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雨森弥太郎は騒がない〜真夜中に拾った少女〜  作者: 猫背族の黑
第四章『旅立ち』
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■宿屋_要請/11/13/01:50■

「ヤバヤバ!イナゴの大群!!」

「え!バッタ人間ですか!?」


 イナゴと言えば元の世界で対峙した事のあるバッタ人間を思い出す、あれが大群で押し寄せて来ているならもう終わりじゃないか?!


「違う!イナゴ!バッタの種類!」

「あぁ、つくだ煮になるやつですか」

「それッ!」


 人が襲われている事態は変わらないが、バッタ人間ではない事に変に安心してしまう。


「つくだに?」


 そうか、ラヘンメは異世界人だから知らないのか。


「甘じょっぱく煮詰めた料理です」

「あの虫を食べるんですか…」


 想像して気分が悪くなったのかラヘンメは口元をおさえた。


「そ、そんなことより!どうするの!?

 石造りのここなら大丈夫だとは思うけど」

「あの虫はそれほど恐ろしいのですか?」


 パリカーとラヘンメの様子は真逆だった。


「ラヘンメさんはイナゴ初めてですか?

イナゴは単体では特に問題ありません。しかし、大群になるとその土地の植物や食品全て食い尽くしながら大移動するという大変凶悪な虫なんですよ」


 俺はラヘンメに軽く説明する。


「あぁ…それでパリカーさんが取り乱してるのですね、納得しました」

「ヤタどうする?魔法でなんとかなる?」


『バチバチバチバチバチバチ!!!!』


 ステンドグラスにぶち当たるイナゴの勢いは先程と変わらない。


「うーん…規模が分からないけど、たぶん無理じゃないかな」

「パリカーは?」

「ヤタと同意見、逃げるにしても飛びたくない」

「ラヘンメさんは?」

「悲鳴を上げていた人の安否を確認しにいきたいです、良ければお力をお借りできませんか?」


 まじか、さすがは勇者パーティーの『僧侶』といったところなのか?


「俺はさっき浴場で助けて頂きましたからね、勿論お手伝いしますよ」

「ありがとうございます、それでは皆さんのパーティーに入れて貰えませんか?」


 え、パーティー?どういうことだ?


「ラヘンメ、私達のパーティーリーダーは酒場にいるから今はパーティーに入れることができない」

「「え」」


 俺とパリカーは同時にヤタを見る。


「酒場でゴンが言ってたの、覚えて無い?」

「ええ!?

 あれにそんな強制力あるんですか?酒の席ですよ?」

「酒の席だから、かな。ここはそういう世界」

「それじゃ別にパーティーに入らなくても良くないですか?」

「パーティーに入ると仲間の生命力とかが見えるようになるんだよ、支援役なら入ってないと本領発揮しにくいかな」


 ええ…異世界転生したチート勇者がいるならそういう世界になっててもおかしくはないのかも知らないけど、なんてゲームみたいな世界なんだ。


「もしかして、あなた方は勇者の……」


 …まずい、バレたか?

 ラヘンメ以外の皆が一瞬固まった気がする。

 こちらの世界の仕組みをもっと情報共有しておくべきだった。


「…いいえ、何でもありません。とにかくまずは酒場に向かいましょう」


 このラヘンメの言葉に全員驚き、互いに顔を見合わせた。そこまで正義感が強いのかと。


「ナイナイがやるなら私も手伝うよ」

「あーもう、別料金請求したい!何かオマケしてよね!」

「あ、あはは、俺のせいですみません」


 こうして俺達は真っ暗闇の中、イナゴが飛び交う外に出ることになった。






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