ろくでもないやつと仲間になるのはテンプレートですか?
あ、どうしよこの気まずさ。声かけるものなんだし相手は気づいてなさそうだし。
「...。」
逃げるが勝ち...部屋を出よう今すぐ。ドアに手をかけて出ていこうとした
「あ、ドアはしめてね。モノクロくんにバレたらやだから。」
「わかりました。」ガチャ
ふー危ない危ない、扉閉めて...ん?
ガチャ「え、」
「なに?早くしてくんない?」
気づかれてるし、てかこっち見ないし、なんなのこの人!
「新入りって君でしょ?よろー。」
そのまま気が抜けて寝そうな声で言ってきた。やる気なさそうだし本当にこの部隊の人か?
「あの、お名前は?」
「んあーー。そっちからどーぞ」
「...。」
それもそっか
「私は尾田 真紀です!これからお世話になります、よろしくお願いいたします。」
「へー。」
「...。」
「...。」
なんか言えよ、苛つくなこの人...!
「名前、言いましたのであなたも名乗ってください!」
少し声を張っていってしまった。
「えー、あー、薫 儚月。」
...やけにゆっくり言われて無性に苛ついたけどまあいいや。
「で?名乗ったから早く出てってくんない?」
マジかこの人、なんかものすごく苛つくしもういいや!
「お邪魔しました!」バンッ
こんなのと一緒にいるなんて時間の無駄だ。はやく、
「はやく...」
『ただいまー!見てみて!今日バイトの先輩が差し入れで...ドーナッツ...』
真っ赤な床
『みんな...?』
鼻を突く鉄の匂い
『お、かぁさん...?』
家族の沈黙
「...。」
「はやくみんなの!」
「あーーーーーーーーー!!」
うるさッ急に何!?
「君?新入りさんって!」
やけに声がデカくでかい人だな。というか近い
「まあ、はい。」
「俺百日 奏夜!一応班なしフリー!よろしくね!」
「!」
声はでかいけど今日あった人の中で一番マトモかも。というか百日?何処かで聞いたことあるような...
まあそれよりも
「尾田 真紀です!よろしくお願いします!」
この人とならまだ話ができるかも!
「あはッ☆まきちゃんね!あだ名にがいいかな〜まきまきまとか!?」
前言撤回この人めちゃくちゃ馴れ馴れしい。というか
「まきまきまってなにそれ。」
「え!?可愛くない!?えーじゃあまきまき...」
「勝手に巻かないでください」
だめだこの人...ここってまともな人いないのか?
「うーん...。えーっと、まっまあ!いいや。まきちゃんよろしくね!」
?なんか空元気というか、空回りなきがする。
「うーん...そうだ!ねえねえ!まきちゃん!
「なんですか?」
「目が赤くて溶けたバターみたいな人見なかった?よく本読んでるんだけど...。」
溶けたバター?そんな人いたっけ...
あ、いた。
さっきの苛つく人か。
「あそこの部屋で本を読んでましたけど。」
「わー!ありがと〜!」
走っていった、
バンッ
扉壊れそうだな。ん?というか壊した!?
「せええええええええんぱああああああああああああああああい!!」
「...うわ最悪、」
さっさと別の場所に移ろ
「せんぱいがどこにもいないから帰ったかと思ったじゃん!」
「いや、別に」
お?ちょっと押されてる。ちょっと気になるな、覗いてみるか。
「ここは行っちゃだめでしょー!?」
「モノクロくんは黙ってて」
モノクロ?
「俺のどこがモノクロですか!見た目というか髪めっちゃ赤だし服もインナー以外は色ありますよ!?」
「あーもーうるさいな...」
言い争ってる...?仲悪い、ようには見えないし。
「そこもなんで見てんの?」
「え、バレてたの?びっくりした。」
「バレてるというか見えてたs」
「まきちゃん!まきちゃんもこの人説得するの手伝ってよ〜!」
手を握られブンブン振られる、痛いし力強いな
「なにをッ説得ッ...するんですか!」
思いっきり手を離した。無理やり離したせいで痛いし...。
「せんぱいと班組みたいんだけどずっと無視するんだよぉ」
「班!私もちょうど探してたんですよね。」
まあこの人たちとは嫌だけど
「え!まじ!じゃあこれからよろしくね!」
「ん?」
え、今なんて言った?
「うーん、百日班かぁなんか班長はめんどいからやっぱまきちゃんに任せようかな!」
「は!?探してるだけであなたと組むわけでは」
「奏夜でいいよーはーんちょ!」
「え、奏夜さん。」
「奏夜!」
「そっ奏夜」
「うん!」
しつこい
「じゃあもうこの話は終わりでいい?」
だるそうに本を閉じてあくびしそうになっていた
「それはだめ!!」
「ぅあ、うるさいよもう。」
この人にどうしてこだわる必要あるの?
「なんでそんなにこの人と班組みたいんですか?」
「それは〜、...。」
「それは?」
「それは...!」
なにかすごい理由が...
「勘!!」
「はあ!?」
「はぁ、またそれか。」
「え!」
あの人を見ると一切こっちを見ていないのにめちゃくちゃ呆れているというか虚無ッてることがわかる。
たしかにそれは呆れちゃうな少し同情する。てかまって?
「え、勘だけでアタックしてたんですか?」
「うん!」
清々しいお返事だこと。それはたしかに避けるよな、私だって嫌だもん。
「ねえ君さ、モノクロくん引っ張って外出てよ」
「は?」
さっきは許しかけたけど?流石に物申してもいいでしょ
「あの!さっきから...。」
「...。」
あの人を見直すと目線があった。初めてこっちを見た。
やけに惹きつける赤い目、あの時とは違う赤
「...。あの、なんでこんなところで一人本を読んでいたんですか?」
「...は?」
あきらか嫌そうな顔をした。
しまった...口走った?
「あ、う...その、」
気まずい雰囲気になっちゃった、どうしよう。
「その本なんて本なんですか!!」
「...?」
あ、余計おかしくなった。落ち着け冷静になれ軍での訓練を思い出せ。
「あっはははは!まきちゃんやるねぇ!!」
さっきまで静かだったのに奏夜が急に笑い出した。
「珍しくせんぱいがとまどってるよ!」
「うるさい、」
「ほら!」
なんだか解せないけどそうなんだ。
「この本は別に面白くないし疲れるだけだよ。」
なんだそれ、
「じゃあなんで読んでるんですか。」
「...別に昔からの癖だから。」
「え!せんぱいそうだったの!?てっきり好きからだと...」
また少し顔をしかめてため息ばっかつく
「なんかすみません。その目を見てたら急に...」
「!」
すっと目を伏せまたため息を付いた
「別に気にしてないし俺も悪い。」
「?」
どういう意味だ?というかさっきの動揺から少し落ち着いた。
「とにかく、早く出てってくんない読書の邪魔」
「いやいや!?疲れるならやめよーよー!」
「そうですよ。負のオーラが溢れ出てますよ」
あきらかに顔に影がかかっている
「...モノクロくんはともかく君今日初対面だよね。」
最もだけど、でもなんか癪だ
「名前名乗りましたよ薫さん」
「うわ、なんか違和感。」
失礼だなこの人!!
「そもそも、さっき苛ついて出てったじゃん。あんま関わると血管切れんじゃない?」
「...。」
「...フフン」
何だそのドヤ顔苛つくそうだよ何ならさっきまで関わんないと決めたよ。でもなんか
「なんか」
勘が言ってるんだ
「私決めました、あなたに一泡吹かせるために班組みます。」
この人といればきっと
『真っ赤な床
やけに鼻につく鉄の匂い
家族の沈黙』
「私があなたを振り回します」
きっと私の願いも
「だから今すぐその本読むのやめてください。」
「...いやなんで君が決めるの?」
「私も勘です。」
「わ...わ!まきちゃん!!」
「いやなんで2体1なの?てか読んでんのは癖だからで」
「うるさいですよ!!もう決めたんです!!」
思わず叫んでしまった
「ッそもそもさっきまでノリ気じゃなかったじゃん」
「それは」
あの赤が
「目を見てたらなんか吸い込まれた感じがして、それで...」
「...。」
理由やっぱ薄いかな。でもあの目は
「わかった。」
「え?」
今なんて
「班、組めばいいんでしょ?」
「...。」
思わず奏夜と目を合わせた。そして先に
「やったあああああああああああ!!まきちゃんやったよ!!」
「わっ、わかりましたから!!」
手を持ってついに回りだした
「はあ、うるっさ。」
相変わらずふてぶてしい。
「じゃあ改めてよろしくお願いいたします、薫さん?」
「なんかそれやだがから名前呼び苗字呼び以外でお願い。」
イラァッ
「まきちゃんもせんぱい呼びしたら?」
「そういえば先輩って呼び名はどこから来てるの?」
「え?俺より年上だしここにいる暦が長いから?」
そうだったんだ
「いちお、俺は20ね!せんぱいは25!」
「おいバラすなよ」
20って
「え?同い年...?」
「え、そうなの!?わーうれしー!!」
同い年なのに私よりも先に入隊したのか...なんか謎に落ち込むわ。
「...まあうちは特殊な事情の人が多いから、というか未成年もいるし」
「は!?そうなんですか!?」
未成年がこんな部隊で
「ちなみに俺も入隊したのは二十歳前な。」
少し自慢げに言われてムカついた。
というかまた目を合わせたけどさっきみたいな引き込まれる感じはない。あれは一体何だったんだ?
次の日_
「おはようございます。」
「はい、おはようございます。昨日はすいません事務の仕事が立て込んでおりまして。」
ほんとだ受付みたいなところに人いなかったな。
「尾田真紀さんですよね?私は事務の紫石 さやかと申します。」
「あ、これからよろしくお願いいたします。」
ガチャ
「あれ〜さちこその子って」
少しふわふわした人が扉から出てきた
「あ、彩恵ちゃん。新入りさんですよ。」
「ふーん。あ、私の名前は橙 彩恵。赤海班の班員だよ。」
「あ、尾田真紀です。」
「はいはい、みおちゃんが案内した子か!」
ガシッ肩を掴んできた
「大丈夫?みおちゃん変なことしてない!?」
「え、大丈夫ですけど。」
なんでだろう?
「よかった〜。本当に気をつけてね!みおちゃんの年齢ストライクゾーンわかんないんだから!」
「あの、さっきから何の話ですか?」
「...みおちゃんは、その、」
「ろ、ろり」
「誰がロリコンだって?」
「わあ!?」
後ろからみおさんが出てきた。というか
「ロリコン?」
「いや違うんだよ!?ちょーっと小さい女の子といいますかピンクツインテで少しわがままだけど怒るとしょげちゃう系の子が好きなだけだよ!?」
やけに具体的だな。
「ほらね?まあ基本的には大丈夫だけど危機を感じたら逃げてね。」
「もう!!違うんだって!」
「あははは...」
少し騒いでいるとまた扉が開いた
「おっはー!ってあ!!まきちゃーん!!」
急に突進してきたから、避けた
「へぶっ!」
「あ、」
つい避けてしまった。というか顔面からころんじゃった。
「うぐぅ、いってて...」
「うわ痛そう。大丈夫?小町さんとこ行く?」
橙さんがしゃがみ込んで介抱する
「いやだいじょーぶ!!」
一瞬で立ち上がった。その時
「うわ、何このメンツ。」
薫さん...コホンッ先輩が来た
「いまからリアルスプ◯トゥーンする気かよ。」
「あ、儚月くーん!やっぴー!」
みおさんが絡みに行った。というか先輩ってそのノリは嫌いなんじゃ!
すっと先輩の方を見ると
「あ、やっぴー」
真顔で返していた。え?え?
「つうかこれ見て!!」
「ん?」
先輩がわざわざ目線を合わせた...だと?それに
「先輩がやっぴー?」
「しっ声出てる!」
橙さんが止めてきた
「あの二人のことに突っ込むとろくなことないよ。」
「え、二人ってどいう。」
「あー、一言で言うと『問題児』でうちの部隊で混ぜるな危険なの。」
そんなにやばいの!?
「二人揃えると色々悪巧みするから一緒の任務には特殊な状況でもない限りないんだよ。」
「へー、先輩って意外とはっちゃけてるんですね?」
「うん。ん?先輩?」
「あ、そうだ。百日さん、昨日の申請受理ましたよ。」
「え!ほんと!!やっぱ仕事が早いね〜」
「あ、部屋は階段を降りてすぐの有栖川さんの隣部屋です。」
「おけー!」
「え?班作ったの?」
「げっ、なんか早くない?技術の進化がうざいよ。」
さっきまで話し込んでいた二人が戻ってきた
「はい、あ真紀さん入って早々班長とはすごいですね!頑張ってください。」
「え、」
すぐさま奏夜の方を見た
「グッ」
いや、なにがだよ
「なんで勝手に私が班長になってるんですか!?」
「えーだって先輩と俺がやってもグチャりそうだし。」
「でも!」
「はいはい、はんちょーいくよー」
バカにしたような声で先輩が言ってきた。
「ほらw」
あ、笑ったな今。確定犯だ。やっぱ...やっぱ!!
ろくでもないやつと仲間になるのはテンプレートですか?