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雨森弥太郎は騒がない〜真夜中に拾った少女〜  作者: 猫背族の黑
第四章『旅立ち』
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■草原_契約/11/12/13:18■

「アタシのバカバカバカバカ!?」 


 パリカーの慌てようから契約は成立したものだと思われたが、それどころじゃなかった。


 バスケットボールサイズへと変化した炎の球は薄い膜を作り始める。


 展開の速さについていけず俺とゴンさんはただ呆然とする中、ヤタは違った。


「『パリカー』逃げる」

「わかってる‼」


 短い言葉を発した二人の言葉を聞き終わる前に何かが起きた。


 覚えているのは視界が真っ白になる爆発。


 背中を押される圧力。


 その次の瞬間には俺の足は地から離れ、炎の巨大な柱が遠くに見える。


 熱を感じないほどに遠く、まるで空から花火を見ているような?


「え?」


「ひやぁぁぁぁぁあ!やばいやばいて!握力そんな無いから!?」


 俺の両足の負荷がヤバイ!


 足を見るとゴンさんがぶら下がっている…。


「え?」


 俺はヤタを肩車しているのを確認し、足にゴンさんがしがみついた状態で…いて、いてててて!?


「痛ッたぁ!?さ、さけるッ!?」


 俺は何か棒を上に跨っていることに気づいた。


「定員オーバーなんだから贅沢言わないでよね、そもそも金額も安いし」


「パリカー、凄い、尊敬する」

「え、そ、そう?」


 二人の声が後ろからするということは、俺はホウキの先端に乗っているのか。


 しかし声だけで想像つくが、パリカーは恥ずかしがってそうだ。見た目のイメージとなんだか違うな。


「あなたみたいな綺麗な黒髪の子に言われるのは嬉しい、名前を聞いても?」

「雨森弥太郎、ヤタって呼んでいいよ」

「ヤタ君…」

「違う、ヤタ」

「…ヤタ」

「そう、あなたは?」

「私は紅南沙智(くなみさち)って名前だけど、仕事中だから『パリカー』でいいよ」

「わかった」


 良く分からないが魔法使い同士の友情だろうか?


「も、もうええやろか?ひとまず足がつくとこに降ろして欲しんやけど」


 それにしてもヤタが喋るとつい遠慮して黙ってしまうのは俺だけでなくゴンさんも一緒だったようだ。


「はいはい、これだから我慢できない男は。ヤタ、降りるよ?」

「うん」


 そして俺達は急降下する。


 ひとまず脅威からは逃げられたと思うが、パリカー自体が脅威な気もした。




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