■宿屋_迷走/11/13/01:35■
俺はパリカーから事の経緯を聞かされた。
「そもそも、二人が同じ部屋だってのがおかしいよね」
「いやまぁ…」
「偶然私が?同じ宿を選んでなかったら?
今頃はきっと二人っきり…そう、偶然ね!」
うぅ…そんな偶然が…。
「パリカーさん、話がずれてますよ」
ラヘンメがパリカーをたしなめる。
見た目だけでいえば年長者の風格があるが、それは僧侶として徳を積んできているからかもしれない。
実年齢で言えば悪魔のパリカーと神の遣いであるヤタの方が歳をとっているだろうが、二人のほうが幼さが残っている気がする。
もちろん、身体の話では断じて無い。
「え、ええ。ありがとう、ラヘンメさん。
そう、それで宿の従業員にモーリーを運んでもらう時に私はヤタに提案したの、私と一緒の部屋で寝ないかって」
ほう?まぁ確かに異性を同じ部屋にさせるのは嫌だよな。
「でもラヘンメさんの魔法なら朝までモーリーは起きないって言うから、渋々諦めてあげたわ」
ふ、ふーん?なんだろうこの違和感。
「その時にラヘンメさんが私に提案してくれたの、良かったら私の部屋に来ませんかって」
う、うーん?何だ、俺は何を聞かされているんだ。
「パリカーさん、それもちょっと話がずれてます」
「!?」
パリカーの顔は真っ赤に熟れた林檎のように赤くなった。
「と、とにかく!
要するに私達は隣の部屋でまるっと全部聞かせてもらってたって言いたいのよ」
「パリカーさん、話が戻ってます」
「!?」
ついに黙り込んでしまったパリカー。
あまりこういう事に慣れていないのだろうか。
「パリカーさんの変わりに私がお話ししましょう。
僧侶という職業柄、人からの相談や仲介は慣れてますので」
「よ、よろしくお願いします」
第一印象の危ういラヘンメの姿はそこには見られなかった。




