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窓辺で本読んでるイケメンはテンプレートですか?

 この世界には能力を持つ人間がいる。その人数は天文学的確率でもなく半数かはわからない、もう完全に不特定多数。いつから存在するのか、そもそもどういう原理なのか、全くわからない。

 能力者を束ねられるようになったのは結構最近の話である。能力が発覚した人は必ず能力省に登録しなければならない。能力者は5年に一度検診を受けなければならない。能力を使用した犯罪は通常の判決より2倍の罰が課せられる。と、まあいろいろと法が変えられて置いてけぼりな人もまだまだ多い。


20☓☓年4月7日_

 入隊とともに貰った地図を見ながら街を歩いていく。思ったよりも町中でびっくりしているがそれよりも自分の目的に一歩近づいたことに嬉しく思った。

「まさか、ここ...?」

地図のまま進みたどり着いたのは少し小さい綺麗な施設だった。部隊の施設、もっと大きくて古びた場所だと思っていたがまあ、いいや。

「おお...」

中に入り一目見て思ったのは

「ホテルのエントランス?」

目の前には受付と思われる場所と休憩所らしきもの、上へ続くであろう階段にあとは扉だけだった。

「って誰一人いないんだけど」

案内役がいると言われていたはずが誰もおらず困っているとガタンッという少し大きい音が聞こえゆっくり扉が開かれた

「ハァッ階段きっっっっっっっっっっっつ!!!くっそ...。」

現れて早々に疲れ気味にキレて立っていたのは赤髪にツインテール!オレンジと青のオッドアイ!と、とんでもなく派手な人物だった。

「あの...」

「あぁ!ハァごめんごめっ!」

「まじで、ちょっタンマ...」

こっちを無視して息を整え始めた

「...ふぅ、いやぁごめんねぇ〜。指揮担当ってほとんど外でないから訛りまくってて、」

指揮...失礼だけどこの人が?

「あーえっと、私はみお!赤海 みお(あかうみ みお)!赤海班の一応班長だよ!」

「あ、私は今日から入隊する尾田 真紀(おだ まき)です。よろしくお願いいたします。」

「硬いね〜もうちょっとはっちゃけていいんだよ〜?」

なんというかチャラい

「まあいいや、隊員証明書は持ってるよね?」

隊員証明書?これか。カバンから隊員証明書を出した

「はい、これですよね?」

「そーそー!これ施設に入るのに必要だからなくさないでね〜」

そう言って扉に歩き出した。

「ほらここ、ここのあの、このシャーってすると開けれるから」

扉の横にある機械を指差し説明しだした...

「いや、語彙力無!?」

あ、ついツッコんでしまった。...本当にこの人が指揮取れるのか?

「まぁまぁ、ほいっ、あいた〜」

カードを通すと扉が開いた。赤海さんの後ろをついていき扉を抜けると下へ続く階段があった。

「地下にあるんですね。」

「そーそーうちは特殊部隊だし一応活動以外は国家機密よw」

対能力特殊部隊、そうこれが私の入隊した隊だ。警察では対応しきれない、軍で出るまでもないそんな中間の仕事を担っている。任務のレベルのフリ幅がすごいためエリートしか入れないという噂もある。私が入隊できたのはほぼ奇跡だ。

「うし、ついた〜まずここがB1!いろんな部屋があって班がないフリーはほとんどここにいるね。」

「...異様に広いですね。」

上の施設と比べるまでもなく本当にびっくりするぐらい広い。廊下でさえちょっとしたホールに見える。

「まあ襲撃されたり喧嘩が起きたときに狭いとやばいじゃん?動きやすいように一応ね〜。」

襲撃とかあるんだ。襲撃はわかるけど喧嘩?

「あー、喧嘩、喧嘩。って言っても一部食べ物系過激派がいるだけよ?」

食べ物系過激派?ヴィーガンとか?

「なるほど?」

少しずつ進んでいく

「まず右側ね。トイレ、給湯室兼キッチン、薬物専用倉庫、武器専用倉庫。左に行って応接間にPCルーム、医務室ね。」

「あの、一番奥は...」

「運動場だよ〜あ、あとジムとシャワールーム。まあここらは自由に使っていいよ。」

この人説明する気がなさすぎる。淡々と告げられていき正直覚えきれていないが待ってはくれず再び階段を降りた。

「ここがB2!班それぞれの部屋がある場所だね!奥に休憩所があってそこでよくご飯を食べてるよ〜。」


「班か...、あの班ってどうやって決めるんですか?」

「...焦っちゃだめだよ〜?気が合う人を見つけるかどこかの班に混ぜてもらうか、どちらにしろ時間が必要だよ。」

冷静に諭されてしまった。私にとっては大事なことなのに。

「...。」

「...まあまあ!これで一通り案内し終わったかな?つっかれたぁ...いい加減エレベーター作ってくれないかな。あ、ここからは自由に見学してみな〜班になってくれそうな人いるかもよ?ほんと()()だけど」

何かを濁していた。まあ特に気にせず施設をふらつくことにした。

「案内ありがとうございました。これからよろしくお願いします。」

「ほい、よろしくね〜」

適当に挨拶しそそくさと部屋に入っていった。あそこが赤海班の部屋なのか...というかこんな人と同僚になってしまったのか。失礼だけど少し不安になった。

気を取り直し一旦地上へ戻った。

「まぶしッ」

いつの間にか日が暮れていた。夕日が眩しい。

「えっと、ここだ。」

一つ気になっていた上へ続くであろう階段を登っていった。近寄りかは少ないし狭いが部屋がいくつかあった。

「ここは、責任者室...?この部隊にも一応責任者いるんだ。」

部屋の表札を見ていった。他のも部屋はあったがほとんど名前もなく空室だった。

「最後はここ...」

ガチャ

あったかい春風が吹いた。

「図書室?」

というには少し本が少ないが小さな教室のようだった。なんでこんなのがこの施設に。

「あ、」

あたりを見渡し何も違和感がなかった。そう、何も違和感がなかった。

「...。」

窓辺に座り本を読む人影があった。それはあまりにも自然だった。

「」

声が出ない、コミュ力はある方なのに話しかけられなかった。アイボリーの髪に赤い瞳、この世界では珍しくもない見た目だった。でも一つだけ言えるのは


窓辺で本を読んでるイケメンはテンプレートじゃないか?

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