■部屋_二人/11/12/15:15■
小綺麗な男に宿泊費の金貨2枚を前金で渡し、案内された2階の部屋に入った。
「どうです?うちの宿は全室最高ランクですよ」
「いやぁ…ちょっと想像してたイメージと違いますね。豪華すぎるというか…まるでお城では…」
「鋭いですね、城を建てる事のできる技術者に頼んでこの宿は作られました」
「いやぁ…。
そういえば勇者様が初めて泊まった部屋とかはあるんですか?」
「初めて泊まった部屋は取り壊してこちらの部屋同様の部屋になっております」
薄々わかってはいたが、歴史的な価値が全くないぞこの宿。
それなのに一泊するのに1人あたり金貨1枚という高額な部屋に泊まる客が沢山来る街だ。
おかしいな、『勇者が初めて泊まった宿』ならここは始まりの街のはずだ。
ゲームなら始まりの街は規模が小さいものだがここまで発展しているとなると勇者がそれなりに平和な世界を創り上げているということなのか?
女パーティーというのは癪に障るが、予想される戦闘の警告にくるあたりもなんだか人格者のような…。
今から敵対するであろう勇者の事を推測するのは良くないな…気分が滅入るぞ。
「どうかされましたか?」
「いえ、部屋が素敵すぎたのでつい呆気にとられました」
「それは良かった、1階に食堂、3階に浴場を設けていますので、ご利用の際はそれぞれの担当者に声をかけて下さい。
ではひとまず失礼致します、旅の疲れをどうぞごゆっくり癒やして下さい」
小綺麗な男はそう言って部屋を出ていく。
残されたのは俺と腕の中にいるヤタだけだ。
「う〜」
まだヤタの調子はよく無さそうだ、ひとまずベッドにヤタを寝かしてから色々と調べてみるか。
「うわ…まじか…、そんなことある?」
ベッドはダブルベッドだったので俺は床かソファーで寝るのが確定する。
さらに、ベッドが非常に柔らかく、生地が非常にツルツルしてて………え、なにこれ?
さっきまで外で見てきた異世界の生活レベルからかけ離れてない?
「す〜」
うなされていたヤタの呼吸が途端に穏やかになる。なんだろう、魔法のベッドで超回復とか?
青かった顔色がもとに戻るのを見ていると安心ととともに眠気が…だ、駄目だ。
送り狼とゴンさんに言われてしまうしパリカーからも軽蔑の目で見られるぞ。
こんなところで眠ってたまるか!
まずは調べられるだけ調べてやる。




