■草原_あくまでも悪魔/11/12/13:15■
「ところで、私を呼んだのはそこの赤い…人?
人でいいんだよね?」
『流星乗りのパリカー』を名乗った悪魔は眉をひそめ、値踏みするように首を傾けながら俺を見てくる。
悪魔だと名乗らなければホウキに乗っている姿から魔女で通りそうなものだが、ゴンさんを天使だと言われてもピンとこないように見た目ですぐ分かるような特徴は無いようだ。
「はい、俺が呼びました」
「ふぅん?なんだか貧乏そう。
とてもじゃないけど対価を支払えそうな気がしないなぁ」
「え…」
「まず、あっちの世界からここまで流星をぶつけて貫いてきた工賃と出張費用、それに今から新たに契約するお助け代金だよ。ざっと見積もって5億はかかるかなぁ?」
「え!?
ご、ごおくえん!?
きゃ、キャンセルとかできます?」
普通に働いても支払える金額ではない。
人とは違う特殊な稼ぎ方をしないと支払えない金額だ。
パリカーは俺の反応を見ると目を細めニタニタと笑った。
「それは無理な相談だよ、既に私は戦に巻き込まれてるみたいだし?」
パリカーが「ほらそこ」と、指差す先にさっきヤタの魔法でも制御が効かなかった炎の球が現れる。先程はピンポン球サイズだったが、まだビー玉サイズだ。
「さっき私がここに来る時にもたぶんあったよね?穴を貫通させた時に吹き飛んでいってたと思うけど」
「…さっきは助かりました」
「素直!嘘をつかない子は嫌いじゃないよ〜!」
ホウキに乗ってクルンクルンと回りながら両手を上げるオーバーリアクション…。
や、やりにくい!
そもそも俺は女性が不得意なのだ。
「ヤタ、魔法で対処は?」
「杖が無いから厳しい」
「ゴンさん!」
「俺は戦闘より内政に向いてるんよ」
ぐぬぬ…。
何かしらの方法で5億を支払う覚悟を決めるしかないのか…。
「あ、今すぐニコニコ現金払いなら初回サービスで安くしてあげてもいいよ?66万6千円とかどうかな?」
俺達の困っている表情を見るのが楽しくてたまらないといった感じでパリカーは頬を染めながらニタニタ笑う。
「そ、そんな!今すぐだなんて…」
「無理なら後払いの分割払いで5億だよ〜。契約成立しないならソコの魔法が発動して全滅。ほらほら、早く決めないと死んじゃうよ」
悪魔でもお助けサービス…地獄の沙汰も金次第か…。
とにかく今は生きるためにはなんでもするしかない。
「ある、あるでッ!その金額!」
「「えっ?」」
「ヨシタカからビニール袋受け取らんかった?」
ああ!あれか!
「はい、ナイナイ」
話を聞いていたヤタがリュックに差してあったペットボトルを引き抜いて俺に渡してくれた。なんて手際が良いんだ!
「ヤタ、ありがとう!」
「え?ペットボトルだよねそれ?び、びっくりさせないでよ〜」
「驚くのはここからです!」
俺はペットボトルに『梱包』されていたビニール袋を取り出す。無造作に詰められた千円札のずっしりとした重さが心地よい。
「それは77万7千円ある、うちのコンビニに願掛けて置いてたもんや。お釣りはいらんよ!」
「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
炎の球はピンポン球サイズに変化し、パリカーは目を見開いて大声で喚いている。
「アタシのバカバカバカバカ!?やばやばの大赤字じゃない!?」
ピンポン球からバスケットボールサイズへと変化した!?
や、やばい、パリカーとの契約が成立しても間に合わない!?




