■宿屋_赤い3倍/??/??/??:??■
「私は『赤い3倍』を飲むのは控えて欲しい」
眉根を寄せながら発言するヤタ。
正直止められるとは思っていなかったので反応に困った。
「ヒュプノスの神託でも?」
「そう」
「これで世界を救えるとしても?」
「そうだよ。今回は偶然近くにいた『ラヘンメ』が助けてくれたけど、次に魔力中毒になったら私とパリカーじゃ治せない。中毒状態を放置しておくとナイナイはゾンビになる」
「…それは確かに困るけど、ヒュプノスはパーティーに伝えて『赤い3倍』を飲み続けろって」
「パーティーに伝えて…」
ヤタの表情が更に暗くなる。
「ナイナイはどうしたいの?」
「俺はヤタの力になれる事なら何でもしたい」
「髪の毛、真っ白になってるの知ってる?
これ以上飲んだら髪の毛がナイナイかもだよ?」
「それは…笑うとこなんですかね…」
少しの沈黙が緊張感を高める。
スベったのは俺か、俺なのか。
「飲みたいから言ってるんじゃないよね?」
「はは、それなら既に中毒状態ですね」
「どうなの?」
「もちろん違いますよ。俺の髪か神様のどちらかしか助からないなら、俺の髪は諦めます」
「そこまで決意してるんだ」
吹けば飛ぶようなカミトークをかぶせてみるもヤタには通じなかった。
「そうですね。俺達に時間が残されてない事はコンビニで襲われた時から薄々分かってましたけど、神託まで使って寝る間も惜しんで働けと暗に言われるとは思ってませんでしたから。危機感も相当強くなりました」
ヤタは深い溜息をひとつついた。
ヤタの溜息とか始めて聞いた気がするな。
「わかった、それなら飲む方向で対策をたてよう。
それじゃあここにまず、ここに横になって」
「ん?」
ヤタは俺のベッドに座り、自らの膝を指さした。
いや、何故そうなる…。




