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雨森弥太郎は騒がない〜真夜中に拾った少女〜  作者: 猫背族の黑
第四章『旅立ち』
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■街_瞬間移動/11/12/14:05■

 ヤタがパリカーに「街を探す」と言ってからあっという間に事は進む。


 パリカーが空からの探索で5分とかからず街を見つけ、炎の魔法から緊急回避をしたのと同じ方法で俺達を一度に運んだからだ。


ファストトラベル(瞬間移動)やん…」

「行ったことが無いとこにも行けるとなると、ゲームより優秀なんですが…。ゲームでもゲーム内の時間経過はあったりしますからチート能力ですよこれ」


 街を認識できる位置あたりで降ろされた感想をゲーム用語で話す男達。女子からは白い目で見られていた。


「ちょっと魔力回復させて」


 パリカーもこれだけの事をやったので流石に疲れたようだったが、ホウキの上には乗っている。


「ナイナイ、これ開けて」


 未だに肩車状態のヤタはリュックからペットボトルを取り出して渡してくる。


(なわ)だけ取って欲しい」

「おっけー」


 俺は荷造り用の縄だけペットボトルから取り出すしヤタに渡す。


「パリカー、これ持ってて」 

「どうするの?」

「引っ張るんだよ?ナイナイ、走る」

「え、走るの?」

「早く」

「はい!」


 俺はヤタに言われるままに走る。

 パリカーの乗ったホウキは宙に浮く風船の様に特に抵抗もなく運ばれていく。


「へぇ、なかなか早いじゃない」

「え、ちょっと!

 俺の武器の事を忘れてない!?

 米袋くらいの重さあるんだよ!?」

「男なら走る」

「…いや〜!」


 叫ぶ程嫌がっていたゴンさんだったが、俺達との距離があくにつれ諦めてゆっくりだが走り出した。


「ヤタ、何か急いでる?」


 俺は未だに『赤い3倍』の効果があるのか身体が軽く、ゴンさんとの間はドンドン開いていく。


「今更だけど、『ホールズ』の侵略を止める事が私達の使命だから急ぐ必要がある」

「それって具体的にはどうするの?」

「『ラッパ吹き』と『勇者パーティー』を倒す」

「どこにいるか分かるの?」

「パリカーがいる」 

「あはは、ヤタは悪魔遣いに容赦ないね。まぁ、私にも関係ある話だし?ヤタが役目柄必死なのは分かるけどもう少し目星つけない?」

「目星?」

「『勇者パーティー』を狙うのか『ラッパ吹き』の誰を狙うのか、侵略までの猶予はどのくらいあるのかとかさ、モーリーもそう思うよね?」


 なかなか恥ずかしいあだ名を突然付けられたな…しかし今それにかまっている余裕はない。


 パリカーは派手な見た目に反して『お助けサービス』でノウハウを経験しているのか俺達の誰よりも要領が良さそうだとは思った。


「そうですね。街もすぐそこですし、走りながらじゃなくて落ち着いて話したいです」

「分かった」

「ゴンさんはどうします?」

「街の入口で待つ」

「了解」

「私がさらって来ようか?」

「走らせて少しでも強くしないと」

「あはは、天使にも厳しいんだ。これはモーリーも苦労するよ」

「パリカー」

「ごめんごめん」


 軽口を言い合う二人のおかげか、緊張が抜けていくのを感じた。


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