■宿屋_決着/11/13/01:45
パリカーとラヘンメが出ていってからヤタと二人部屋に取り残された。
ラヘンメの話し方やヒントから考えると、ヤタは何かに悩んでいたはず。
悩みの原因はたぶん、ヤタが膝枕を促してくれた時に俺が躊躇して固まり、その事で傷ついたとか、そういう類のものではないだろうか?
机を挟んで対面しているヤタは何か考えているのか伏目がちだ。
と、とにかく。
俺の反応が事の発端なら、黙っているより何かを話さないと。
「あ、あの。さっきはひ、膝枕に誘ってくれたのに、その、ごめん」
「あ」
ヤタは何か閃いたのか目を丸くして俺を見た。
「ど、どうしたの?」
「ナイナイ、また赤くなってる!ラヘンメ!」
そう言ってヤタは立ち上がり隣部屋へ向かおうとした。
「ヤ、ヤタ!これはその、たぶん違う。赤いのは恥ずかしいから」
「恥ずかしい?」
「ヤタの事をその、異性と認識したから」
これはこれでマズイ発言な気もするが、俺には今伝え方を考える余裕も無い。
「俺はその、年齢=彼女いない歴だから」
「…異性に慣れてないってことかな?」
「そ、そう」
「でも、ラヘンメといた時。手を握られた時なんかも赤くなかったよ?」
「それは意識の差というか、LikeとLoveの違いと言うか…」
なんてダサい説明なんだろう。俺は小学生か。
「あ…」
ヤタは何か思い当たったのか少しの間黙り込み、俺の目を見て改めて話し始める。
動揺している俺とは違い、ヤタはいつも通りだ。は、恥ずかしくて目をそらしたい。
「ナイナイ」
「は、はい」
「私には三本目の足がある」
「は、はい?あ、足が?それはどういう」
「私は異性というより…種族で答えると神族。だから異種族」
「は、はぁ?」
「だから、大丈夫」
ヤタの中でどういう処理がされているのかわからないが何か腕組みをして頷いている。
何だか大きな間違いを起こしてしまった気がしてならなかった。何か、何かを訂正しないと。
「い、いや、ヤタ、そういう事じゃ」
『バチバチバチバチバチバチ!!!!!!』
言葉を続けようとすると突然絶え間無い異音が部屋に響き渡る。
『ギャー!!!』
何処からか男の叫び声。
「ナイナイ、何か良くない事が起きてる」
「え、ええ。ヒュプノシスの神託に関係あるかもしれません。『赤い3倍』に魔法付与してもらえませんか?」
「…私の許可無く飲まない事」
「わ、わかりました」
『バチバチバチバチバチバチ!!!!!!』
魔法付与の間も異音は止むことがなく、時折悲鳴も聞こえてきた。何が起きているんだ…。
「ヤタ!モーリー!」
パリカーが慌てた様子でノックもせず部屋に入ってきた。
ラヘンメも一緒みたいで二人は装備を整えて臨戦態勢といった感じだ。
「ヤバイよ!イナゴの大群がきてる!」




