■浴場_悲鳴/11/12/??:??■
「うわぁぁあ!!」
ホラー映画にありそうな不気味な青い顔がこちらをのぞいている。
真っ黒で光の無い虚ろな目は生者への妬みと憎しみをその眼窩に詰め込んだ様な、おどろおどろしい不気味さを感じさせる。
「ナイナイ!」
浴場から勢いよくヤタが飛び込んできた、あのいつもマイペースなヤタが俺のために!?
『パサッ』という何かが落ちる音が聞こえたと思ったら、俺もその場で倒れ込んでいた。
「ちょ、ちょっとどうなってるのよ!?
このグールみたいなのはモーリーなの?!」
2人が近づいてくる気配がして多分身体に触れられているが、感覚がなかった。
「ぞうぇす」
パリカーの問いかけに反応するかがうまく声が出ない。
「見たことがない症状…」
身体の自由が効かなくなった俺は二人のあられもない姿を拝めそうで拝めずにいた、顔も視線も動かせないほどの疲労感が眠気とともに襲ってくる。
「二人共、何か心当たりは無いの!?」
「ナイナイは『赤い3倍』を飲んでた」
「12時間に1本飲めて、反動が1時間くる悪魔のドリンクね」
「初耳、ナイナイは1本以上飲んでる」
「ほんとに?
普通の人間だと力がありあまって暴走するよ?
もしくは長時間起きてて連続使用とかしてる?」
「襲われたけど制圧して意識を取り戻した」
「さすが…でもそれにしたってこんな事には普通ならない。こんな危険な事になるなら売れないから」
「だぶん38時間ぼどおぎでまぶ、あどばヤダに魔力ぼぼぼ」
頭がジンジンして話しがあまり入ってこないが、『赤い3倍』の副作用的な何かの可能性がある。
「ナイナイがおいしくなる呪文をかけてって言ってたから、ナイナイの真似してやったら魔力が吸収されてた」
「…通常より強力な魔力が更に付与された物を飲んだ反動。それならこれは『魔力中毒』の症状だと思う」
「魔力中毒?どうなるの?」
「最終的にはゾンビになるやっかいな症状だけど、高レベルの僧侶なら治せると思う」
「ぞんな、ぶだりども『魔法づがい』でずよね」
「私達には無理ね、このまだと…」
「…あ」
「ヤタ!タオル!タオル!」
2人が遠ざかる声を最後に意識が遠くなる。
やっと眠れる―――。




