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第四回 『屋上』『涙』『垂れ幕』

 どうも、すっっっっごくお久しぶりです、兄琉です。

 もう忘れられてる気がヒシヒシと伝わって来るこの作品ですが読んでいただければ幸いです。


 では第四回『屋上』『涙』『垂れ幕』どうぞ!

  三題小噺第四回『救えるならば救いたい』



 僕が【屋上】に行ったのは、何かの偶然だったと思う。

 たまたま、時間があいていて、春の風を体に浴びたくて、屋上の扉を開いたんだ。


 普段誰も立ち入らない屋上なだけに、随分と年季の入った錆の音が屋内に響いた。

 一瞬の目眩と同時に暖かい風が僕の頬を撫でる。

 目に入ったのは、青い空、白い雲、古びたコンクリートの床……そして、柵の向こうに一人たたずむ女の子の姿だった。

 僕と同じ学校の制服を着ていて、長髪を風になびかせるその姿は、僕の心を強く打った。

 扉の音に気がついた女の子がゆっくりとこちらを振り向いて……、


「……っ!」


 驚いた表情を見せたが、再び地面の方へと視線を移す。

 一瞬見えたその顔には一筋の【涙】が流れていて……女の子に足元に置かれた紙を見て僕は先程とは別の意味で心拍が上がるのを感じた。

 同時に、口から言葉が飛び出す。


「(自殺なんて)止めるんだ!何があったのかは知らないけれど、君がそんなことする必要はない!!」


 女の子は再び驚いた表情でこちらを見たが、こちらを険しい表情で睨みつけてくる。


「私は……私がしなきゃいけないの、言われた事だから」

「言われたからって何でもやるのか!?そんなことは間違っている!!」

「……じゃあなたが変わりにやってくれるって言うの?」

「そ、それは……」「貴方も怖いんじゃない、じゃあ余計な口出ししないでよ!私の決心が鈍るのよ!」

「……くっ」


 どうやら女の子は心変わりするつもりはない様だ。ならば力づくで助けるしか……。


 そう思った時には、僕は既に走り始めていた。

 柵までの距離は10メートルほどっ!行ける!


 だが、僕が突然走りだした事に驚いた女の子は、一歩、二歩と震える足で後ずさり遂には屋上の淵に辿り着いてしまう。

 宙へと踏み出す最後の一歩で足元に置いてあった紙を蹴飛ばし、紙だけが宙へと舞っていった。


「危ない!」


 柵越しに突き出した僕の手は間一髪女の子の手を掴んだ。

 勢いそのままに引き寄せ、女の子を抱きしめる。


「だ、大丈夫だったかい?」


 女の子は肩を震わせて、下を向いたままだった。

 数瞬後、勢いよくこちらを見上げると、それはそれは綺麗なアッパーを打ち上げてくれた。



「ちょっと!何してくれるのよ!」

「え?」

「アレ!落ちて行った【垂れ幕】!」

「アレ……?遺書じゃないのか?」

「あんなデカい巻物の遺書なんてある訳ないでしょ!先生に頼まれてたのに……。どうしてくれるのよ!」

「えーっと、じゃあなんで泣いて……」

「……高所恐怖症なのよ(ボソッ)」

「……」

「……」


「じゃあ垂れ幕取りに行くか、僕も手伝うからさ……」

「……そうね」


 数分後、屋上には仲よく垂れ幕を下げる、二人の姿があったとか。

 第四回『屋上』『涙』『垂れ幕』、いかがだったでしょうか。

 一応リハビリの意味も含めて短い訳デス……。


 本来この作品は別のテーマをもとに作られたモノでして、今回の3つのキーワードはそのテーマを考える時に思いついたものです(後【自殺】が入りますけど)。

 それに関してはまた活動報告にでも書こうと思います。


 では、次回は『坂道』『雨』『すれ違い』です。

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