■宿_一人/11/12/15:20■
俺は部屋の中を一通り見て回った。
砦と言うだけあって壁や床は全て石造りだ。
明り取りの窓はあるが、ステンドグラスのようなものがはめ込まれており外気を取り込むことはできない。
部屋の調度品は全て高級感があるが、トイレや風呂、水回りの設備は部屋にはなかった。
電気は無いようで燭台と蝋燭が部屋のあちこちにある。
「やはり空調設備と水回りの設備が無いと、いくら高級だとしても不便だな…」
部屋の中は確認した、次は浴場とトイレを調べるか。それ次第では俺の住んでたボロアパートの方が快適かもしれないぞ?
俺はヤタが気持ちよさそうに眠っているのを確認すると部屋を出て鍵を閉める。
「まずは浴場を見せてもらうかな」
これまでの戦闘や騒動で土埃や汗がずっと気になっていたのだ。
ヤタをまた肩車するのであれば臭いには気を付けておきたかった。
浮かれた気分で3階へ向かおうとすると、隣の部屋のから客が出てきた。蒼いロングヘアの女だ。髪のサラサラ感がちょっとした動きでわかるくらい目立った美しさ。
高級感のある白いドレスを着ていて今から結婚式でもあげるのかと思ってしまうような姿に思わず足を止める。
「…何か?」
露骨に見つめ過ぎて気付かれた…。
「すみません。貴女の美しさに勇者様の彼女はきっとこんな素敵な方なのだろうなと思い、つい魅入ってしまいました」
「それは本当ですか!?」
「ほ、本当ですけど?」
「どの辺りがそう思いますか!?」
「あ、蒼く美しい髪とか、ツヤとか?」
「他には!?」
「う、美しいドレスが似合っているとか?」
「それはドレスが美しいだけですよね?」
「え、いやいやいや!?ええ?!」
いやちょっと、何の地雷だよ!?




