■部屋_ゴン/11/12/??:??■
部屋が更に暗くなっていくが俺は未だに『僧侶』の問いかけから抜け出せないでいた。
まずいな、ヤタが寝ている間に部屋に戻らないと何と言われてしまうか…。
「すみません、楽しい時間は時が経つのが早いですね。日も暮れてきたようですし、女性一人の部屋に男が長くいるのも問題でしょう。そろそろおいとましようかと思います」
我ながら芝居がかっているなとは思いつつも、女性との接し方が良くわからないため俺の知識をフル活用しての対応がこれだった。
「私の方こそごめんなさい、話を聞いて貰えて嬉しくてつい話しすぎました」
『僧侶』から得た情報は『勇者パーティー』の内情そのものだったが、あくまで恋愛事情の話ばかりだったので特に役に立つ情報は無い気がする。
「いえいえ、このくらいで良ければいつでもお相手しますよ」
「本当ですか!?」
パァッ!と明るくなる『僧侶』の笑顔を見て俺は社交辞令のつもりで言った言葉を悔いた。
「え、ええ。男に二言はありません」
『ガタンッ!』
「嬉しい!」と言う『僧侶』の声を掻き消す程の何か大きな音が響く。
「お隣さんから聞こえましたね」
「な!?」
「どうかしました?」
「い、いえ、それより今更なんですが、お名前を伺っても良いですか?『僧侶』さんと、呼ぶのも悪い気がしまして。
ちなみに俺の名前はウチサタです」
『ヤタ』と『勇者パーティー』の接触は避けるべきな気がして話題を逸らす。
「ウチサタ、珍しい名前ですね」
「辺境の田舎町の名前ですよ。どうぞ好きに呼んで下さい」
「わかりました、ではウッチー。私の名前はラヘンメ、また近いうちに宜しくお願いしますね」
「え、ええ、わかりました。それでは」
俺はなんとか『僧侶ラヘンメ』の部屋を去り、隣のヤタが眠る部屋に向う。
しかし、なんだ、どっと疲れたな…。
それにあの大きな音…まさか敵襲!?
不安になってきたので急いで鍵を開けて部屋に入る。
部屋は薄暗く、何か灯りが欲しいところだ。
ヤタの眠る部屋に向う途中で何かの気配を感じた。
『にごんはない』
急に耳元で囁かれた言葉に俺は腰を抜かした。




