■草原_詳細/11/12/13:25■
パリカーは先程の大穴から離れた場所に俺達を降ろす。ヤタによる魔法の射程からしても安全圏だと思われる。
「あぁ〜!!
ほんま腕が千切れるかと思ったで!!」
「俺も股が裂けるかと思いましたよ…」
「むしろ裂けてないのがおかしない?」
「後で気がついたんですけど、小さなクッションみたいなのが間にあったおかげで助かったんですよね」
ヤタからは特に指示も無いので未だに肩車をしたままでいる。
「そのクッション、使い魔の『スライム』なんだから感謝してよね」
「スライム!?」
「ホウキ乗りには必須の使い魔だよ、戦闘力はないけどね」
パリカーはそう言うと手を差し出して手乗りの赤いスライムを見せてくれた。
スライムまで赤いとか、赤好き過ぎ問題…。
しかし、現実世界のスライムは大きなグミみたいな感じなんだな。想像ではもっと粘り気があると思っていた。
このスライムの弾力が俺を守ってくれたのかと思うとなんだか愛着が湧いてくるような…。
「俺の股を守ってくれて本当にありがとう」
「何スライムにお礼言ってるのよ、言うなら私にでしょ?」
「もちろん、パリカーさんもありがとうございます。それにしても顔とか無いんですね」
「ゲームのしすぎ、あったら気持ち悪いでしょ?っていうか、パリカーさん『も』って何よ『も』って」
「人を襲わないんですか?」
「魔力を食べるからね、肉食ってわけじゃないから。って!何無視してくれてるのよ」
こうして話している今もパリカーはホウキから降りる事無く宙に浮いたままだ。意味もなく浮き続けているのは魔力に余裕があるからだろうか。
「ナイナイ、お金を渡して」
「あぁ!そうでした!」
俺はゴンさんが何かの『願掛け』で貯めていた777枚の1000円札が入った袋(本人談)を取り出してパリカーに渡す。
「お釣りはいらへんで!チップや!」
「あ…あうぅ…」
「悪魔は契約が第一やもんな、ええ心掛けやん!」
「戦闘中だったからキャンセル不可の契約でしたもんね!パリカーさん!」
「ああ!もう!わかった!わかったわよ!」
「パリカー、偉い」
「ほ、褒められても何も出ないんだから!」
顔を赤らめているのがバレないようにか、クルクルとむやみにホウキで回っている。見た目からは考えにくいがわりと純情なのかもしれない。
「ところで、契約っていつまでなんですか?」
「赤いアナタが死ぬか、戦闘中の敵勢力が死ぬまでの契約で5億のつもりだったけど、そういえば何と戦ってたのよ」
「『勇者パーティー』と『ラッパ吹き』やで」
「え?」
「パリカー、さっきのは『勇者パーティー』の『魔法使い』だと思うよ。あの炎の魔法には見覚えがあるから」
「え?」
助けを求めるようにパリカーは俺を見る。同じように巻き込まれている俺だから気持ちは分からなくもない。
「残念ながら本当の事です」
「そ、そんな…そんなの5億でも安すぎるわよ〜ッ!?」
パリカーの悲痛な叫びが胸に響いた。




