーフたちは、みんな職人であることへのこだわりが強い。

 そのプライドのせいもあって、決して自分で鉱山に行って穴を掘ったりなんかはしないだろう。

 まして、奴隷のような過酷な労働を自ら好んでやってみようとするような職人はいない。

 ミンディは、自分も奴隷だからこそ、鉱山奴隷たちの立場になって考えることができたんだろうな。


 ザコッグは道具の出来栄えに満足して、契約通り金を払って帰っていった。

 あとは期日までの納品を終わらせるだけだ。

 ミンディ工房の初仕事は、無事に大成功に終わった。


 俺はミンディを褒めてやることにした。

 

「ミンディ、今回はすごかったな。よく頑張った!」

「ありがとうございます、エルド様」

「大変だっただろう? しばらく休むといい」

「いえ……私なんかは全然……。鉱山奴隷のみなさんのほうが、ずっと大変だって、あらためて気づきました。私はこのまま、工房で働いていていいんでしょうか……。こんなに楽しいことばかりで……」


 どうやら鉱山奴隷たちの過酷な労働環境を知って、ミンディは若干の後ろめたさを感じているようだった。

 だが、ミンディに鉱山奴隷なんかやらせるのはもったいない。宝の持ち腐れだ。


「ミンディ……、いいんだ。お前はお前の得意なことをやればいい。人それぞれ、得意なことは違うんだ。これからも期待しているぞ!」

「はい……! ありがとうございます!」

「それに、楽しいならいいことじゃないか。別に、奴隷が楽しく仕事しちゃいけないわけじゃない。もっと楽しむといい」

「はい……! エルド様……。本当に、こんなすばらしい環境を与えてくださって、ありがとうございます……! 私、今ほんとうに幸せです!」


 そうだな……。でも、ミンディの言うことも一理あるかもしれない。

 次は鉱山奴隷たちの労働環境をもう少し改善してやるとするか。

 鉱山奴隷たちを酷使しすぎて、恨まれたら嫌だからな。

 奴隷にはとことん媚びを売るのが俺のモットーだ。




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― 新着の感想 ―
明らかに過剰戦力染みてきたのにさすがワシの息子だでスルー出来るパッパの器でけぇ・・・
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